過去:創設時の理念と立ち上げの精神
理事長・古山登隆氏は、講演冒頭で「人は、人を幸せにした分だけ、自らも幸せになれる」という原点の言葉を投げかけた。創設当初から一貫しているのは、「体の内側・外側・精神面の三位一体で、人を美しく健康にする」という理念だ。また「働く=傍を楽にする」という語源を引き合いに出しながら、“自分のため”ではなく“誰かのため”に動ける人材こそ、真に価値ある医療者であると語った。
創業時から掲げられてきた3つのテーマ――「人を助ける」「応援する」「楽しんで働く」――は、今もグループの根幹に息づいている。

現在:進化し続けるグループ力と“人間力”の再定義
古山氏は講演の中で、「僅差で勝ち続ける集合体が、やがて大差となる」というメッセージを繰り返し説いた。
この“日々の小さな積み重ね”こそが、グループ全体の進化の原動力であり、AIでは置き換えられない「感性・距離感・勝負感」といった非定量な力の重要性が増す未来において、JCグループが磨いてきた“人間力”が真価を発揮する、と語った。
また、「良い言葉を使う」「仲間の長所を見る」といった日常的な意識が、組織文化と現場の空気感に好循環をもたらすという示唆も印象的だった。
未来:再生医療・教育・グローバル戦略の三位一体へ

再生医療と教育の融合
2025年、自由が丘クリニック(JC)は、再生医療と専門外来をさらに進化させ、国内外に向けて新たなサービスを展開しようとしている。未来を見据えた同クリニックの戦略は、単に個々のクリニックの発展にとどまらず、医療界全体の進化を牽引するものとなる。
古山登隆理事長が語ったように、JCは現在、“再生医療×専門外来”を柱に、新たな治療モデルを構築中。これにより、例えば毛髪再生、骨格形成、フェイスリフトといった高精度な専門外来が、次々と実施される予定だ。また、デバイスと再生医療の相乗効果を最大限に活用し、患者一人ひとりに最適な治療を提供する体制を整備していく。
知識の集約と発信拠点の強化
2025年9月に完成予定の地下セミナールームは、単なる研修施設を超え、自由が丘クリニックグループの医療知の中枢となる構想だ。再生医療や美容外科の最前線の技術を学ぶだけでなく、国内外の医療者や研究者との学術交流の拠点としても位置づけられる。
この空間を基盤に、NPO法人「自由が丘アカデミー」を中心に活動を進める。代表理事は、福岡大学名誉教授・日本美容外科学会(JSAPS)元理事長である大慈弥裕之医師が務める。同法人は、
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美容医療専門医の育成
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正しい美容医療情報の発信
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国際的な教育交流の推進
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診療指針に基づく学術的啓発
といった多角的な活動を展開し、「安心・安全で、後悔のない美容医療」を広げていくことを目指している。
院内では月1回の勉強会と、若手医師向けのハンズオン教育が実施され、診療現場と教育の垣根を越える取り組みがすでに進行中。さらに、ジャーナリストや企業、プラットフォーマーとの連携も視野に入れ、社会全体を巻き込んだ情報流通と人材育成の新たなモデルが生まれようとしている。
このように、JCグループが一体となり、教育の進化・治療の深化・ネットワークの拡大が同時に起きる場として、セミナールームを拠点に“自由が丘クリニックの底力”を体現する場であり、日本から世界へとつながる医療インフラの中核になるといえるでしょう!!

グローバル戦略とネットワークの広がり
自由が丘クリニックが目指すのは、日本国内だけにとどまらないグローバルなネットワークの構築だ。Tokyo Well-Being Group(自由が丘クリニック×東京リライフクリニック)を中心に、再生医療・美容医療分野の次世代リーダーたちが集結し、国内外における医療と美容の融合を加速させる。
具体的には、アジア地域やヨーロッパを中心に、グループとしてのブランド力を拡大し、今後新たな市場をターゲットにした戦略が発表される予定。例えば、物販部門はWatsons(アジア最大のドラッグストア)との提携を進めており、既にアジア市場での展開を強化していると語る。
再生医療と美容医療をはじめとする最新技術は、TWGというネットワークを通じて、国内外の医師や研究者に伝えられ、さらに広がりを見せる。このネットワークが生み出すシナジー効果は、医療の進化にとどまらず、人間力を重視した医療哲学を世界中に広める原動力となるだろう。
総括として、JCグループは再生医療、教育、グローバル展開の三位一体の戦略をさらに強化し、これからの医療界を牽引していくという。

NERO編集部解説
✅ POINT ✅
- 「人間力×再生医療」こそ、次世代の医療モデル
- 技術より“心”、競争より“共感”を育む哲学的アプローチ
- AIでは代替不可能な「存在感・勝負感・対極感」を磨く組織力
- 紙メディア回帰とグローバル戦略で二軸の独自展開を加速
- 「昨日の自分に僅差で勝ち続ける集合体が、やがて大差となる」姿勢が変革の核に
30周年を迎えるJCグループは、単なる組織の拡大ではなく、“質の革新”を軸に未来を切り拓こうとしている。理事長・古山氏が語った「旗を楽にする」姿勢とは、医療の最前線において他者を思いやる力、そして支える力そのものである。
利他的な美学、定量化できない感性、組織の一体感――これらをどう磨き、どう社会に還元していくか。
今後もNERO編集部は、このような“先進的な主役の未来型医療”の潮流を追い続けていきたい。
編集長ポイント
~再生医療の本質は“逆張り”にあり――JCグループが示す次の医療地図~
✅ “人間力”こそが未来を切り拓くカギに
AIが台頭する時代において、定量化できない「感性・距離感・勝負感」が医療における真の差異化要素になるという古山理事長のメッセージは、業界にとって極めて示唆的だ。
「働く=傍を楽にする」という語源に立ち返りながら、他者を思いやり、支え合うことが価値となる時代へ――。
✅ “質の革新”によるグローバル戦略
JCグループは、世界標準に迎合するのではなく、世界が注目する“日本発の医療”を創る覚悟を示した。SNS全盛の時代にあえて紙メディアを重視し、「関心を引く情報」ではなく「信頼される情報」を届ける姿勢は、今こそ必要な“逆張りの知性”に他ならないと筆者は感じた
✅ 教育×研究×再生医療のハブとしての進化
NPO自由が丘アカデミー、北里大学・東京リライフクリニックとの連携は、再生医療・教育・国際連携という三位一体のネットワーク形成を加速させている。医師の技術継承と世界的な知の循環の起点となる拠点が、いま自由が丘に生まれようとしている。

✍️ 自由が丘から、次の医療のスタンダードを。
JCグループが歩んだ30年は、ただの通過点ではなく、“医療の未来がどうあるべきか”を問い続けてきた時間だった。
そして今、その問いにひとつの答えを出そうとしている。
それは、「技術だけではない、人の力による医療」。
この日、六本木ヒルズで共有された熱量と構想は、確かにその未来を指し示していた。
JCグループの挑戦は、日本の医療を、世界の医療を変える。
この総会は、その序章でしかない。