【富裕層だけ?いいえ、誰もが。】美容医療業界におけるロンジェビティ、具体的に何から始める?健康に美しく長生きするための、ロンジェビティ入門書

【富裕層だけ?いいえ、誰もが。】美容医療業界におけるロンジェビティ、具体的に何から始める?健康に美しく長生きするための、ロンジェビティ入門書

ロンジェビティ(Longevity)は直訳すると「長寿」ですが、美容医療の分野では「健康的な長生き」という意味で使われています。「永遠の若さが欲しい……」と、誰もが一度は願ったことがあるのではないでしょうか?美容医療業界でも注目を集めるロンジェビティは、いわゆる寿命延長ではなく、若々しさを保ったまま、もしくは年齢と生物学的年齢を改善し ながら、健康寿命を伸ばしていくことを意味します。そこでこの記事では、ロンジェビティについて今世界で何が起こっているのか取り上げるとともに、美容医療にどう組み込まれているのか、またこれからの可能性について迫ります。

最近ロンジェビティが話題!海外・国内の動向

人生100年時代―。医療の進歩で長生きできるようになった今、人生を最大限に楽しむには何よりも健康な体と心が不可欠です。富裕層の多くは、お金があっても健康でなければ意味がないと考え、健康のためなら出費を惜しみません。

アメリカではGoogleの子会社Calico(2013年設立)をはじめ、バイオテクノロジー企業が老化研究に多額の資金を投じています。バイオテクノロジーや再生医療、AIなどの分野で不老長寿を実現させるための技術が急激に発展し 、「ロンジェビティ産業」が誕生したといっても過言ではありません。一方で、インドでは古くからの伝統医学「アーユルヴェーダ」が受け継がれてきました。自然に近い方法で心身をデトックスし、寿命まで健康維持をするという考え方がロンジェビティの観点からも注目されています。

世界各国の高級ホテルやリゾート地ではすでにロンジェビティの考え方や技術を取り入れたサービスの提供が行われており、富裕層を中心にロンジェビティトリップがトレンドに
日本でもロンジェビティにもとづいた治療を提案するクリニックや、再生医療×伝統医学×医食同源を組み合わせた富裕層向けの複合施設が登場するなど、徐々にその認識は社会全体に広まりつつあります。

自己実現と美意識の高まり~ロンジェビティの概念が富裕層から若者に伝播する理由~

出典:photoAC

富裕層が求めているのは単なる寿命の延命ではなく、100歳まで健康な体で自分らしいライフスタイルを保つことです。長生きが当たり前になった時代、病は「治療」よりも「予防」にシフトし、より丁寧な自己ケアと質の良い暮らしを送ることで、病気をしない体を手に入れることが理想とされるようになりました。ここまで知ると「ロンジェビティ=高齢富裕層のためのもの」と思われがちですが、決してそうではありません。

実は20代前半~30代後半のミレニアル世代や、より若いZ世代にも共通する価値観であることが分かっています。若い世代にもロンジェビティの概念が伝わる理由には2つの側面があり、1つは不安定な経済状況と強い政治不信が続く中で、健康や美容への自己投資=資産になるという認識が高まったこと。そしてもう1つは、TikTokやInstagramで発信される情報に影響を受け、美意識そのものが高まっていることです。

ユーロモニターインターナショナル「Top Global Consumer Trends in 2025」によると、若い世代は将来を見据え、自分のコンディションに合ったヘルスケアやメンタルケアを早い段階から取り入れている傾向にあることが分かりました。例えば、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスの使用や、フィットネスアプリを使った自己管理は一般的になっており、より健康的な生活習慣を築こうとしていることが伺えます。また、美容分野においても「先手を打つ」ためにエイジング対策に力を入れるなど、自分のポテンシャルを高めるためのケアに興味関心が高いことも特徴です。

つまり若い世代は、将来に備えた美容・健康の情報を仕入れながらも、テクノロジーを活用し、自分に最善かつ効果的な根拠のある解決方法を追い求めていると言えます。このように、ロンジェビティの考え方は決して富裕層だけのものではなく、「自分の人生を自分らしく生きたい」と願う現代人に見合う価値観なのです。

具体的に何から始める?健康に美しく長生きするための、ロンジェビティ入門書

出典:photoAC

肌荒れしたら皮膚科、風邪をひいたら内科のように、自分の体に気になる症状があったとき、多くの方が対処療法として特定の診療科を受診するのではないでしょうか?もちろんその医療的アプローチは正しいのですが、「老化」においては遺伝的要因、環境的要因、生活習慣的要因が複雑に絡み合っているため、特効薬がありません。自分の体をすみずみまで把握し、総合的にケアを行うことが「永遠の若さ」を手に入れるための鍵になります。ここからは、富裕層でなくても今すぐ始められる、ロンジェビティ的アプローチ方法をご紹介します。

1.遺伝子検査で自分の体質やリスクを把握

自分が病気になりやすい体質か、どんな栄養素が不足しやすいのか、遺伝子から将来のリスクを予測することが可能です。近年、髪の毛一本で自宅にいながら検査できる遺伝子検査キットや、採血をして専門的な遺伝子検査を行うクリニックが登場。遺伝子検査では、心疾患や糖尿病などの遺伝的要因が絡む健康リスクのほか、ビタミンやミネラルの吸収能力、代謝の傾向などを調べられます。遺伝子の傾向をもとに食生活や生活習慣を改善することで、遺伝的要因の老化リスクを抑えることが可能です。

