【New Topics】「美容×内科」の可能性を拓く、第1回 日本美容内科学会総会の挑戦

 

美容医療の新たな幕開け 第1回日本美容内科学会総会開催!

2024年12月1日、東京ポートシティ竹芝 ポートホールにて、待望の「第1回 日本美容内科学会総会」が華々しく幕を開けました。
テーマは「美容医療の内科的アプローチの実際」にて、会場には、全国から集結した医療関係者、美容業界のプロフェッショナル、そして美容内科という新しい分野に情熱を燃やす参加者たちの熱気が満ち溢れていました。

会場の洗練された空間は、柔らかな照明とスタイリッシュな大画面ディスプレイに包まれ、来場者の期待を高める雰囲気が漂っていました。総会の冒頭では、医療法人晃和会 ウェルエイジングクリニック南青山の理事長であり、一般社団法人日本美容内科学会の理事長を兼任する青木先生による開会挨拶が行われ、美容内科が果たすべき役割とその可能性について力強く語りました。青木先生の理事長提言では「美容内科医療は、究極の予防医療につながる可能性を秘めた、人生100年時代に欠かせないものである」という言葉に、筆者も参加者一同も深く共感し、拍手が沸き起こる場面もありました。その挨拶は、美容医療の新たな方向性を提示するものであり、総会の華々しい幕開けを象徴する光景となりました。

会場内では、様々なブースが立ち並び、最先端の美容医療機器や内科的アプローチに関する資料が展示されていました。来場者同士が積極的に情報を交換する姿は、美容内科という分野の発展に向けた真剣な思いを感じさせた一幕でした。

出典:一般社団法人日本美容内科学会

〜GLP-1ダイエット、NMN点滴、エクソソーム点滴の問題点から考える〜

なぜ、今、美容内科の学会が必要なのか?

日本美容内科学会の設立は、美容医療が外見の改善にとどまらず、健康や予防医療の観点からも価値を持つ時代を迎えていることを象徴している。ウェルエイジングクリニック南青山の理事長 青木晃医師。 抗加齢医療の第一人者として知られる青木理事長は、会頭講演にふさわしい内容として、未承認薬の課題や現代の美容医療が抱えるリスク、そして倫理の重要性について議論が展開され、美容医療の未来を支える科学と倫理の重要性が力強く語られました。

たとえば、糖尿病治療薬として承認されているGLP-1製剤が痩身目的で乱用される問題。青木理事長は、これが本来の糖尿病患者に薬が届かない状況を引き起こしていることに懸念を示し、医師による適切な管理とエビデンスに基づく使用の重要性を強調。また、NMN点滴やエクソソーム点滴といった流行の治療法についても、未承認薬のリスクや安全性の欠如が問題視される中、学会がその安全性と科学的根拠を担保する役割を果たすべきだと述べた。

美容医療が新しい治療法や薬剤に飛びつきがちである現状に対し、「科学的なデータに基づき、安全で効果的な治療を提供することが美容医療の未来に不可欠である」と警鐘を鳴らしました。美容内科学会がこの分野の情報共有や教育の場を提供することで、医師たちが正しい知識と責任感を持って診療に臨む環境を築くことが期待されると筆者も感じた内容でした!!

美容内科学会の意義として、科学と倫理を融合させた未来志向の美容医療の在り方を深く考えさせられる内容となり、美容医療の新たなスタンダードを築く第一歩の幕開けとなると確信しました。

睡眠科学の最前線を語る!
柳沢正史教授による招待講演レポート

~睡眠科学の最前線から、社会実装への架け橋~

第1回日本美容内科学会総会での注目の招待講演は、筑波大学の柳沢正史教授による「睡眠の謎に挑む: 原理の追求から社会実装まで」となります。
柳沢先生は、2023年に睡眠研究の功績でブレークスルー賞を受賞したことでも知られており、最近ではテレビや他メディアにも多数出演。科学的知見をわかりやすく解説するスタイルが話題を呼んでいます。
会場は立ち見が出るほどの盛況で、柳沢先生の深い洞察と情熱に溢れた講義が、多くの参加者を魅了しました。その講義内容は、美容内科の分野にも直結する睡眠の重要性を改めて示すものであり、聴衆からも多くの賛同と感嘆の声が寄せらました。

出典元:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

柳沢 正史 先生(Masashi Yanagisawa)
所属:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長

睡眠の謎に挑む: 原理の追求から社会実装まで

【POINT】

✅筑波大学の柳沢正史教授が講演し、睡眠の基礎科学から社会実装までの幅広いテーマを展開。

✅睡眠の進化的意義や恒常性制御の未解明部分について解説し、新たな研究分野としての可能性を強調。

✅睡眠不足が健康や社会に及ぼす悪影響を指摘し、社会的支援の重要性を訴えるとともに、最新の睡眠測定デバイスを紹介。

  • 睡眠研究の最前線
    柳沢先生は、哺乳動物における睡眠の基本メカニズムや、クラゲのような中枢神経系を持たない生物でも睡眠様行動を取るという発見を基に、睡眠の進化的意義について詳しく解説されました。
    「睡眠は脳よりも古く発明された」という結論に至った研究は、会場内でも関心を強く引きつけた内容となりました。
  • 社会における睡眠の位置付け
    米国心臓学会(AHA)が健康の8要素に「睡眠」を加えたことを紹介し、睡眠が健康寿命に与える影響を強調。日本人が世界的に見ても睡眠時間が短いというデータは、医療従事者としての課題意識を指摘。
  • 実用化された睡眠評価ツール
    柳沢先生が代表を務める株式会社S’UIMINによる革新的な睡眠計測デバイスが紹介。使い捨ての簡易装置で脳波を計測し、高精度で睡眠状態を可視化するシステムは、多忙な現代人や睡眠障害のある患者の診断を変える可能性を秘めていることを示唆してくれる内容でした。「睡眠は悩むより、測ろう」

