高周波(RF)機器の歴史と今後の予測

高周波(RF)機器の歴史と今後の予測

高周波(RF)機器を用いたたるみ治療は、今や美容医療のスタンダードですよね。美容感度が高い人はもちろん、痛みやダウンタイムも少ない手軽さから美容医療ビギナーにも選ばれやすい治療です。

今回は、たるみ治療で使用する高周波機器について長い歴史を振り返り、最新デバイスまでを網羅!

NERO編集部が選んだ高周波治療の進化を支え続けるドクターや、今後の課題と展望についても紹介します。最後までぜひチェックしてくださいね。

高周波治療20年の進化史—サーマクール登場から最新RFデバイスまで

美容医療における高周波治療の歴史は20年余り(2025年時点)。

たるみ治療に最初に用いられたとされる「サーマクール」から、最新RFデバイスまでをチェックしましょう。

◾️高周波(RF)治療の始まりと基礎技術

高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:Thermage社

高周波治療の始まりは、2002年にアメリカのThermage(サマージ)社が発表した初代「ThermacoolⓇ(サーマクール)TC」。

光やレーザーではなく、電磁波の一種である高周波(RF:Radio Frequency)を利用してたるみ・シワにアプローチするデバイスです。

「サーマクール」は登場するやいなや、低侵襲*のたるみ・シワ治療法として一躍話題となりました。

*低侵襲……体への負担が小さい治療法のこと

その後、「サーマクール」は痛みを軽減する冷却機能やバイブレーション機能、照射パワーなどの改良が重ねられてきました。

現在は、2019年にアメリカで発売された第4世代「サーマクールFLX」が日本の美容医療業界でもよく使われるようになってきています。

「サーマクール」の基礎技術は主に以下の2つです。

①肌を引き締めながらリフトアップして、たるみ・シワ・フェイスラインを改善

高周波(RF)エネルギーによる加熱で真皮層のコラーゲン線維や皮下組織の繊維隔壁が収縮し、たるみ・シワ・フェイスラインの即時的なリフトアップ効果が期待できます。

②コラーゲンのリモデリング(再構築)により、美しい肌へと導く

高周波(RF)の熱でダメージを受けたコラーゲン線維が修復されるプロセスで大量にコラーゲンが生成され、約6ヶ月間コラーゲン線維がリモデリングされ続けるといわれています。

◾️高周波機器の系譜—サーマクール・イントラジェン の違い

「サーマクール」と比較されることの多い「IntraGenTM(イントラジェン)」と、次世代のRFデバイスについて紹介します。

「サーマクール」と「イントラジェン」の比較

高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:(左)サーマクール:Thermage社
   (右)イントラジェン:Creative Skin MEDequip INC社

“次世代サーマクール”と称される「イントラジェン」。実は、第3世代「サーマクールCPT」の後発品で、韓国のJeisys(ジェイシス)社から2013年に発売されました。

<サーマクールの特徴>

  • ターゲット層:真皮中層~深層加熱
  • 1回の施術で即時的・長期的な引き締め効果が期待できる

<イントラジェンの特徴>

  • ターゲット層:真皮中層~深層、表層・中層へのアプローチ強化
  • 「サーマクール」にある冷却機能やバイブレーション機能をカットしてコストを大幅に削減したことで、「サーマクール」より施術費用が安価
  • 痛みを軽減する機能がない分、高周波の熱エネルギーを格子状に照射するGFR(Grid Fractional Radio frequency)という機能を搭載。
  • マルチパルス方式を採用し、数回に分けて照射することで表皮へのダメージを抑えながら十分に加熱することが可能。

「サーマクール」以降の技術革新と次世代RFデバイス

2019年に第4世代「サーマクールFLX」が発売されて以降、さまざまなRFデバイスが登場。そして近年、再び高周波治療が流行していることを過去記事でもお伝えしました。

▽高周波治療の基本や最新の高周波治療器を徹底比較した記事はこちら

高周波治療が再流行している理由は、特許技術の有効期限が切れて「サーマクール」の技術を応用できるようになったため。「サーマクール」と比較されることの多い4機種の特徴は以下のとおりです。

