高満足度手術は「大型」から「洗練」へ
消費者満足度の高い外科手術では、
豊胸手術・鼻形成(Rhinoplasty)・腹部形成(Abdominoplasty) が上位を占めた。
中でも注目されたのが、FDA承認後に急速に普及した
Motivaブレストインプラント(第6世代シリコンインプラント) である。
Worth It Rating(治療して良かったと回答した割合)は 96% と極めて高く、
平均費用は約 6,500ドル。
従来の「大型・固定型インプラント」と比較しても抑制された水準にある。
これは単なる価格評価ではなく、
「大きさ」ではなく「解剖学的調和・可動性・長期安定性」 が
評価軸へと移行したことを明確に示している。
非侵襲治療は「効果実感×コストパフォーマンス」が決定打に
非侵襲領域では、
ボトックス(しわ改善・筋弛緩注射) が
Worth It Rating 97% と、依然として最多の関心を集めた。
一方で、
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Sculptra(コラーゲン生成型注入剤)
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CO2レーザー(フラクショナルレーザー)
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マイクロニードリング(極細針による再生刺激)
など、肌質改善・再生・テクスチャー調整を目的とした治療が定着している。
特筆すべきは Endolift の急成長だ。
前年比 +323% という関心増加を記録し、
切開を伴わずに、皮下からリフトと再生刺激を両立する点が評価された。
さらに近年では、メスを使わないデバイスサージェリー(非侵襲・低侵襲機器による施術)を用いたボディコントアリング(体型形成)も、世界的なトレンドとして注目されつつある。
顔領域にとどまらず、身体全体を“切らずに整える”という価値観が、美容医療の主流になり始めている。
2026年を見据えた“再生×低侵襲”の台頭
成長率で最も突出したのは、
T-Shape 2(+3655%) や
PRF治療(Worth It Rating:満足度 91%) に代表される
再生・生体刺激系治療である。
T-Shape 2(非侵襲的ボディスカルプティング) は、
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低出力レーザー
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高周波(RF)
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吸引マッサージ
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組織下部の層を活性化
を組み合わせた
非侵襲型のボディ・フェイシャル統合デバイス。
特に
GLP-1受容体作動薬による減量後(急激な体重減少後)の
体型・皮膚・組織の再調整ニーズと強く結びついている。
また PRF(Platelet-Rich Fibrin) は、
異物を用いず自己血由来成分で
組織環境そのものを整える再生治療として評価を高めている。
これらは単なる若返りではなく、
体重変動・老化・生活習慣を前提にした「全身設計型医療」への
進化を示唆している。

参考画像:米国の大手美容医療プラットフォーム RealSelf が公開した2025年振り返りトレンドレポートより。(2025年1月1日〜10月31日のページビュー数を指標に、消費者関心の高まりを可視化)
編集長POINT
〜 美容医療は「足し算」から「設計」に変わった 〜
今回のデータが示す本質は明確だ。
患者はもはや、派手な変化を求めていない。
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解剖学を壊さない
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ダウンタイムを最小化する
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将来の選択肢を残す
この3点を満たす治療だけが、
2026年以降の美容医療市場で信頼を獲得する。
再生医療・低侵襲技術・小型インプラントの台頭は、
美容医療がHealth-driven Aesthetics(健康を軸にした美容医療)へ
本格的に舵を切った証拠といえる。
【まとめ】
NEROでは、世界各国における医療の制度変容と自由診療の構造分析を継続的に報じている。今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、日本がどこまで自由診療を拡張すべきか、その境界を問い続ける。