骨盤底筋が座るだけで鍛えられる?骨盤底筋チェアの仕組みと効果について

骨盤底筋が座るだけで鍛えられる?骨盤底筋チェアの仕組みと効果について

骨盤底筋は妊娠や出産によって緩みやすくなるといわれていますが、加齢や運動不足によって男女を問わず衰えやすい筋肉でもあります。

かつては尿もれや姿勢の乱れを防ぐといった健康面で注目されてきましたが、近年では下腹部のたるみやボディラインの崩れ防止など、美容目的の観点からも関心が高まっています

こうした背景から、無理なく骨盤底筋を鍛えられるとして注目されているのが“骨盤底筋チェア”です。主に医療機関や美容クリニックで施術を受けられ、座るだけ鍛えられる手軽さが魅力ですが、すべての方に適しているわけではありません。

本記事では、骨盤底筋の緩みが気になっている方に向けて、骨盤底筋チェアの仕組みや適している方の特徴などに焦点を当てて詳しく解説します。

そもそも骨盤底筋ってなに?

骨盤底筋を鍛える重要性を知るために、まずは骨盤底筋が体のどこに位置し、どのような役割を果たしているのか、そして緩むとどのような影響を及ぼすのかを整理しましょう。

骨盤底筋とは?

骨盤底筋の場所を示す画像

骨盤底筋とは、恥骨や尾骨および坐骨の間など骨盤の底にハンモック状に存在している筋肉の総称のこと。骨盤底筋の主な役割は下記の通りです。

  • 臓器を正しい位置に保つ

膀胱や直腸・子宮などの臓器が重力で下がってしまわないよう、下から支える役割を担っています。

  • 排泄をコントロールする

尿道・膣・肛門のまわりを取り囲んでいる筋肉でもあり、尿道や肛門を締めることで排泄のコントロールを行っています。

  • 体幹や姿勢を安定させる

横隔膜や腹筋・背筋などの筋肉とともに機能する働きを持ち、姿勢の維持や体幹の安定をサポートします。

上記のように骨盤底筋はさまざまな役割を担っていますが、この筋肉が弱まるとハンモック状だったものがしなやかさを失うことに。

その結果、子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱、尿もれや便もれ・頻尿などの排泄トラブル、そのほか姿勢の乱れや下腹部がぽっこりと出るといった体型の変化などのリスクを高めてしまいます。

骨盤底筋が緩む原因

女性は妊娠・出産がきっかけとなり、骨盤底筋が緩んでしまうというのは多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、そのほかにも骨盤底筋が緩む要因はさまざまなものが挙げられます。次で男女ともに共通して見られるリスク要因を紹介します。

  • 加齢

他筋肉と同様に骨盤底筋も年齢とともに筋繊維が細くなり、筋力が低下する傾向に。また、女性は閉経後のエストロゲン低下も大きな要因とされています。

  • 肥満

過度な体重は骨盤底筋へ持続的に負荷をかけてしまうことに。その結果、筋肉や結合組織が伸びやすくなってしまいます。

  • 慢性的な便秘や咳症状

排便時に強くいきんだり、喘息や慢性気管支炎などで咳が続いたりしやすい方は、骨盤底筋に過度な圧力をかけることとなるため、筋肉を弱める原因になります。

  • 力仕事

重い荷物を持ち上げる動作の繰り返しは、骨盤底筋に負担をかけてしまいます。

  • 運動不足

筋肉を使わないでいると筋力が衰えやすくなります。そのため、デスクワークなど座りっぱなしの生活や、日常的な運動不足の方は骨盤底筋が緩みやすい傾向にあります。

骨盤底筋チェアの仕組み

骨盤底筋チェアコアワン

出典:EVA teck

座るだけで骨盤底筋が鍛えられる点が大きな魅力の骨盤底筋チェア。どのようなメカニズムを用いた機器なのでしょうか。

骨盤底筋チェアとは?

骨盤底筋チェアは、椅子型のデバイスに座るだけで骨盤底筋にアプローチできるよう設計されたトレーニング機器です。

衣服を着たまま電気刺激や電磁エネルギーを骨盤底筋に与えることで、分数や回数はメーカーによって違いますが、15~30分程度で数千回~数万回規模の収縮を誘発できるとされています。

通常の筋トレは鍛えたい筋肉を意識して自分の意志で動かす必要がありますが、骨盤底筋チェアは機器が自動的に筋肉を動かすため、自分では意識しにくい深層まで刺激できる点が特徴です。

そのため、セルフで行う筋トレや骨盤体操に比べて、比較的短期間で変化を実感しやすいとされています。

これまで骨盤底筋チェアは泌尿器科や産婦人科・婦人科において尿失禁などの治療用として活用されてきました。

しかし、近年は“フェムテック“という言葉が一般化し、尿漏れやお湯漏れ(入浴後に膣から水が出る現象)などデリケートな悩みも美容やエイジングケアの一環として語られるようになってきています。

さらに、骨盤底筋は体幹や姿勢にも関わる筋肉であることから、美容クリニックなどでも急速に導入が進み、内臓を支える力を取り戻すことによる下腹部の引き締めや姿勢改善を目指す補完的メニューとしても注目を集めています。

