美容医療クリニックを選ぶなら、大手か中小だとどちらがおすすめ?両者の違いを徹底比較!

美容医療クリニックを選ぶなら、大手か中小だとどちらがおすすめ?両者の違いを徹底比較!

美容クリニックを選ぶ基準は、人によってさまざまです。価格や通いやすさ、提供している治療の内容などいくつかのポイントがある中で、認知度を重視するという方も多いのではないでしょうか。たしかに“CMでよく見る企業”に漠然とした信頼感や安心感を覚える方は多いはず。しかし美容医療の分野では「大手クリニックだから安心」とは一概には言えないのも事実です。そこでこちらでは、美容クリニックを選ぶうえで知っておきたい大手と中小の違いについて詳しく解説していきましょう。

1.そもそも大手(チェーンストア)とは?

大手の美容クリニックは、主にチェーンストアによる多店舗経営を行っています。チェーンストアとは、チェーンストア理論にもとづく経営手法の1つ
ブランド構築やサービス内容、企業方針などを統一し、経営効率を上げるのが特徴です。また、売り上げ管理やマニュアル化などもすべて本社(本部)がコントロール。不特定多数の顧客に、いかに効率良く商品やサービスを提供できるかを重視しています。

チェーンストアは日本でも馴染み深く、美容クリニックのほかにコンビニや飲食店、サービス業など多くの企業に採用されています。本社(本部)にさまざまな機能を集約させ、ばらつきのない経営を行うことで、どの店舗でも商品・サービスのレベルを均一に保てるのが、チェーンストアの大きなメリット。業務効率を高めることで、さらなる規模拡大を目指していきやすい経営手法です。

■大手が商品・サービスを低価格で提供できる仕組み

全国にいくつもの店舗を展開する大手は、基本的にリーズナブルな価格で商品やサービスを提供できます。例えば、世界的に有名なファーストフードチェーンの「マクドナルド」は、おいしいだけでなく安さも魅力の1つ。ここでは、マクドナルドの事例をもとに、大手がなぜ「低価格で商品やサービスを提供できるのか」について見ていきましょう。

安価な仕入れを実現できるから

お客さまに安い値段で商品・サービスを提供するには仕入れ価格を抑えることが大前提。マクドナルドのような大手チェーンストアは、店舗数の多さを活かし、大量に仕入れることを条件とした価格交渉を行いやすいのが強みです。とくにマクドナルドは、グローバルサプライチェーンとして、原料の調達から消費活動に至るすべてを、国内外で最適化する仕組みを整えています。つまり、オーストラリアの牛肉が高くなればニュージーランドの牛肉に切り替えることもできるということ。チェーンストアだからこそ、いつでも安価に原料を仕入れられる仕組みを構築できるのが特徴です。

マニュアルの統一化で人件費を削減できるから

チェーンストアでは、誰が担当しても同じ商品・サービスを提供できるようマニュアルを統一しています。つまり、マニュアルに沿って作れば、スキルや経験値は必要ないということ。店舗の責任者は、社員やアルバイトを効率良く教育できるため、人件費にかかるコストを大幅に抑えられるのです。また、どの店舗でも同じ味かつ同じサービスを得られることは、顧客にとっての安心感にもつながります。オペレーションの最適化は、人件費の削減だけでなく、安定した商品・サービスの提供をも可能にしているのです。

2.では、美容医療の分野においても「チェーンストア」は良いことといえるの?

マクドナルドが、チェーンストアの強みを活かした経営を行っていることは説明した通りです。仕入れや人材育成、売り上げ管理などの機能を本社(本部)に集約させることで、効率良く売り上げやブランド力を高められるのでしょう。

では、果たして美容医療の分野でも同じことが言えるのでしょうか。その答えは、イエスともノーとも言いにくいのが正直なところです。

実際、美容医療においても、チェーンストアの強みを活かした教育体制が整えられており、未経験の医師でも十分にスキルを習得することが可能となっています。具体的には、多くの大手美容クリニックが、医師同士でコミュニケーションを取れるようなシステムを保有診療科目の異なる病院・クリニックから転科した場合でもすぐに施術を行えるよう、情報共有したり疑問点を解消したりできるサポート体制を充実させています。このようにスキルを習得しやすいのは、大手美容クリニックのメリットではありますが、裏を返せば、大手美容クリニックに経験値の乏しい医師が多いということ。事実、大手美容クリニックへ転科する医師のほとんどは、業界未経験者とも言われています。名医と呼ばれる医師がいたとしても、基本的には少数である可能性が高く、探しにくいという側面があるでしょう。

