
「ロンジェビティ」という言葉を耳にしたことがありますか?
ロンジェビティとは、健康で若々しい人生を長く楽しむことを意味します。
人生100年時代といわれる今、ただ長生きするのではなく「健康に長生きしたい」と思うのは、多くの方の切実な願いです。
ロンジェビティは、若返りやアンチエイジングなど、美容の観点からも重要なキーワードとなっています。
そこで今回は、ロンジェビティについて詳しく解説。美容医療と健康の最前線についての理解を深めていきましょう。
INDEX
1.世界で大注目!News Picksなどでもタブとして表示されている、「ロンジェビティ」とは何か?
「ロンジェビティ」は、2025年の消費者トレンドでも高い注目を集めるキーワードです。
世界規模の情報を取り扱うソーシャル経済メディア「News Picks」が、タブの1つに「ロンジェビティ」を追加するなど、その概念は私たちの生活に徐々に浸透しつつあります。
加えて、エイジングに関する市場規模も年々増加傾向にあり、世界的に大きな成長が見込まれている分野として、投資家や企業からも熱い視線が注がれています。
では、ロンジェビティとは具体的にどういう言葉なのでしょうか?意味や目的、各国の取り組みをチェックしていきましょう。
■ロンジェビティの意味と目的
ロンジェビティ(Longevity)とは、ただ単に寿命を延ばすのではなく、健康的に長生きして人生を楽しむことを意味する言葉です。
いくら長生きしても、病気や障害がある状態では十分に生活を楽しめるかというと、肯定しがたい部分があります。
生存年数をただ伸ばすのではなく、年齢とともに生じる慢性疾患や障害を最小限にとどめ、健康で過ごせる期間を長くするのが理想的な状態です。
高齢になっても肉体的・精神的に健康であり、質の高い自立した生活を送ること。これがロンジェビティの目的です。
具体的には、健康的な食生活や定期的な運動、規則正しい生活、ストレス管理といったライフスタイルを心がけることに加え、医療技術やサプリメントを活用して、ロンジェビティの実現を目指します。
ロンジェビティの実現により、長生きや老いに対するイメージをポジティブなものに変える可能性もあるでしょう。
美容業界や医療業界では、老化を遅らせるロンジェビティにまつわる事業に投資を始める企業も増えています。
■各国のメーカーの取り組み
ロンジェビティに注目が集まる風潮を受け、長寿を目指し若々しさを保つための努力が、世界的にも進められています。
エスティ ローダー

出典:ESTEE LAUDER
「ESTEE LAUDER(エスティ ローダー)」は、独自のテクノロジーを用いた画期的なスキンケアアイテムを提供してきたアメリカの化粧品メーカーです。
これまでに29の特許を取得し20以上の国際学術会議で発表を行うなど、肌の長寿遺伝子の研究に取り組んできた「エスティ ローダー」。
実際に肌年齢の若返りを助ける技術を提供していることは、科学的にも証明されています。
さらに「エスティ ローダー」は、肌の長寿サイエンスにもとづくスキンケアブランドとしての地位を確立すべく「エスティ ローダー ロンジェビティ コレクティブ」という長寿を研究するさまざまな専門家が在籍する集団を形成。
スタンフォード大学にある長寿に関する研究機関「Stanford Center on Longevity」のサポートも行い、外見と目視できる肌の健康が年齢の認識にどのように影響するかをさらに探求していくとしています。
ロレアル

出典:L’Oréal
「L’Oréal(ロレアル)」は、世界中で事業を展開するフランスの化粧品メーカーです。
2025年1月に、韓国のNanoEnTek社とパートナーシップを結び、独自の皮膚知識を応用したパーソナライズされた肌分析ができるデバイス「ロレアル セル バイオプリント」を発表。
わずか5分で肌の生物学的年齢や特定の有効成分に対する肌への効果、潜在的な肌トラブルを診断できます。
最大の器官である肌は、健康にとって重要な要素の1つ。これまで積み重ねてきたロンジェビティサイエンスをもとに、肌と長寿に取り組んでいくとしています。
パナソニック株式会社

出典:パナソニック株式会社
「パナソニック株式会社」は、家庭用電化製品や住宅設備、食品流通などを手がける日本の大手電機メーカー。
国内外に多数の拠点を持ち、より豊かで質の高い暮らしを実現するための取り組みを続けています。
2024年11月より「パナソニック株式会社」が開始したのは、ロンジェビティを題材にしたメディアプロジェクト。
経済メディアの「News Picks」と協賛し、不老長寿やエイジングに詳しい専門家のインタビュー・研究などを通じ、ロンジェビティに関する情報を発信していくとしています。
