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顔のたるみの原因は皮膚だけじゃない?骨格・血流・加齢変化から考える本当の理由とケア方法【医師監修】

SUPERVISOR

ゆりクリニック院長

矢吹 有里 先生

日本専門医機構認定 整形外科専門医、日本抗加齢医学会専門医を取得。慶應義塾大学整形外科学教室に入室後、国立病院機構東京医療センターなどの総合病院に長年在籍し、東京都済生会中央病院整形外科医長を経て、骨折や外傷、股関節・膝・腰の痛みなど運動器疾患の治療に携わる。2017年に「ゆりクリニック」を開院後は、整形外科医としての知見を基盤に、骨密度測定や骨粗しょう症予防への取り組みを通じて、独自の「骨美容®」という視点からエイジングケアを提供。女性が美しく健康に年齢を重ねられる医療の普及に努めている。

顔のたるみの原因は皮膚だけじゃない?骨格・血流・加齢変化から考える本当の理由とケア方法【医師監修】

顔のたるみとは、皮膚だけでなく骨・脂肪・筋肉・靱帯など、顔を支える複数の組織が年齢とともに変化することで目立ちやすくなる現象です。本記事では、たるみの原因や日常でできるケア、美容医療の選択肢を紹介します。

「40歳を過ぎてからフェイスラインがぼやけてきた」「美容液やマッサージを続けているのに、ほうれい線が気になる」。こうした変化を感じると、肌のハリ不足だけが原因だと思いがちです。

しかし、顔の内側では、脂肪や筋肉、靱帯、土台となる骨にも変化が起きています。たるみの原因を考えるには、皮膚の表面だけでなく、顔を支える組織にも目を向けることが大切です。

顔のたるみが起こる仕組みと日常でできるケア方法について、「ゆりクリニック」院長・矢吹有里先生の監修のもと解説します。

ゆりクリニック|女性のための整形外科

顔のたるみの原因は皮膚だけではない

顔のたるみを正しく理解するには、表面の皮膚だけでなく、その内側にある組織にも目を向ける必要があります。まずは、顔を支える構造と、40代・50代でたるみが目立ちやすくなる背景を見ていきましょう。

顔のたるみは複数の組織が連動して起こる

顔のたるみの原因となる組織の解説図

顔は、骨を土台にして筋肉や脂肪が重なり、それらを靱帯が支え、表面を皮膚が覆う立体構造です。加齢による顔の変化も、各層で進みます。

例えば、皮膚では加齢や紫外線などの影響によって、ハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンが変化します。

一方、顔の脂肪は1つのかたまりではなく、いくつかの部位に分かれています(ファットコンパートメント)。年齢とともに脂肪の量や位置が変化し、顔の印象にも影響してくるのです。(*1)さらに、土台となる顔面骨格にも加齢による変化が起こることが分かっています。(*2)

ここで重要なのは、どれか1つだけが「顔のたるみの原因」になるわけではないということです。

皮膚の弾力が低下する、脂肪の位置やボリュームが変わる、支える組織や骨格が変化するなど、複数の要因が重なることで、フェイスラインのもたつきや頬の下垂、ほうれい線などが目立ちやすくなります。

つまり、スキンケアは肌の状態を整えるうえで重要ですが、それだけですべてのたるみに対応できるわけではないのです。

40代・50代でたるみが目立ちやすくなる理由

40代・50代で現れる変化について解説する図

40代・50代は、それまで少しずつ進んできた変化が重なり、顔のたるみを自覚しやすくなる年代です。

皮膚ではコラーゲンなどの減少によってハリや弾力が低下しやすくなります。筋肉や脂肪、顔面骨格にも年齢に伴う変化が起こるため、若い頃と同じように顔全体を支えることが難しくなっていくのです。

とくに女性は、40代後半~50代前後に更年期を迎え、エストロゲンの分泌量が大きく変化します。エストロゲンは皮膚や骨の健康にも関わっているため、ホルモン環境の変化も、この年代によって肌や顔立ちの変化を感じやすくなる背景の1つと考えられます。

そのため、「40歳になったら急にたるむ」というわけではありません。複数の加齢変化が積み重なり、40代以降になるとフェイスラインや目元、口元の変化として気づきやすくなると考えると良いでしょう。

▼40代の顔のたるみに関する記事を読む

▼50代の顔のたるみに関する記事を読む

実は見落とされやすい、顔面骨格の加齢変化

顔のたるみを考えるうえで見落としがちなのが、土台となる「骨」の変化です。顔面骨格にも加齢による変化が起こり、その上にある脂肪や皮膚などの見え方にも影響することがあります。

顔の骨は年齢とともに少しずつ変化する

顔の骨は、成人後もまったく変化しないわけではありません。加齢とともに、部位によって少しずつ形やボリュームが変化します。

例えば、目の周りの骨のくぼみである眼窩では、その縁をつくる骨の一部が後ろに下がり、くぼみが広がることがあります。また、頬や鼻の横を支える上あごの骨、フェイスラインに関わる下あごの骨にも、部位ごとの変化が起こることが報告されています。(*2)

