FAGAは“女性のAGA”とも呼ばれる女性型脱毛症のこと。女性ホルモンの減少や自律神経の乱れなど、女性の薄毛の原因はいくつかあります。年齢とともに、「髪全体のボリュームが減った気がする」「ブラッシングやシャワーでの抜け毛が増えた」と感じる女性は多いもの。今回は薄毛にお悩みの女性に向けて、治療法や治療薬、費用相場などFAGAの基礎知識を解説します。
INDEX
1.FAGA(女性型脱毛症)とは?男性の薄毛とは違う?
FAGAは女性型脱毛症のことで、女性のAGA(女性男性型脱毛症)とも呼ばれます。女性の薄毛にはさまざまな種類があるので、代表的なものを挙げて症状の違いを見てみましょう。
FAGA | 年齢とともに女性ホルモンが減り、男性ホルモンの影響を色濃く受けることで脱毛症状が現れる。 |
びまん性脱毛症 | “びまん”は“一面に広がる”という意味。部分的な脱毛症状が進む男性とは異なり、頭皮全体が薄くなるのが特徴。 |
円形脱毛症 | 前触れもなく突然髪が一気に抜けるのが特徴。1ヶ所だけ、同時に数ヶ所と人によって症状の出方が異なる。 |
分娩後脱毛症 | 妊娠中~産後にかけて発生するホルモンバランスの乱れにより、一時的に抜け毛が増える。 |
牽引(けんいん)性脱毛症 | 頭皮への物理的刺激が長い間続くことで、部分的な髪の後退・薄毛が発生。 |
<FAGAのチェックポイント>
- おでこや分け目の広がりが気になる
- 頭頂部の地肌が見えるようになった
- 髪全体のボリュームが減った
- 髪のハリやコシが減った
- シャワー時の抜け毛が増えた
- 起床後、枕に抜け毛が付いている
- フケやかゆみの症状がある
- 薄毛に悩む親族がいる
頭部全体の髪が薄くなっていくのがFAGAの特徴。年齢でいえば40~50代の女性に多いとされていますが、20代のような若年層に起こることもあります。
どちらも“全体的に髪が薄くなっていく”FAGAとびまん性脱毛症。その違いは、男性にも起こり得るという点です。FAGAは女性限定の症状である反面、びまん性脱毛症は男性にも発症の可能性があります。
また、FAGAは男性の薄毛症状とも異なります。FAGAとAGA(男性型脱毛症)の特徴を比べてみましょう。
FAGA(女性の薄毛) | ・頭頂部または全体の髪が均一に抜けていくことが多い。 ・全体的に髪が薄くなるものの、男性の薄毛のようにツルツル状態になることはあまりない。 |
AGA(男性の薄毛) | ・局所的な脱毛症状がほとんど。髪の生え際や頭頂部が薄くなりやすい。 ・側頭部や後頭部の髪は残りやすい。 ・重度の場合はツルツル状態になることもある。 |
FAGAとAGAの違いは、症状の出方と発症時期です。AGAはFAGAよりも早めに症状が現れる傾向にあり、30代以降にリスクが急激に増加。FAGAはまれに20代でも発症しますが、一般的には40代以降に多いとされています。
■FAGAの原因とされるのは?
