【2024年4月21日】「日本美容内科学会」発足記念講演会が開催!!NERO取材班の直撃インタビュー
NEROも早速、参加してきました!!美容医療・抗加齢医療・再生医療それぞれの分野において第一線で活躍する理事・顧問医師らによる豪華な顔ぶれでした。世の中の突き詰めるべき「美」と「健康」の在り方が大きくパラダイムシフトを起こしていくことが感じられる内容だったので大変興味深かったです。本日はその内容をレポートしていきます。出典:一般社団法人日本美容内科学会
僭越ながら、突撃インタビューした先生方のコメントを一部ご紹介いたします!
※残念ながらここに記載できなかった先生方は追って取材したいと思います。
理事長:⻘木 晃 先生 (医療法人晃和会 ウェルエイジングクリニック南⻘山 理事⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
「2000年から自由診療でのアンチエイジング医療を始めています。きっかけは、母校である防衛医大同期生の石川浩一先生(現クロスクリニック銀座院長)の一言からでした。「脂肪吸引やフェイスリフトの手術、レーザーでのシミ取りなどの外からの美容治療をしても、ベースのライフスタイルが悪い患者さんでは、またしばらくすると元に戻ってしまう。青木、内科的なアプローチを手伝って欲しい。」、自分の専門は糖尿病などの生活習慣病を診る代謝・内分泌内科だったので、これはその専門性を活かせるなとピンと来たんです。
当時、美容内科という考え方がほとんどない時代に、内科的なダイエットやビタミン点滴、プラセンタ注射などを使った美容内科医療を始めたわけです。成長ホルモンなどのホルモンを使った総合ホルモン補充療法なども当時、アメリカから入ってきていましたね。美容内科の幕開けの時代でした。
あの当時から比べると、今は切らない美容医療が当たり前になってきて、美容内科的アプローチがすごく増えてきました。高濃度ビタミンC点滴、マイヤーズカクテル点滴、キレーション点滴、血液クレンジング、水素点滴などの点滴療法、GLP-1製剤、メトホルミンなどの糖尿病薬を使ったダイエット、(自己脂肪由来間葉系)幹細胞療法、幹細胞培養上清液やエクソソームの点滴…
外科や皮膚科はその治療効果(合併症や副作用も)が比較的早く出ます。内科はそうではありません。臨床におけるエビデンスや安全性が確立していない内科的治療に従来の美容医療のフィールドの一部のドクターたちは流行りものに飛びつくように取り入れてしまい、それがSNSによって瞬く間に広がってしまう。これは危険な状況です。
「内科的なアプローチをしっかり勉強してもらいたい。安心・安全で効果が実証された美容内科医療を医療従事者にはもちろんのこと、一般市民にも正しく普及させたい。」このような思いが強くなり、本学会を創設する次第となりました。
美容医療の3本目の柱としての美容内科をしっかり作り上げていくことが我々の使命です。」
副理事⻑:池田 欣生 先生 (東京皮膚科・形成外科 総院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
美容外科は一部の見た目を気にされる方がいますが、美容内科の観点は人類全員なんです。美容も含んだ健康長寿という考え方が、未来に向けて益々評価される時代となると考えています。
美容はまだ偏見はありますが、美容内科という健康にかかわる見方も含めると、子供からご高齢の方まで一緒にgymに行くなど、ウェルビーイングの視点もあります。これから美容内科としての健康情報は、年齢関係なくみんなで楽しみながら進んでいけることを期待しています。
副理事⻑:岩本 麻奈 先生 (グランプロクリニック銀座 理事⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
私は美容内科学会に、専門分化から統合的なアプローチへの進化を期待しています。内科の深い知識を、病理だけではなく栄養、健康科学といった分野と融合することで、より効果的な治療が可能になります。また、腸脳皮膚相関やマイクロバイオーム、遺伝子のメチル化など、すでに海外で長年に渡り注目されるテーマを取り入れ、グローバルな研究動向に即応することが重要です。言語の障壁を超え、デジタルトランスフォーメーションを推進することで、美容内科が各科のプラットフォームとなり、患者の全体的な健康と美を支える重要な役割を果たすことを願っています。
副理事⻑:斎藤 糧三 先生 (斎藤クリニック 院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
多くの学会は製薬サイドやアカデミックサイドの考え方がありましたが、青木理事長も仰っていましたが、長い年月を掛けて臨床した経験があるからこそ、安心に安全にかつリスクも踏まえた視点から、常に新しい治療を患者目線で届けられるというところが他の学会とは大きく異なる点かと考えています。多岐にわたる他先生方との横のつながりや、アカデミック的にも活動されてきた下地を活かして美容内科としてより質の高い担保された治療を受ける日本になっていくことを期待しています。
