【NERO潜入レポ|Day1】 核心を体感し、次なる進化へ —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

📌 記事をざっくりまとめると…

  • Cutting Edge 2026 は、技術の巧拙ではなく
    「なぜその判断を選ぶのか」を共有する学術フォーラム

  • Day1では、
    切る/切らない以前に、構造と順序を読む視点が各セッションで共通して語られた

  • 外科と皮膚科は対立せず、
    役割を分けて重ねることで結果の質を高めるという立ち位置が明確に示された

  • 本イベントが問いかけるのは、
    手技の進化ではなく判断の質をどう更新するか

  • 続くDay2では、視点を顔から身体へ広げ、
    「設計としての美容医療」がさらに深掘りされていく

【NERO潜入レポ|Day1】 核心を体感し、次なる進化へ —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

Cutting Edge 2026は、
「技術の優劣」を競う場ではない。

NEROはすでに、
本フォーラムが掲げる
「Where the Core Awakes──判断の核心」 という思想について、
その輪郭を伝えてきた。

そこでは、
論文やガイドラインでは語られにくい
「なぜ、その判断に至ったのか」という
臨床現場の思考プロセスが共有されていること、
そしてその判断の積み重ねが、
患者が受け取る医療の質・説明・選択肢に直結することを読み解いてきた。

では、その「判断」は、
どんな環境構造の上で交わされているのか。

今回のCutting Edge 2026が、
もう一段深く問いかけているのは、
日本の美容医療が、世界の中でどう戦うのかという視点だ。

技術はある。
安全性も高い。
症例数も世界有数。

それでもなお、
日本はまだ「選ばれる国」になりきれていない。

この差を生んでいるのは、
医師個人の力量ではない。
設計と、つなぎ方。

本記事では、
初回記事で扱った「判断の核心」という文脈を踏まえた上で、
Cutting Edge 2026のオープニングセッションから見えてきた
日本美容医療の立ち位置と、次の一手を読み解いていく。

📸 写真:医師限定・クローズドイベントのため一部のみ記録

Opening Session
選ばれる国か、埋もれる国か— 日本の美容医療が立つ「分岐点」—

SPEAKER|堀田 和亮 先生
BIANCA 理事長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

世界の美容医療はいま、どこへ向かっているのか

堀田先生は、
まず世界の美容医療市場の現在地から語り始めた。

世界の美容医療市場はいま、
急激な拡大フェーズに入っている。
2033年には約36兆円規模へと成長し、
年平均成長率は11%超

多くの産業の中でも、
例外的なスピードで拡大を続ける分野だという。

そして、その成長の重心は、
すでに欧米からアジアへと移っている。

韓国は、
K-POPや映画、ドラマといったエンターテインメントと
美容医療を国策として連動させ、
「行けば綺麗になれる国」というブランドを
世界に浸透させてきた。