2.血液検査で健康状態を確認

血液検査ではビタミンDの血中濃度や、コレステロール値、女性ホルモン・男性ホルモンの分泌量が把握できます。免疫を活性化させ、がんや骨粗鬆症も予防するとされるビタミンDは、多くの女性が不足しがちな栄養素です。コレステロールも、基準値を超えた状態が続くと生活習慣病リスクが高まるとされており、年齢とともに数値が高くなりやすいので要注意。また、ホルモン測定は婦人科系の病気や男性更年期障害の早期発見に役立ちます。血液検査の数値が悪かった場合、生活習慣の見直しや、サプリメントやホルモン補充療法によるアプローチを行うことが一般的です。

3.点滴療法(IV療法)で栄養補給

点滴療法は、栄養素を直接血管に注入するインナーケア方法です。食事やサプリメントに比べて吸収率が高いため、栄養素を効率良く摂取するのに適した方法。高濃度ビタミンC点滴や、白玉(グルタチオン)点滴は強い抗酸化作用を持ち、老化の原因である活性化酸素を排出し、細胞寿命を延ばす働きがあります。どちらも免疫力を高めて風邪や病気を予防するほか、肌の透明感アップなど、美容にうれしい作用があることも魅力です。

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4.がん検診や生活習慣病の定期チェック

遺伝子検査や血液検査とあわせて、忘れてはならないのが毎年の健康診断や人間ドック。忙しいとつい自分の体のケアを忘れがちですが、検診を習慣化しておくことで体の変化やがんなどの病気に気づきやすくなります。数値で変化が分かるため、健診結果をふまえた対策をとりやすくなるだけなく、健康へのモチベーション維持にも効果的。健診には保険診療の範囲で受けられるものもあり、ロンジェビティを意識するならまずは取り入れておきたい方法です。多くの医療機関ではより詳細な検査項目の人間ドックも用意されているため、年齢や性別、喫煙習慣の有無に応じて検査を追加しても良いでしょう。

5.医療機関での個別相談による健康プランの作成

エイジングケアやダイエットを目的とし、一人ひとりに合った運動や食事を指導するクリニックもあります。対処療法ではなく、血液状態や腸内環境などのデータと生活習慣をもとに、パーソナライズされた食事・運動・治療のプランを提案するというもの。自分の体質や傾向が医学的に分かるだけでなく、予算やライフスタイルに合わせた治療方法を提案してもらえることや、医師による継続的なフォローアップがあることが特徴です。

いずれの方法も、目には見えない「健康」という指標を可視化しながら、「健康になった気がする」で終わらせず、理想とする健康状態を追求していくことがロンジェビティ的アプローチの本質と言えるでしょう。また、ロンジェビティを実現するには上記のような科学的根拠に基づいたケアと、生活習慣の見直しに加え、マインド強化やメンタルケアも取り入れていくことが大切です。

ロンジェビティの概念を取り入れた新しい美容・健康治療法

 

ロンジェビティの概念の広がりとともに、新しい治療法や健康法に注目が集まっています。最後に、心身を強化して老いをコントロールするための、ロンジェビティな治療法を美容医療の視点から解説します。

NMN/NAD療法

NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)は、細胞や長寿遺伝子を活性化させる役割があり、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)はNADの前駆体として、NADをスムーズに機能させるために機能する物質です。
どちらも体内に自然に作られる物質ですが、年齢とともに減少し、老化が起因となる身体機能、認知機能の低下が進むとされています。とくに、エネルギー代謝に欠かせない「NAD+」の減少は老化と深い関りがあるとされており、ロンジェビティにおいて今大注目の成分。NMN/NAD療法では、これらの物質をサプリメントや点滴で補います。

再生医療

再生医療は自分の血液や幹細胞を用いて、機能が弱まった細胞や組織の再生を目指すものです。培養した細胞を移植して細胞分裂を活性化させ、弱った細胞たちを生まれ変わらせるという仕組み。現在、再生医療は糖尿病や心血管疾患などの治療研究が進められており、確立された治療法ではありませんが、将来的に有望視されています。 美容においては、コラーゲンの増生によるシワ軽減や、若々しい肌を取り戻す効果に注目が集まっています 。

▼海外と日本の再生医療を比較した記事はこちら

ペプチド療法

タンパク質の一部であるペプチド。7000以上の種類が存在し、それぞれが血糖値や血圧の調整、神経伝達の調整など生命の維持に欠かせない役割を果たしています。ペプチド療法では不足しているペプチドを点鼻薬や内服薬で補い、創傷治癒や炎症の鎮静を促進させる狙いがあります。ペプチドの種類によっても異なりますが、アルツハイマー病の予防や、代謝改善によるダイエット、肌質改善に効果がある治療方法です。

エピジェネティッククロック検査

エピジェネティッククロック検査は、血液中のDNAメチル化情報を分析し、生物学的年齢を割り出す方法。この検査では生物学的年齢と暦年齢の差がマイナスになればなるほど、健康寿命が長くなると判断できます。従来の遺伝子検査と異なり、年齢に伴う後天的な遺伝子の変化を解析できるため、生活習慣やストレスからなる老化への影響を評価できることが特徴。美容治療や栄養指導と併用することで、どのくらいの効果があり、生物学的年齢がどれだけ下げられたか、目に見える形で確認できます。

まとめ

世界の大富豪や海外セレブたちがこぞって追い求めてきた不老長寿。しかし、すでにその概念は一般社会にも浸透しつつあり、誰もがロンジェビティを実現できる時代がすぐそこまで訪れています。年老いていくことは、必ずしも恐ろしいことではありません。自分の心身の状態を把握し、老化プロセスをコントロールすることで、希望と自信に満ちた人生を過ごせるはず。食事、運動などの生活習慣を見直すとともに、医療の力を借りながら、いつまでも衰えない自分を目指しましょう

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