眼瞼下垂を埋没法で改善する方法は、切らないでまぶたの開きを改善できる治療法として注目されています。
まぶたが重く見える、二重幅が狭くなったと感じている方にとって、ダウンタイムが短く傷痕が残りにくい点は魅力的でしょう。
ただし、埋没法ですべての眼瞼下垂に対応できるわけではありません。
この記事では埋没法による眼瞼下垂手術の仕組みや効果、持続性などを詳しく解説しますので、治療方法に悩む方はぜひ参考にしてみてください。
眼瞼下垂は埋没法で治るのか

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切らずに眼瞼下垂を改善したい方にとって、埋没法による眼瞼下垂手術は選択肢の1つとなります。
ただし、適応や効果には個人差があり、すべてのタイプの眼瞼下垂に向いているわけではありません。
まずは、手術の仕組みや適応範囲からチェックしていきましょう。
■埋没法による眼瞼下垂手術の仕組み
埋没法による眼瞼下垂手術は、まぶたの裏側から糸を通し、挙筋腱膜を瞼板に固定することでまぶたを上げる力をサポートする方法です。
挙筋腱膜とは、まぶたを持ち上げる筋肉の先端にある薄い膜のことです。
この膜がゆるむことで眼瞼下垂が生じるため、糸で挙筋腱膜を前方に引き寄せて固定すれば、まぶたの開きを改善する効果が見込めます。
埋没法による眼瞼下垂手術を受けることで同時に二重のラインが形成されることもありますが、あくまで目的は眼瞼下垂の改善です。
二重整形のように希望のデザインを自由に選べるわけではなく、機能回復を優先した結果として二重が形成されるということです。
そのため、理想の二重幅と異なる仕上がりになる可能性も考慮しておく必要があります。
■適応条件は?どんなタイプの眼瞼下垂に向いている?
埋没法の眼瞼下垂手術が適しているのは、軽度~中等度の眼瞼下垂です。
また、皮膚のたるみが少なく、余剰皮膚の切除が不要な状態であることも、埋没法が適応される重要な条件となります。
まぶたの皮膚が厚すぎたり、たるみが強すぎたりすると、糸による固定だけでは十分な効果が得られない場合があります。
■埋没法に向かない眼瞼下垂
眼瞼下垂を改善するにあたり、埋没法では対応できないケースがいくつかあります。
まず、重度の眼瞼下垂です。
挙筋機能が著しく低下している場合は、糸で挙筋腱膜を固定しても十分な効果が得られないため、切開を伴う手術が推奨されます。
次に、皮膚のたるみが強い場合です。
加齢によって皮膚の余剰が強いと、挙筋腱膜を補強しても皮膚の重みでまぶたが持ち上がらないことがあります。
このケースでは、余剰皮膚を切除する切開法が選択されます。
先天性眼瞼下垂も埋没法は不向きです。
先天性眼瞼下垂では、挙筋そのものが十分に発達していないため、挙筋腱膜を固定しても開瞼の改善が見込めません。
こうしたケースでは、挙筋前転術や前頭筋吊り上げ術といった別の術式が検討されます。
埋没法とほかの治療法との比較|切開法

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埋没法とは別に、眼瞼下垂治療の代表的な術式として、古くから行われているのが切開法です。
「切開」と聞くと抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、埋没法と切開法では、持続性やダウンタイム、リスクの面で明確な違いがあり、それぞれに適した症例があります。
■持続性の違い
糸を使って眼瞼下垂を改善する埋没法は、時間の経過とともに糸が組織からとれることで効果が弱まる可能性があります。
数年で元の状態に戻るケースもあれば、それ以上効果が持続する場合もあるなど、持続期間は個人差が大きいです。
半永久的で確実な効果が得られない点はデメリットといえるでしょう。
切開法はまぶたを切開し、挙筋腱膜を短縮して瞼板に固定する治療法です。
比較的安定性が高く、長期に見ても効果が維持されやすいと考えられています。
皮膚を切開して余剰組織を取り除くため、たるみによる再発も防ぎやすいのが特徴です。
持続性を重視する場合や、重度の眼瞼下垂で確実な変化を求める場合は、切開法が選択されやすい傾向にあります。
■術後の経過やダウンタイムの違い
術後の過ごしやすさという点では、埋没法と切開法で大きな差があります。
埋没法はまぶたを切らないため、腫れや内出血が軽度で済み、多くの場合1~2週間ほど経てばメイクでカバーできる程度に回復します。
抜糸も不要で、通院回数が少ない点も特徴です。
対して切開法は、皮膚を切開するため腫れが比較的強く、ダウンタイムが落ち着くまでに2~4週間ほどかかることがあります。
抜糸のための通院が必要となるケースも多く、傷痕が目立たなくなるまで数ヶ月かかることも珍しくありません。
人前に出る仕事をしている場合や、予定が詰まっている時期には、ダウンタイムの長さが負担となるかもしれません。
■リスクや合併症の違い
埋没法のリスクとして、糸の露出やゆるみ、左右差、感染といったトラブルが起こる可能性があります。
糸がゆるんだ場合、効果を持続するための再手術が必要になることも。
また、糸がまぶたの表面に出てきてしまうと異物感や炎症の原因となるため、早めに対応しなければなりません。
切開法では、傷痕が残るリスクや過矯正の問題を生じる可能性があります。
過矯正とは、眼瞼挙筋が短縮されすぎてまぶたが上がり、驚いたような表情になることです。
調整には再手術が選択肢として検討されます。
いずれの方法もリスクや合併症を完全に避けることは不可能ですが、術後にトラブルが発生すると精神的な負担も大きくなります。
費用や仕上がりだけでなく、リスクや合併症についても説明を受け、納得した上で治療を受けることが大切です。
埋没法とほかの治療法との比較|MT(ミュラータック)法

