ヤナガワクリニック院長 やながわ 厚子先生へインタビュー。長年の経験に基づく確かな技術で、患者さまの美に寄り添うやながわ先生。大阪・心斎橋駅の近くにある「ヤナガワクリニック」で、あらゆるニーズに応える厳選した治療を提供しています。飾らない人柄と医療や患者さまへの真摯な姿勢が、やながわ先生の魅力。日々の診療はもちろん、学会発表やセミナー講師など、国内外で広く活躍されています。今回は、やながわ先生に医師を目指した背景や患者さまとの向き合い方、今後の目標など、詳しくお話を伺いました。
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ドクターズプロフィール
ヤナガワクリニック 院長
やながわ 厚子(あつこ)先生
形成外科で研修したのち、複数の美容クリニックで経験し研鑽を積み、2007年大阪堺筋本町に美容外科・美容皮膚科・形成外科「あつこクリニック」を開業。その後心斎橋に移転し「ヤナガワクリニック」に名称を変更。「私自身が受けたい、または受けている治療を皆様に提供したい」をコンセプトに、患者様のあらゆるニーズに応えるさまざまな治療で笑顔を引き出すサポートをしている。
(経歴) 1999年 愛知医科大学医学部卒業、大学病院形成外科にて研修 2002年 医誠会病院 形成美容外科 勤務 2003年 恵聖会クリニック 勤務 2006年 さかえクリニック、芦屋ベンクリニック 勤務 2007年 ヤナガワクリニック 開院 (所属学会等) 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本美容外科学会(JSAS) 日本美容皮膚科学会 臨床美容再生医療学会 理事 TESSLIFT SOFT(テスリフトソフト)認定指導医 ガルデルマ社認定指導医 など 各社KOLを多数務める |
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医師としての背景 ~父の大病で目の当たりにした医師のすごさ~
―――まず初めに、医師を目指した理由を教えてください。
父が歯科医で長女だったこともあり、当然のように跡を継ぐものとして育てられたので、子どもの頃は歯科医以外の選択肢を考えたこともありませんでした。転機は高校生のとき。歯学部受験を見据えて部活を辞め勉強に集中していたタイミングで、父が大病を患ったんです。両足が腫れあがり足も曲げられない、そんな状態でも仕事をしていたのですが、ついに仕事もできないほどになり…。阪大病院に入院となり「持ってあと1週間です」と余命宣告を受け、まさかそこまでとはと驚きました。
そんな中、アメリカで骨髄移植を研究していた先生がたまたま帰国されていて、父の主治医となり、骨髄移植をして奇跡的に回復するに至ったんです。同じ病気で亡くなった方も身近にいる中、退院してこれまで通り働けるまでになり、医学のすごさを目の当たりにしました。同時に医師という仕事に興味を持ち、歯学部ではなく医学部に進学することを決めたんです。
―――それはまさに転機ともいえる経験ですね。医学部卒業後、形成外科を選ばれたきっかけは?
もともとは、婦人科と皮膚科、形成外科を希望していました。医局を選ぶにあたって最終的に形成外科を選んだのは、大学時代に受けたレーザー治療がきっかけでした。私はずっと乗馬をしていたので、真っ黒に日焼けをしており、顔にも大きなシミができてしまっていました。大学病院でレーザー治療した直後はきれいになり喜んでいたのですが、数ヶ月経つとすごく濃くなってしまったんです。これは炎症後色素沈着という一時的な症状で、今でこそ理由は分かりますが当時は疑問に思いました。半年~1年かけてシミが薄くなっていき、その経過がすごく面白いと感じたんです。授業も大変興味深く、形成外科の医局に進むことを決めました。
愛知医科大学卒業後そのまま残りたかったのですが、形成外科の受け入れはなかったため、地元大阪の「関西医科大学病院 形成外科」に入局しました。同期もおらず環境に慣れるまで非常に苦労しました。本当は形成外科専門医の資格を取るまで頑張りたかったのですが、同時期に出産し子育てに集中したかったこともあり医局を去ることに。そのタイミングでたまたま、先輩の先生が大阪で分院を開設されるということで、週に何日か働かせていただくようになりました。
美容医療への情熱 ~見て学ぶ環境で自己研鑽し美容医療を探求~
―――そうしてリセットをしたのちに、美容クリニックで働くようになったのですね。美容医療に興味を持った理由は?
大学生の時に経験したシミ取り治療も理由の1つですが、今思えば小学生の頃から美容って面白いという意識がずっとありました。小学生のとき、新聞配達の方からもらった「高須クリニック」の冊子にある美容施術後のビフォーアフターを眺めるのが好きだったんですよね。また、美容感度の高い母のもとで育ったことも影響していると思います。
―――美容医療を提供するにあたり、大変だったことはありますか?
