
オージーカーブやEラインは、美容医療や審美歯科の分野で語られる“横顔美人”の条件。
顔を正面・横・斜め、どの方向から見ても美しくなるには、ちょっとしたラインや角度などの繊細な評価が大きなポイントになります。
この記事では、オージーカーブやEラインなどの横顔美の定義を解説するとともに、美容医療における横顔治療を比較。
また、「横顔事故」に陥りやすい落とし穴についてもお届けします。
INDEX
「オージーカーブ」「Eライン」……横顔美はどう定義されてきた?
まずは、解剖学・審美学から見た横顔美の定義を見ていきましょう。
■オージーカーブの定義
「オージーカーブ」とは、建築やデザインの世界でも美の象徴とされる“なめらかなS字カーブ”を指す言葉です。
顔においては、こめかみから頬にかけての自然で立体的な曲線を指し、このラインが整っていると若々しく上品な印象を与えるとされています。
オージーカーブは年齢を重ねるごとに、皮膚のたるみや脂肪の減少、骨の萎縮などが起因し、形が崩れて曲線がまっすぐになっていくことが特徴です。
■Eラインの定義
「Eライン」とは、“エステティックライン”の略で、美しい横顔を測る古典的な指標の1つです。
鼻先と顎の先端(オトガイ)を結んだ直線のことで、このラインよりも上下の唇が少し内側に収まっていることが理想的とされます。
この概念は1954年、アメリカの歯科医ロバート・リケッツによって提唱されました。
中でも日本人は、唇がやや厚めで口元が前に出やすい傾向が見られるため、Eラインの理想からは外れるケースも少なくありません。
Eラインは単なる審美基準ではなく、咬み合わせや口腔機能にも関連していることが分かっており、歯の位置や骨格のバランス、口周りの筋力を含めた治療が求められることもあります。
■そのほかの横顔美の定義
横顔美を定義づける要素はオージーカーブとEラインだけではありません。
以下のような角度や比率も、審美性を判断する際の重要な要素とされています。
鼻唇角
「鼻唇角」とは、鼻先~鼻の付け根を結んだ線(鼻下線)と、鼻の付け根~上唇を結んだ線(上唇線)が交わる角度を指します。
アメリカの歯科医マクナマラ教授によって、バランスの取れた美しい横顔には、この角度が90~110°であることが理想的だと提唱されました。
Zアングル
「Zアングル」とは、下唇~顎の先端を結ぶ線と、「フランクフルト平面」と呼ばれる頭部の基準線が交わる角度のこと。
アメリカの歯科医であるKlontz先生によって示されました。Zアングルの理想値は75°前後とされており、この範囲に収まると整った横顔とされます。
そのため出っ歯では小さく、反対咬合では大きくなることが予想できます。
上唇の傾斜角
眉間の骨~フランクフルト平面に対する垂直線を、解剖学的に「ナオジオンライン」と呼んでいます。その交点と上唇線を結んだ角度が「上唇の傾斜角」です。
日本人女性の平均値はおよそ18°前後とされており、口元の印象が変わるだけでなく、鼻の形にも影響しているといわれています。
横顔の黄金比
黄金比は、「1:1.618……」という古代から美の基準とされる比率で、横顔にも応用が可能です。
目じり・鼻の穴の中心・口角・オトガイ点から平行にラインを引いたとき、中顔面と下顔面、上顎高と下顎高がそれぞれ黄金比に近いほど、美しいと判断します。
骨格で見る?軟部組織で整える?美容医療の“境界線”
理想的な横顔バランスを整えるためには、「骨格」と「軟部組織」のどちらに原因があるのかを正しく見極めることが大切です。
ここでいう骨格とは、顎の出方や引っ込み、頬骨の張り出し、額の丸みなど、顔の骨そのものの形や位置関係を指します。
一方、軟部組織とは、その骨の上にある脂肪や皮膚、筋肉、唇の厚み、加齢によるたるみの影響などを含みます。
例えば口ゴボ(アデノイド顔貌)や受け口などの悩みには、顎の後退や咬み合わせの不適合、上顎や下顎の前突など「骨格」に原因があることも少なくありません。
この場合、歯科矯正や美容皮膚科でのアプローチは難しく、顎の骨自体を整えるための外科的手術が必要です。
一方で、骨格に大きな問題がないのであれば、唇の形状や厚み、顎まわりの脂肪の付き方など「軟部組織」へのアプローチで横顔の印象を大きく改善できることもあります。
この場合は、ヒアルロン酸注入や脂肪溶解注射、糸リフトなどの非外科的な治療が可能です。
どの施術で“横顔偏差値”が上がる?治療戦略マトリクス
今回、上述した横顔美人の定義をもとに、顎先・口元・鼻・頬・フェイスラインの5つの部位に分けてNERO独自の治療パターンを作成しました。
