1. 美容医療広告に“規制の目”が強化される背景
脱毛や美容整形の需要が高まる一方で、過剰な演出や誇張された体験談がSNS上に溢れ、法令違反が相次いでいる。厚生労働省は2023年度、美容医療関連の違反広告を362サイト・2888件確認。中でも目立つのは、効果を過度に強調したビフォーアフターや個人の主観に依拠した体験談の拡散だ。
厚労省は8年前から外部委託でネットパトロールを行ってきたが、今後はチェック対象サイト数の拡大や、悪質事例の行政処分も検討する。

2. SNS広告のリアル——美しい投稿に潜むリスク
ある女性は、SNSで人気インフルエンサーが推したクリニックの施術を受けたが、鼻が狭まり呼吸が困難に。医師はすでに退職し、クリニックも対応せず、結果的に後遺症と孤立に苦しむ事態に。華やかな投稿の裏で、リスク説明が不十分な医療が行われていた現実が浮き彫りになった。
厚労省によれば、個人アカウントであっても「誘引性」があれば医療広告に該当し、規制対象となる。「きれいになった」だけでは済まされない時代なのだ。

3. 現場の医師たちが語る“ジレンマ”と“恐れ”
長年、美容医療を実践してきた医師やマーケティング関係者からも警鐘が鳴らされている。
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「“だまし”の広告が横行すると、真っ当な美容医療まで疑われる」
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「ガイドラインを守っても、クリックされるのは過激な広告」
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「一部の影響力あるインフルエンサーが、誤情報を無自覚に拡散」
真摯に取り組む医師ほど、情報の非対称性におびえている現実がある。

編集長ポイント
~医療が“映え”に支配されたら終わりだ~
SNS時代における医療広告の暴走は、単なるPR問題ではなく、医療の倫理や患者との信頼関係そのものを揺るがす事態だ。
医療は本来、個別性と科学性の上に成り立つもの。万人に効く施術は存在しない。
今後、ガイドラインをどれだけ強化しても、「情報の質を見抜くリテラシー」を患者自身が持たない限り、被害は止まらない。
「広告に騙される側」から「広告を見極める側」へ——これは、美容医療を選ぶすべての人に突きつけられた課題だ。
✅ まとめ
✔ 厚労省が美容医療広告の取り締まりを本格強化へ
✔ 違反はSNS投稿や体験談型のPRに集中、2023年度は2888件を確認
✔ 被害者の証言により、後遺症・孤立のリスクが浮上
✔ 医師のアカウントも「広告」とみなされる可能性、規制強化が進む
✔ ガイドライン順守のジレンマと、業界全体への不信感が拡大中
✔ 美容医療は「誰が何をどう語っているか」を見極める時代へ