- MINI CLINIC院長 桐渕英人先生にインタビュー。「MINI CLINIC(ミニクリニック)」は2024年5月の開院当初から“整形感のない美容施術”で話題を集めました。自然な仕上がりで一人ひとりのコンプレックス解消を目指しているのが特徴です。今回は、形成外科専門医としての美容医療へのこだわりや、目元整形の腕を磨くに至った背景など、先生が持つ美容医療への想いや高い技術のルーツに迫ります。
INDEX
ドクターズプロフィール
MINI CLINIC 院長
桐渕 英人(きりぶち ひでと)先生
「杏林大学付属病院」での臨床研修ののち、同大学病院の形成外科、「埼玉医科大学総合医療センター」形成外科、「福岡大学病院」形成外科で研鑽を重ねる。2017年に「大塚美容形成外科」に入職し、本格的に美容医療の道へ。「湘南美容クリニック」、「Zetith Beauty Clinic(ゼティスビューティークリニック)」での経験を経て、2024年に「MINI CLINIC(ミニクリニック)」を開院。目元における“整形感のない美容施術”を強みに、多くの人々が自信を持って人生を歩めるよう、美のサポートをしています。
(経歴) 2010年 杏林大学付属病院臨床研修 2012年 杏林大学付属病院形成外科 入局 2015年 埼玉医科大学総合医療センター 形成外科 入局 2016年 福岡大学病院 形成外科 入局 2017年 大塚美容形成外科 入職 2019年 湘南美容クリニック 入職 2021年 Zetith Beauty Clinic 入職 2024年 MINI CLINIC 開院 (資格) 日本形成外科学会認定 形成外科専門医 |
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医師としての背景 ~美容医療への憧れから形成外科専門医に~
―――桐渕先生が医師を目指した背景や、美容医療業界に興味を持たれたきっかけをお聞かせください。
私が美容医療に興味を持つようになったきっかけは、小・中学生の頃にお世話になった家庭教師の存在でした。先生は当時医学部の学生で勉強を教える傍ら、ことあるごとに美容整形の魅力を語ってくれる方で。美容整形手術で目を大きくしたり、鼻を高くしたり、小顔にしたりできると聞き、「美しさって作れるんだ」と衝撃を受けたことを覚えています。
その後、高校時代は格闘技に明け暮れていましたが、いざ進路を決める段階で美容ドクターの選択肢が頭に浮かび、目指すことにしました。私の場合は、美容に関わりたくて医師になった典型的な例ですね。
医師となってからは、まずは日本形成外科学会認定 形成外科専門医として「杏林大学付属病院」形成外科や「埼玉医科大学総合医療センター」形成外科、「福岡大学病院」形成外科で経験を積みました。その後、「大塚美容形成外科」、「湘南美容クリニック」、「Zetith Beauty Clinic」で本格的に美容外科ドクターとして従事しました。ちなみに、「湘南美容クリニック」に入職した際に、子供の頃の家庭教師の先生と再会するという驚きの出来事も!メンターとも言える人生の先輩が美容外科ドクターとして大変な活躍をされており、「私が目指していたものは正しかったんだ」と大変感慨深かったですね。
―――美容外科医を目指すにあたり、風当りが強いと感じた経験や苦労はありましたか?
大いにありましたね。私が研修医だった当時は、美容外科や美容クリニックに対して負のイメージが強く、整形手術は“コッソリと受けるもの”といった風潮があったように思います。そのため、形成外科に限らずほかの医局の先生方からも「美容外科医を目指すのはどうなの?」と言われてきました。
私は、当初から美容外科医になるために形成外科医を目指しました。自信を持って美容整形手術をするには、基礎や経験を積む必要があると感じたためです。しかし、実際に形成外科の見学で先生方へそれを伝えたときの反応は、決して良いものではありませんでした。「最終的に美容外科に行くなら、うちに来なくていいよ」みたいなことは、よく言われましたね。そのような対応の病院が多いなか、「杏林大学付属病院」の形成外科は一定期間きちんと従事することを条件に、希望するなら美容も教えてくれるということだったため、入局を決めました。
―――困難な状況においても心折れることなく、一途に美容外科医を目指せた理由は?
大学病院時代は雑務も含めて仕事量がかなり多く、それらを終わらせるために夜11時ごろまで医局に残るのが当たり前。なかなか寝られず体力的にも辛い日々でした。先輩の先生方からのアドバイスや同期たちとの励まし合いにより、なんとか乗り越えられたという感じです。形成外科の同期や後輩ドクターのなかには「公表してはいないけれど、実は美容医療を目指している」といった方々もいて、どこのドクターの技術が参考になる、どこのクリニックが人気、など情報共有もしていましたね。
―――形成外科時代から、美容医療に関わる機会はありましたか?
