グローバル社会における日本の「ルッキズム」傾向は?美容整形で「きれいになる」のは本当に悪いこと?

グローバル社会における日本の「ルッキズム」傾向は?美容整形で「きれいになる」のは本当に悪いこと?

人の価値を外見や容姿で判断するルッキズム。日本語では外見至上主義といわれることもあり、現在ではその考え方を見直す動きが広まっています。こちらの記事では、ルッキズムがもたらす社会的な影響をお伝えするとともに、「きれいになりたい」と思う気持ちは本当に悪いことなのか?ルッキズムの影響に捉われない生き方は?などについて深掘り。令和という新しい時代において、改めてこれからの“美のあり方”を考えるきっかけにしてみてください。

1.ルッキズムとは?現代の日本社会における「美」の基準

出典:photoAC

現代社会では、SNSなどのソーシャルメディアの発達により、特定の「美の基準」が広まりやすくなっています。視覚に基づいて情報が判断されやすく、見た目の印象を高めるために画像を加工したり、スタイルが良く見えるように構図を工夫したり……。外見の美しさが重視される傾向にあるのは、否めない事実です。では、なぜ人は美しさを追い求めるのでしょうか?ここでは、外見が重視されるようになった背景や、ルッキズムがもたらす影響、日本におけるルッキズムの傾向について解説します。

そもそもルッキズムとは?

ルッキズムとは、外見や容姿で人の価値を判断すること。見た目を重視するだけでなく、それを理由に差別的な言動を取ることも含まれます。例えば、太っているよりも痩せているほうが美しいとする考え方は、ルッキズムの代表例のようなもの。差別や不平等を助長させる思想として、現在ルッキズムを見直そうという動きが世界的に強まっています。

ルッキズムの歴史と起源

ルッキズムの始まりは、1970年代のアメリカ。肥満への抗議運動の中で用いられたのが始まりです。日本でルッキズムという言葉を耳にするようになったのは比較的最近のことですが、実は外見を重視する考え方自体は古くから存在していたという説も。

とくに昭和の時代は「美しさ=価値が高い」という考え方が社会的に浸透しており、採用活動では見た目の美しさが求人条件としてごく一般的に使われていたようです。実際に「顔採用」という言葉が広まったのもこの時代。このように日本では、容姿によってランク付けされる風潮が当たり前のように受け入れられてきました

ルッキズムが個人や社会に与える影響

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古くから容認されてきたルッキズムですが、あまりにも行き過ぎるのは問題。偏見や差別を助長し、健康問題を引き起こす可能性があります。

偏見や差別の助長

ルッキズムが浸透している社会では、美しい外見の人が優遇され、そうでない人が差別を受ける可能性があります。その人が持つ能力が正当に評価されないため、外見だけで就職や昇進、進学が決まるということです。このように偏った評価は、社会の発展や多様性の尊重を阻害します。

健康問題の増加

ルッキズムは、心身の健康にも影響を与えます。外見に対する心ない誹謗中傷が、摂食障害を引き起こしたり自己肯定感を下げたりするためです。とくに日本人は、自分の容姿に自信を持てない人が少なくありません。過激なダイエットをしたり自分を否定したりすることは、心身の健康状態を悪化させます。深刻な場合では、命が脅かされるケースもあるでしょう。外見至上主義の価値観が加速するほど、健康リスクは高まります

日本におけるルッキズムの傾向

ルッキズムは日本だけでなくさまざまな国で散見されますが、その傾向は異なります。例えば、競争社会の韓国ではルッキズムの傾向が顕著。社会で成功するには「内面も外見も他者より秀でていなければならない」という考えが強く、自分磨きの努力をすることが当たり前です。親が子に整形を促すケースも少なくないほどルッキズムが常態化しており、痩せていることや外見が美しいことを良しとする風潮が根強く存在しています。

