あなたの“理想顔”はAIシュミレーターが導く?美容医療におけるAI活用の今と未来

あなたの“理想顔”はAIシュミレーターが導く?美容医療におけるAI活用の今と未来

AIが一般社会に浸透する中、美容医療の分野でもその波は確実に広がりを見せています。

今まで医師の経験に頼っていた診断や治療も、今後は「見える化」された医療へと進化し、より客観的かつパーソナライズされたアプローチが可能に。

さらに、治療の焦点は「現在」から「未来」へと変化し始めています。

この記事では、AIによる美容医療への影響や、海外の最新実用化事例について解説。また、今後導入が期待されるAI技術について考察していきます。

AIが変える美容医療—「顔分析×オーダーメイド治療」の時代

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■ 美容医療にAIが必要とされる背景と現状

これまで美容医療は、カウンセリングや医師の経験に基づいた「感覚的な判断」が重要視されてきました。

もちろん、豊富な症例と、熟練した医師の技術が織りなす美容的アプローチには、一定の信頼性があることは間違いではありません。

しかし、患者側の「治療を受ければ理想の顔になれる」といった期待感が高いほど、効果や術後の仕上がりが思いどおりでなかったときの不満は大きく、事前の口頭説明だけでは不安感も拭えないなど、クリニックと患者の間で課題があったことも事実です。

そうした中で、AIを活用して経験ベースだった美容医療を見える化し、より個人に合った治療を提案できる技術が登場。

水分量、弾力、厚み、凹凸、メラニン量、ヘモグロビン量といったデータをAIや3Dモデリングで解析し、一人ひとりに合わせた治療プランを導き出すことが可能になってきました。

美容分野におけるAI技術の導入は、クリニック側にとっても、術後の仕上がりイメージを共有できること、治療方針に納得感を持ってもらうことで、満足度の向上や予期せぬトラブルの防止にもつながります。

AIは「患者の好み」や「皮膚の厚み」を完全に再現するのは難しいという課題があるため、今後も医師たちの知見は欠かせないものの、AI技術の精度向上に伴い、美容医療業界の在り方が変わっていくことは明らかです。

■「分析」から「予測」へ。美容業界のAI化

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出典:crisalix

AIの活用例として、代表的なのが肌画像診断装置「VISIA(ビジア)」。

VISIAは高性能カメラとAI技術を用いて、シミ、シワ、毛穴、赤み、ニキビの原因、肌年齢などを数値化し、“現在の肌状態”を客観的に診断するツールです。

VISIAの登場により、精密な顔分析とデータに基づいた治療プランの提案が可能になり、美容業界に大きな変化をもたらしたことは記憶にも新しいでしょう。

一方、近年では、AIによる治療結果の“予測”にも注目が集まっています。

3Dシミュレーターの「Vectra(ベクトラ)」や「Crisalix(クリサリックス)」は、写真を解析してビフォーアフターを診断。より高度な分析のもと、単なる施術前後の比較ではないリアルな自分の姿で確かめることができます。

これにより、個人の特性に合わせたより詳細な治療プランを立案できるだけでなく、術後の経過をリアルタイムでモニタリングすることで、さらなる治療の可能性を広げることが可能に。

例えば、医師による今ある症状の治療に加えて、AIが未来の変化を予測し、組み合わせ治療を提案。

あるいは、AIが肌の画像を読み取り、多くの治療やスキンケア製品の中から自分に合ったものを最適化するなど、患者側の体験も大きく変わることが推測できます。

“対処療法”や“可能性の予防”の観点で取り入れられる美容医療ですが、今後は「分析」×「予測」を掛け合わせたオーダーメイド治療が一般化することで、

放置すればほぼ確実に起こりうるであろう将来のリスクの「予防治療」として受け入れられるだけでなく、ソーシャルメディアに惑わされない「自分らしい美しさ」を目指せるようになることも期待できます。

進化する“顔診断AI”とオーダーメイド美容医療の融合

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出典:twinit

■海外の美容分野でのAI実用化事例

AI技術が急速に進歩する海外の事例も見ていきましょう。

例えば韓国では、美容皮膚科や美容整形外科で、積極的にAI顔診断ツールが導入されています。

BeconやChowisなどさまざまな企業から、シミ・毛穴・キメなどをAI分析できる医療機器が続々登場しているほか、技術をモバイルデバイスに落とし込んだ製品が一般ユーザーにも普及するなど、AI肌診断が定着しています。

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出典:twinit

また、スマホから簡単に老化や整形、メイクアップ後のシミュレーションができるシステム「Twinit」も開発されるなど、「予測」ができるツールの普及に向けても動き出しています。

