セルフプレジャーは、自律神経やホルモンのバランスを整え、心を安定させるのに役立つ行為。近年は女性向けのセルフプレジャーアイテムも増えており、以前と比べて女性の性はオープンなものになりつつあります。そこには「自分の体は自分のものである」という女性の主体性や、自分の性を肯定的に受け入れる意識の高まりがあるようです。30代以降の女性に知ってほしい、セルフプレジャーのメリットや効果を解説します。
1.セルフプレジャーは今や自律神経を整えるセルフケアの1つ
セルフプレジャーは欧米ではオープンに語られるカルチャーがあり、積極的にセルフプレジャーアイテムを楽しむ女性も多くいます。近年はフェムテックやフェムケアなどの言葉が広まり、日本でもセルフプレジャーが女性の心身を整えるセルフケアの1つとして考えられるようになってきました。ポジティブに受け入れられつつあるセルフプレジャーについて、解説します。
■そもそもセルフプレジャーとは
セルフプレジャーとは、自慰やマスターベーション、オナニー、1人エッチと同じ行為です。性別に関わらず、自分自身によって性的な快感を得る行為を指します。男性のイメージが強い行為ですが、女性でもセルフプレジャーを経験している人は少なくありません。
セルフプレジャーを行う目的や方法は人それぞれです。性的快感以外に、ストレス解消や寝付きを良くするため、リラックスするためなど、癒やしを目的にセルフプレジャーを行う女性も多くいます。
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■フェムケアグッズや女性向けセルフプレジャーアイテムの拡がり
セルフプレジャーアイテムやセルフプレジャー用品とは、セルフプレジャーの際に使用することでより心地良さを追求できるグッズのことです。近年、フェムケアグッズ・フェムテック市場は世界的に拡大しており、セルフプレジャーアイテムブランド『iroha(イロハ)』など、通販や百貨店で購入できる女性向けアイテムが増加。デザインや色味がやわらかく、女性の日常になじむセルフプレジャーアイテムが身近になっています。
■セルフプレジャーと女性のボディリー・オートノミー
セルフプレジャーがポジティブに受け入れられつつある理由には、近年のBodily Autonomy(ボディリー・オートノミー)やセクシャルウェルネスの意識の高まりが関係しています。ボディリー・オートノミーとは「自分の体は自分のものである」という価値観のこと。セクシャルウェルネスとは「性に関連する身体的・心理的・社会的幸福=性の健康」のことを指します。
これまで日本では、女性の性を恥ずかしいことと捉えたり、タブー視したりする風潮が強くありました。しかし上記のような意識の高まりの中で、女性が性に対して主体性を持つようになり、「自分の体のこと」としてセルフプレジャーを楽しむようになっています。
2.セルフプレジャーで自律神経を整えよう!美容や健康におけるメリットとは
セルフプレジャーは単に性的欲求を満たすだけではありません。セルフプレジャーには自律神経を整えたり、美容や健康を促したりする効果が期待できます。そのためセルフプレジャーは、ホルモンバランスの乱れが気になる30~40代の女性にこそおすすめです。ここからはセルフプレジャーが心身にもたらす効果・メリットを解説します。
■幸せホルモンが分泌される
女性がセルフプレジャーでオーガズムを感じる大きなメリットは、ホルモン分泌を促すことです。オーガズムを得ると、幸せホルモンといわれるオキシトシンやドーパミン、エンドルフィンなど、たくさんのホルモンが分泌されることが分かっています。これらのホルモンは、体内でさまざまな働きを持っており、自律神経を整えるためにもとても重要です。
自律神経と呼ばれるのは、緊張状態のときに働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」の2つ。心も体も健康的に明るく過ごすためには、交感神経・副交感神経両方のバランスが取れた状態=自律神経が整った状態でなければいけません。しかし現代の生活では、睡眠不足やストレスが重なることも多いでしょう。交感神経優位の状態が長く続くと、気持ちが落ち着かずイライラしたり血糖値が上がったりなど、体への悪影響が現れてしまいます。とくに女性は、月経周期や妊娠・出産、加齢などにより女性ホルモンの分泌が変動するため、自律神経が乱れやすいのが特徴。セルフプレジャーは副交感神経を優位にするため、自律神経を整えるのに役立ちます。