一方で.....
堀田先生はここで、日本に視線を戻す。

日本の美容医療市場は、決して小さくない。
市場規模だけを見れば、
日本は韓国を上回り、
世界有数の美容医療大国である。

それでもなお、
日本はまだ「選ばれる国」になりきれていないと指摘。

その理由は、
技術ではない。

設計と、発信の構造にあると、
堀田先生は明確に言い切った。

日本は人口あたりの美容医療施術率で
世界14位にとどまっているが、

それは同時に、
まだ大きな余力を残していることを意味している。
アジア全体が成長するいま、日本はどのポジションを取るのか。

その戦略が、いま問われている
【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

日本が「選ばれる国」になるために必要なこと

日本には、すでに強力な追い風が吹いている。

インバウンドは年間4,000万人を超え、
消費額は9兆円規模。
そこに円安が重なり、日本の医療は
「高品質・適正価格」として世界から見えやすい位置にある。

堀田先生は、日本のストロングポイントを次の5つに整理する。

・世界基準の繊細な技術
・厳格な安全性と、粗悪品を使わない信頼
・流れ作業ではない、丁寧なカウンセリング
・心からの「おもてなし」
・円安による価格競争力

足りないのは「中身」ではない。
つなぎ方だ。

これまで日本の美容医療は、
クリニックごと、医師ごとの「点の成長」で発展してきた。

しかしいま、本当に向き合うべき相手は
国内ではなく、世界市場そのものだ。

「点ではなく、線へ。
競争ではなく、共創へ」

堀田先生が提示したのは、
個々の成功論ではなく、
「日本チームとしてどう戦うか」という視点だった。

Cutting Edgeは、
有名医師が技術を披露する場では終わらない。

グローバル市場を正しく知り、
技術と品質を世界基準で議論し、
日本としてどう戦うのかを共有するための
「戦略会議」である。

埋もれるのではなく、選ばれる国へ。
この場から、
日本の美容医療の次のフェーズが始まる!!
オープニングを務めた堀田先生は、そう位置づけて締めくくった。

≪Takeaway|Opening≫

  • 美容医療の主戦場は、すでにアジアへ移行している

  • 日本は技術ではなく「設計と発信」で遅れを取っている

  • インバウンドと円安により、環境はすでに整っている

  • 必要なのは、個ではなく「チームジャパン」という戦い方

  • Cutting Edgeは、競争の場ではなく“戦略を共有する場”である

  • 世界で戦うための準備・基準づくり・共創を始める起点

◆ Session 1:Face Line — フェイスライン治療
※本セッションは高度な外科的判断を含むため、
具体的な術式や症例詳細は本記事では扱わない。
【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

切開するフェイスリフト手術
— 注入・吸引・糸リフトetc が顔の中で何を起こしているのか —

SPEAKER|中尾 崇 先生
中尾形成外科 院長
BIANCA CLINIC 銀座
美容外科指導医・形成外科専門医

フェイスライン治療は、
「切るか・切らないか」で選ぶものではない。

注入・糸・HIFU・吸引・切開は、
それぞれが顔のどの層に、何を起こしているかという
異なる作用を持つ治療である。

中尾先生は、
これらを単独で評価するのではなく、
顔の履歴として構造レベルで読む視点の重要性を提示した。

とくにアジア人では、
骨格や脂肪分布の特性から、
切開だけで満足に至らない症例も少なくない。

問うべきは、
「切るかどうか」ではなく、
切開に至るまでの顔の積み重ねをどう評価するかという判断だ。

注入やデバイスで構造が保たれてきた顔ほど、
フェイスリフトの結果は安定する。
構造理解の先にこそ、切開の価値は最大化されると締めくくられた。

≪Takeaway≫
フェイスリフトは手段のひとつ。
正解は「切る」ではなく、構造を読むこと


The Face Line rewritten— 時代は書き換えられていく —

SPEAKER|浅井 智之 先生
加藤クリニック麻布 東京院 院長

フェイスライン治療で最も重要なのは、
「効くかどうか」ではなく「適応を外さないこと」だ。

顎下や軽度のたるみには低侵襲治療が有効な一方、
舌骨位置が低い症例や口元(ジョール・マリオネットライン)では
明確な限界がある。

無理に攻めれば、
結果はオーバートリートメントになる。

浅井先生が提示したのは、
SMASを「引く」のではなく「押す」という発想だ。

皮膚とSMASのプレーンを意図的にずらし、
癒着を“結果として起こす”構造設計
そこにRFやマイクロニードルを重ねることで、
脂肪を取りすぎずに構造を変える
皮膚科的フェイスライン再構築が可能になる。