非外科(切開なし) | 外科(切開あり) | |
足す | 顎 :ヒアルロン酸注入
口元:ヒアルロン酸注入/人中ボトックス 鼻 :ヒアルロン酸注入 頬:ヒアルロン酸注入/糸リフト フェイスライン :糸リフト/HIFU |
顎:プロテーゼ挿入/オトガイ形成術
口元 :上口唇切開術 鼻:プロテーゼ挿入/鼻中隔延長 頬 :脂肪注入 フェイスライン:-
|
削る | 顎:ボトックス
口元:- 鼻:脂肪溶解注射 頬:ボトックス/脂肪溶解注射 フェイスライン:ボトックス/脂肪溶解注射 |
顎:顎骨切り/脂肪吸引
口元:口唇縮小術 鼻:人中短縮術/鼻尖形成術/鼻骨骨切り術/小鼻縮小術 頬:頬骨セットバック/脂肪除去手術 フェイスライン:フェイスリフト/脂肪除去手術 |
こうして見ると、横顔を整える施術には「引き算」と「足し算」の両方が存在し、それぞれに外科的アプローチと非外科的アプローチがあることが分かります。
重要なのは、すべてを「引き締める」方向で考えるのではなく、足りない部分には適切なボリュームを与えるということです。
例えば、顎が小さく引っ込んで見える場合は、ヒアルロン酸やプロテーゼでボリュームを足すことで、Eラインやフェイスラインを整えられます。
また、頬の厚みがありすぎる場合には、ボトックスや脂肪溶解注射で厚みを調整し、自然な立体感を演出することが可能です。
さらに、それぞれの部位の施術を組み合わせることで、より横顔美の黄金バランスに近づけられるでしょう。
ただし、これはあくまでも一例で、アプローチする部位はさらに細かく分類されます。
例えば、頬の脂肪除去手術だけでも、部位によってメーラーファット除去・ジョールファット除去・バッカルファット除去・頬の脂肪吸引・顎下の脂肪吸引など細分化されているものも。
つまり、表面的な見た目で治療を選ぶのではなく、その奥にある原因を適切に診断した上で治療の選択を行うことが、横顔美人への近道といえるでしょう。
「横顔事故」を防ぐ!正面顔重視の施術で見落としがちな落とし穴
美容医療で施術を希望する際、涙袋や鼻先、唇の形など正面からの印象を良くする施術に注目しがち。
しかし、顔のパーツを単体で強調しすぎると、横顔のバランスが崩れ、不自然な印象になってしまうことがあります。
いわゆる「横顔事故」と呼ばれる失敗例がなぜ起きるのか、理由と対策について見ていきましょう。
■美容施術でなぜ横顔が破綻するのか?
美容施術後に横顔に不自然な凸凹が目立つといったトラブルは、よくある横顔事故の一例です。
とくに目・鼻先・唇など、見た目の印象を大きく左右する部位では、注入の位置や量を誤ると不自然さが際立ってしまうことがあります。
非外科的、外科的に関わらず、顔のパーツを変えるというのは実際には非常に繊細な施術です。
注入箇所の選定ミス、過剰な挿入または除去、さらには適切な技術が伴わないまま施術が行われることで、思わぬ結果につながることも。
こうしたトラブルの背景には、「横顔から見た美しさ」の評価が十分に行われていないという根本的な問題もあります。
そのため、施術前には正面だけでなく、横顔のバランスや立体感を意識したシミュレーションを行うことが大切です。
■カウンセリングでチェックすべきポイント
横顔事故を未然に防ぐために、施術前のカウンセリングではしっかり施術後の結果まで確認しましょう。
とくに確認すべきポイントは以下のとおりです。
<横顔美人になるための3つのポイント>
- Eライン・オージーカーブなど、横顔美の基準を意識する
- 隣接するパーツとの高低差に配慮する
- フェイスラインとの整合性を確認する
美人顔の黄金比に近づけることは、もちろん間違いではありません。
しかし、単に理想的な顔を目指すのではなく、自分の顔立ちや骨格との調和をとることが何より重要。
少しの違いでも、全体の印象を大きく左右してしまいます。
パーツごとに施術を行う場合でも、「正面も横顔も美しく見えるバランス」を目指すことで、納得のいく仕上がりにつながるでしょう。
まとめ
オージーカーブやEラインをはじめとした横顔美の指標は、美容医療や審美歯科における重要な評価基準です。
しかし、それらは単なる数値ではなく、微妙な角度や比率が、理想的な横顔を構成しています。
横顔を整える美容医療は、「骨格」と「軟部組織」のどちらに原因があるのかを見極めた上で、自分に合った施術を適切に組み合わせることがポイント。
“引き算”と“足し算”のバランスを意識して、横顔事故を未然に防ぎ、戦略的かつ効率的に美しくなりましょう。
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