東京美容外科 統括院長の麻生 泰先生へインタビュー。
形成外科医としての道半ばで美容外科の世界に進まれた麻生先生は、患者さまの感謝に支えられながら、地方での美容医療普及や修正手術に尽力し、自らの道を着実に切り拓いてこられました。
今回は、逆境を力に変え、美容医療の価値を守り続ける麻生先生の軌跡と信念に迫ります。
INDEX
ドクターズプロフィール

東京美容外科 統括院長
麻生 泰(あそう とおる)先生
藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)を卒業後、慶應義塾大学医学部大学院で医学博士号を取得。大手美容外科の院長を経て、2004年に「東京美容外科」を開業。
その後も、美容先進国である韓国やアメリカ・ビバリーヒルズ、オーストラリアで先進技術を学び、現在は国内外に多数のクリニックを展開。さらに、メディア出演や講演、技術提携など、幅広く活躍している。
| (経歴) 2000年 藤田保健衛生大学(現藤田医科大学) 卒業 2000年 大阪医科大学にて研修終了 2001年 大阪医科大学 麻酔科にて研修終了 2001年 岡山大学 形成外科 医員 2002年 大手美容外科 院長及び診療部長を歴任後 2004年 東京美容外科 設立 2015年 医療法人社団東美会 理事長 兼 東京美容外科 統括院長 2018年 慶應義塾大学 医学部大学院にて医学博士号取得 2019年 慶應義塾大学医学部 非常勤講師 2024年 日韓美容医学会 学会長 (資格・所属学会) 慶應義塾大学 医学部大学院 医学博士号取得 日韓美容医学会学会長 日本形成外科学会 日本美容外科学会 日本マイクロサージャリー学会 日本抗加齢医学会 |
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医師としての背景 ~患者さまの生の声が美容外科医として本腰を入れるきっかけに~
―――まずは、麻生先生が美容医療に転向したきっかけを教えてください。
もともと形成外科医として研鑽を積んでおり、何もなければ岡山の病院でそのまま形成外科医としての道を歩むつもりでした。
しかし、研修医のときに親の会社が倒産。一家の主として働かざるを得なくなったため、経済的な事情から美容外科医として働き始めました。
当初は形成外科医としての未練や、美容外科医として働くことへの後ろめたさから、自分の仕事に誇りを持てない時期もありました。
しかし、美容外科医として働くうちに、患者さまから感謝の声をいただくようになり、中にはお手紙をくれたり、涙を流して喜んでくれたりする方もいらっしゃって。
その経験を重ねるうちに「命を救う仕事ではなくても、その人の人生を前向きに変えられる」と実感し、職業に貴賤なしという考え方に変わっていきました。
形成外科での経験を土台に、さらなる技術を身につけるため学びの場を求め韓国に渡りました。そこで多くの手術を見学し、「自分にしかできない役割がある」と確信。
本腰を据えて美容外科に取り組む決意を固めたのです。こうして美容外科で経験を積んだ後、翌年には自身のクリニックを開業するに至りました。
患者さまのおかげで、自分の仕事に誇りを持てるようになり、今では美容外科の仕事が大好きだと自信を持って言えます。
美容医療への情熱 ~地方に美容医療を根付かせた、東京美容外科の原点~