それでも、
口元はフェイスリフトに敵わない。

この現実を直視したうえで、
治療の勢力図は進化と工夫で変えられると語られた。

≪Takeaway≫
低侵襲治療の価値は、
やれることを増やすことではなく、
やらない判断を正確にすること。


外科治療と対立しない、皮膚科的フェイスライン再構築の別次元アプローチ

SPEAKER|衣原 公美子 先生
美容皮膚科レイクリニック 院長

HIFUやRFは、
単なる「引き上げ治療」ではない。

衣原先生は、
顔を支える構造そのものを立て直す医療として
美容皮膚科デバイスの役割を再定義した。

たるみの本質は、
脂肪の量ではない。
支持力が落ち、位置が崩れることにある。

皮膚・脂肪・それを支える繊維構造。
皮膚科的デバイスは、
この「支え」を再活性化する治療だ。

脂肪は減らす対象ではない。
正しい高さへ戻す対象である。

HIFUで外側のベースを整え、
RFで支持組織をタイトニングする。
その積み重ねが脂肪のリポジショニングを生み、
フェイスラインを再構築する。

外科と皮膚科は対立しない。
役割を分け、重ねることで結果の質は上がる。

≪Takeaway≫

  • たるみの本質は、量ではなく「支持力と位置」

  • 脂肪は減らすのではなく、正しい高さへ戻す

  • HIFU・RFは支持構造を立て直す医療

  • 外科と皮膚科は競合しない。重ねることで完成度が上がる

【NERO潜入レポ】 医師が注目する“ECM製剤コラーゲンブースター”── いま美容医療で何が変わっているのか〈ブナジュ(BNAJU)の正体〉


A Functional Chin Completes the Face—「大きさ」ではなく「機能」で美を決める —

SPEAKER|今泉 明子 先生
医療法人青泉会
今泉スキンクリニック 院長

今泉先生が示したのは、
フェイスライン治療における「顎」の再定義だった。

顎は、主役ではない。
フェイスラインを作るために最初に触れる部位でもない。

まず整えるべきは、
側方(ラテラル)のラインと支持構造
輪郭全体のベースラインを安定させたうえで、
最後に顎を“機能として”微調整する

この順序を誤ると、
少量で済むはずの注入が過剰になり、
結果として不自然さを生む。

顎への注入は、
「足すため」ではなく、
支えるための治療である。

顎が機能することで、
口元の突出感は抑えられ、
フェイスライン全体が安定する。

顎は目立たなくていい。
しかし、機能しなければ顔は完成しない

今泉先生の講義は、
フェイスライン治療を
量や大きさではなく、設計と順序で考えるべき理由
静かに、しかし明確に示していた。

≪Takeaway≫

  • 顎は主役ではない。顔を完成させる最終ピース

  • フェイスラインは顎から作らない。まず側方から整える

  • 顎注入はボリュームではなく「機能」を与える治療

  • 順序を守ることで、少量でも自然に仕上がる

Session 2:Upper Face — 目から上の治療

※本セッションは、
上眼瞼・眉・二重形成における高度な診断判断および構造理解を含むため、
具体的な術式名・手技の詳細・症例画像の提示は本記事では扱わない。

二重は「線」ではなく「現象」である— 構造と動きに基づく二重手術 —

SPEAKER|雜賀 俊行 先生
BIANCA CLINIC 銀座院 院長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

二重は、
皮膚に引かれた「線」ではない。

目を開く動きに伴って現れ、
閉じれば消える。
雜賀先生が繰り返し強調したのは、
二重とは“形”ではなく“現象”だという前提だった。

問題は、
現在の二重治療が
この前提を置き去りにしたまま進んでいる点にある。

ダウンタイムが短いか
傷が小さいか
SNSでどう見えるか....そうした“選びやすさ”が先行し、
本来評価すべき厚み・脂肪・動き・開瞼力といった
構造的要素が後回しにされているという。

静止画では整って見えても、
瞬きをした瞬間に破綻する二重は少なくない。

自然な二重に必要なのは、
皮膚と挙筋の連動が成立すること。
開瞼の力が、
皮膚に正しく伝わる構造があるかどうかだ。

だからこそ雜賀先生は、
「幅を決める前に、構造を見る」
という順序を何より重視する。

固定する前に、負荷を取り除く。
一度で仕上げようとせず、
必要であれば段階的に整える。

その判断の積み重ねが、
“線を作らない二重”を可能にする。

雜賀先生の講義は、
二重手術を
デザイン論から
構造と機能の医療へと引き戻す内容だった。

≪Takeaway≫

・二重は「線」ではなく、動きに伴う現象
・静止画基準のデザインは破綻を招く
・重要なのは幅よりも、構造と開瞼力
・固定の前に、負荷を取り除く判断が必要
・難しい症例ほど、段階的アプローチが結果を左右する

上まぶたのたるみ治療ー 眉毛の位置に焦点を当てた診断と治療 ー

SPEAKER|齋藤 隆文 先生
KAI CLINIC TOKYO

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

上まぶたのたるみ治療は、
「目」だけを見てはいけない。

齋藤先生が繰り返し強調したのは、
上まぶたのたるみは、眉毛の位置と切り離して評価できないという前提だった。

皮膚の余りがあるように見えても、
実際には眼瞼下垂やくぼみによって皮膚が引き込まれているだけのケースも多い。
この段階で安易に皮膚切除を行うと、
やり直しの効かない結果を招く。

