今泉スキンクリニック 今泉 明子先生にインタビュー。今泉 明子先生は、大手製薬会社の注入指導認定指導医として認知拡大に貢献した、注入治療の第一人者としても知られています。現在は「今泉スキンクリニック」で治療を提供する傍ら、講演会やセミナーなどで積極的に正しい美容情報の発信にも注力。今回は、美容医療への情熱や渡米により得た気づき、これからの課題やビジョンについて詳しくお話を伺いました。
INDEX
ドクターズプロフィール
今泉スキンクリニック 院長
今泉 明子(いまいずみ あきこ)先生
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医として保険診療の経験を積んだのち、美容医療を学ぶため渡米。米国大手化粧品メーカーとペプチドについての共同研究にも携わる。帰国後「東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage(ノアージュ)」の院長を勤め、世界的製薬会社であるアラガン・エステティックス(旧アラガン・ジャパン社)、ガルデルマ社の注入指導認定指導医として、注入治療の認知拡大に貢献する。2018年に東京・六本木に「今泉スキンクリニック」を開院。幹細胞成分であるヒト角化細胞順化培養液を配合した化粧品『THE A(ジ・エー)』の開発や、正しく安全性の高い注入治療の啓蒙活動など、日本の美容医療発展のために邁進している。
(経歴) 2001年 日本赤十字社医療センター 皮膚科勤務 2004年 聖マリアンナ医科大学 大学院卒業、ワイル・コーネル医科大学(ニューヨーク州)皮膚科学教室勤務 2007年 東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage 院長 2018年 今泉スキンクリニック開院、東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニック特別顧問 (所属学会) 日本皮膚科学会 日本美容皮膚科学会 国際美容外科学会 日本小児皮膚科学会 日本皮膚免疫アレルギー学会 |
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医師としての背景 ~アトピー性皮膚炎の経験が医師の道を目指すきっかけに~
―――まずは、医師になった背景を教えてください。
もともと父が医師だったこともありますが、志したのは子どもの頃の体験が大きく影響しています。幼少期からアトピー性皮膚炎がひどくずっと病院通いをしており、医療は周りの方よりも身近でした。
通院するもなかなか良くならないアトピー性皮膚炎には長く悩まされており、何をするにもかゆくて勉強するにも集中力が続かないなど、とにかく辛かったんです。「アトピー性皮膚炎を治したい、悩む方を減らしたい」という想いから、医師を志しました。
―――すぐに皮膚科医を目指されたのでしょうか?
いえ、実は医学の勉強をはじめてからは、皮膚科ではなく血液内科に興味を持ったんです。当時は骨髄移植が始まり、白血病の患者様を救える選択肢が増えたタイミングでした。しかし、血液内科で診る病気の多くが、皮膚にも症状が現れることがわかって。皮膚科は目に見える症状だけでなく、皮膚病変から隠れた病気を見つけ出すこともある、全身を診る診療科です。患者様そのものを診るという点が自分に合っていると感じ、“皮膚から全身を診る皮膚科”で研鑽を積むことに決めました。
美容医療への情熱 ~保険診療の限界を感じ美容医療の扉を叩く~
―――今泉先生が保険診療から自由診療をするようになったきっかけは?
「日本赤十字社医療センター」で勤務していた頃、すごく忙しかったこともあり顔中にできたニキビに悩まされるようになったんです。それに、アトピー性皮膚炎も思ったように治っていませんでした。ニキビやアトピー性皮膚炎は保険診療で治療し症状を治めることはできますが、特に私がつらかったのはニキビやアトピー性皮膚炎でできた痕や赤みなど、症状が治まった痕の部分。しかし、ストレスの元となる跡を治す治療は保険適用外になるんです。男女ともに一番きれいでいたい時期にが残るとストレスになるし、気持ちが前向きになれないことだってある。メンタルに関わる跡の治療に携われないことに矛盾を感じるようになり、跡が治療できる医師になろうと美容医療を学ぶことを決めました。
―――それでニューヨークに行かれたんですね!留学を選んだのはどのような理由があったのですか?