<Thermagen(サーマジェン)>
2019年登場。欧米人向けに開発された「サーマクール」をアジア人向けに改良したもの。電流や周波数を調整して、痛みや頬コケの軽減を図るよう工夫されています。日本の美容医療ドクターであるレーザーキングが率いるK.O.tech社により開発されたRFデバイス。

<VOLNEWMER(ボルニューマ)>
2022年韓国で発売。「サーマクール」と同じ6.78MHzという非常に高いRFエネルギーを照射し、真皮層や脂肪層までアプローチできます。冷却機能・バイブレーション機能を搭載し、痛みを軽減。専用カートリッジの種類が豊富で、目元・口元・首などの細かい部位にも照射可能。

<DENSITY(デンシティ)>
“韓国版サーマクール”とも呼ばれ、2023年秋ごろから話題に。「サーマクール」が皮膚深層にアプローチするのに対して、皮膚浅層・深層の両方にアプローチして多角的なたるみの改善が期待できるRFデバイス。

◾️医療とエステの境界線—RFデバイスが持つ「医療機器」としての進化

日本における医療用とエステ用のRFデバイスについて整理しておきましょう。

医療用とエステ用のRFデバイスの違い

美容クリニックだけでなく、エステサロンでもRFデバイスを用いた施術が行われていますよね。

一般的に、エステサロンには医師が在籍していないため、エステの施術で使用されるのは安全性に配慮した低出力のタイプで医療用ほどの照射深度はありません。

そのため、瞬間的な肌の引き締めや血流促進などの効果は見込めても、長期的なコラーゲンのリモデリングは期待できないのが通常です。

海外でのRF 規制と、日本における医療機関での適用範囲

長年、RFを含む電磁波の人体への影響についてはWHO(世界保健機関)が研究を続けていて、世界各国が注目してきました。

海外の事例では、2024年4月に中国で「RF規制法」が施行され、中国政府はRF照射機能が付いた美顔器を第3種の医療機器に指定。

その背景には、RFは体内を加熱するため出力レベルによってはまれに熱傷(やけど)が起こることもあり、健康被害を防ぐための施策と考えられます。

日本では、クリニックでの施術でもエステ用の低出力RFデバイスを使用している場合もあり、高周波治療の棲み分けは曖昧になりつつあります。

エステサロンでは得られない効果を求める場合は、クリニックで使用しているRFデバイスの種類や出力もチェックすると良いでしょう。

なぜ「バイポーラ」が選ばれるのか?—モノポーラ・バイポーラの進化と課題

ここでは、以前こちらの過去記事でもお伝えした、RFのアプローチ方法をおさらい!

▽高周波治療の基本や最新の高周波治療器を徹底比較した記事はこちら

その中でもバイポーラが選ばれる理由と、さらに高周波治療の進化と課題についても紹介します。

◾️モノポーラ とバイポーラ の違いと進化

高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

RFのアプローチ方法は、主に以下の3種類です。

もともとは電極が1つのモノポーラだけでしたが、照射するターゲットや期待できる効果などにより電極が2つのバイポーラや電極が3つ以上のマルチポーラも登場し、進化を遂げています。

モノポーラ

特徴:広く深い範囲を強力に加熱し、高い引き締め効果が期待できる。深部加熱が可能だが、痛みが強く熱傷リスクも。
ターゲット:真皮層~深層脂肪
機器:サーマクール・イントラジェン・サーマジェン・ボルニューマ

バイポーラ

特徴:モノポーラより狭く浅い範囲を加熱するため、安全性が向上。
ターゲット:真皮浅層~中層
機器:デンシティ(ただし、モノポーラもあり)

マルチポーラ

特徴:皮膚浅層と深層の両方を高密度に加熱。効率的に線維芽細胞を活性化し、コラーゲン生成を促進。
ターゲット:真皮層~浅層脂肪
機器:VENUS VIVA(フラクショナルRFビバ)のダイアモンドポーラ

◾️バイポーラが選ばれる理由とは?

