知らず知らずのうちにできている目元のクマ。スキンケアなどですぐ改善できれば良いですが、なかなかそうもいきません。美容医療でのクマ取りは、クマの種類によってさまざまな施術方法から選択する必要があります。今回は、美容皮膚科でできるクマ取りの種類や費用相場、また美容外科などの分野からアプローチが必要なケースもご紹介します。クマにお悩みの方は参考にしてください。
INDEX
1.あなたのクマはどのタイプ?原因もチェック
クマを取るためには、まずは自分のクマがどのようなタイプのクマか知る必要があります。クマは大きく分けて青クマ・茶クマ・赤クマ・黒クマの4つです。それぞれ、どのようなクマか原因と併せて確認していきましょう。
■青クマ:目の酷使や血行不良
目の下の血の巡りが悪くなり、毛細血管の色が透けて見えるのが青クマです。PCやスマホの使いすぎ、寝不足などが原因とされています。目元の水分が減り乾燥すると青クマが目立つようになってしまいます。少しでも目立たないようにするためには、こまめな目元の保湿が大切です。
■茶クマ:紫外線や摩擦による色素沈着
目の下の皮膚は薄くて色素沈着が起こりやすい部分。おもにメラニンが溜まり、茶色く見えるのが茶クマです。紫外線や目を擦る刺激によりメラニンが溜まることが原因とされています。スキンケアは刺激を与えないようにする、目元の紫外線対策をしっかり行うことが大切です。
■赤クマ:眼窩脂肪による圧迫
目の下の筋肉が透け、赤く見えるのが赤クマです。目の上下まぶたには、眼窩脂肪(がんかしぼう)という脂肪の入った袋があります。そのうち下の眼窩脂肪の膨らみによって圧迫され、皮膚の下の筋肉が透けるのが原因です。黒クマと混在しているケースが多いです。
■黒クマ:加齢による筋肉のたるみ
目の下に影ができて黒く見えるのが黒クマです。加齢による目元の筋力や肌のハリの低下、眼窩脂肪の圧迫が原因とされています。年齢を重ねるにつれて悪化するため、放置していても改善する見込みはほとんどありません。
2.美容皮膚科でできるクマ取りは?
クマ取りにはさまざまな方法があります。まずは美容皮膚科や皮膚科でできる方法のうち、注射による注入治療を3つご紹介しましょう。クマ取りの中でも手軽に受けやすく、まず初めに検討する方法としておすすめです。クリニックによっては「再生注射」とうたっているケースも多いですが、注入の内容は異なります。どのような内容かしっかり確認する必要があります。
■青・黒クマ:目の下の凹みや膨らみを改善「ヒアルロン酸」
ヒアルロン酸は体内にある水分を保つ働きを持っています。目の下に注入すると肌のハリを取り戻すとともにボリュームアップ。凹みや膨らみなどを目立たなくしてくれます。ダウンタイムは、ほとんどありません。
ヒアルロン酸は体内に吸収・分解されるため、効果は3ヶ月~半年ほどです。仕上がりに不満があれば期間を置いてやり直しができるのも特徴。クマ取りによる整形失敗が心配な方にとっては不安を減らせるポイントでもあります。
■青・茶クマ:ナチュラルな若返りを目指す「リジュラン(サーモン注射)」
リジュランは肌の保湿力やハリをアップさせる効果が期待できます。サケ由来の成分を用いるため、サーモン注射とも呼ばれることも。ヒアルロン酸のようにボリュームアップに加え、皮膚の自然治癒能力を高めます。肌細胞を再生・活性化させて肌そのものを若返らせるため、ヒアルロン酸注射では難しい目の周りの皮膚が薄い部分の小ジワなどにもおすすめ。
ダウンタイムが短く、効果はヒアルロン酸よりも長く数ヶ月~半年ほどとされています。
■青・黒クマ:ヒアルロン酸とアミノ酸のコンビ「スネコス注射」
スネコス注射は、肌に厚みを持たせたりハリや弾力アップ・キープを促したりする効果が見込めます。「スネコス(SUNEKOS®)」という薬剤を複数回注入して、真皮の状態を改善。スネコスにはヒアルロン酸と6種類のアミノ酸が配合されています。ヒアルロン酸のみとの違いは、より自然な仕上がりになる点。
ダウンタイムは一般的に数日程度で、半年~9ヶ月ほど効果がキープできるとされています。
3.美容皮膚科のクマ取りの費用相場は?