当時の日本では、まだ今のように美容医療が浸透しておらず、海外と比べてすごく遅れていたんです。「皮膚科医が美容医療に携わるなんて!」という考えが大多数で、日本で美容医療を学ぶ場所はほとんどない状態でした。このままだと、皮膚に対する悩みが治らないままに皮膚状態がひどくなってしまう患者様が増えてしまう。「この状態を改善するには現状維持ではなく何かやらなきゃ」という強い想いに駆られ、皮膚科医が先進的な治療を行っていたアメリカで知識を身につけることを決めました。
アメリカでは皮膚科学の水準がすごく高くて、カンファレンスでも激しく意見がぶつかり合うことも多々あって最初はケンカしているのかと思いましたが、患者様のためにベストを尽くすという点では素晴らしい関係だと思いました。私自身、日本の大学を卒業して医局に入って大学院も卒業したのですが、日本とレベルの差を感じましたね。美容クリニックに勤めるほか、大学で皮膚の再生を研究するなど、アメリカには4年半くらい滞在し、価値のある時間を過ごしました。
―――ニューヨーク滞在中にどのような気づきがありましたか?
アメリカでは日本よりも美容医療がもっともっと身近なものでしたね。もちろんお金のある方が受ける医療ではあるのですが、アメリカだと皮膚科と美容医療のつながりがしっかりしていて、皮膚科の医師は当然のように美容も診ることができる。皮膚科と美容医療がつながっておらず、美容医療に批判的な当時の日本の医療を俯瞰してみることの出来る貴重な経験になりました。
加えて、医師、看護師、コメディカルなどすべての職種が対等であるということも学びました。日本はまだまだ患者様が医師に対して気軽に意見できない風潮があります。クリニックの医師も看護師も患者様も、関わるすべての人が対等な立ち場になれば、より良い医療の提供につながるのではないかと感じました。医師として日々診療にあたり大切にしているコンセプトでもある“3つのA”*は、スタッフや患者様と対等であるために、お互いに必要だと思うことを言語化したもの。仕事をするうえでぶれることがないよう、自分の中のルールとしています。
肌の土台を整える、いわゆる“肌育”の重要性を広めることも、日本に帰ってきてからの課題でした。ニューヨーク滞在中、クリニックと共同でペプチドの研究をしていたのですが、そこで分かったのは根本から直さなければ肌はきれいにならないということ。例えば、シミを取りたいのであれば毛細血管の拡張を収める、つまり赤みを治さなければシミは取れないんです。しっかりした土台がないと家が建たないのと同じように、肌もまずは土台を整えたうえで治療をすることがすごく大事。肌に関する正しい美容情報を発信してもらうために美容ライターさんとも仲良くなりました。こういうことも、ずっと日本にいたら気付かなかった感覚かもしれません。
*3つのA(3A)…今泉先生が大事にしているASK(患者様の話をよく聞く)、ASSESSMENT(お互いに評価し合いフィードバックを大切にする)、ATTENTIVELY(患者様の意見を尊重しながら治療方法を提案する)の言葉をまとめて3Aと表現している。
今泉先生の強み ~注入治療は、“三方良し”を叶える最高のツール~
―――今泉先生といえば注入治療の第一人者ですが、特化していくことになった背景を教えてください。
これはご縁だと思うのですが、「東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage」の上階にヒアルロン酸やボツリヌストキシン製剤の製造販売を手掛けるアメリカの製薬会社アラガン・ジャパン(現アラガン・エステティックス)の日本支部があった時期がありました。アラガン社の社員さんが受診してくれたり、共通の先生がいたりとつながりができて。注入治療に注力するようになったのは、A型ボツリヌス毒素製剤の承認を取ったばかりだったアラガン社から「一緒に認知を広げて安全な美容医療を提供しませんか?」と言ってもらったのがきっかけです。
当時、注入治療は特に決まった治療方法はなく医師個人の技術に頼っており、そこまで知られていませんでしたが、患者様も医師も製薬会社も三方良しになるのは注入治療だなと思ったので、始めるにあたり迷いは全くありませんでしたね。ただし、注入治療に限ったことではありませんが、やはり一番大事なのは安全性。医師としての責任を果たすためには、治療に使うものがどんなものなのかきちんと理解しておく必要がある。三方良しにするためにも、相手に不足はないと言ってもらえるように努力を重ねました。医局に講義に行ったり治療成果を学会で発表したりと、認知拡大のために尽力しました。始めこそ導入してくれる先生は少なかったものの、いろいろなシェア方法を試しているうちに少しずつ認知も広がり、注入治療がメジャーになっていたという感じです。シェアすることが自分自身の学びにもなりました。
―――今泉先生はオリジナルの注入手法「今泉式®」の開発者でもありますが、今泉先生の注入治療の特徴は?