理事:末武 信宏 先生 (さかえクリニック 院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
美容内科学会を通して世界標準なアンチエイジングを実現したいと考えています。わたくしの担当でもある「ニューロモデュレーション」は迷走神経のニューロ(神経)を調整(モデュレート)することが最大の使命だと考えています。医工連携でデバイスのアプローチを進めています。エビデンスだけではなく世界の動向や安全性、汎用性というのが美容内科学会として進めていきたいと考えています。
◆Pick UP◆
Vagal Treatmentに関しましては、末武先生が代表取締役社長を務める法人で研究開発されているので、ご確認を。「人間のOS である迷走神経の刺激。このコントロールこそ内面美容、アンチエイジングに欠かせない重要なケア」とご研究・開発されています。https://human-techno.jp/
理事:坪内 利江子 先生 (銀座スキンクリニック 院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
元々、皮膚科は内科の視点が重要であるからこそ、内側からのケアやコントロールが非常に大事になってきます。
アンチエイジングや美容も同じだと言えます。例えばヒアルロン酸は注入して長期後に過敏リアクションを起こすことがあるんですが、なぜ病理組織も見ずにアレルギーと言っちゃうのだろう、という場面も散見されます。
そういったように美容医療では感覚的なところや、エビデンスも確立されていない部分が多少なりともあります。
だからこそ、私達日本美容内科学会から正しい目を拡げることが、
患者を守ることに繋がるきっかけになるのではと考えます。
理事:野本 真由美 先生(野本真由美スキンケアクリニック 総院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
美容医療は、外側のみならず内側からのアプローチが大切で、日本美容内科学会は、その内側からの視点を追究する初めての学会です。この学会の活動を通して、医療者も、医療を利用する人も、包括的に健康と美しさについて考え、幸福の向上を目指したいと思います。
理事:堀田和亮先生(医療法人社団SMILE LAND理事長/BIANCA CLINIC)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
今年は【美容内科元年】と言われていますが、この学会の発足によって、「内側から溢れ出る美しさとは何か」について考えるきっかけとしたいと考えています。
美容内科の分野は、すべての土台でもあり、中心でもあり、頂点でもあるものだと考えています。どういうことかというと、日頃より多くの患者様を治療していますが、やはり、「健康美」こそが最終的に目指す美の形なのだと感じるためです。
例えば、外見を外科的な処置で完璧に整えてもご本人が「何か足りない」と思うことがあるんです。では何が足りないかというと、1つ目には健康・メンタル面。内側からあふれ出る覇気。生き生きとして、生命力を感じる…そんな美しさ。内科的なアプローチでしか纏えないオーラがあるのではと考えています。美容感度の高い患者様との会話では内科的なアプローチを見直すためにサプリメントや食事の習慣について会話することも多いのですが、即効性が感じられにくいケースもありますよね。人は弱い生き物ですから、一人では頑張り続けることができないこともあります。正しく、安全な効果が得られる治療やプロトコルを確立するドクターたちがいる一方で【内側からキレイになることの大切さ】を社会に伝え、刺激し、ともに伴走することこそが、これからのこの学会の役割なのでは、とも思います。患者様に向けたエビデンスをもとにした正しくわかりやすい発信を行っていくことこそが、私の一つの使命であると考えています。
理事:前田 陽子(ごきげんクリニック浜田山 院⻑)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
美容内科学会は、今までほとんど手つかずだった、内側からの美しさを担う学会になると考えています。美容皮膚科や美容外科の効果を土台から押上げ、健康的を促進することによるQOLの改善や、現在の日本の美容医療の領域を超えた美しさ、幸せ、満足度の提供は、その治療を受ける患者様だけでなく、提供する医師や、ひいては日本社会全体に寄与するものになると思います。
以前から、日本では「アンチエイジング」という言葉が内面を指すものではなく、あくまで外面の若返りを指す言葉であることも気になっていました。「アンチエイジング」がそのものずばり、生物学的年齢の若返りを意味する言葉として浸透することを願っています。