一方アメリカでは、個性を尊重し、多様な美を認めようとする考えが強い傾向にあります。仮に太っていたとしてもメイクをしたりおしゃれを楽しんだり、他者との比較ではなく自分自身が「どうありたいか」に重きを置いているのが特徴。ルッキズムがまったくないとはいえませんが、TVCMや企業広告にはさまざまな人種、見た目の人が起用されています。

では、日本におけるルッキズムの傾向はどうでしょうか。日本は、美に対する価値観が非常に高い国。メディアや広告では美しい外見が強調されることが多く、容姿へのこだわりが強い傾向にあります。アイドル文化が日本のサブカルチャーとして根付いているのも、かわいい容姿や美しいスタイルが魅力的と判断されているためかもしれません。韓国と比較すると美容整形への抵抗感は依然として強めですが、若年層を中心として徐々に受容は進んでいます。

しかし外見の美しさがもてはやされる一方で、日本人は内面の美しさも大切にする人種。古くから「おもてなし」の文化が息づいているように、謙虚さや誠実さ、思いやりなど、外見だけでなく内面的な美しさを重視する人が多く存在します。内面、外見どちらかではなく、両者のバランスが取れている人が「美しい」と評価されやすいのは日本ならではの文化といえるかもしれません。

2.「きれいになりたい」と思うのは悪いこと?

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行き過ぎたルッキズムは、差別や偏見を助長し健康リスクを高めますが、では果たして「きれいになりたい」と思うのは本当に悪いことなのでしょうか?

「きれいになりたい」気持ちは人としての自然な欲求

「きれいになりたい」と思うことは、より良い自分になりたいという自然な欲求の表れ。健康的な自己表現の一部であり、決して悪いことではありません
何より、きれいになると自己肯定感が高まります。自己肯定感とは、自分のことを肯定的に受け入れる感情、感覚のこと。きれいになりたいという気持ちの裏にはコンプレックスが隠れていることが多く、そのせいで自信が持てずに自分を否定してしまう人は少なくありません。
しかし、コンプレックスが解消し理想的な自分に近づけば、明るく前向きな人生を送れる可能性が高まります。好きなファッションやメイクに挑戦したいという意欲も湧くでしょう。「きれいになりたい」気持ちは個性を表現し、自分自身を大切にすることにもつながるのです

コンプレックスと向き合うには……

コンプレックスとルッキズムには、強い結びつきがあります。コンプレックスが強い人ほど、外見や容姿の美しさに憧れるからです。コンプレックスを解消するのは難しいと思うかもしれませんが、実はコンプレックスと向き合う方法は意外とシンプル。「他者を気にしない」か「自分が変わる」かの大きく2択です。

他者と比較しない

一般的にコンプレックスは、他者との関わりの中で後天的に育まれる感情。子どもの頃に心ない言葉をかけられたり誰かと比較されたりした経験が、コンプレックスの大きな原因になっています。
しかし、自分と他者はそもそも育ってきた環境や持っている能力、考え方が異なる別の存在であり、比べる対象にはなりません。子どもの頃にかけられた言葉が悪しき呪文として内在化しているかもしれませんが、本当に自分を評価できるのは自分だけ。自分軸で「どうありたいか」を見つめ直すことが大切です

美容整形や美容ケアを利用する

コンプレックスと向き合うために、美容整形やスキンケアを活用する方法もあります。女優やタレントとして活躍するMEGUMIさんも、美容医療の力を使ってコンプレックスを解消した1人です。MEGUMIさんは肌の老化が気になって一時期は出かけるのも嫌になったそうですが、あらゆる美容法を試した結果、見事コンプレックスを克服。きれいになったことで、これまで以上に前向きな人生を歩んでいます。「美しさ」があることで自信を持ったり自分を愛したりできるのなら、それはコンプレックスと向き合ううえでとても合理的といえるでしょう

3.令和の新しい考え方「自分らしい美しさ」とは?

