「原因がわからずとにかく体調が悪い」「しっかり寝たのに疲れがとれない」といった状態が続いているなら、もしかすると「不定愁訴(ふていしゅうそ)」かもしれません。
不定愁訴は、男性・女性に関係なく、誰もがなる可能性がある、珍しくない症状です。
この記事では、不調が続くときの考えられる原因とその対処法をご紹介します。
症状にお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。
INDEX
原因がわからず、とにかく体調が悪いときにまずすべきこと

「原因がわからず、とにかく体調が悪い……」「次から次へと体調不良が続く」といった状態が続くと、日常生活に支障をきたすため、不安が募ります。
とくに、だるさや頭痛、吐き気といった症状が慢性化している原因不明の体調不良の場合、働けないという事態も起こりうるでしょう。
こうしたときにまず優先すべきは、重大な病気が隠れていないかを確認することです。
体調不良の背景には、自律神経の乱れやホルモンバランスの変化、栄養不足などさまざまな要因が絡んでいることが考えられます。
しかし、まずは命に関わる危険なサインを見逃さないことが何よりも重要です。
突然の激しい胸痛や呼吸困難、意識障害や半身の麻痺といった症状があらわれた場合は、迷わず救急外来を受診しましょう。
場合によっては、脳卒中や心筋梗塞などの緊急対応が必要な疾患の可能性があります。
また、慢性的なだるさや軽度の頭痛など、緊急性は低いものの不調が継続しているときも、病院への受診を検討すべきでしょう。
原因がわからずとにかく体調が悪いときに病院で何科を受診すべきか迷ったら、総合内科や一般内科への相談が適切です。
必要に応じ、専門のクリニックや診療科への紹介が受けられます。
自己判断で原因不明だと決めつけず、まずは医師に相談してみましょう。
原因不明の体調不良の背景にあるもの

いつも体調が悪いのに原因不明、なぜか体調が優れない……こうした症状が続く場合は「不定愁訴」の可能性があります。
不定愁訴は成人の20~30%(*1)がなるともいわれており、多くの研究では女性に見られやすい傾向があるとされています。
まずはご自身に心当たりがないか、不定愁訴の特徴をチェックしてみましょう。
【参考】
(*1)Rosendal M, Olsen F, Fink P:Management of medically unexplained symptoms. BMJ 330:4-5, 2005
不定愁訴とは
不定愁訴は、「原因がわからずとにかく体調が悪い」と病院に行くものの、明確な病名がつくわけでもなく、症状が改善しない状態のことです。
女性に多いといわれていますが、男性にも同様の症状が見られるケースがあります。
また、年齢を問わず起こる可能性があり、20代や30代の若い世代が悩まされることもあれば、50~70代などの少し年を重ねた世代が訴えるケースも珍しくありません。
不定愁訴は原因不明なために周囲に理解されにくく、誰にも相談できなかったり、無理をして仕事を続けていたりと、実は秘かに悩んでいる方が多くいます。
不定愁訴の症状をチェック
不定愁訴の症状は人それぞれです。
「原因がわからず、なんとなく体調が悪い」といった漠然とした体のだるさや、吐き気や頭痛、メンタル面での不調など、さまざまな症状が入れ替わり立ち替わりであらわれることも。
症状を感じるタイミングや症状の継続期間にも、個人差はあります。
「こんな症状が出たら不定愁訴」と一概には言えませんが、よく見られる症状を以下にまとめました。
当てはまるものがあるか、目安としてチェックしてみましょう。
<不定愁訴によくある症状>
- 体のだるさ
- 冷え
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 便秘
- 腹痛
- むくみ
- めまい・耳鳴り
- 動悸
- のぼせ
- イライラする・落ち込む
- 眠れない など
原因がわからずとにかく体調が悪い「不定愁訴」の原因は?

ずっと体調が悪いのに原因不明とされる不定愁訴ですが、さまざまな要因が関係しているのでは、と考えられています。
不定愁訴を引き起こす可能性のある要因を見ていきましょう。
自律神経の乱れ
不定愁訴の多くは、自律神経の乱れが関与しているようです。
自律神経は、内臓や血管、呼吸や体温をコントロールし、生命を維持するために働いています。
自律神経には心身を活発にする交感神経と休ませる副交感神経があり、2つのバランスが崩れるとさまざまな不調を引き起こします。
自律神経が乱れる原因は、不規則な生活やストレスによるとされています。
40代以降の女性の場合、更年期障害からくる症状の可能性も。
自律神経の乱れを検査できる医療機関もありますが、なぜ自律神経が乱れたのか、根本的な原因までを特定するのは難しいケースが多いです。
病気が隠れている
不定愁訴は病気が隠れている可能性も大いにあります。
例えば、妊娠の維持などに重要な役割をする、甲状腺ホルモンが減る甲状腺機能低下症などです。
とくに30~40代の女性に多く、更年期障害と似た症状が見られます。
落ち込みや不眠などの症状が強い場合は、うつ病など精神疾患の可能性も否定できません。
そのほか、婦人科系の病気や血圧の異常などが不定愁訴へとつながっているケースも考えられます。
栄養不足による機能低下
不定愁訴の原因として、栄養不足も考えられます。
とくに女性は月経があるため、鉄分が不足しやすい状態です。
鉄分が不足すると、細胞や脳に十分な酸素や栄養素が運ばれないため、疲れやすさやめまいなどを引き起こすことがあるのです。
また、ダイエットや暴飲暴食などで食生活が偏ると、鉄だけでなくたんぱく質やビタミン類などの主要な栄養素も足りなくなるため、おのずと体に不調があらわれやすくなります。
さらに栄養不足は肌荒れや抜け毛など、美容面にも悪影響です。
受診先の選び方と検査でわかること・わからないこと