ヒアルロン酸注入もボツリヌストキシン注射も、一人ひとり異なる顔立ちを魅力的にするため、脂肪や筋肉、肌状態を見極めて自然な仕上りになる黄金バランスを考慮して注入を行います。経験上、患者様の顔を見ると若い時の顔や老化の仕方が想像できるんです。5年後、10年後の未来を予測して予防的な治療をするのが私のやり方。いろいろな製剤を組み合わせ、一人ひとりに合った美しさを導き出していきます。
また、その方の最も魅力的だと思うパーツを変えないこともこだわりの1つ。例えば目が魅力的だけど加齢で下がってきたという場合には、元の自然な状態まで戻すことはありますが、大きくいじることはせず目をベースに顔を作っていきます。一度に大きく見た目が変わるような治療は行わないようにしています。
カウンセリングでは魅力的なパーツとそうでないパーツをはっきりお伝えしたうえで、アップグレードしていくべきポイントから治療するよう提案をさせていただいています。来てくださる患者様は基本的には皆さんハッピーになって帰っていただいていますが、中には「先生に私の言った通りにやってくれない」と言われることもありますね(笑)
今泉スキンクリニックの強み ~美容のかかりつけ医として真摯に患者様と向き合う~
―――現在は先生が院長を務める「今泉スキンクリニック」で多くの患者様に対応されていますが、貴院の特徴を教えてください。
「今泉スキンクリニック」の強みは、保険診療にも自由診療にも対応していることです。アトピー性皮膚炎の患者様も多く来られるのですが、アトピー性皮膚炎を保険診療で治して、そのあとに自由診療で跡や赤みを治すという選択ができます。アトピー性皮膚炎が治まって肌がきれいになると、肌トラブルから解放されて気持ちも明るくなり、彼氏ができて結婚したなんてうれしい報告をくれる患者様もたくさんいますね。こういうハッピーな話を聞けるのが美容医療の醍醐味で、やってて良かったと思いますし、“外見が変わると内面が変わる”ところが美容医療の最大の魅力だと思っています。
しかし、美容医療で理想の自分に近づけるからこそ、美容医療がやめられなくなってしまう方もいる。私は“美容のかかりつけ医”と言っているんですが、だからこそ、患者様の背中を押すだけでなく止めることもできる存在でありたいと思っていて。じっくりと患者様のお話を聞いたうえで治療方針を立て、年齢を重ねる患者様に寄り添っていくことをお約束しています。
美容医療業界の今後の課題と期待 ~教育に力を入れ日本の美容医療を底上げしたい~
―――今泉先生が思う、美容医療の課題を教えてください。
そうですね、勉強されている先生方もたくさんいますが、一方で勉強しない医師もいることに危機感を覚えています。SNSなどの風潮もあると思いますが、プロから見るとSNSで流行している医師と技術のある医師は必ずしも一致していないと思います。「無知は罪」という意識のもと、常に勉強する意欲や取り組みは医師として絶対に必要だと思っています。医師はもちろん看護師やスタッフも、知識があるに越したことはない。これからますます水準の高くなる美容業界で生き残ることができるのは、知識のなさを怖いことだと理解し、そこに危機感を覚えることのできる方ではないでしょうか。クリニックも製薬会社も患者様もハッピーという三方良しの形を叶えるには、まず自分の不足を知り謙虚になることも大切だと常に感じています。
―――今泉先生の今後のビジョンと日本の美容医療に期待していることを教えてください。
1人でも多くの患者様が安全に治療していただけるよう、やはり今後も美容医療に対する教育という点に力を入れていきたいです。私は、志がある方にはしっかり寄り添っていきたいと思っているので、美容医療を学べる場を提供するために「AMA;Aesthetic Medical Academy エステティックメディカルアカデミー」を立ち上げました。この機関は、JSAS(日本美容外科学会)公認の教育機関であり、基礎的な解剖学から最新の技術など海外の講師を招聘するなど定期的にセミナーを行ったり、有害事象対策に関するwebサイトを運営したりしています。医師だけではなく、医療従事者であればどんな職種の方でも入って学んでいただけるような場所を整えていきたいと思っています。
日本の美容医療の水準ってすごく高いんですよ。すごく器用で繊細で。その水準を保ちながら、やりすぎない日本らしい美容医療を世界に発信していけるようになってほしいなですね」。
読者や患者様に向けて伝えたいメッセージ ~内面にも影響を及ぼす美容医療の魅力~
―――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