美容皮膚科で行うクマ取りの費用は、施術の種類や回数によって大きく異なります。約5,000円~約30万円と大きな幅があります。例えばヒアルロン酸は5,000~1万円程度で受けられるケースが多いですが、状態をキープするためには定期的な施術が必要であるため、回数を重ねると費用はかさみます。
リジュランは1回あたり5万円前後。リジュランの種類にもよりますが、2~3週間ごとに一度、計3~4回の注入が1セットです。1セットでお得な料金設定をしているクリニックもあります。
スネコス注射も1回5万円程度ですが、2週間に一度、計3回の注入が1セットなのが一般的。3回で10~15万円ほどが目安です。3回コースでお得にしているクリニックもあります。
4.美容外科的アプローチが必要な場合は?
クマ取りは、すべてのクマが美容皮膚科・皮膚科で改善するわけではありません。場合によっては美容外科などでのアプローチが向いている場合があります。外科的施術であってもメスを使わない施術もあるため、切開を避けたい方も選択肢として検討できます。ここでは5つの方法をそれぞれ紹介していきます。
■青・茶・赤・黒クマ:半永久的な効果が望める「脂肪注入」
脂肪注入は、自分自身の脂肪を目の下の凹みに注入する方法です。脂肪を注入すると皮膚の色味をコントロールできるため、すべてのクマで効果が期待できます。また、黒クマの原因となる影の部分に脂肪を注入することでふっくら感が生まれ、クマが改善されます。自分の脂肪を使うため、アレルギーリスクが低いのも特徴です。
脂肪注入は、一時的な効果であるヒアルロン酸などに比べて半永久的な効果が望めます。ただし注入量によっては違和感が残る仕上がりになることも。定着率が50~60%のため多めに注入するケースも多いですが、丁寧な調整が必要です。
■青・茶・黒クマ:高い定着率とリスク軽減「コンデンスリッチファット」
通常の脂肪注入に比べ、定着率が90%以上と高いのがコンデンスリッチファット(CRF)です。無菌状態で精製した脂肪を注入するため、脂肪が壊死したり感染症にかかったりするリスクを軽減できます。しこりなども生じにくく、不自然な仕上がりになる可能性も減らせます。なお、目の下などの皮膚が薄い部分はより定着率が高く肌の若返りが期待できるマイクロコンデンスリッチファットが向いている場合も。肌を再生させる働きがある脂肪幹細胞(ステムセル)を多く含む脂肪を使う、ステムセルリッチファット(SRF)という方法もあります。いずれもCRF認定施設のみで施術を受けられます。
■茶クマ:短時間治療で傷の心配がない「レーザー治療」
治療時間が短く、傷が残る心配もないのがレーザー治療です。メラニン色素を分解する施術のため、茶クマのみ効果が期待できます。クマ取りの中でもダウンタイムが少ない点も特徴です。
■赤・黒クマ:下眼瞼除皺術(ハムラ法)
下まつげから1~2mm下の下まぶた部分を切開し、目の下の膨らみの原因となる眼窩脂肪を移動させたり皮膚を取り除いたりする方法です。クマの根本的改善が期待できますが、皮膚表面の切開を伴うため、クマ取りの他の施術に比べてダウンタイムが長いのがデメリットです。
■赤・黒クマ:経結膜脱脂術(裏ハムラ法)
ハムラ法と同様に、目の下の眼窩脂肪を移動させる方法です。まぶたの裏側から余分な脂肪を除き、窪んでいる部分に移動します。ハムラ法との大きな違いは、皮膚の表面にメスを入れない点。下まぶたの裏側にある結膜という部分を切開するため、傷痕が目立ちにくいのがメリットです。
5.美容外科などでのクマ取り費用の相場は?
美容皮膚科同様、美容外科などでのクマ取りの費用は種類や回数で異なります。クマ取りはおおよそいくらと明示できず、クリニックによる値段の差も大きいです。レーザー治療は5,000円程度からのケースが多く、比較的手軽に受けやすいでしょう。脂肪注入は20~30万円程度、コンデンスリッチファットは30万円前後です。ハムラ法・裏ハムラ法は最低でも20万円ほど必要で、ケースによっては50万円以上になる場合もあります。
6.クマ取りは保険適用になる?
クマ取りの値段は決して安いものではありません。しかし、見た目改善のためのクマ取りは保険適用にならないのが現状。視野の狭まりにより生活に支障がある、大幅な左右差があるなどの症状があれば適用になる可能性も。当てはまる場合はクリニックに確認してみましょう。
■まとめ
クマ取りは、クマの種類によってアプローチ方法が異なります。美容皮膚科の注入治療の範囲で改善する場合もあれば、美容外科的なフォローが向いている場合も。複数のアプローチを併用したり、段階的に試してみると効果がみられたりする場合もあります。自分のクマはどの方法が向いているのかは、クリニックでよく確認・相談しましょう。
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