原因がわからずとにかく体調が悪いとき、「病院で何科を受診すべきか」は多くの人が悩むポイントです。
また、検査を受けても「異常なし」といわれた経験がある方も少なくないでしょう。
ここでは、症状に応じた受診先の選び方と、検査の限界について説明します。
症状で受診先を選ぶ
受診先は、以下のように症状の強さや種類によって使い分けましょう。
| 救急外来 | 突然の麻痺や激しい胸痛、意識障害、強い吐き気を伴う急変時は、迷わず救急外来へ。命に関わる危険サインがある場合、迷わず受診を。 |
| 総合内科・一般内科 | 原因がはっきりしない慢性的なだるさや疲労感、微熱、体重減少、食欲不振など、全身の不調を評価する最初の窓口です。診察や検査をもとに、必要に応じて専門のクリニック・診療科に紹介されます。 |
| 婦人科 | 生理不順やPMS(月経前症候群)、更年期症状が疑われる場合の受診先として適切です。ホルモンバランスの評価や婦人科疾患の診察・診断が行われます。 |
| 心療内科・精神科 | 強いストレスや不安感、抑うつ気分、パニック症状、不眠などが顕著な場合に検討しましょう。身体症状としてあらわれる心の不調も多いため、適切な治療によって改善が期待できます。 |
血液検査でわかること・わからないこと
血液検査は、体調不良の原因を探るうえで有効な手段ですが、万能ではありません。
一般的な血液検査で評価できる項目としては、貧血の有無、肝機能、腎機能、血糖値、コレステロール、甲状腺ホルモン、炎症反応などです。
これらの数値の異常は、特定の疾患や栄養状態の問題を示唆しますが、自律神経のバランスや慢性疲労、軽度のホルモン変動などは、数値にあらわれにくいことがあります。
「異常なし」と診断された場合も、完全に問題がないとは言い切れず、基準値内で個人差が生じたり、一時的な変動が起きたりなど、微妙な変化が症状に影響している可能性があるのです。
血液検査でわかるのは、あくまでも診断の一部。
問診や診察、症状の経過観察を踏まえたうえで総合的な判断を行う必要があります。
血液検査に過度な期待はせず、医師と相談しながら対処法を検討することが大切です。
症状を可視化する「セルフ記録」の重要性
原因がわからずとにかく体調が悪い状態が続くときは、症状を可視化するセルフ記録が役立ちます。
セルフ記録には、発症時間、症状の種類と程度、持続時間、誘因(睡眠や食事内容、生理周期との関連)などを記録しておくのがおすすめです。
記録を続けると、ストレスや生活習慣との関係性が見えてくることがあります。
具体的なデータを示すことで、医師はより正確な診断や治療方針を立てやすくなるでしょう。
厚生労働省も、健康状態を把握する手段として健康記録の重要性を示しています。
美容内科という選択肢を検討する前に知っておくべきこと

医療機関で検査を受けても原因が見つからず、標準的な治療で改善が期待できないときは、美容内科という選択肢があります。
しかし美容内科は、一般的な医療とは性質が異なる部分があります。
役割について正しく理解してから受診を検討しましょう。
美容内科と一般内科の違い
美容内科とは、主に美容や健康増進を目的として、点滴療法、サプリメント処方、ホルモン補充などを行う診療科です。
多くは自費診療となります。
一方、一般内科は病気の診断と治療が主な目的で、検査を通じて疾患の有無を判断します。
両者の大きな違いは治療の目的です。
美容内科では、病気の治癒ではなく、健康状態の最適化やQOL(生活の質)の向上を目指します。
美容内科では「診断の代替」にならない理由
美容内科では、あくまで症状の緩和や健康増進を目的とした補完的なアプローチを行うため、疾患の診断や根本的な治療をするわけではありません。
重大な疾患の診断は、保険診療を行う医療機関で受けるようにしましょう。
例えば、慢性的なだるさの背景に甲状腺機能低下症や糖尿病、悪性腫瘍といった病気が隠れている可能性もあります。
こうした疾患を見逃したまま、点滴療法やサプリメント処方だけで対処しようとすることは、適切な治療の機会を逃すリスクがあるのです。
まずは標準的な医療機関での評価を経て、可能性のある疾患を除外したうえで、必要に応じて美容内科を検討する流れが基本です。
美容内科は、他の診療科等で行う診断の代替にはならないということを覚えておきましょう。
点滴療法・サプリメントの処方を受ける際の注意点
美容内科で行われるビタミン点滴やプラセンタ注射、サプリメント処方には、それぞれ目的がありますが、エビデンスの質は一様ではありません。
科学的根拠が十分でないものもあり、口コミや体験談だけで治療の良し悪しを判断するのは避けましょう。
副作用として、点滴によるアレルギー反応、血管痛、過剰摂取による健康被害などが報告されています。
点滴とサプリメントを併用する場合は、相互作用のリスクにも注意が必要です。
点滴療法とサプリメントの処方を同時に受けたい方、点滴療法を受ける際に現在服用中の薬やサプリメントがある場合、医師や薬剤師に相談してから治療を検討しましょう。
まとめ
原因がわからず、とにかく体調が悪い状態が続く場合、まず最優先すべきは重大な疾患が隠れていないかを医療機関で確認しましょう。
血液検査ですべてがわかるわけではないため、セルフ記録をつけて自分の体調パターンを可視化し、医師へ的確に伝えることが、診断の助けになります。
美容内科は症状緩和や健康増進を目的とする補完的な選択肢です。
診断の代替にはならないことを理解してから、エビデンスや副作用、相互作用について医師と十分に相談し、自分に合った治療法があるかどうかを探っていきましょう。
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