脂肪注入とは?ヒアルロン酸との違いや持続期間・リスクを徹底解説

脂肪注入とは?ヒアルロン酸との違いや持続期間・リスクを徹底解説

脂肪注入は、頬のこけやほうれい線などに悩む方が、自身の脂肪を採取して顔や胸などに再注入してボリュームアップを目指す美容医療の1つです。

ヒアルロン酸よりも自然で長持ちしやすいとされる一方、生着率やダウンタイムなど注意すべき点もあります。

これから脂肪注入を検討している30〜40代女性に向けて、仕組み・効果・リスク・費用の目安を中立的に解説しましょう。

脂肪注入とは?仕組みと基本の流れ

脂肪注入は、自身の体から採取した脂肪を、顔や胸といったボリュームダウンが気になる部位に再注入する美容医療の一種です。

人工物を使わず、自己組織のみで自然なボリュームをつくれるため、30〜40代の女性を中心に注目されています。

ここでは、その基本的な仕組みと一般的な施術の流れを整理しましょう。

■自身の脂肪を使う「脂肪注入」の仕組み

脂肪注入は、主に「採取」「精製」「注入」という3つのステップで行われます。

まず、太ももやお尻など、比較的脂肪が多くある部位から脂肪を採取します。

次に、その脂肪を遠心分離などの工程で精製し、不要な血液や水分を取り除いて目的の部位(顔・胸・ヒップなど)へ丁寧に注入する流れが一般的です。

このように、自身の体から得た脂肪のみを使うため、アレルギー反応や異物反応が起こりにくい点が、脂肪注入の大きな特徴。

また、生着した脂肪は自身の組織として残るため、時間が経っても自然な質感をキープしやすい施術です。

■施術の流れと所要時間の目安

一般的な脂肪注入の流れは、カウンセリング→採取→精製→注入→アフターケアという順序です。

脂肪を採取する部位は太ももや腹部、お尻などが代表的で、局所麻酔または静脈麻酔で行われることがほとんど。

採取後の精製には30〜60分程度かかるケースが多く、その後精製した脂肪を希望部位へ少量ずつ注入します。

注入部位としては、顔(頬・こめかみ・ほうれい線)、胸などが定番。

所要時間は、施術部位やクリニックによっても異なりますが、採取~注入までの工程で1〜2時間ほどです。

脂肪注入の効果と持続期間

脂肪注入とは?ヒアルロン酸との違いや持続期間・リスクを徹底解説|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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ここでは、脂肪注入に期待できる部位別の効果や特徴を詳しく見ていきましょう。

■脂肪が生着する仕組みと持続期間の目安

脂肪注入では、注入した脂肪がすべてが生着するというわけではありません。

施術後に一部は自然に吸収され、残った脂肪細胞が生着することで、長期的にそのボリューム感をキープ。

この「生着」の割合は個人差がありますが、おおむね注入した量の40〜80%程度だと言われています。

生着した脂肪は自身の組織として体内に残るため、理論上は長期間維持できると考えるのが妥当です。

ただし、加齢や体重変動、体質などによりボリュームが変化することもあります。

顔に脂肪注入をしてから10年後にはどうなるか、実際には個人差が大きいのが現状です。

■部位別の効果と自然な仕上がりの特徴(顔・胸)

顔への脂肪注入では、頬やこめかみ、ほうれい線などにボリュームを出すことで、やつれ感や影をやわらげ、自然な若々しさを演出します。

過剰に注入すると「脂肪注入によって顔がパンパンになった……」と感じることもあるため、医師のデザイン力が重要です。

胸の脂肪注入は、人工物を使わずにやわらかな質感を得たい人に選ばれやすく、触感が自然である点が魅力。

脂肪を採取した部位のボリュームダウンが狙えるのもメリットの1つといえます。

ヒアルロン酸注入との違い

脂肪注入とヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)は、どちらもボリュームを補う施術ですが、持続性や質感、コストなどに明確な違いがあります。

ここでは、それぞれの特徴を比較し、自身に合った選択を見極めるためのポイントを整理します。

■質感・持続・コストの違いを比較

ヒアルロン酸注入は、施術後すぐに変化を実感しやすく、数分〜1時間で完了する手軽さが魅力です。

ヒアルロン酸はふっくらとした比較的固めの質感で仕上がる傾向があります。

さらに、ヒアルロン酸は体内に吸収される性質があるため、効果の持続期間はおよそ6ヶ月〜1年程度。

これに対して脂肪注入は、生着した脂肪が自身の組織として残るため、持続期間が数年〜長期的に続く傾向です。

仕上がりは、ナチュラルでヒアルロン酸に比べてやわらかい印象を感じる方が多い傾向があります。

費用面では、ヒアルロン酸注入が1回あたり数万円〜数十万円と比較的リーズナブルなのに対し、脂肪注入は脂肪の採取や精製の工程があるため、20万円〜数十万円程度とやや高額です。