欧米では、上述したAIを活用したようにバーチャルシミュレーションが進化。

アメリカの「Vectra」、スイスの「Crisalix」といった3Dシミュレーターを活用し、二重整形や脂肪吸引などの美容整形のビフォーアフター解析や、ヒアルロン酸、ボトックスなどフィラー治療の適切な注入位置を予測するなど、治療後の未来を先取りできる技術が発展しています。

<美容医療に実用化されている代表的なAI技術>

ツールやシステムの名称 特徴
BeconAIスキャナー(Becon) 片手サイズのAIスキャナーで、11 種類の肌状態、10種類の頭皮状態、パーソナルカラーを手軽に分析。主に美容皮膚科や植毛クリニックなどで活用される。
mySkin F.A.I.N/DermoPicoなど(Chowis) ChowisはAIを活用した肌と髪の診断システム製品を展開。用途に合わせて選べるさまざまな業務用機器と、家庭用機器が用意されている。
Twinit (Entre Reality) スマホの画像から1分以内に3Dデジタルシミュレーションを作成。360度の立体分析に基づくAI顔分析を得意としており、コスメブランドや美容医療SaaSから大注目のシステム。
Vectra(Canfield Scientific) 仮想シミュレーションで手術の前後を比較できるシステム。CGでリアルに再現できることが特徴。美容整形やフィラー治療など幅広く用いられる。
Crisalix 美容整形の前後をオンライン上でシミュレーションするシステム。スマホで撮影した画像をアップロードするだけという手軽さが魅力。

■遺伝子的予測も…期待される老化シミュレーションの展望

今後は、VISIAに搭載されている老化シミュレーションや、SNSでも話題の顔年齢テストのように、5年後・10年後の老化パターンを予測するAI技術のさらなる進化が期待されます。

近年では、顔年齢から生物学的年齢を推定し、がんなどの疾患リスクを予測する研究も発表されており、美容の枠を超えた医療分野でも注目を集めているほど。

従来の老化シミュレーションはあくまでもデータに基づく予測でしたが、今後は遺伝的予測や、個人の生活習慣まで加味した、確率的な老化予測ができるのではないかといわれています。

実際に、2025年1月にはロレアルグループと韓国のバイオテクノロジー企業NanoEnTekが共同開発した、消費者向けの肌解析デバイス「Cell BioPrint」 が発表されました。

このデバイスは、肌のタンパク質と顔写真からその場で老化を予想し、老化を予防するために必要な成分を診断、適切なスキンケアを提案するというもの。

このように、AIと遺伝子データを組み合わせて、リアルタイムな老化予測が実用化すれば、未来の自分からのメッセージを受け取ることができ、症状が出る前に、シミやたるみなどの老化リスクを食い止められる可能性が高いのです。

■美容クリニックに導入される可能性がある技術とは?

AIイメージ あなたの“理想顔”はAIシュミレーターが導く?美容医療におけるAI活用の今と未来|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)日本でも美容分野におけるAIの導入は、すでにチャットボットでの質疑応答など、患者や医療従事者を支援するシステムが広まりつつあります。

しかし、実際の診療や治療といった“人に直接関わる分野”では、まだ活用の範囲が限られているのが現状です。

しかし、今後一人ひとりに最適化された治療の実現や、業務の効率化が一層進むと考えたとき、次のようなシステムが現実のものになるのではないかと考えます。

AI肌診断+オンラインカウンセリングを組み合わせた遠隔診断

従来の肌診断機の多くは、実際にクリニックまで足を運び、顔を機械に入れるプロセスが必要でした。

しかし、美容医療が初めての方や、忙しい方にとって、心理的ハードルが高いという側面もあったでしょう。

もし、スマホで詳細な肌診断を行い、医師が結果を確認した後にオンライン上で治療方針を決めるというシステムが構築できれば、より気軽に診察を受けられ、クリニック側も人的資源を確保しやすくなります。

バーチャルシミュレーションで施術後の自分をリアルに体験

現時点でのシミュレーションシステムは、静止画で確認するものが主流です。

それが仮想現実(VR)で、立体的かつ動的なシミュレーションが可能になれば、よりリアルなビフォーアフターを治療前に把握できます。

カウンセリング時のイメージの相違をなくせるため、患者は納得して治療を選択できるだけでなく、美容医療への信頼度、満足度の向上にもつながるでしょう。

まとめ

AIの進化により、美容医療は「現在の悩み」だけでなく、「未来の変化」を見据えた治療が可能になりつつあります。

海外ではすでに高度な技術が実用化されており、日本の美容分野においても、その動きは見逃せません。

一人ひとりの特性に合わせたオーダーメイドな治療や、遺伝子情報を活用した老化シミュレーションの実現も目前。

理想の肌や顔を目指す上で、もう悩まなくて良い時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。

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