「杏林大学付属病院」時代は、地方の病院の形成外科・美容外科でお手伝いをさせていただく形で、ボトックス注射やヒアルロン酸治療に携わりました。そのほか、大学病院に従事する傍ら、アルバイトとして美容クリニックで働く機会もありましたね。「埼玉医科大学総合医療センター」にいた頃は、大宮の「湘南美容クリニック」と繋がりがあり、週1回ほど通っていました。そこで大手の良さを肌で感じたことも、後々入職先として選んだ理由の1つです。
美容医療への情熱 ~“人生が変わった”と思える瞬間を提供したい!~
―――「MINI CLINIC」では“人生を変える、体験を。”というメッセージが印象的ですが、どのような想いが込められているのでしょうか。
私は美容外科医を目指し始めた頃から、漠然と美容医療のすごさを感じていました。見た目が変わることで気持ちも前向きになったり、他者とのコミュニケーションにおいて積極的になれたり、自信を持って仕事に取り組めたり…。美容施術は“できる”を増やし、人生に良い影響を及ぼすんです。そんな美容医療への印象は「MINI CLINIC」を開院した現在も変わりません。
新しい服やおしゃれな服を着て外を歩くといつも以上に楽しい気分になるように、自分が綺麗な状態だと自信を持てます。そんな自信にあふれた状態は、素肌からも作れるんです。そして自信がつけば、前向きに生きられます。コンプレックスによって「あまり楽しい人生ではないな」と感じている方が、美容整形を受けることで前向きになり、「人生が変わったな」と思えるような瞬間を提供したい。そんな想いを込めて「MINI CLINIC」では“人生を変える、体験を。”と銘打ちました。
―――形成外科専門医であることは、美容医療にどう活きていますか?
よく言われることですが、形成外科の経験があると整形手術や治療で不測の事態が起きたときにリカバーできます。形成外科で基礎を積んだからこそ、教科書的な内容を超えた知識や経験から分かる部分が多いんです。整形手術では稀に思ってもみないことが起こります。そんなときに「この事態はこれが原因だから、ここを縫い合わせてほかの部位からちょっと寄せてこよう」というように、ご希望の形に向けて修正できます。
目元整形へのこだわり ~一人ひとりの魅力あふれる自然な目元へ~
―――桐渕先生は目元の整形手術を得意とされていますが、なぜ目元に注力する理由は?
顔の印象は目・鼻・輪郭の印象で変わるため、そこは意識していましたが、実は目元整形を選んだ背景に大きな理由はないんです。専門を作って極めようと考えだしたのは「Zetith Beauty Clinic」に在籍していた時期。鉄 鑠(てつ そう)先生が鼻に関わる施術を専門とされており、これまでの経験も踏まえて自然に目元を極めたいという考えに至りました。
そんな経緯で力を入れ始めた目元整形ですが、やればやるほど奥深さが分かり、今はとても面白い分野だと感じています。目元の整形手術は、同じ施術でも人によって得られる結果が全く違うんです。施術効果の表れやすさにはかなり個人差があり、例えば眼瞼下垂(がんけんかすい)に対応した目を開くような手術は、同じ部分で留めても人によって仕上がりが異なります。同じ方でも右目と左目で結果の表れ方が異なるほど。施術前から予測できない部分もあり難しい技術ですが、だからこそ深みを感じます。
―――ご活躍の背景には、どのような秘訣があるのでしょうか。選ばれ続けるために意識されていることは?
私自身がこだわりをとことん追求し続けていることが秘訣かなと思います。“上手な施術”だけでなく“いかに自分のカラーを出していくか”に注力し、「任せていただいたら、こういう形に仕上がるよ」と私の好み・強みを全面的にアピールしています。“整形した感”を出さない仕上がりが好きなので、そこが売りですね。
私は、いかにも“整形した感”を出すのはご本人のためにならないのでは、と考えます。中には「整形顔になってもいいからできる限り目を大きくしたい」という方もおられますが、やりすぎ感が出て、直接言われないとしても周囲の方に引かれてしまうリスクがあると思うんです。私は、丁寧にカウンセリングをしてご理解いただいたうえで、「目を整形している」と思われないような形を目指し、細心の注意を払いながら施術をします。それが、患者さまに選んでいただけている要因でもあると感じています。
―――桐渕先生がこだわる“整形した感”を出さない仕上がりは近年トレンドだそうですね。
そうですね。“変化はさせたいけど、美容整形をやった感は出したくない”といった人がかなり増えていると肌で感じています。メイクをしたり、髪を切ったり、そんな行動の延長線上に美容整形が位置するようになってきたのではないでしょうか。
以前は、美容整形を好まれるのは夜のお仕事をされている方がメインでした。「暗い店内では整形感がある方が派手に見えて良い」という考えのもと、比較的極端な仕上がりが流行っていたんです。しかし、現在は自然な形がトレンドになりつつあります。それだけ、美容整形が人々に浸透し、手術を受ける層が一般化してきたということでしょう。
美容医療業界の今後の動向と期待 ~一般の方にもっと美容整形を知ってほしい~
―――今後の美容医療業界に期待することは?