また、大手には多くの医師が在籍しているからこそ、トラブルが起きた際には会社が保証してくれるという安心感はある一方で「所属医師の誰が自分の担当になるか分からない」というデメリットも。名医の施術を受けたい場合でも、SNSなどの情報やPRの巧みさなどが目立つ傾向で、医師を実力でしっかりと選べる可能性は低く、仮にそのような医師に出会えたとしても、いつの間にか退職・独立していた・ほかの店舗に異動していたというケースはざらにあります。そういった意味で、大手は医師との関係を築きにくいのが弱みと言えるでしょう。

3.中小規模の美容クリニックのメリット・デメリット

では、一方で中小規模の美容クリニックを選ぶとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

■中小クリニックの基準は?

メリット・デメリットを比較する前に、まずは「中小クリニック」の基準についてお伝えしましょう。実は、美容クリニックにおいて、そもそも「中小」であることを示す明確な基準はありません。中小と言われるクリニックの中には、知名度が高くても医院数が少ないところから、あまり認知されていなくても複数店舗を展開しているクリニックまでさまざま。中には、月商が高いにもかかわらず、複数院展開せず個人医院として経営を続けている法人もあり、定義づけることが難しいのです。

なお、2017年時点で、大小合わせて美容クリニックの数は約3700件にものぼるとされています。CMなどで目にする機会が多い大手の看板につい目を向けてしまいがちですが、町の至るところに中小を含む美容クリニックは点在しているのです。

  • 美容皮膚科を併設する地元の皮膚科(保険メイン)
  • 大手出身の院長が開設した個人医院
  • 大手出身の院長が理事長となった、全国展開する中小法人院(2院~10院未満展開くらい)
  • 美容皮膚科・形成外科などで経験を積み重ねた理事長がエリア特化型(ドミナント)の複数院法人

など、ジャンルは様々ですが、「大手」というには規模が小さい医院も多いのが美容医療業界の特徴と言えます。
なかでも「大手出身」の院長の場合大手時代に指名を取ることで「強み」としていた施術に依存したり、「◎◎専門」といった形で専門性をもとに独立するケースも多いのが特徴と言えます。

■中小規模の美容クリニックに通うメリット

中小規模の(とくに地元密着型の)美容クリニックの良いところは、いつでも同じ医師が担当してくれるところ。
馴染みの飲食店や美容院と同じようにコミュニケーションが取りやすく、前回の施術内容を踏まえて適切な施術を提案してもらえます。医師の性格にもよりますが、時間をかけて丁寧に診察を行ってくれることが多く、患者さまとの距離も近いことから信頼関係も築きやすいでしょう。

また、意外に思うかもしれませんが、最新治療が受けやすいのも個人医院の魅力です。大手では新しい治療を導入するにあたり、スタッフへの周知や教育をマニュアル化する必要がありますが、個人医院では医師が自分の判断で最新治療を導入できます。
そのため、美容のトレンドに敏感な方は、個人医院のほうが向いているかもしれません。

一方で、出始めの製材など、エビデンスの乏しいものをいきなり臨床で使用する医師が多いのも個人院の傾向。安全性などをどの程度確認したのか、ほかの国での危険性はなくとも、日本国内での危険性はわかっていないだけであるかもしれない。といったリスクについての感度は持っておいた方がいいといえます。

■中小規模の美容クリニックに通うデメリット

一方、医師と密な関係を築くからこそ、相性や方針が合わなければ通院しにくくなるのが個人医院のデメリット。最新治療を積極的に取り入れる個人医院もたしかにありますが、中には昔からのやり方を変えない医師もいます。
また、症例数も大手には及ばないため、トラブルが起きたときの対応に不慣れなケースも
基本的に中小規模の美容クリニックはアットホームで通いやすい雰囲気ではありますが、一度通ってみて合わないと感じたときは通い続けることが困難です。その場合には、別のクリニックを探す手間が発生する可能性が出てくるでしょう。

4.「大手出身の個人医院」と「大学病院などアカデミー系出身の個人医院」の違いは?