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■睡眠の質が改善する
セルフプレジャーは睡眠の質を高めたり、寝付きを良くしたりするのに効果的です。セックスしてオーガズムに達すると、そのあと眠りに入りやすい経験はありませんか?セルフプレジャーでも同じです。その理由は主に2つあります。
1つは、セルフプレジャーによって分泌されるホルモンの影響です。オキシトシンやエンドルフィンが分泌されると、安心感や多幸感が得られ、リラックスして眠りやすくなります。またオキシトシンは、セロトニンの分泌を促進。セロトニンは睡眠を促すホルモンのメラトニンの材料となるため、結果的にメラトニンの分泌量が増え、睡眠の質や量が改善します。
またセルフプレジャーが睡眠を促すもう1つの理由は、セルフプレジャーが軽い運動になるためです。状況によってさまざまですが、目安として、1回のオーガズムで約80kcalのエネルギーを消費するといわれています。セルフプレジャーによって適度にカロリーを消費することで、ほどよい疲労感を得て、眠りやすくなると考えられるでしょう。
■ストレスが軽減し、心の安定につながる
セルフプレジャーはストレス軽減にも非常に効果的です。そこにもオキシトシンやセロトニンが関係しています。
オキシトシンは愛情ホルモンとも称され、心に安らぎや癒やし、愛情、信頼感の形成をもたらします。セロトニンは、恐怖や不安を軽減し、気持ちを落ち着かせて、攻撃性や感情のコントロールに役立つホルモンです。どちらのホルモンも、幸福感や自己肯定感を向上させ、心の安定につながります。イライラして感情的になっていたり、不安でゆううつな気持ちになったりしているときにこそ、心を落ち着かせるセルフプレジャーはおすすめです。
■美肌効果が期待できる
セルフプレジャーは美肌や美髪にも効果が期待できます。セルフプレジャーによって分泌されるエストロゲンは、美肌ホルモンとも呼ばれるホルモンです。肌にある表皮細胞や線維芽細胞を活性化させ、ツヤやうるおいをアップさせる作用があります。また毛根に働きかけ、育毛促進や髪のハリ・コシ向上にも寄与するのが特徴です。
自律神経が乱れた状態、中でも交感神経が優位な状態にあると、血管が収縮して肌のターンオーバーが乱れやすく、ニキビなどの肌トラブルにつながりかねません。セルフプレジャーによって自律神経が整うと、肌も美しく整いやすいと考えられます。
■月経痛の改善が期待できる
月経時のセルフプレジャーにより、月経痛(生理痛)が軽減するという研究があります。セルフプレジャーによってオーガズムを得ると分泌されるエンドルフィンは、モルヒネの6.5倍の鎮静効果があるホルモンです。強い鎮痛作用により、月経痛や片頭痛といった体の痛みを和らげる効果が期待できます。
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■オーガズムに達しやすくなる
セルフプレジャーは、自分の体や自分の性的欲求についてよく知ることにつながります。自分の性的欲求を肯定し、「自分が気持ち良いこと」への理解が深まることで、パートナーとのセックス時にも積極的になれたりオーガズムに達しやすくなったりするでしょう。パートナーとの良好な関係構築にも役立つといえます。
■自己肯定感の向上につながる
セルフプレジャーとは、自分の性的欲求を認めて、それを満たす行為です。自分の感情や欲求を「恥ずかしいこと」と考えて否定するのではなく、存在して良いものだと肯定し、大切にしていることになります。そのため、セルフプレジャーを前向きに取り入れていると、心が満たされ、自己肯定感や自尊心につながると考えられるでしょう。
またセルフプレジャーによって増えるオキシトシンやセロトニンの作用によっても、自己肯定感の高まりが期待できます。
■まとめ
セルフプレジャーは、女性が自分の体や欲求を前向きに捉え、主体性を持って自分自身を大切にしていく行為です。セルフプレジャーによって自律神経やホルモンのバランスが整い、心と体の健康や美容にも良い効果が期待できます。ぜひ自分の心と体に、素直に向き合ってみてください。
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