「パナソニック株式会社」の取り組みは、人々の健康に貢献し、長寿社会への理解を深めることが期待されています。
▽早野元詞先生のインタビュー記事はこちら
2.ロンジェビティが世界的に注目されている理由
ロンジェビティが世界的に注目を集めている背景を確認していきましょう。
■科学的根拠の進化
ロンジェビティが注目されるようになった背景には、科学的根拠の進化が挙げられます。これまでは、老化は自然現象であり誰しも避けられないものという認識でした。
しかし、近年老化研究が大きく進展しており『老化は病気であり治療が可能』という認識に変わりつつあります。これは、老化の原因やメカニズムが解明されつつあるのが大きな理由です。
がんやアルツハイマー、心筋梗塞、脳卒中など、老化が原因とされている病があるという背景から、世界保健機関(WHO)においても、老化が疾病分類の1つに加えられるかどうか検討されました。
2023年の改定では見送りとなりましたが、今後老化を病と定義する動きも進むと予測されます。
老化の原因が分かってきたということは、若返りの方法も分かってきたということです。
生物学的年齢が検査によって詳細に把握できるようになり、予防医療の結果が目に見えるようになりました。
生物学的年齢は暦年齢ではなく体の年齢を表すもので、生物学的年齢の若返り=老化の抑制となります。
治療を始める前に生物学的年齢を検査しておくことで、治療の効果があったかどうか確認できるようになり、老化の研究が大きく前進しました。
もちろん老化はさまざまな要因が絡み合って生じるため、完全に制御できるわけではありません。
しかし、遺伝子編集技術や幹細胞治療などの先進医療の技術もどんどん進化を続けています。
ロンジェビティの追求が現実的に可能となりつつあるというのが、注目を集める理由の1つです。
▽アンチエイジング研究の第一人者である山田秀和先生のインタビュー記事はこちら
■健康と美容の融合
美容意識やトレンドは時代とともに変化しています。現在の美容トレンドは、健康的な美しさ。
美しさを構成するのは外見だけでなく、メンタルが安定していることや内面からの健康美も重要な要素となります。
健康と美容を融合させて全身の健康を追求するホリスティックビューティを重視するのが、現在の傾向です。
そんな中、美容医療の分野で注目を集めているのが、損傷した組織を回復させる再生医療。
これまではフィラーやボトックスといった非外科的治療が高い人気を誇ってきましたが、効果は時間の経過とともに弱まるため、効果を持続させるには施術を繰り返す必要があります。
一方、再生医療は患者自身の細胞を活用。内側から肌の生まれ変わりを促進し、長期的な効果が見込めることから、これまでの美容医療で行われてきた施術とは一線を画す治療といえます。
これから求められるのは、健康寿命の延伸と美しさの追求を組み合わせた、新時代のアプローチでしょう。
内科的なアプローチを行う美容内科が設置された美容クリニックも増えてきており、体の内側からの健康や予防医療という観点から、美容と健康を融合した価値の提供を進めています。
3.日本におけるロンジェビティの評価
美容医療業界は、現在日本において着実に市場規模が大きくなっています。厚生労働省の調査によると、美容外科の診療所は2020~2023年の間で4割増加しているそう。
中でも需要が高いのはボトックス注射やヒアルロン酸注射、レーザー治療といった非外科的治療です。
痛みが少なく、ダウンタイムなどで日常生活にあまり影響を及ぼさない治療が注目されています。
美容医療が成長している背景には、年齢を重ねても美しくありたいと考える方が多くなってきていることに加え、技術や機器の発達により、痛くない施術の選択肢が増えていることも一因でしょう。
美容医療の広がりは、長寿にも影響を及ぼします。健康を維持するには、予防医療の考え方が重要となるためです。
予防医療とは、日常的な健康管理のほか、定期的に健診を受ける・予防接種を受けるなど、健康を維持するためのアプローチのこと。予防医療と美容医療は、深い関係があります。
美容医療において肌や体の老化を防ぐには、日常的なケアが欠かせません。紫外線対策やスキンケアによる保湿、規則正しい生活習慣が美容医療の効果を高めることにつながります。
すなわち、美容に興味を持ち、美容効果を高める生活習慣を実践する方が増えれば、長寿も増え可能性があるということ。
見た目をきれいに保つことは気持ちが明るくなるなど、QOLの向上に貢献するという側面もあり、美容医療の広がりは長寿に大きく影響を及ぼすといえます。
▽前田陽子先生のインタビュー記事はこちら
4.ロンジェビティ実現による未来への展望
ロンジェビティが実現すると、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか?
