
厚生労働省の委員会で、GLP-1受容体作動薬と医療広告規制が議題となった。
2024年末までに確認された広告規制違反は5530件に達し、そのうち美容分野は2203件、全体の約4割を占めた。違反上位には「美容注射」「顔整形」「GLP-1ダイエット」が並び、美容医療が規制違反の震源地となっている実態が示された。
GLP-1薬は2023年に需要急増で供給不足となったが、国の対策により現在は通常出荷に戻っている。しかし、承認外のダイエット目的使用は副作用が生じても救済制度の対象外となり、オンライン販売や個人輸入による偽造薬リスクも懸念される。
さらに、SNSやインフルエンサーによる過剰広告が利用者の判断を誤らせる要因となっており、自由診療の拡大と規制強化のせめぎ合いが改めて浮き彫りとなった。
広告違反の震源地は美容医療
厚生労働省が9月10日に開いた「医薬品等行政評価・監視委員会」では、医療広告規制の現状が報告された。
2024年末までに確認された広告違反は計5530件に上り、そのうち美容分野は2203件と全体の約4割を占めた。
違反の内容では「美容注射」が18%、「顔整形」が15%、「GLP-1関連」が12%を占め、美容医療が違反の中心となっていることが浮き彫りになった。
GLP-1薬の需給安定と承認外使用リスク
GLP-1薬は2023年に需要が急増し、一時的に供給不足が発生したが、国の注意喚起や供給調整により現在は通常出荷に戻っている。
ただし、承認外の「GLP-1ダイエット」は依然として問題視されており、副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。
さらに、オンライン販売や個人輸入による偽造薬や汚染品の流通リスクが指摘され、自由診療での安易な使用に警鐘が鳴らされた。
SNS広告とインフォームド・コンセントの課題
委員会では、SNSやインフルエンサーを通じた広告が過剰表現や誤認を招き、患者が盲目的に利用を決断するリスクが高いと指摘された。
その上で、自由診療におけるGLP-1薬の使用に際しては、有効性と安全性を十分に説明し、理解と同意を得る「インフォームド・コンセント」の徹底が必要と確認された。
厚労省は、美容分野に集中する広告違反の状況を踏まえ、今後の規制と監視を一層強化する方針を示した。
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