- 女性ホルモンの減少
- 自律神経の乱れ
- 遺伝
- 栄養や睡眠不足
- ストレス
- 紫外線
- 過度なシャンプー
- 体質に合わないヘアケア製品の使用
FAGAの原因はいくつかありますが、生活習慣の見直しやヘアケア製品の使用については、自身の心がけで変えられる要素です。紫外線や過度なシャンプーなど、頭皮に強い刺激を与える行為も避けるようにしましょう。
2.FAGA│薄毛にお悩みの女性向け治療について
FAGAの治療はできるだけ早く始めることがポイント。初期段階のうちに対処すれば、お悩み解消の可能性が高まるとされています。ここではFAGAの治療についてご紹介しましょう。
■外用薬や内服薬による投薬治療
内服薬や外用薬を継続的に投与し、薄毛を予防。薬剤の種類は、ヘアサイクルを整えるもの、頭皮や髪の栄養を補うものなどいくつか種類があり、症状に合わせたものを使用します。初期段階のFAGAの一般的な治療法です。
■メソセラピー
薄毛症状の解消をサポートする成分を、頭皮に注射する治療法。頭皮に直接成分を届けるため、変化を実感しやすいとされています。投薬治療のオプションとして行うのが一般的です。
■植毛による治療
植毛による治療には、自毛植毛と人工植毛があります。安全性の観点から、近年では自毛植毛が主流です。治療では薄毛の症状が生じている部位に直接髪を植え付けます。植毛は、投薬治療やメソセラピーでは効果が得られない方にとって最終手段となる治療法。自毛植毛では、髪を作る組織ごと移植するので、髪は半永久的に生え変わります。
■生活習慣の見直し
FAGAの原因となる栄養不足やストレスなど、生活習慣の見直しも治療に欠かせません。医療機関やクリニックで加療したとしても、生活習慣が整っていないと十分な効果が得られないこともあります。栄養バランスの取れた食事、睡眠の質、ストレス解消など、日常生活で変えられそうな要素をチェックしてみましょう。
3.FAGAの主な治療薬をチェック
治療薬は外用薬と内服薬に分かれ、症状や進行状況に合わせて処方されます。ミノキシジルは男性の薄毛治療にも使われますが、女性に適応する場合は注意が必要です。
<使用を避けたほうが良いとされる女性>
- 未成年者
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- アレルギーのある方
女性用のミノキシジルは男性用と濃度が異なります。濃度が高いほど効果も高くなるわけではないので、適正濃度の薬剤を選ぶことが大切です。治療中の疾患がある方や血圧に不安のある方も、医師に相談してから使用するようにしましょう。
4.FAGAの治療費用の相場は?
外用薬 | 月々10,000~15,000円程度 |
内服薬 | 月々6,000〜15,000円程度 |
メソセラピー | 1回約15,000~100,000円 |
自毛植毛 | 安くても30万円から。100万円以上かかることもある。 |
FAGA治療の初期段階に用いられる内服薬の相場を見ると、月々6,000〜15,000円程度ですが、症状の進行具合によっては外用薬を併用、さらにメソセラピーも必要になるかもしれません。治療の最終手段である自毛植毛は、薄毛の範囲が広いほど費用が高くなります。
FAGAの治療費を抑えるポイントは、なるべく早期の段階で加療すること。治療薬が増えたり、複数の治療法を組み合わせたりすることで費用が増えていくので、早めの対処を心がけましょう。また、薄毛治療専門のクリニックを選ぶと費用を抑えられるケースもあります。事前に複数のクリニックを比較して検討することが大切です。
■薄毛治療(女性)は保険適用される?
FAGA治療は原則として保険適用外です。薄毛については見た目を良くするための美容として捉えられることが多いので、全額自己負担となります。しかし、疾患により薄毛症状が現れる場合や円形脱毛症など、一部の薄毛治療には保険が適用されることもあるでしょう。
5.女性の薄毛治療│FAGAは治らない?効果なし?その理由とは
FAGAは、適切な治療を施せば薄毛悩みの解消に役立ちますが、完全に治すのは難しいといわれています。「FAGA治療は効果なし」という意見もあるので、その理由をチェックしてみましょう。
- 治療法が自身の体質や症状に合っていない
- 効果が実感できないからと治療を中断した
- 治療法が薄毛の原因に合ったものではなかった
薄毛の進行具合とヘアサイクルは1人ひとり異なるので、体質や症状に合う治療法でないと十分な効果が得られません。治療期間については、一般的には約6ヶ月〜1年程度といわれています。「抜け毛が減った」「髪が増えた」と感じ始めるタイミングには個人差がありますが、効果が出る前の治療の中断は避けましょう。その他、「FAGAだと思ったが実は円形脱毛症だった」といったケースもあるので、薄毛の原因をきちんと把握してから治療を開始することが大切です。
まとめ
FAGAは「治った」と思って治療をやめたら再び進行するもの。原因や症状の見極めはもちろん、効果が実感できるまでに時間がかかることをふまえ、継続して治療を行うよう意識しましょう。治療法は、投薬治療やメソセラピー、植毛など複数の選択肢があります。自身の症状に合わせた治療がポイントなので、医師に相談して治療方針や使用する薬を決めることが大切です。
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