まず優先すべきは、
開瞼力の回復と構造の整理。
腫れが引いた後に初めて、
「本当に余っている皮膚」が見えてくる。

そして問題になるのが、眉毛の下垂だ。

上眼瞼の手術は、
術後に眉毛が下がるリスクを常に伴う。
とくに高齢症例では、
眉が下がることで眉間部に皮膚が溜まり、
“開きやすいのに不自然”という状態を生むことがある。

齋藤先生は、
診察時に開眼時だけでなく閉眼時の眉毛位置を必ず確認する。
その差が大きい症例では、
上まぶたの手術によって
眉毛が大きく下がる可能性を、あらかじめ想定する。

このリスクが高い場合、
選択肢になるのが前額リフトだ。

眉毛の位置を先にコントロールすることで、
その後の上眼瞼治療を過不足なく、安全に行える土台を作る。
切開による前額リフトは、
過矯正が不要で、眉毛位置を数値で管理できる点に
大きな強みがあると語られた。

重要なのは、
「どの術式を選ぶか」ではない。
眉毛の位置をどう扱うかという診断そのものだ。

≪Takeaway≫
上まぶたのたるみは、
眉毛の位置を含めた“目から上全体”で診断する。
眉毛下垂が予測される症例では、
先に眉毛を整える判断が、結果の自然さを左右する。

Sunken Eye (窪み目) に対する非手術的治療ー ヒアルロン酸注入の適応と限界 ー

SPEAKER|安嶋 康治 先生
あじまビューティークリニック 院長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

くぼみ目は、
「脂肪が減ったから起きる」ほど単純な現象ではありません。

安嶋先生はまず、
くぼみ目(Sunken eye)は医学用語ではなく、患者の訴えの総称であると整理する。
その上で、上眼瞼のくぼみを生む要因を
容量・皮膚の緊張・眉毛位置という複数の要素の組み合わせとして捉える必要性を強調した。

重要なのは、
加齢=脂肪萎縮ではないという事実だ。
MRI研究では、上眼瞼脂肪の容積は加齢で大きく変わらないと報告されている。
それでもくぼみが生じるのは、
眼窩容積の拡大や、軟部組織の支持力低下といった構造変化が重なるからだ。

さらに、
眉毛の挙上癖や前頭筋の過剰な代償運動も、
くぼみ目を“強調して見せているだけ”のケースがある。
つまり、
構造的な欠損と、表情による見かけの変化は分けて診断すべきだという視点が示された。

その上で、
ヒアルロン酸注入は「最後に選ばれる治療」である。

眉毛位置、二重の安定性、開瞼抵抗、皮膚余剰。
これらを整理した先に、
初めて“注入してよいくぼみ”が見えてくる。

ヒアルロン酸を選択する理由は明確だ。
0.1cc単位で調整でき、
その場で形態を確認しながら仕上げられる。
そして、時間とともに減っていく可逆性がある。
これは、長期的に変化する眼周囲において大きな利点になる。

一方で、
安嶋先生が繰り返し警鐘を鳴らしたのがリスクだ。

上眼瞼には、
眼窩上動脈・滑車上動脈・涙腺動脈など、
失明に直結しうる血管ネットワークが存在する。
注入治療は、
「上手くいけば綺麗」ではなく、
一度のミスで取り返しのつかない結果を招く施術である。

だからこそ必要なのは、
解剖理解、臨床経験、緊急時対応、眼科バックアップ。
そして何より、
やらない判断を含めた覚悟だと語られた。

≪Takeaway≫
Sunken eye は単一の原因では起きない。
ヒアルロン酸注入は有効だが、
適応を見極めた“最後の選択肢”であるべき治療
安全性を担保できないなら、
無理に行わず、紹介する勇気もまた専門性である。

Session 3:Under Eye — 目の下のたるみ治療

※本セッションは、下眼瞼解剖に基づく外科的判断と術式選択を含むため、
具体的な手術手技や症例写真の詳細には踏み込まず、
治療選択の考え方と外科×皮膚科の役割整理に焦点を当てる。

外科医視点から見る下眼瞼解剖とクマ治療の術式選択

SPEAKER|赤嶺 周亮 先生
アマミネクリニック 院長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

