2026年は「保存と再生」の年になる
海外の形成外科医の間で共通して語られているのは、
美容医療が「変身の医療」ではなく、解剖学的構造を守りながら高める医療へ移行しているという認識だ。
PRP(多血小板血漿)やPRF(血小板リッチフィブリン)、
脂肪由来治療、スキンブースター、生体刺激型フィラーなどは、
ための治療ではない。
肌質・組織の質・長期安定性を底上げする治療として、位置づけが変わり始めている。
ここで重視されるのは、
ダウンタイムの短さ/回復の早さ/「やった感が出ない自然さ」だ。
世界ではこれを、
「目立たない贅沢(Quiet Luxury)」と表現する医師もいる。
若年層は「老化対策」ではなく「維持」を選ぶ
特に注目されているのが、20〜30代の行動変化だ。
海外ではすでに、
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低用量ボトックス(表情を止めない量)
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マイクロフィラー(輪郭を壊さない微調整)
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光治療・肌再生治療
を、「老化が始まってから」ではなく、
崩れないための定期メンテナンスとして受ける層が増えている。
これは恐怖マーケティングではない。
運動・食事・睡眠・スキンケアと並ぶ「ライフスタイルの一部」としての美容医療だ。
日本でもすでに、
「たるんでから治す」より「崩れないように管理する」
という感覚は、確実に若年層へ広がっている。
GLP-1が美容医療の需要構造を変えた
2026年を語るうえで欠かせないのが、
GLP-1受容体作動薬(減量治療)の普及である。
世界ではすでに、
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急激な減量後の顔のコケ
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皮膚の余剰
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体幹・バスト・ヒップのボリュームロス
に対する相談が急増している。
これに対し、
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脂肪移植(特にナノ脂肪)
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再生層形成
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RF(高周波)治療
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レーザー再生
を組み合わせ、
「痩せた後をどう整えるか」という“第2段階の美容医療”が始まっている。
日本でもGLP-1処方は拡大しており、
減量医療と美容医療を分断したままでは対応できない局面に入りつつある。
外科手術も「保存型」へ進化している
外科領域でも変化は明確だ。
海外では、第6世代Motivaインプラントを中心に、
を重視した保存型豊胸が再評価されている。
Preservé(プレザーヴェ)に代表されるアプローチは、
「大きくする」より「壊さない」という思想が軸にある。
日本でも
「サイズ競争」から「解剖学第一:どこまで壊さないか」への移行は始まっているが、
情報整理と適応判断が追いついていないのが現実だ。
編集長POINT
〜 世界と日本の「ズレ」が最も出やすい領域 〜
2026年の本質は、保存と再生。
しかし日本ではこの流れが、
として消費されるリスクが高い。
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技術は先に入る
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制度・教育・適応基準は後追い
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情報は断片化する
この構造のままでは、
再生医療・GLP-1後美容・保存型外科は
信頼ではなく混乱を生む可能性がある。
2026年、日本に必要なのは
「何が新しいか」ではなく、
「何をやらないかを判断できる医療」だ。
じゃあ日本では何に注意すべき?
超シンプルに言うと、ポイントは3つ。
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「再生」という言葉だけで判断しない
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短期変化より“5年後どうなるか”を聞く
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減量・美容・外科を分けて考えない
2026年の美容医療は、
派手さより設計力が問われる時代に入る。
【まとめ】
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2026年の美容医療は「変革」より「洗練」
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再生医療は補助ではなく中核へ
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GLP-1は美容医療の前提条件を変えた
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日本では“構造理解なき導入”が最大リスク
NEROでは、世界各国における医療の制度変容と自由診療の構造分析を継続的に報じている。今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、日本がどこまで自由診療を拡張すべきか、その境界を問い続ける。