美容整形は日本ではまだまだ敷居が高い存在かな、と思っています。美容大国の韓国までとは言いませんが、できればもう少し一般の方にも美容整形のことを知っていただきたいです。
美容整形に関しては、現状は利益追求型のクリニックも少なくありません。高すぎる対価を求める、仕上がりに患者さまの要望を反映させないといったドクターが減り、患者さまに寄り添った施術・サービスを提供できるドクターが増えたらいいなと思いますね。理想の形態を目指し、「まずは自分から」との思いで開院した次第です。
―――「MINI CLINIC」が目指す形態とは、具体的にどのようなものでしょうか。
私は“過度に飾らない”、できるだけ機能に特化したクリニックを意識しております。例えば、部屋の数は最小限に、患者さま同士ができるだけ顔を合わせることのないよう動線を考え、気持ち良く施術を受けていただける環境を重視しました。「MINI CLINIC」の名に則り最小限の規模でありながら、最大限のサービスを提供するというコンセプトを大切にしています。
私が掲げる“人生を変える、体験を。”には、施術で人生を変えるだけでなく、クリニックにお越しいただくこと自体を心に残る体験にしたい、といった意味も込めています。良いサービスを提供し、「ここだったら通ってもいいかな」「あのクリニックよりこのクリニックで施術を受けたいな」と心に留めていただくことが目標です。そのため、ホスピタリティや価格設定、術後のアフターケアも含めてすべて患者さまの目線でとらえ、気持ちよく通っていただけるような対応を心がけています。患者さまにできるだけ感動的な体験、ひいては人生を変える体験を味わっていただきたいですね。
―――美容医療業界全体の発展に向けて、寄せる想いや先生が取り組まれていることをお聞かせください。
私はまだ何かを教えられるような立場ではなく、とてつもない技術を隠している、というわけでもありません。“誰でもやろうと思えばできること”をひたすら積み重ねているだけです。それを前提として語らせていただきますが、業界として技術を隠す体質がいまだに残っていると感じることもあります。新しい技術を“隠さざるを得ない”立ち位置の先生方がいることも理解できます。
しかし、最近はCreation Lab*(クリエイションラボ)をはじめ、技術やスキルを積極的に発信する場も増えてきました。オープンな先生が増え、すごく良い傾向にあると思っています。私も積極的に新しい技術を取り入れ、より良い美容医療を提供できるよう努力しているところです。
* Creation Lab…聖心美容クリニック銀座院 院長 牧野陽二郎先生、BIANCA CLINIC 堀田和亮理事長、加藤クリニック麻布/東京警察病院の播摩光宣先生が主催する、医師同士が自由に意見を交わせる外部合同勉強会の名称。
桐渕先生からのメッセージ ~満足のいく治療を受ける・提供するために~
―――記事をご覧の読者へ向けてメッセージをお願いします。
私のもとには、キラキラと輝くようなSNS投稿を重ねる美容クリニックに通って後悔し、ご来院くださった患者さまが多くおられます。そうした患者さまからは、「実際はSNSとは違った」「稀な成功例が掲載されているだけだった」といった言葉が多く、“マーケティングが上手いクリニック=良いクリニック”ではないことが如実に感じ取れます。
美容医療や美容整形を受ける際は、SNSの情報だけで判断せず、いろいろな先生の症例をよく見てクリニックをお選びいただけたらと思います。きちんと見極め、満足いくクリニックに出会っていただきたいですね。
―――結びに、美容医療や美容整形に関わる若手医師へ向けてメッセージをお願いします。
私からは、形成外科専門医は取っておいた方がいいとお伝えしたいです。私自身、研修医が終わるタイミングで大手の美容クリニックに見学に行った経験があり、そこでさまざまなお話を伺いました。魅力的な金額を提示され、入職を打診されたこともあります。
そんな中で印象に残っているのが、「形成外科出身のドクターはデザインへのこだわりが強い先生が多いけど、実際はそこまで追求しなくても大丈夫だよ」という言葉です。“その手術には1つの型しかないから、仕上がりに力を入れる必要はない”といった意図と受け取りました。現場では「研修医が終わってすぐに美容外科に入れば、形成外科に進む医師より5年長く経験を積めて施術が上手くなる」と言われることもあるようです。
しかし経験上、形成外科専門医としての基礎は大変重要だと確信しています。基礎を積まずに応用を重ねる方法では洗練された技術が身に付かず、良い治療はできません。形成外科で経験を積むことで、トラブルが起きた際に自分でリカバーする力も身に付きます。「患者さまにとってのベストを追求しよう」という想いがあるならば、形成外科専門医として基礎を固めておくと良いのではないでしょうか。