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人の価値は外見や容姿だけで決まるものではなく、ルッキズムの「このような見た目であるべき」という価値観の押し付けは、多様性の実現を目指す令和の時代には似つかわしくありません。ルッキズムを解消するには、ありのままの外見、容姿を受け入れ「自分らしい美しさ」を追求することが重要です。

「自分らしい美しさ」=楽しく自信を持って生きること

自分らしい美しさを追求するには、価値判断の基準を他者ではなく自分に置く必要があります。本来人はそれぞれ異なる思想を持っており、何を美しいと思うか、どんな美しさを好むか、その価値観はばらばらです。基準や認識を統一することはできません。だからこそ内面と向き合い、自分の価値観に基づいた美しさを見つめ直すことが、自分らしく生きることにつながるのです。

また、外見はその人のほんの一部分で、表面的な特徴でしかありません。人の魅力は外見だけでなく価値観や考え方、能力、心の豊かさなどさまざまな要素で構成されています。自分らしい美しさを追求するには、外見と同じように内面を磨くことも大切。そうすることでさらに自分自身が好きになり、楽しく自信を持って生きることができるはずです。

自分らしい美を追求するには

例えば海外セレブのアリアナ・グランデは、長年続けてきたフィラーやボトックスを辞め、老化を受け入れることで自分らしい美を実現した1人。
彼女は施術を辞めた理由について、ファッション誌『VOGUE JAPAN』のインタビューで「自分を隠すための美容に、違和感を持つようになった」と話しています。しかし、彼女は自分にとっての美しさを見つめ直しただけであって、美容そのものを否定しているわけではありません
実際に「あなたが自分の美しさを実現するためにそれらをするのなら、私はどんな選択も応援する。でも私は自分の泣きジワや笑いジワを見てみたいし、歳を取ることは素敵なことだと思うようになった」とコメントしています。

一方、美容医療でコンプレックスを解消し、自分をさらに好きになれたという例も。タレントとして活躍する有村藍里さんは、インターネット上で容姿に関する誹謗中傷を受けるなど、ルッキズムに苦しんだ過去を持ちます。
そんな彼女は、2018年に輪郭矯正の骨切り術を受けたことを告白。美容整形を「自分の顔を好きになれる最後の望み」と捉え、前向きな気持ちで手術に挑んだそう。整形後の撮影ではこれまでにないくらい明るい笑顔の写真が撮れ「本当に整形して良かった」と、集英社オンラインのインタビューで答えています。

アリアナ・グランデと有村藍里さんは、異なる方法で自分らしい美を追求していますが、両者に共通しているのは、他者からの評価ではなく自分の基準で美しさを決定しているところ。自分らしい美しさを見つけたことで、楽しく自信を持ってポジティブに生きていることがうかがえます。

4.自分らしい美しさを追求することの重要性

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自分らしい美しさを追求することは、見た目に限らず内面も含めて自分を愛するということ。自分を好きになれるのなら美容整形するも良し、美容整形せずにありのままの自分を受け入れるのも良し。どちらが正解ということはありません。
ルッキズムを解消するには、他者ではなく自分の価値観を見つめ直すことが重要な一歩です。そして自分らしい美しさを大切にし、楽しんで人生を生きること。そうすることで、より幸福でルッキズムに囚われない豊かな生活を送ることができるでしょう。

まとめ

他者との関わりの中でつい人と比較したり、人からどう見られているか気になったり。そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。たしかに「人に良く見られたい」「きれいだと思われたい」という感情は、自然な欲求の表れであり決して悪いことではありません。しかし、人間の魅力は外見だけでは決まらないもの。ルッキズムに囚われ「こうあるべき」という価値観を人に押し付けても、決して自分が幸せになれるわけではないのです。楽しく自信を持って生きるには、自分の価値観に基づいて判断すること。メディアや他社の言動に振り回されることなく、自分らしく輝きましょう。

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