近年、RFのアプローチ方法としてバイポーラが選ばれる理由を解説します。

①痛みが少ない

個人差はありますが、バイポーラによるRFエネルギーの照射は痛みが少ないことが特徴。施術中は肌がじんわりと温かくなる感覚。

②即時的な引き締め効果&ハリ感UPが期待できる

真皮浅層~中層にアプローチしてコラーゲンや繊維組織を収縮させるため、肌の即時的な引き締めが期待できます。同時に、コラーゲンの生成も促進して肌のハリ感をUP。

③表情筋への刺激が少ない

モノポーラにくらべて、バイポーラから照射されるRFエネルギーは皮膚の下にある表情筋への刺激が非常に少ないことが特徴。ただし、モノポーラほど皮膚深層には届かないという課題も。

④リフトアップ治療との相性が良い

バイポーラのRFデバイスの中には、ショッピングリフトや糸リフト(スレッドリフト)などと組み合わせることで、リフトアップ効果や美肌効果の維持が期待できるものも。

治療間隔は組み合わせる治療やドクターの見解によっても異なるため、詳細はクリニックでお尋ねください。

◾️高周波治療の進化を支えたドクター

NERO編集部が選んだ、国内の高周波治療の発展に寄与したドクターをご紹介します。

KO CLINIC & Lab院長:黄 聖琥(こう せいこ)先生

横浜市にある「KO CLINIC & Lab(コウ・クリニックアンドラボ)」院長の黄 聖琥先生といえば、肌悩みとたるみ・引き締めを同時に治療する「カスタマイズ治療TM」の第一人者

マイクロニードルRFやピコレーザーなど複数のデバイスを駆使して、患者一人ひとりに最適な治療を追求しています。

これまでに、高周波治療に関して多数の論文・著書を執筆し、学会のシンポジウムやセミナーなどでも精力的に発表を行ってきました。

2025年3月に開催されたドクターズミーティング「KO-LABO」の「RFを学ぶセミナー」にも登壇。

モノポーラRF×超音波で、皮下組織・真皮層へのアプローチを多層的に実現することや、レーザー→ニードルRFの順番と組み合わせにより、表皮~真皮へ段階的にアプローチすることなどを発表し、参加者に実践的な深い学びを提供しました。

▽黄 聖琥先生のインタビュー記事はこちら

天神竹井皮膚科美容皮膚科 院長:竹井 賢二郎(たけい けんじろう)先生

福岡市中央区天神にある「竹井皮膚科美容皮膚科」院長の竹井 賢二郎先生は、保険診療と自由診療のどちらの治療にも対応でき、レーザー指導専門医資格も持つドクター。

日本美容皮膚科学会の「Aesthetic Dermatology優秀論文賞」受賞歴もあり、セミナーでも多数発表しています。

RFデバイスの目元専用チップで人中短縮を行ったり、「ポテンツァ」のダイヤモンドチップで肌表層の引き締めを叶えたりすることも得意。

現在もたくさんの勉強会に参加し、皮膚科や美容皮膚科に関する正しい医療知識を世の中に発信しています。

▽竹井 賢二郎先生のインタビュー記事はこちら

高周波の未来—RF激戦区・パーソナライズ化がもたらす新時代

最後に、機器のトレンドから高周波治療の未来像を予測します。

◾️RF×針・RF×冷却・RF×超音波などの複合型デバイスのトレンド

高周波治療のトレンドになりつつある、RF複合型デバイス。特徴的なデバイスが次々に登場していて、世界中がRF激戦区になりつつあることがうかがえます。

マイクロニードルRF(フラクショナルRF)