こうした骨格変化は、ほうれい線や頬のくぼみ、フェイスラインのもたつきが目立つ一因になることがあるのです。

ここで知っておきたいのは、「年齢とともに皮膚だけが余る」と考えるのではなく、その皮膚や脂肪を支える土台そのものも変化するということです。

骨格が変わると何故たるみやほうれい線が深く見えるのか

顔面骨格の変化は、その上に重なる脂肪や筋肉、靱帯、皮膚などの位置関係や支え方にも影響します。

例えば、加齢によって上顎骨の前方への張り出しが減少すると、頬や鼻の横にある軟部組織を支える土台も変化します。眼窩周囲の骨が変化すれば目元の脂肪や皮膚の見え方に影響し、下顎骨周辺の変化はフェイスラインの輪郭にも関わるのです。

イメージとしては、顔を「骨格という土台の上に、脂肪や筋肉、皮膚が重なった立体構造」として考えると分かりやすいでしょう。土台の形やボリュームが変われば、その上に乗っている組織の位置関係や見え方も変化します。

その結果、頬の位置が低く見えたり、ほうれい線やフェイスラインのもたつきが目立ったりする一因に。マリオネットラインなどの口元の変化にも、骨格を含む複数の加齢変化が関わります。

ただし、骨格の変化だけで顔のたるみが生じるわけではありません。皮膚の弾力低下や脂肪の変化、靱帯などの加齢変化も重なって、現在の顔立ちとして現れます。

だからこそ、たるみを考えるときは「どこが下がったか」だけでなく、「何が支えにくくなっているのか」という視点を持つと、顔の老化をより立体的に理解できるでしょう。

骨だけではない!血流・筋肉・生活習慣もたるみに関係する

顔のたるみを考えるうえでは、骨格だけでなく、肌や筋肉に酸素や栄養を届ける血流の状態や、日々の生活習慣にも目を向けることが大切です。毎日の生活で意識したいポイントを整理します。

血流低下は肌の代謝や筋肉の働きに関わることも

血液には、組織へ酸素や栄養を届ける役割があります。加齢や運動不足などによって血流の状態が変化すると、肌や筋肉への酸素や栄養の供給にも影響する可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、「血流が悪い=顔がたるむ」「血流を良くすればたるみが解消できる」と単純に結びつけないことです。顔のたるみには、これまで解説してきた骨格や脂肪、靱帯、皮膚などの構造的な加齢変化も関わっています。

血流を意識することは、たるみそのものを直接ケアするというより、肌や体の健康を支える生活習慣の1つとして捉えましょう。

骨・筋肉・肌の健康を支える生活習慣

骨・筋肉・肌の健康を支える生活習慣について解説する図

顔のたるみが気になり始めたら、特別なケアだけに目を向けるのではなく、運動・栄養・睡眠など基本的な生活習慣を整えることも大切です。

運動は筋肉だけでなく、骨を含めた体の健康維持にも関わります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して今より少しでも多く体を動かすことや、筋力トレーニングを週2~3日行うことなどを推奨しています。(*3)

食事では、十分なたんぱく質に加え、カルシウムやビタミンDなどを不足させないことも意識しましょう。紫外線対策や禁煙、十分な睡眠も肌の健康を守る基本です。

サプリメントは不足する栄養を補う選択肢の1つであり、それだけで顔面骨格の加齢変化を防げるものではありません。

エイジングケアというと「顔に何をするか」に目が向きがちですが、顔も体の一部です。運動・食事・睡眠といった基本的な生活習慣を整えることが、骨や筋肉、肌を健やかに保つことにつながります。

顔のたるみ対策は原因に合わせて選ぶことが重要

顔のたるみ対策で重要なのは、ケアの数を増やすことではなく、自分の変化に何が関係しているのかを考えることです。セルフケアにはできることと、難しいことがあります。

セルフケアでできること・美容医療で補えること

原因に合わせたたるみケアを取り入れるための画像

セルフケアの役割は、加齢変化そのものを元に戻すことではなく、肌や体の健康を保つための環境を整えることです。

しかし、すでに起きた顔面骨格の形態変化や脂肪の位置・ボリュームの変化などを、化粧品やマッサージだけで元に戻すことは困難です。

美容医療では、皮膚、脂肪、筋肉など目的とする組織に応じて異なる方法が用いられます。ただし、「たるみにはこの施術」と一律に決めるものではありません。同じフェイスラインの悩みでも、皮膚のゆるみが中心の人と脂肪量が影響している人では、選択肢が異なるためです。