    睡眠と美容の密接な関係

    柳沢先生は講演内で、睡眠と肌の健康の関連性についても解説。特に、慢性的な睡眠不足が肌の状態に悪影響を及ぼす点について具体的なデータを示しました。
    睡眠不足によって皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や炎症のリスクが高まること、また細胞の再生プロセスが阻害されることで老化が進行する可能性がある
    ことが明らかにされています。これらの知見は、美容内科での診療や患者への指導において、睡眠の重要性を再認識させるものでした。


    柳沢先生の講演を通じて、睡眠が生物学的にいかに重要であり、その解明が現代科学においていかに優先度の高い課題であるかが示されました。同時に、最新技術を活用した社会実装が、個々の健康寿命を延ばし、社会全体の幸福度を向上させる可能性を秘めていることも明らかになりました。科学の進歩とその社会的貢献が調和する未来への展望が、会場全体を熱気で包み込む瞬間が印象的でした。

 

抗加齢・美容医療における健康(自律神経・腸内環境)から学ぶリスク管理~守りの美学

出展元:順天堂大学スポーツ医学研究室

順天堂大学医学部 病院管理学総合診療科の小林弘幸教授が特別講演に登壇し、美容医療におけるリスク管理の重要性と、健康を支える具体的な方法について語りました。小林教授は、良好な自律神経バランスと腸内環境が健康と美容の基盤であると説明。ストレスや生活習慣の乱れがこれらに及ぼす影響をデータを交えて解説し、健康な体が美容医療の効果を引き出すために不可欠であると強調されました。

健康基盤がもたらす美と安全な医療の未来

講演では、医療現場での事故やトラブルを防ぐための環境整備や教育の必要性について具体的な事例を交えながら議論される内容となった。転倒や誤薬といったリスクを減らすためのマニュアルの限界に触れ、その改善策についても詳しく解説された。また、日常生活での腸内環境の整備がストレス管理やメンタルヘルスの向上につながり、それが医療事故のリスク軽減にも寄与することが示されました。

さらに、予防と美容医療の連携の重要性も提言され、腸内環境を整える食生活や適切な睡眠が美容と健康を両立させる鍵であるとのメッセージが共有された。「守りの美学」を通じて健康寿命を延ばす可能性についても触れられ、その重要性が強調される講演内容でした。

本講演は、多くの参加者の関心を集め、実践的な知識と具体的な対策を学ぶ機会となり、日常の取り組みと医療現場でのリスク管理の両面で多くのヒントを提供する内容でした!

【シンポジウム】
〜外科、皮膚科、内科、それぞれの専門医が教える美容医療の基礎の基礎〜

今日からはじめる美容医療

本シンポジウム「今日からはじめる美容医療」では、美容外科、皮膚科、内科といった各分野の専門医が、それぞれの視点から美容医療の基礎と実践について深く掘り下げた講演を行った。筆者が感じたのは、「美容医療は単なる外見の改善ではなく、全人的な健康や幸福感を追求する手段である」ということでした。

講演では、美容医療の安全性やリスク管理の重要性、ホルモン療法や栄養管理の役割、最新技術やデバイスの適切な選択方法、そして患者との信頼構築の重要性が強調されました。具体的には、皮膚や骨格の変化に応じた個別治療、エビデンスに基づく製剤の使用、ホルモン補充療法が肌の若返りや老化予防に寄与する可能性が示されました。また、漢方医学や迷走神経刺激療法といったアプローチを元に、美容医療がいかに多角的な取り組みであるかが明らかになりました。
各講演は、美容医療を始めるにあたり、技術だけでなく倫理観や患者への深い理解が欠かせないことを指摘したうえで、このように、美容医療は、科学と人間性を融合させた新しい医療分野であることが、本シンポジウムを通じて再認識されました!!

 

青木理事長は、「美容医療は単なる技術ではなく、患者のライフスタイルや幸福感に寄り添う全人的な医療である」「美容内科医療は、究極の予防医療につながる可能性を秘めた、人生100年時代に欠かせないものである」と再度強調。次回は歯科や整形外科、精神科、コメディカル分野を含む多様な視点から、美容と健康、予防医療を深く掘り下げることを目指すと語られました。

また、理事長自らが選び抜いたアンチエイジングを意識したシャンパーニュが振る舞われた懇親会では、参加者一人ひとりとの対話を大切にされる姿が印象的でした。このような場を設けることで、美容医療の未来を共に考え、温かな絆を育むそのお姿に、深い敬意を抱かずにはいられませんでした。

NERO編集長として参加した私も、講演や交流を通じ、美容医療が単なる外見の改善を超え、予防医療やライフスタイル全体を支える新たな医療分野であることを改めて実感しました。次回のシンポジウムでもさらなる発展が期待されます!!

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