■予防医学の前進と長寿への期待
現在日本では、再生医療の研究が進められています。
例えば幹細胞治療は、さまざまな細胞や臓器に変化できる未分化細胞の幹細胞を用いて、細胞や臓器を修復する治療方法です。
また、PRP(自己血小板血漿)療法は、成長因子が多く含まれる血小板を用いて自然治癒力を高め、細胞や組織を修復する治療方法。
再生医療を活用すれば、損傷を受けた臓器や組織、細胞を元に戻すことができ、根本的な解決が望めます。
また、加齢関連疾患への新しい治療方法も登場しようとしています。
順天堂大学の南野徹教授は、老化の原因は細胞分裂がストップして体の中に蓄積される老化細胞と定義し、研究を続けてきました。
研究の中で、老化細胞が動脈硬化や生活習慣病、アルツハイマー型認知症などの加齢関連疾患を引き起こすことが明らかになり、2021年に老化細胞除去ワクチンの開発に成功。
今後、加齢関連疾患の治療の可能性を示唆しています。
このように、これまでネガティブなものとされてきた長寿や老いという概念は、技術の進歩や予防医学の前進とともにコントロールできる分野へと変化している最中です。
「高齢だから……」と我慢するのではなく、長生きすることを楽しめる時代になりつつあります。
技術の進歩は、長寿の後押しにつながる一因です。2024年10月には、銀座に富裕層向けの長寿クリニック「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」も登場しました。
先進的な再生医療に加え、古来の伝統医学と幅広く提供し、さらに予防医学を前進させるとしています。
■サプリメントや医療への活用
ロンジェビティの考え方は、サプリメントや老年医学にも革新をもたらしています。例えば「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」は、その代表格でしょう。
細胞の修復やエネルギー代謝に欠かせない補酵素として、サプリメント分野でのヒットが予想されています。
NAD+を補給することで、細胞の活性化や体力維持、ひいては体の衰えを抑制する効果が期待できると考えられているためです。
また、認知機能の維持という観点でも、ロンジェビティに大きな関心が寄せられています。
近年の研究から、フレイルや認知症へのリハビリテーションにおいて、個人の認知状態にもとづいたトレーニングやアプローチが有効であることが分かってきたのです。
具体的には、脳波を計測・解析することで脳波のパターンを分析。個人の認知状態に合わせて最適な脳活動を促し、認知機能の低下を遅らせることを目指します。
ロンジェビティを「単なる美容や医療のトレンド」と捉える方もいるかもしれません。しかし、美容と健康の長期的な両立を目指すロンジェビティは、老後を長く楽しむために重要な考え方です。
ロンジェビティの実現に向けて、一人ひとりが何かしなければならないというわけではありません。
新たな概念を否定するのではなく、正しく理解して受け入れることで、より充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、ロンジェビティについて解説しました。
ロンジェビティに注目が集まる背景には、老化研究や先進医療の進歩により、ロンジェビティを実現できる技術が現実のものになったことが挙げられます。
予防医学や美容医療は、健康な状態で長生きして人生を楽しむために避けては通れないポイントです。
NERO編集部は、引き続きロンジェビティにまつわる動向をご紹介していきたいと思います。
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