私は基本的にどの治療も教えてもらっていないんです。当時は見て学べというスタンスの医師がほとんどで、教えてもらえないことが当たり前の根性論の時代でした。1~2回教えてもらっただけであとは実践ということも少なくありませんでしたが、自分で考えてやらなければならない環境に置かれたことで成長にもつながりました。入職した美容外科クリニックでは、多くの症例を経験させていただきましたね。
私が今やっている注入治療も、自分なりに勉強してやり方を探したオリジナルの方法です。打ち方を教わっていないので、多分正式なやり方と違うと思います。良いと言われている治療があれば、自分の足で情報を取りに行くことが基本でした。
ある美容クリニックではクレーム対応もして、大変でしたが良い経験になりました。大きな手術には、どうしてもトラブルはつきものです。初めて会った患者さまに怒鳴られるなんてこともありましたが、もともと探求心が強いタイプだからか対応を続けているうちに納得いただける対処法も編み出せるようになりました。この経験は開業後も役に立っています。
やながわ先生の強み ~厳選した治療のみを提供し患者さまと真摯に向き合う~
―――「ヤナガワクリニック」はやながわ先生自身が受けたい、もしくは受けている厳選した治療を提供していらっしゃいますが、患者さまに対して大事にしていることを教えてください。
美容クリニックの中には売上を重視し、患者さまにオペ台で初めてお会いするというケースもあります。決してそれを否定するわけではありませんが、私は患者さまともっと話をして美容医療を受けたい理由を把握して、きちんと提案してあげたいなと思ったんです。だからこそ、私のクリニックでは患者さまとのコミュニケーションを重視。必ず目線を合わせて患者さま一人ひとりとしっかりコミュニケーションが取れるようカウンセリングの時間を長めに取り、納得いただいたうえで安心して治療できるように努めています。
「ヤナガワクリニック」は、患者さまと一緒に年齢を重ねていけるクリニックにしたいと思っていて。一生のお付き合いになるかもしれない患者さんに変なことはしたくないので、取り入れる治療はまず自分で体験し、良いと思った治療のみを提供しています。
―――やながわ先生の患者さまと真摯に向き合う姿勢にはどのような背景があるのでしょうか。
たぶん父親の影響もあると思いますね。歯科医の父は自分の歯を大切にする方針で治療をしていて、要は一番儲からない歯医者さんなんです(笑)患者さまがいるからこそ自分たちの生活があるとよく言っていましたし、勉強している姿もよく目にしました。どんなときでも笑顔で患者さまを迎え入れる父の姿を小さい頃からずっと見てきたので、患者さまとのコミュニケーションのベースは父から受け継いでいる気がします。
必要のない施術はお断りしたり第三者目線で気になるところをはっきりと伝えたりと、私も父と同じでお金儲けは下手だなと思いますね。もちろん売り上げを意識することも経営者としては必要だと思いますが、患者さまを大事にするという自分の想いを明確にしているからこそ患者さまがついてきてくださったのかなと思っています。「ヤナガワクリニック」は現在17周年を迎えたのですが、オープン当初からずっと通ってくれて80歳を超えている患者さまもいらっしゃいます。長いお付き合いができてライフスタイルのさまざまな変化にも触れられるのはうれしいですね。
―――やながわ先生の得意としている施術について教えてください。
注入系の施術や糸リフト、肌育治療など、オールマイティにできるようにしています。不自然な仕上がりではなく肌を土台からきれいにした自然な若返りが理想的。だからこそ、私はコンビネーション治療に注力しています。たとえばシミが気になっている患者さまがいても、シミから治療しないんです。まずRF治療や内服薬である程度土台を整えてから、レーザーでシミを治療します。RF治療で肌の土台が整えば素肌にツヤが出るし、レーザー治療のパワーも低くでき肌への負担も少なく済む。結果、患者さまの満足度も高くなります。
どんな治療も肌の土壌が整っていないと思うような効果につながらないことも少なくありません。一部の肌悩みにフォーカスするのではなく、一人ひとりの状態に合わせてトータルで治療していくことが、結果につながるポイントです。
今でこそコンビネーション治療が定着しましたが、私は開業した当初からコンビネーション治療を提供していました。あつこセレクトをメニュー化したのも、もう8年ほどとかなり前から。たるみに悩んでいるなら「たるみセット」というように明確に悩みを提示した方が患者さまも分かりやすいかなという話になり、好評だったのでそのまま継続しています。
―――「ヤナガワクリニック」の今後の目標はありますか?
毎日コツコツ、変わらない技術を提供し続けることですかね。5年後、10年後のクリニックのやり方を考えることはありますが、未来のことはあまり考えず『毎日をきちんと終わらせる』ことをモットーに生きています。クリニックを今のまま続けていけるかなんて誰にも分からないからこそ、その日来院される患者さまをきちんと診て、トラブルなく無事にお帰りいただくことが最重要課題だと思っています。寝るときに「あのときこうすれば良かったな」と思わないよう、その都度全力を尽くす。だからこそ、今日までクリニックを続けていられるのだと思いますね。
また、情報発信が大事なのは承知のうえですが、知的財産である知識や技術についてはSNSやブログで発信しなくなりました。自分の本心は言葉にしてもうまく伝わらないから、目の前の患者さまをきちんと診て、来てくれた患者さまに届けばそれで十分かなって思っています。
美容医療の課題 ~医療を提供する医師の人間性を高めてより良い医療を提供~
―――やながわ先生が考える美容医療業界の課題は何だと思いますか?
結局は先生の人間性だと思いますね。形成外科や皮膚科などほかの診療科で経験を積んだ先生も、医師免許を取得してすぐに美容業界で研鑽する先生も、きちんとしている方もいればそうでもない方もいる。美容医療は自由診療で患者さまとの関係性が重要だからこそ、コミュニケーション能力やふるまい、態度などの人間力が大事だと思います。人間性を高めてより良い医療を提供していければ良いのではないでしょうか。
若手医師に向けて伝えたいメッセージ ~医師としての基本である診療を大事に~
―――若手医師にメッセージをお願いします。
医師は人を診る仕事です。自由診療だからこそ宣伝や情報発信も重要ですが、それだけでなく目の前にいる患者さまに興味を持って、きちんと診療してあげて欲しいなと思いますね。あとは、診療・治療を大事にしてほしいこともお伝えしたいです。私は今でこそ学会やセミナー関連の活動に積極的な医師というイメージがついているようですが、基本的には診察が一番好きなんです。診察して治療するという大前提があるからこそ、発表につながります。毎日診療・治療をして夜中にスライドを作成して発表しているという感じなので、その順序は間違えてほしくないなと思いますね。