―――麻生先生が院長を務める「東京美容外科」の第一店舗目は島根県で開業されたと伺いました。なぜ島根県だったのでしょうか?
当時は美容外科の競争が激しく、大手は何百万円もの広告を打って集客していた時代です。そうした中で対抗するには時間が必要ですし、全国規模で戦うのは大変だと考えました。
そこで目をつけたのが、当時住んでいた大阪からもアクセスしやすく、競合となる美容外科が1軒もない地域です。
「美容整形がまだない地域に出店すれば、人口は少なくても広告が届きやすい」と考え、まず島根県から開業することに決めました。
「東京美容外科」は、インターネットで「東京 美容外科」と検索されることを見越してつけたクリニック名です。実際に開業すると、その思惑通り患者さまが集まり、口コミや地域限定の広告も効果的に機能しました。
―――なるほど。はじめから全国に広げることを視野に入れていたのですか?
いいえ、最初は1~2店舗できればいいな、という気持ちでした。ですが、地方で美容医療を広げていくための有効な手段でもあると感じたんです。
当時、地方にはフェイスリフトを行える先生がほとんどおらず、都会でしか受けられない医療を地方でも提供できれば、患者さまにとって大きなメリットになります。
「都会で一流の医療を地方でも」というコンセプトのもと、沖縄や島根、高知など、情報は入手できても手が届きにくい地域へ順次展開していきました。
美容医療は緊急性が低いため、ずっとそのクリニックに滞在する必要はありません。私は、予約が入った日に飛行機でクリニックを訪れ対応する形で、各院をローテーションして運営していました。
―――やりたいけれど、できない方に美容医療を届けたいという想いが多店舗展開につながったのですね!
そうですね、行きたいけれど東京まで行けない患者さまは多くいらっしゃいます。中には、自分の住んでいる地域から出たことがない方もいますし、地域によっては美容医療に対する偏見もまだ根強くありました。
私たちのクリニックが地元にできたことで、「自分の街にも美容医療があるんだ」と気づいてもらえ、より一般的なものとして受け入れられるきっかけの1つになったのではないかと思います。
麻生先生の強み ~修正手術で示す美容外科の価値~

―――麻生先生が最近とくに力を入れて取り組んでいることは何でしょうか?
今もっとも注力しているのは修正手術です。7~8年前から本格的に取り組み始めましたが、当時広く使われていた豊胸注入剤によるアクアフィリング豊胸や、不適切な脂肪注入豊胸によってトラブルを抱える患者さまが急増していたからです。
表面上は軽微な問題に見えても、実際には胸の形が極端に崩れたり、脂肪が移動してしこりになったりと深刻なケースも少なくありません。
以前から危険性を訴えていたのですが、広告の力もあって広く普及し、被害に遭う患者さまが後を絶ちませんでした。脂肪注入のトラブルも依然として続いています。
私の年齢では引退してもおかしくないのですが、こうした患者さまが多いため、まだメスを置けない状態です。
これまで築いてきた経験と技術を活かして、患者さまの苦しみを少しでも解消することが、今の私の使命だと感じています。
―――麻生先生が修正手術に力を入れる理由を教えてください。
美容外科は本来素晴らしい医療なのに、一部の悪徳な医師や不適切な手術によって信頼を失ってしまうのは非常に残念です。
だからこそ、修正手術を通じて「美容外科は本当に価値のある医療だ」と信頼を取り戻したいと考えています。
残念ながら、一定数の悪徳医師は存在し、知識のない方が白衣を着た医師の言葉を信じてしまうケースもあります。そうした方々を救うために、私は修正手術を続けています。
ただし、修正手術は決して簡単ではありません。脂肪注入で内部組織が変化していたり、乳首の位置が不自然になっていたりして、希望通りの形を再現できないこともあります。
形成外科の知識がなければ修正できないことも多く、実際に知識不足の医師に手術を受けて泣き寝入りしている患者さまも少なくありません。
私はそういった方々に、直せる可能性があることを伝えたい。そのためにYouTubeやSNSを通じて情報発信を続けていますが、まだ十分とは言えず、同じように悩んでいる患者さまが数多くいるのが現状です。
麻生先生の信念 ~逆境を力に変え、患者に喜びを届ける~