それぞれに利点があり、「即効性を求めるか」「自然さと持続性を重視するか」で選択が分かれます。

■脂肪注入が向いている人・ヒアルロン酸が向いている人

脂肪注入が向いているのは、自然な質感を重視し、長期的に若々しさを維持したい人です。

一方、ヒアルロン酸注入は、ダウンタイムを短くしたい人や、まずは変化を試したい人に向いています。

短期間で結果を確認できるため、イベント前などにも選ばれやすい傾向です。

どちらの施術にもメリット・デメリットがあり、顔立ちや皮膚の厚み、希望する仕上がりによって最適な方法は異なります。

医師と十分に相談し、リスクや経過について理解したうえで選ぶことが大切です。

ダウンタイムとリスク・注意点

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ここでは、脂肪注入の一般的な経過とリスクを整理し、トラブルを防ぐために意識したいポイントをご紹介しましょう。

■腫れ・内出血・しこりなど術後の経過

ダウンタイムの症状には個人差がありますが、施術後は注入部位に腫れや内出血、むくみが生じることがあります。

顔に脂肪注入した場合、腫れは1〜2週間程度、内出血は2週間程度で落ち着いていくことがほとんどです。

その後、3ヶ月ほどかけて徐々に定着し、なじんでいきます。

その間、注入部位が一時的に「パンパン」に感じられることもありますが、これは吸収や組織のなじみの過程で自然に落ち着くことがほとんどです。

脂肪を注入した部位とは別に、脂肪を採取した部位(太もも・腹部など)にも軽い筋肉痛のような違和感が出ることがあります。

こういった、腫れやむくみ、違和感などが長期間続く場合は、何らかのトラブルが発生している可能性があるため要注意。

とくに脂肪を注入した部位では、感染やしこり(脂肪壊死)の可能性もあるため、早めの診察を心がけましょう。

■しこり・脂肪壊死などトラブルを防ぐためのポイント

脂肪注入を顔や胸などに行った場合のデメリットとしてよく挙げられるのが、しこりや脂肪壊死のリスクです。

これは、一度に大量の脂肪を注入した場合、血流が十分に行き届かず、脂肪の一部が壊死して硬く残ることが原因とされています。

そのため、医師は「一度に多く入れない」ことを原則とし、層ごとに分けて少量ずつ注入するケースが多くみられます。

この方法により、脂肪が均等になり、血流を得やすくなることでムラやしこりを防げるのです。

また、アフターケアについても医師の指示に従うことも忘れないようにしましょう。

費用相場とクリニック選びのポイント

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脂肪注入は、施術内容が複数の工程に分かれることなどから、費用には幅があります。

ここでは、部位別のおおよその料金相場と、信頼できるクリニックを選ぶ際に確認したいポイントをご紹介しましょう。

■脂肪注入の料金相場と費用に含まれる項目

脂肪注入の料金は、顔の場合で20万〜50万円前後が目安の相場です。

胸の脂肪注入では50万〜100万円以上かかるケースもあります。

これは、採取に必要な吸引処置や、脂肪を精製する専用機器の使用料が含まれるためです。

クリニックによっては採取・精製・注入という工程ごとにコストが発生することも。

加えて、麻酔・処方薬などが別途加算される場合もあるため、トータルでの見積もりを聞いておきましょう。

安さだけで判断せず、施術内容に「どの工程が含まれているか」を確認することが大切です。

また、初回は体に吸収される脂肪の量が多いケースもあり、まれに再注入が必要になる方もいることを理解しておきましょう。

■クリニック選びで確認すべき3つのポイント

脂肪注入の施術後の満足度は、クリニック選びで大きく左右されます。

選ぶ際は次の3点を意識しましょう。

  1. 症例実績の確認:脂肪注入の症例写真を複数提示しているか、部位別の経験が豊富かを確認します。
  2. 医師の技術とカウンセリング:リスクや生着率を明確に説明し、「入れすぎないデザイン」を提案できる医師を選ぶことが重要です。
  3. 医療広告ガイドラインの遵守:過度なビフォーアフターや「必ず効果が出る」といった表現を避けているクリニックは信頼性が高い傾向にあります。

脂肪注入は体の一部を扱う医療行為です。

価格よりも安全性と専門性を重視し、納得のいく説明を受けたうえで判断することが、後悔のリスクを軽減し、満足度向上につながります。

まとめ

脂肪注入は、自身の脂肪を利用して自然なボリュームを取り戻す美容医療です。

ヒアルロン酸に比べると持続期間が長く、やわらかい質感に仕上がる一方で、生着には個人差があり、再注入が必要となる場合もあります。

施術の流れやダウンタイム、リスクを正しく理解し、信頼できる医師と十分に相談することが満足度を高める鍵です。

短期的な変化よりも、長期的なバランスを重視する視点を持ち、自然な若々しさを叶えましょう。

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・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
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【施術の内容】脂肪注入
【施術期間および回数の目安】通常1回 ※状態によって異なります。
【費用相場】¥60,000~¥2,000,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】術後の内出血、浮腫み、硬縮(皮膚のツッパリ感)、疼痛など
【未承認機器に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医療機器を使用する場合があります。
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・薬事承認を取得した製品を除き、同一性能を有する他の国内承認医療機器は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。

【施術の内容】ヒアルロン酸注射
【施術期間および回数の目安】約9~12ヶ月ごとに1回程度 ※状態によって異なります。
【費用】1本 ¥55,000~¥150,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。使用する本数には個人差があります。
【リスク・副作用等】赤み、内出血、腫れ、痛み、アレルギー反応、修正位置のずれなど
【未承認医薬品に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医薬品を使用する場合があります。
・施術に用いる医薬品は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分を有する他の国内承認医薬品は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。