肌の深部に極細針(マイクロニードル)を直接刺し、RFエネルギーを肌内部から照射する最新技術です。

<Sylfirm X(シルファームX)>

シルファーム 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:ViOL社

「シルファームX」は、韓国・ViOL(ヴィオール)社が開発したFDA(アメリカ食品医薬品局)認可済みのRFマイクロニードルデバイス

バイポーラで8種類のパルス波・連続波モードがあり、肌の状態に合わせたたるみ治療が可能です。

<PotenzaTM(ポテンツァ)>

ポテンツァ 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:Jeisys社

「ポテンツァ」は韓国・Jeisys(ジェイシス)社が開発したRFマイクロニードルデバイス

マイクロニードルは絶縁体コーティングされているため、RFエネルギーが照射されるのはターゲット層のみでほかの部分への熱ダメージを防げます。

マイクロニードルつきのチップは7種類もあり、モノポーラとバイポーラの両方でアプローチできます。

さらに、ドラッグデリバリーシステム搭載で、針穴から薬剤を均一に浸透させることも可能です。

<モフィウス8>

モフィウス 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:INMODE社

「モフィウス8」は、イスラエルで創業したINMODE(インモード)社が開発したRFデバイス「EMBRACE(エンブレイス)RF」のアタッチメントの1つ。

24本のマイクロニードルの先からRFエネルギーを照射し、皮下組織~肌表面までを広範囲に加熱して肌を引き締めます。

冷却RF

冷却RFは、表皮を守りながら深部加熱し安全性の向上を目的としたRFデバイスです。

<Oligio X(オリジオX)>

オリジオx 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:WONTECH社

韓国・WONTECH(ワンテック)社の「オリジオX」は、強力な冷却システムを採用した高周波機器。

RFエネルギーの照射と同時に連続的な冷却を行うため、肌表面を保護しながら肌の奥までしっかりと加熱することができます。

<XERF(ザーフ)>

ザーフ 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:Lutronic社

「ザーフ」は韓国・Lutronic(ルートロニック)社が開発したレーザーモノポーラRFで、施術強度に合わせた3段階の冷却が可能。

そのため、表皮の温度を効果的に下げて施術の痛みを軽減することが期待できます。

超音波RF

超音波RFは、HIFU(ハイフ)との組み合わせによる相乗効果が期待できる高周波機器です。

<EXLISⓇ(エクシリス)>

エクシリス 高周波(RF)機器の歴史と今後の予測|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

出典:BTL社

「エクシリス」は、イギリスを拠点とするBTL社が開発。超音波とRFを同時に照射してより効果的なたるみ治療を目的にしています。

真皮層~皮下組織にアプローチして、施術直後から引き締まりやハリ効果が期待できます。また、血行を促進してくすみやむくみの起こった肌への施術にも〇

◾️今後の課題と展望

RFデバイスの世界市場は、2023年に約14.8億万米ドルを記録。2032年には約41.5憶万米ドルに達する見込みで、2024~2032年の年平均成長率は12.1%と予測されています。

そして、世界市場の大部分を支配すると考えられているのが、美容クリニック部門。

その理由は、高齢者人口の増加に伴い、肌のたるみやシワに低侵襲治療を求める人々からのニーズが今後ますます高まると考えられているため。

世界市場の展望から、売上UPのために美容クリニックと戦略的な提携を行っているメーカーもあり、今後は価格競争が激化するとも考えられています。

また、こちらの過去記事でもお伝えしましたが、2023年3月よりエステサロンではHIFUの施術が禁止に

▽エステサロンでハイフが禁止になった理由を深掘りした記事はこちら

2025年4月現在、高周波治療における医療とエステサロンの棲み分け問題は少々ネック。

ただ、多数の患者やクリニックからより効果的で安全性に配慮した高周波治療を求める声が高まれば、前項でも紹介した中国のRF規制のように今後は日本国内でも規制強化が行われる可能性があるでしょう。

また、今後は“パーソナルRF”の時代が到来し、AIと連携した照射制御の可能性も考えられます。

より効果的で安全性に配慮された高周波治療を受けられる日も、そう遠くはないのかもしれませんね。

高周波機器のこれからの進化にも期待!

2025年現在、美容医療業界で20年以上の歴史を持つ高周波機器について詳しく紹介してきました。

切らないたるみ治療として初代「サーマクール」に始まり、現在は新しいRFデバイスが次々に登場。RF×針・RF×冷却・RF×超音波など、複合型デバイスも日本でブームになりつつあります。

今後もRF市場は伸び続け、より多くの人からたるみ治療のスタンダードとして認識されるでしょう。

しかし、海外のRF規制や国内でのHIFUの事例のように、安全性を担保するために規制の動きが出てくるかもしれません。

安全と効果のバランスが取れたたるみ治療を受けるためには、高周波機器の扱いに詳しいクリニックで施術を受けることが大切

たるみ治療を受ける際は、ぜひ今回の記事を参考にして年齢に応じた素敵なエイジングケアを行ってくださいね。

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