EMS方式とハイフェム方式の違い

骨盤底筋チェアには主にEMS方式とハイフェム(HIFEM)方式の2種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。

  • EMS方式

座面に組み込まれた電極から電気刺激を与えて筋肉を収縮させる方式。

主に皮膚に近い表層の筋肉へ作用することから、刺激は比較的マイルドです。

初めて骨盤底筋チェアを利用する方や日常的にメンテナンスしたい方、骨盤底筋の緩みによる症状が比較的軽度の方に適しているとされています。

  • ハイフェム(HIFEM)方式

高密度焦点式電磁エネルギーを使って筋肉を収縮させるタイプで、医療機関で導入されている多くはこの方式です。

電磁エネルギーを骨盤底筋に集中的に照射することで、筋肉のより深層部まで強力な収縮を誘発できる点が特徴。

EMS方式よりも短期間で効果を実感しやすいとされています。

どんなお悩みの人に有効?効果を感じる人/感じない人の違い

骨盤底筋チェアコアワンに座っている女性

クリニックによっても異なりますが、一般的に週1~2回ほどのペースで計6~8回の施術を1クールとして推奨しているところが多い傾向にあります。

一方で、症状が重度の場合や痩身・美容目的で利用する場合などは、2クールの計16回前後施術を受けられる方も少なくありません。

効果の現れ方は個人差があるものの、早い方では2~3回目の施術で変化を実感されるケースも。さらに1クール終了後も、月1回ほどの間隔でメンテナンスを継続することで効果を維持しやすくなるとされています。

骨盤底筋チェアの向いている方/施術が受けられない方・注意が必要な方

幅広いお悩みにアプローチできる骨盤底筋チェアですが、すべての方に無条件で適しているわけではありません

体調や既往歴、使用する機器の方式によっては、施術前に医師の判断が必要となるケースもあります。ここでは、効果を実感しやすいとされる方の特徴と、施術を検討する際に注意が必要なケースについて整理します。

向いている人の特徴

「自分の骨盤底筋って緩んでいる?」「骨盤底筋チェア、そろそろ始めた方がいいのかな?」と気になっている方のため、骨盤の緩みを確認できるセルフチェック項目を紹介します。

次の症状に心当たりがある方は、骨盤底筋チェアの利用を検討してみると良いでしょう。

<セルフチェック項目>

  • くしゃみをした際や運動中などふとした動作がきっかけで尿が漏れる
  • 入浴後に膣からお湯が出る
  • 尿意がないのに尿が漏れることはある
  • 排尿時、尿を途中で止められない
  • 重たい荷物を持ち上げた際に尿が漏れる
  • 下腹部がぽっこりと出ている
  • 慢性的に便秘気味である
  • 猫背になりやすい など

<こんな人にもおすすめ>

  • セルフトレーニングをしても継続できない方
  • セルフトレーニングが正しくできているか自信がない方
  • 短期間で効果を実感したい方
  • デリケートゾーンの悩みを医療機関でケアしたい方

骨盤底筋チェアが禁忌の方・施術前に医師の判断が必要となる方

骨盤底筋チェアは、医療機関向けの高出力機器として提供されているものも多くあり、体調や既往歴などによっては安全性の観点から施術を控える、または医師の慎重な判断が必要となる場合があるため注意が必要です。

施術を受けられない、または慎重な判断が必要な方の例は次の通りです。

  • 妊娠中の方
  • 出産後間もない方
  • 生理中の方
  • 心臓疾患や肺機能不全を患っている方
  • ペースメーカーを装着している方 など

上記の方は、体へ重大な影響を及ぼす危険性があるため、機器によって禁忌としていたり施術対象外としていたりする場合があります。

また、避妊インプラントを使用している方ミレーナなどを挿入している方で無月経化している方も一時的な内膜収縮による出血が出る可能性があることを知っておきましょう。

また、尿漏れなどをはじめとする症状の原因が骨盤底筋の緩み以外の別の疾患に由来する場合は、骨盤底筋チェアでは改善が期待できないこともあります。

たとえば、神経系や婦人科系の疾患などが関係している場合は、別の治療が必要になるケースもあるでしょう。

そのため、自己判断で施術を開始するのではなく、必ず医療機関でのカウンセリングや診察を受けたうえで判断することが重要です。

骨盤底筋チェアは“正しく知って選ぶこと”が大切

骨盤底筋チェア

出典:Fotona

尿漏れなど機能的な面をはじめ、下腹部のたるみやボディラインの崩れ防止など美容目的からも関心が高まっている骨盤底筋チェア。

骨盤底筋は他筋肉と同様、年齢とともに衰えやすいため、自覚症状がなくても予防対策として始める方も増えています。

1回15~30分程度と短時間座るだけで数万回程度の筋収縮が期待できるとされる手軽さは大きな魅力です。

ただし、EMS方式とハイフェム(HIFEM)方式では刺激の強さや適した症状が異なります。また、禁忌事項に該当する方は施術を受けられないため、必ず医療機関で事前に相談し、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

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