近年、クマ治療は急速に一般化し、
脱脂術は“よく見かける手術”になった。

一方で赤嶺先生は、
解剖理解や術式選択の不足による不満・合併症が確実に増えている
という現実から話を始めた。

下眼瞼は、
皮膚・眼輪筋・支持靱帯・脂肪・骨が
立体的に連動する極めて繊細な構造を持つ。
クマは「膨らみ」か「へこみ」か、
どちらか一方で語れる現象ではない。

外科医がまず見るべきなのは、
目袋の突出・ティアトラフの溝・皮膚余剰の組み合わせだ。

黒クマは立体構造による影であり、
外科治療の主な対象となる。
一方、青クマや茶クマは
外科単独では限界がある領域で、
皮膚科治療との連携が前提になる。

赤嶺先生は、
下眼瞼解剖を踏まえたうえで、
術式選択は「脱脂ありき」ではないと明確に線を引く。

・膨らみのみ → 脱脂術
・へこみ主体 → ボリューム補正(脂肪・ヒアルロン酸)
・膨らみ+溝 → 裏ハムラ
・膨らみ+溝+皮膚余剰 → 表ハムラ+慎重な皮膚切除

重要なのは、
皮膚を取りすぎないことだ。

皮膚余剰があるからといって切除量を増やせば、
外反や修正困難な変形を招く。
しわ・質感・色調は、
外科だけでは解決できない領域である。

また、
笑ったときだけ残る膨らみや左右差は、
皮膚や眼輪筋の動的要因によることが多い。
こうしたケースでは、
ボトックスなど皮膚科的治療が有効になる。

赤嶺先生の講義は、
クマ治療を
「どの術式が上手いか」ではなく、
どこまでを外科で担い、どこからを皮膚科に委ねるか
という視点で再整理する内容だった。

≪Takeaway≫

  • クマは「膨らみ」か「へこみ」かで単純化できない

  • 下眼瞼治療は解剖理解がすべての前提

  • 脱脂は万能ではなく、適応を誤ると不満を生む

  • 皮膚切除のやりすぎは外反という不可逆リスクを伴う

  • 外科で無理をせず、皮膚科治療と組み合わせる判断が重要

次に壊さずに見る解剖― 注入医の視点から再定義する下眼瞼 ―

SPEAKER|林 篤志 先生
湘南美容クリニック
技術統括指導医長(皮膚科) 兼
湘南美容皮フ科 五反田院 院長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

下眼瞼の注入治療は、
「中を開けずに、どこを見ているか」がすべてを決める。

注入は本質的にブラインドな行為であり、
外科のように直視できないからこそ、
体表から解剖をどう読むか、
そして手の感触で今どこにいるかを理解することが重要になる。

林先生は、
外科が「引き算」で構造を整える治療であるのに対し、
皮膚科の注入は
「足し算」で相対的な位置関係を変える治療だと整理する。

診察の起点は、必ず側面からの評価
眼球と頬の位置関係を見て、
ネガティブ/ニュートラル/ポジティブの
ベクター(横から見たときの前後関係)を見極める。

ネガティブベクターの場合、
まずは深部脂肪層への注入によって
ポジティブ方向へ近づけることが第一段階となる。

ターゲットとなるのは、
プレマキシラリースペース
(上顎骨の前面にある、組織が滑り込む“余白”のような空間)、

ディープメディアルチークファット
(鼻の横〜ほうれい線内側に位置する、頬の深部脂肪)、

SOOF(眼輪筋下脂肪)
(目の下で、眼輪筋のさらに深層・骨の近くにある脂肪層)
といった深部脂肪コンパートメントである。

これらを適切に補うことで、
下眼瞼と頬の連続性が再構築される。

重要なのは、
ORL(目の下の溝を作る靱帯)や
ザイゴマティックリガメント(頬骨部の支持靱帯)など、
体表に現れるラインから深部構造を読み取る視点

切らずとも、解剖は「透けて見える」。

製剤は、
深部には支持力のあるヒアルロン酸
浅層にはチンダル現象を起こしにくいコラーゲン製剤
使い分ける。

一方で林先生は、
注入治療には足し算ゆえの限界があることも明確に示した。

笑顔時の変化や、
時間経過による戻りを含め、
その限界を理解し、説明することも
注入医の重要な役割である。

壊さずに見て、
構造で考え、
感触で判断する。

本セッションは、
下眼瞼注入を
感覚論から構造論へ引き上げる講義となった。

≪Takeaway≫

・下眼瞼注入は「見えない解剖」をどう読むかで結果が決まる
・診察は正面ではなく、必ず横からベクターを見る
・皮膚科注入は「足し算」で相対的な位置関係を変える治療
・クマ治療は目の下だけでなく、頬の深部構造が鍵
・深部はヒアルロン酸、浅層はコラーゲン製剤と役割を分ける
・注入治療には限界がある。その説明まで含めて完成度が決まる