―――麻生先生が努力を続けられるモチベーションは?
気がついたら今の自分になっていた、という感覚です。これまでには経理部長による1億円の横領といった、普通では経験できないような出来事もありました。
もちろん大きく落ち込んで、やめようかと思ったこともあります。ただ、そのとき“横領されるほどのお金を生み出せた自分”という側面に目を向けました。
もしお金そのものに固執していたら、きっと続けられていなかったと思います。だからこそ、自分の能力やこれまで積み上げてきたものに集中し、毎月500万円ずつ返済して完済しました。
一度ゼロから作り直すこともできました。振り返れば、これまで起こったマイナスの出来事を、すべてプラスに変換できているからこそ、ここまで頑張り続けられているのかなと感じています。
―――麻生先生がクリニックを運営するうえで大事にしていることを教えてください。
もちろん、クリニックに関わるすべての人を幸せにしたいという気持ちはあります。ただ、それ以上に大切なのは、自分のアイデアや技術で患者さまの人生をより良く変えていきたいという想いです。
胸の大きさや鼻の形、歯並び、二重の有無など、見た目のコンプレックスは医学の力で変えることができます。私はその可能性を伝え、多くの方に喜んでもらいたいんです。
現場に立ってメスを握り続ける理由も、そこにあります。経営に専念すればもっとクリニックを大きくできるかもしれませんが、今日も実際に3人の手術をしました。
術後に患者さまと一緒に鏡を見て「先生に頼んで良かった」と笑顔を見せてもらえる瞬間は、何ものにも代えがたい喜びです。しかも、それで対価までいただける。こんなに素晴らしい仕事はありません。
だからこそ、私はまだメスを手放せない。患者さまの笑顔こそが、私が美容外科を続ける原動力なんです。後悔しないよう、やりたいことは全部やって、儲かった分は社会に還元したいと思っています。
美容医療業界の今後の期待 ~美容外科の価値を守り、次世代へつなぐ~

―――麻生先生のこれからの目標を教えてください。
私の1番の目標は、優秀な美容外科医を育て、輩出していくことです。
「東京美容外科」では、メスを握れるのは美容外科医として10年以上の経験を持つこと、形成外科学会から認定を受けた形成外科専門医であること、あるいは当院で3年以上の経験がある医師に限っています。加えて、学び続ける意志を持つことも重要です。
自分より優秀なドクターを積極的に採用し、学校のように教育に力を入れて勉強会を重ねながら成長を後押ししています。
実際、「東京美容外科」から巣立った先生方は、「LOCHIC CLINIC GINZA(ロシッククリニック銀座)」の小野 准平先生や「CONTOUR CLINIC TOKYO(コントアクリニック東京)」の山本 崇弘先生など素晴らしい医師が多数います。
私1人が手術できる患者さんの数には限界がありますが、育った医師たちが全国で活躍してくれれば、より多くの患者さんを幸せにできる。その広がりこそが、私の目指すものです。
独立していった先生方はライバルでありながら、協力し合える仲間でもあります。負けないように私自身も挑戦を続けています。
―――美容医療医師の育成で重要なことは何だと思いますか?
若手の先生方に教育で最も大事にしてほしいのは、まず『人を死なせない医師であること』です。
美容医療の現場でも、薬によるアレルギーからアナフィラキシーショックが起こるなど、緊急事態に直面する可能性は常にあります。そのような場面で適切に対応できる知識と判断力を持つことは、医師として絶対に欠かせません。
また、形成外科での経験があるからといって、美容外科に必要な“美的センス”が備わっているとは限りません。病気を治す医療と、美しく仕上げる美容医療は求められる方向性が異なり、美的センスは美容外科において欠かせない要素の1つです。
そのため、形成外科での経験は必須ではないと考えています。それよりも、緊急対応をきちんと行える力があることが第一条件です。
そのうえで、向上心を持つ先生方であれば、今の若手医師同士のネットワークやSNS、学会といった場を通じて積極的に情報交換や手術見学を行い、成長することができます。そこにセンスが加われば、さらに早く確実に力をつけていくことができるでしょう。
読者や患者さまへ向けて伝えたいメッセージ ~あなた自身の納得が何より大切~

―――最後に、美容医療を受けようと考えている方へのメッセージもお願いします。
まず大切なのは、その場の雰囲気や勢いで手術を決めてしまわないことです。
美容医療は人生に関わる大きな選択ですから、複数の先生の話を聞き比べて、自分と相性の合う人、波長の合う人、そして本当に信頼できると感じられる人を選ぶことが重要です。
焦らずに一歩立ち止まり、十分に納得してから決断することが、後悔しない美容医療につながります。