最近では、若手医師による美容クリニックの開業が相次いでいます。医師との信頼関係を築きやすいのが中小規模の美容クリニックに通院するメリットの1つではありますが、注意しておきたいポイントも。それは、個人医院を開業した医師がどういった種類の病院・クリニックの出身か。また、どのような理由で開業したか。ということです。

例えば、大手出身の医師の場合では、一部の手技しか習得していないケースがあります。技術が流出することを大手美容クリニックが懸念しているためです。
実際に、大手美容クリニックでは、若手医師に一部の専門性のみをフォーカスして研修を行い、セールスポイントにさせている事例が多く見られます。こういった背景を知らずに、他業界から参入した医師は、大手美容クリニックで磨いたスキルのみで個人医院を開業。開業後はあまり経験がない施術であっても、自分の責任の中で臨床経験の乏しい施術についても行うケースがあります。その美容クリニックを選んだ患者さまは、場合によっては十分な施術を受けられない可能性があるのです。

また、利益重視になりやすいのも大手出身の医師が開業する美容クリニックの特徴。というのも、大手はCMやSNSなどを使って大量に集客し、若手医師に施術させることで収益を上げやすくしています。こういった環境の中で経験を積んだ医師は、個人医院を開業したあともビジネス観点での診療体制が抜けず、施術の値段を原価に対して高く設定する傾向にあるのです。
むしろ「高く設定した金額に対し価値を創る」「価値をつくることで施術の対価をもらう」といった基本的なブランド理論に則るケースも多く、それが一概に悪いというわけではありませんが、傾向としての派閥があることは覚えておきましょう。

一方、大学病院などアカデミー系出身の個人医院は、セールスプロモーションに疎いのがデメリット。最新の薬剤や機器の導入に弱く、魅力的なプラン・メニューに欠けることがあります。技術力は高くても、トレンドを捉えたサービスの提供に弱いため、新しい治療を希望される方には向かない可能性が高いでしょう。また、料金形態にも「初診料」などがあるケースが多く、「カウンセリング無料」で施術までのハードルを下げることができる大手出身の医師派閥とは、「診察・診療行為」に対する価値観がやや違うのも見てとれます。

ただし、こちらでご紹介した個人医院の特徴は、あくまでも一例です。とくに大手出身の医師の場合は、在籍していた美容クリニックのスタイルが合わずに開業しているケースもあります。その場合は、個人医院の良さが活かされている可能性が高く、通いやすいと感じる方が多いはず。1つの傾向として医師の出身を知っておくことは大切ですが、実際に通院先を検討するうえでは、公式ホームページやSNS、口コミサイトなどでしっかりと開院後の最新の情報を収集することも忘れずに行う必要があります

まとめ

飲食チェーンと同様、充実した研修制度やサポート体制などで、どの医師が担当しても画一的な施術が受けられるのは大手美容クリニックを選ぶメリットです。一方、医師との距離が近く、コミュニケーションを取りやすいことから、長く通院しやすいのが個人医院の魅力

「結局どちらを選べば良いの?」と思うかもしれませんが、考え方は至ってシンプルです。飲食店探しで“行き届いたサービスを求めるときは高級志向のお店”を、“早さや安さを求めるときはチェーンストア”を選ぶように、美容医療も使い分けることがポイントだからです。もちろん「いつも同じ医師や看護師に対応してほしい」「待ち時間や個別の配慮もしてほしい」「医師を選んで、専門性のある施術をしてほしい」という方には個人医院が向いていますが、治療に差が出ない治療や、明確に指名したい医師が決まっている場合は大手クリニック、といった形で使い分けをする人もいます。
どちらにもメリット・デメリットがあることを理解しておくことが大切。そのうえで自分に向いているかどうかをしっかりと見極め、一生付き合えるクリニックを見つけていけるのがベストと言えるでしょう。

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