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切らない眼瞼下垂治療には、埋没法のほかにMT法(ミュラータック法)という選択肢もあります。
どちらも糸を使う術式です。
作用する部位や効果の持続性に違いについて見ていきましょう。
■MT法とは
MT法は、ミュラー筋を瞼板に縫合固定することで、目の開きを改善する術式です。
ミュラー筋は、眼瞼挙筋のさらに奥にある薄い筋肉で、まぶたの開閉を調整しています。
ミュラー筋を瞼板に引き寄せて固定することで緊張を高め、まぶたの開きをサポートするというメカニズムです。
MT法も、埋没法と同様にまぶたを切らないため、ダウンタイムが短くて済むというメリットがあります。
軽度の眼瞼下垂や、まぶたの開きが弱いと感じる場合に選択される術式ですが、挙筋腱膜そのものの問題を解決するわけではないため、適応範囲は限定的です。
■作用部位と効果の違い
埋没法による眼瞼下垂手術は、挙筋腱膜を瞼板に固定してまぶたを持ち上げる仕組みです。
挙筋そのものの機能が比較的保たれているケースで高い効果を発揮します。
MT法は挙筋腱膜ではなくミュラー筋を瞼板に固定する方法です。
ミュラー筋は副次的にまぶたの開きをサポートする筋のため、MT法は眼瞼挙筋が薄い、または眼瞼挙筋の力が弱いケースに適しています。
どちらの術式が適しているかは、眼瞼下垂のタイプや原因によって異なります。
挙筋腱膜のゆるみを原因とする場合は埋没法、眼瞼挙筋の機能低下が関与している場合はMT法が選択されやすいです。
■持続性と再発リスクの違い
埋没法もMT法も切開を行わずに糸で組織を固定するため、時間の経過とともに糸の固定がゆるむ可能性があります。
とくにMT法は、補助筋であるミュラー筋にアプローチするため、埋没法よりも戻りやすい傾向にあるようです。
ただし、持続期間には個人差が大きく、「何年持つ」と一律に断定することはできません。
安定した改善を求める場合は、医師と十分に相談し、切開法も含めて自分に合う方法を選びましょう。
自分に合う治療法を選ぶには

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眼瞼下垂の治療法にはそれぞれ特徴があり、万能な方法はありません。
その中で後悔のない選択をするには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
■優先順位を考える
治療法を選ぶ際は、自身にとっての優先順位を明確にすることが重要です。
二重ラインの形や幅を第一に考える場合は、二重整形も含めてデザインを細かく調整できる美容外科クリニックでの治療を検討しましょう。
まぶたの開きや視界の良好さを取り戻したいことを優先する場合は、確かな効果が期待できる眼瞼下垂手術が適しています。
何を重視するかによって施術の選択肢や組み合わせが変わるため、希望する仕上がりと実際の状態を照らし合わせて考えることが大切です。
■まぶたの状態を正しく把握する
自分のまぶたがどのような状態にあるのかを正確に把握することは、治療を選ぶ際に重要なポイントとなります。
皮膚の厚みや機能、たるみの程度によって、適応となる術式が異なるためです。
眼瞼下垂が軽度で皮膚のたるみが少ない場合は、埋没法やMT法で十分改善できる可能性がありますが、皮膚のたるみが強い場合や重度の下垂では切開法が必要となるケースも。
自己判断だけでは適切な方法を選ぶのが難しいため、専門医による診察を受け、客観的な視点にもとづいたアドバイスを受けましょう。
まとめ
眼瞼下垂を埋没法で改善する方法は、切開に抵抗がある方にとって魅力的な選択肢です。
しかし、軽度~中等度の眼瞼下垂の改善が主な目的であり、理想の二重をデザインするためのものではありません。
自分に合った治療法を選ぶには、まぶたの状態を正しく把握し、何を優先するかをはっきりさせることが大切です。
また、信頼できる医療機関で診察を受け、十分な説明を受けてから判断するようにしましょう。
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