老若男女問わず、きれいになるということはすごくハッピーなことです。外見が変わると内面が変わる、これが美容医療の大きな魅力。きれいになることで内面にも影響を与える様を、ぜひ多くの方に体験してみていただきたいです。ただ一方で、治療にはリスクもあるという点もきちんと認識しておくことも大切。本当に必要なものをきちんと提案してくれる“美容のかかりつけ医”を見つけていただければと思います。
―――ありがとうございます。若手医師にも一言いただけますでしょうか?
若い先生方には、たくさんの可能性があると思っています。だからこそ、医療に対しても患者様に対しても、謙虚であることを忘れないでほしいです。謙虚に学び続けることが自分をアップグレードすることにもつながりますし、真摯に患者様に向き合う謙虚な姿勢が信頼関係を作っていく。謙虚なスタンスを持って、ぜひ努力を続けてください。
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【治療の内容】
・ヒアルロン製剤の注入
【採用薬剤】
・ジュビダーム®シリーズ(アラガン社)
・レスチレンシリーズ(ガルデルマ社)
【治療期間および回数】
・6ヶ月〜1年に1回程度
※使用製剤・施術目的によって個人差があります
【費用】
・1cc:¥88,000
・2cc(同日施術の場合):¥167,200
・3cc(同日施術の場合):¥214,500
・ヒアルロン酸分解剤(ヒアルロニターゼ)¥66,000
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【リスク・副作用等】
・内出血、かゆみ、痛み、腫れ、むくみ、しこり、アレルギー反応、血行障害、チンダル現象など
【注意事項】
・次に該当する方は安全性の面から本治療をお受けできません。
-妊娠中の方
-授乳中の方
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※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医薬品等であることについて】
・ヒアルロン酸注射およびヒアルロニダーゼ注入には、国内未承認の薬剤および薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、当クリニックの医師の判断のもと、個人輸入手続きを行ったものです。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参照ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・諸外国における安全性等に係る情報
-ジュビダームビスタ®シリーズ:「顔面の中等度から重度のシワや溝の修正」で国内薬事承認
-レスチレンシリーズ:FDA(米国食品医薬品局)の承認を取得
・重大なリスクや副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】
・ボツリヌストキシン製剤注入
【採用薬剤】
・ボトックスビスタ®(A型ボツリヌス毒素)
・NABOTA(A型ボツリヌストキシン)
【治療期間および回数】
・約6カ月に1回程度 ※効果の持続には個人差があります
【費用】
¥22,000~¥99,000
※部位・製剤・施術箇所の組み合わせなどによって個人差があります
【リスク・副作用等】
・赤み、軽い腫れ、軽度の疼痛、針穴の跡、内出血など
【注意事項】
・次に該当する方は安全性の面から本治療をお受けできません。
-妊娠中の方
-授乳中の方
-全身性の神経接合部障害のある方
-本剤の過敏症をお持ちの方
※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医薬品等であることについて】
・ボトックスの治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、当クリニックの医師の判断のもと個人輸入手続きを行ったものです。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認された薬剤を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-ボトックスビスタ®は「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情ジワ」で国内薬事承認
-NABOTAは米国FDA承認を取得
・重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。