Skin Qualityを軸とした下眼瞼若返りのLayered Approach
― 非外科的 Multimodal 治療戦略 ―

SPEAKER|やながわ 厚子 先生
ヤナガワクリニック 院長

【NERO潜入レポ|Day1】 なぜ“失敗しにくい美容医療”は、判断の順序から始まるのか —— Cutting Edge(カッティングエッジ) 2026が共有した「選ばれる医療」の条件

下眼瞼の若返りは、
「クマを取る」「膨らみを減らす」だけでは完結しない。

やながわ先生が繰り返し示したのは、
形が若くても、皮膚の質が若くなければ違和感は残る
という現実だった。

目の下は、
皮膚が薄く、老化が早い。
そのため、単一の治療で完結する領域ではない。

診療の起点は、
いきなり治療を選ぶことではなく、
肌質・色調・小じわ・支持力・ボリューム
層(レイヤー)ごとに分解して評価することにある。

やながわ先生の姿勢は明確だ。
手術が必要な症例は、きちんと外科へ送る。
その一方で、
「手術前後の皮膚の質」を整えることこそが
美容皮膚科の本質的な役割
だと位置づける。

非外科的治療では、
HIFU・RF・注入・スレッド・スキンブースターを
“足し算”ではなく、層別に組み合わせる。

とくに重視されるのが、次の三原則だ。

直接入れない
(目の下にヒアルロン酸を安易に置かない)
質感を育てる
(皮膚そのものを若返らせる)
やりすぎない
(外科治療の邪魔をしない)

ニードルレスデバイスやアミノ酸系製剤を用い、
小じわ・くすみ・乾燥といった
手術では解決できない問題を丁寧に拾い上げていく。

変化は劇的ではない。
しかし、時間とともに違和感は確実に減っていく。

その積み重ねを支えるのが、
3D画像診断などによる客観評価だ。
「なんとなく良くなった」ではなく、
変化を患者と共有できることが信頼につながる。

やながわ先生の講義が示したのは、
下眼瞼治療における美容皮膚科の役割は、
「外科の代替」ではなく、
「結果の質を底上げする土台」である
という
明確な立ち位置だった。

≪Takeaway≫
・下眼瞼若返りは単一治療では成立しない
・形だけ若くても、皮膚の質が伴わなければ不自然になる
・皮膚科の役割は「取る」ことではなく「育てる」こと
・手術適応を見極め、外科の邪魔をしない設計が重要
レイヤー別・マルチモダル治療が自然さと安全性を両立する

Day1を経て、次に問われる「判断の核心」

Day1で一貫して示されたのは、
美容医療は「何をするか」ではなく「なぜそれを選ぶか」で差がつく時代に入った
という事実だった。

切る・切らない、入れる・入れない。
その前に、構造をどう読み、どの順序で介入するか
Cutting Edge 2026が問い続けているのは、
手技ではなく“判断の質”だ。

続くDay2では、この視点がさらに広がる。
鼻翼・人中、骨膜下、肋骨、前額、姿勢、脂肪注入──
顔という枠を超え、全体をどう設計するかが議論されていく。

これは医師だけの話ではない。
美容医療を受ける側にとっても、
「流行っているか」ではなく
「構造と理由で説明されているか」

という新しい判断軸を持つことが、
違和感のない結果につながる。

Cutting Edge 2026は、
美しさを更新する場ではない。
美しさを“考える視点”を更新する場である。

Day2では、その問いがさらに深く展開されていく。

NEROは、Cutting Edgeが初回開催されたその時から、毎回現地に入り、この場を追い続けてきた。
それは単なる学会レポートではない。

手技の優劣ではなく、
立場や専門を超えて「良き美容医療とは何か」を問い続ける空気こそが、この場の本質だと感じてきたからだ。

こうした学びと連携の積み重ねが、
結果として、患者が安心して治療を受けられる医療につながってると信じている。

NEROはこれからも、
「良き美容医療の団結の輪」が広がる現場に立ち会い、
その意味を、社会に向けて翻訳し続けていく。

NERO 安達健一