理事:渡邊 千春(医療法人千美会 千春皮フ科クリニック 院長)
Q:美容内科学会に対する期待とお考えを教えてください。
日本美容内科学会への所属は、私の皮膚科専門医としてのキャリアにおいて新たな一歩です。これまでにない内科学的な側面から美容医療を探求する学会として、私はそのミッションに共感しました。
患者が安心して治療を受けられる環境を整えるためには、私たち医療従事者が患者に正しい情報と適切なケアを提供することが重要です。
その重要性を広く認識することで、社会全体に良い影響を与えることができると信じています。本学会の活動に積極的に参加し、患者一人ひとりのニーズに寄り添いながら、より良い医療を提供していきたいと思います。
【提言あり】インフォームドコンセントへの厚労省再通知の再掲
一点、全体の講演を通じて、NEROとして気になった点も記載。
インフォームドコンセントへの厚労省再通知の再掲
2013年、2020年、2022年と、定期的に厚生労働省から通達されている【インフォームドコンセントへの重要性】についてですが、今回、顧問の森下竜一先生の講話の中で以下の観点についての追記についての再掲示が行われました。
→4の条文についても、⑤の部分が特に「救済対象にならない」という点についての説明責任の重さを再掲示されました。
→5の条文については、昨今、一部の美容クリニックで患者様被害となっている、【当日の施術強要が起きている】といった課題についての警鐘ととらえられる条文についての強調項目についても再度共有されました。
※他にも、エクソソームの規制や、静脈注射などの投与方法についての提言などもありましたが、この辺りは各方面からのご意見も多いため、NEROとしては今後も多角的に考察を行っていきたいと思っております。
特別講演「見た目のアンチエイジングにおける美容内科の重要性」山田 秀和先生
見た目は第4の資産
見た目は第4の資産として認識すべきだそうです。
第1の資産とは
金銭的な資本:所得、財産など
物質的な豊かさ経済的な安定性。
第2の資産:
個人の資本:学歴・資格・知識・教養・既往歴第3の資産:
社会関係資本 :人脈・SNSを通じて得られる資産・家族・友人・コミュニティ第4の資産:
Erotic Capital(エロティック資本):見た目(容姿)・魅力・セクシャリティなどに関連する資産。
美しさ、スマート・パフォーマンス、性的魅力、 自分を演出する能力、社交的なスキル、ファッションセンス、 プロポーション、すばらしい言葉づかい、クールな判断力、うっとりするような声、脚線美、 情熱的なアプローチ、エレガントなマナー これらすべては個人資産 エロティック・キャピタル(Erotic Capital:エロティック資本)という。
英国の社会学者キャサリン・ハキム氏が提唱した「エロティック・キャピタル」は、容姿や気品などの要素が人々の影響力を決定すると主張しています。
見た目が健康状態を反映していると指摘。
皮膚、容貌、体型の状態など、健康的な見た目を維持するためには食事、運動、精神状態が重要だと述べています。適切な食事と運動、そしてストレス管理を通じて心身の健康を保つことが、見た目の若さを保つ秘訣だとしています。
更に山田氏は「Intrinsic Capacity(内在的能力)WHO」の考え方が非常に重要だと述べた。従来の疾患中心のヘルスケアモデルから、より包括的で予防的な方向へとパラダイムシフトしていき、さらに内在的能力の概念は、高齢者のケアだけでなく、ライフコース全体を通じた健康増進戦略にも応用できるとのこと。
加えて「見た目とEpigenetics Clock」についても言及。
※Epigenetics Clock:
2つの大きな流れがあり,1つは年齢寿命としてのエピジェネティック時計と,もう1つは内的生物学的推計と考えられている。
美から健康へ
このため従来の美と健康の観点からは健康ならば美しいとしてきたが、
今後は美を求めると健康になると述べる。表情のかたいうつ病に表情筋をボトックスで変化させると鬱症状が改善するという研究もあり、「美から健康」という立場で美容を考える時代がきている。美しくすることで健康になる。美から幸福を導くなどの領域が成立する可能性がある。
我々が創り出す「Wellbeing」としての世界観は
①アンチエイジング、②健康、③美、④長寿、の四つが取り巻いてできていると締めくくった。
見た目も重要だが生物として見た目の考え方そのものが科学として美容の在り方に繋がり、さらにアンチエイジングとしての生物学的老化が健康繋がっていくと大変興味深い内容でした。
まとめ
日本美容内科学会の発足記念講演会が開催され、美容医療の新たなパラダイムシフトが議論されました。理事や顧問医師たちは、安全かつ効果的な美容内科医療の構築を目指し、内科的アプローチの重要性を強調しました。美容内科学会は、未来の美容医療をリードする存在として大変に注目され、患者にとっても安心できる治療環境の実現が期待されています。