美容医療を検討する場合も、「自分のたるみには何が大きく関係しているのか」を医師と整理することが、施術選びの判断軸になります。

マッサージは方法を誤ると逆効果になることもある

マッサージで顔のたるみを防ぐために意識したいことを示した図

顔のたるみが気になると、「マッサージで引き上げたい」と考える方もいるでしょう。しかし、強い力でこすったり、皮膚を繰り返し引っ張ったり、無理に引き伸ばしたりするケアはおすすめできません。

皮膚は摩擦などの外的刺激によって負担を受けるため、マッサージをする場合は力任せに行わないことが大切です。長時間続けたり、「痛いほど効いている」と考えて強い圧をかけたりすることも避けましょう。

また、マッサージによって骨格や脂肪の加齢変化そのものを元に戻せるわけではありません。一時的なリフレッシュや心地良さを目的として取り入れることはできますが、たるみそのものを改善する方法として過度に期待しないことが大切です。

セルフケアで意識したいのは、「何かを足す」ことだけではなく、肌への負担になる習慣を減らすことです。顔のたるみが気になるときほど、強くこする・引っ張るといったケアを続けていないか、一度見直してみましょう。

▼顔のたるみ対策のセルフケアと美容医療の境界線について詳しく読む

Q&A|顔のたるみの原因や対策に関するよくある質問

顔のたるみの原因やセルフケアについて、よくある疑問をQ&A形式で解説します。美容医療を検討する前に、基本的な考え方を確認しておきましょう。

Q.顔のたるみは40代から急に進む?

40代になって突然たるみ始めるわけではありません。皮膚のハリや脂肪の位置、骨格などの変化は少しずつ積み重なり、40代以降にたるみとして自覚しやすくなることがあります。変化の現れ方やスピードには個人差があります。

Q.顔のたるみは睡眠不足やストレスも関係する?

睡眠不足や慢性的なストレスは、血流や肌の代謝などに影響を与える可能性があります。ただし、これらが直接たるみを引き起こすとはいい切れません。十分な睡眠や適度な運動など、生活習慣を整えることもエイジングケアの土台となります。

Q.顔の運動(表情筋トレーニング)は効果ある?

表情筋を動かすことは、顔の筋肉を意識するきっかけになります。ただし、顔のたるみに対する効果は十分に確立されていません。表情を強く・繰り返しつくるトレーニングでは、表情ジワが気になることもあるため、無理のない範囲で取り入れることが大切です。

Q.サプリメントだけで骨格の変化を防げる?

サプリメントだけで、加齢による顔面骨格の変化を防げるとはいえません。あくまで不足しがちな栄養素を補う手段の1つと考え、食事や運動、睡眠など生活習慣全体を整えることを基本にしましょう。

Q.セルフケアだけで顔のたるみ対策が難しい場合はどうすれば良い?

セルフケアだけでは対応が難しい場合、美容医療も選択肢となります。施術によって適応やアプローチする組織が異なるため、まずは医師に相談し、顔のたるみの原因を見極めたうえで適切な方法を検討しましょう。

顔のたるみは「土台」を知ることがエイジングケアの第一歩

顔のたるみは、単に皮膚だけの変化で起こるものではありません。その下にある脂肪や筋肉、靱帯、さらに土台となる顔面骨格まで、複数の加齢変化が重なって現れます。

だからこそ、たるみ対策では「何を塗るか」「どの施術を受けるか」から考えるのではなく、まず自分の顔で何が変化しているのかを知ることが大切です。

セルフケアでは、肌や骨、筋肉の健康を支える生活習慣を整えることを意識しましょう。一方で、構造的な変化に対してはセルフケアだけでは対応が難しい場合もあります。

顔のたるみを「表面の問題」ではなく「顔全体の構造の変化」として捉えること。そうした視点を持つことで、自分に必要なケアを考えやすくなります。

矢吹先生
矢吹先生

顔のたるみというと、どうしても皮膚に目が向きがちですが、私たちの体を支える骨は、年齢とともに少しずつ変化していきます。顔も例外ではなく、顔面骨格の変化は、その上にある脂肪や皮膚などの見え方にも関わります。骨だけでなく、それを支える筋肉の状態も含めて考える必要があります。

大切なのは、たるみを表面だけの問題として捉えないことです。顔を支える骨や筋肉、日々の運動や栄養などにも目を向けながら、自分の体全体と向き合うことが、美しく健やかに年齢を重ねていくことにつながると考えています。

そして、40代以降でお顔のたるみを感じたら、ぜひ全身の骨密度も測ってみてください。更年期には骨密度が急激に減少しやすいため、お顔だけでなく、全身の骨も大切にしていただきたいと思います。

矢吹 有里先生に相談する

参考文献:
*1
Wan D, Amirlak B, Rohrich R, Davis K. The Clinical Importance of the Fat Compartments in Midfacial Aging.
Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open. 2013;1(9):e92.
*2
Mendelson B, Wong CH. Changes in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation.
Aesthetic Plastic Surgery. 2012;36(4):753–760.
*3
厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.
成人版「推奨事項」.

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