【美容内服初心者向け辞典あり】「とりあえずサプリ・内服飲めばOK」は間違い!?サプリや一般皮膚科で処方される内服薬は効き目があるの?内容成分の仕組みと品質の違いの見極め方とは?

【美容内服初心者向け辞典あり】「とりあえずサプリ・内服飲めばOK」は間違い!?サプリや一般皮膚科で処方される内服薬は効き目があるの?内容成分の仕組みと品質の違いの見極め方とは?

体の内側から美肌をサポートする美容内服。美容クリニックや皮膚科で処方される内服薬のほか、ドラッグストアなどで気軽に買えるサプリメントもありますが、「成分はどう違うの?」と気になったことはありませんか?実は主要な成分は同じでも、処方薬と市販品では配合や期待できる効果が大きく異なるんです。今回は、処方薬と市販品どっちがおすすめなのか解説。さらに、美容内服7種の主要成分と効果をお悩み別にご紹介します。美容内服の知識アップを図りたい方は、ご一読ください。

1.市販のサプリメントと内服薬の違いとは

出典:photoAC

医師の診断のもと処方される美容内服には、複合ビタミン剤である「シナール」や美白効果が期待できる「トラネキサム酸」・「ハイチオール」などがあります。一方、同じ名前のサプリメントもドラッグストアや通販サイトで販売されており、こちらは自己判断で購入可能です。

医師の診断が必要な「内服薬」と自由に買える「サプリメント」はどんな違いがあるのか、下の表にまとめました。

サプリメントは英語で表すと「dietary supplement」となります。日本語では「食事を補うもの」という意味で、日常の食事では十分に摂取できない栄養分を補完するための“栄養補助食品”のことを指します。あくまでも“食品”に分類され、病気や気になる症状に対する“治療”を行うものではありません。

対して、内服薬“医薬品”にあたり、サプリメントよりも高い治療効果を見込めます。ただし、使い方や量を誤ると副作用を引き起こすリスクがあるため、医師が体質や症状を見極めて「どの薬をどの量処方するか」を判断する必要があるのです。

また、内服薬は「保険診療」で処方されるのと「自費診療」で処方されるのとでは、価格に大きく差があります。同じ成分の内服であっても、治療目的であれば「保険適用」になり自己負担額は1~3割になりますが、美容目的であれば「自費」で、すべて自己負担となります。

例えば、複合ビタミン剤である「シナール」の場合、保険適用になるのは下記のようなケースです。

保険適用

(治療のための処方)

・病気などが原因で、食事から十分にビタミン摂取ができない

・ケガややけどによる炎症で、色素沈着が起こっている

自費

(美容のための処方)

・シミやそばかすを薄くしたい

・肌のハリ・ツヤを高めたい

美容のために内服薬を安価で購入したい場合、ドラッグストアなどで取り扱っている市販薬の購入を検討する方もいるのではないでしょうか。次項から、処方薬と市販薬の成分や効果の違いについて解説します。

2.シミへの効果が期待できる「シナール」市販品と処方薬でどのくらい違うの?

出典:photoAC

ここからは、シミやニキビなどに効果が期待できる「シナール」を例に挙げて、市販薬と医薬品の成分の違いについて具体的に解説します。

1. シナールは2つのビタミン成分を配合したビタミン剤

まずは、シナールがどんな薬なのかご紹介しましょう。
シナールは、ビタミンC(アスコルビン酸)とビタミンB5(パントテン酸)を配合した複合ビタミン剤。病気を抱える方や妊娠中の方のビタミン補給に用いられるほか、長期間継続して服用することで肌悩みにも効果が期待できることから、美容医療の分野でも広く用いられています。

シナールに含まれるビタミンCは、シミの原因であるメラニンの生成・還元に働きかけることにより、シミ予防のほか、できてしまったシミを薄くする働きがあります。さらに抗酸化作用によって、コラーゲンの生成もサポート。肌にハリを与え、ニキビを予防・ケアする働きも期待できます。そんなビタミンCの「抗酸化作用」や「コラーゲンの生成」といった働きを高め、吸収を助ける作用を持つのがビタミンB5。
シナールの医薬品と市販品の大きな違いは、この2つのビタミン成分の含有量、そして成分の種類にあるのです。

2. シナールの処方薬と市販薬の違いを解説!

シナールは、クリニックで処方してもらう処方薬のほか、ドラッグストアや通販で買える市販薬もいくつかあります。
以下の表は、処方薬・市販薬のビタミン成分の含有量、その他の有効成分が含まれているかを比較したものです。

〈処方薬と市販薬 比較の一例〉

処方薬のシナール 市販薬のシナール
ビタミンC

(アスコルビン酸)の含有量

△市販品より少ないケースも 〇処方薬より多いケースも
ビタミンB5

(パントテン酸)の含有量

〇市販品より多い △処方薬より少ない

または含まれていない

その他の有効成分 〇含まれていない △含まれている

(L-システインなど)

処方薬・市販薬とも共通してビタミンCを配合しています。
市販薬によっては、処方薬より多くのビタミンC(アスコルビン酸)が配合されているケースも。しかし、その場合はビタミンB5(パントテン酸)を配合せず、代わりにL-システインやビタミンB2・B6、ビタミンEなどの他の有効成分で補っているケースが多くみられました。これらの有効成分は、処方薬には含まれていないものです。

ビタミンCは水溶性ビタミンの一種です。一度に多くのビタミンCを摂取しても、多くは排泄されてしまいます。そのため、ビタミンCの吸収率アップを助ける成分・ビタミンB5も配合されていることは、シナールの効果をしっかりと得るためのポイントだといえるでしょう。

処方薬は、自身の肌状態に合った成分を医師が見極め、必要な期間分を処方してもらうことができます。肌悩みへに効果的にアプローチするためにも、美容内服はクリニックで処方してもらうのがおすすめです。

3.もう迷わない!悩みごとに必要な内服はこれで完璧

出典:photoAC

しみ・しわ・乾燥・毛穴など、さまざまな悩みを体の内側からケアできる美容内服。
美容内服は1つで複数の美肌成分を併せ持つものが多くあり、医師は一人ひとりの肌悩みに応じて効果的な内服を処方しています。
特に美容初心者の方は、代表的な効果のみ把握していることが多いもの。例えば、ニキビの悩みにトラネキサム酸の内服を処方されると、「トラネキサム酸って美白効果だけじゃなかったの?」と意外に感じるケースもあるようです。

そこで、本項では7つの美容内服がどのような悩みに適しているのかマトリックス図でご紹介。それぞれが持つ成分もチェックして、美容内服の知識を底上げしましょう。

お悩み別!美容内服の効果チェック表

美容クリニックでは、しみやニキビ、毛穴など、さまざまな肌悩み対策ができる美容内服を取り扱っています。きれいな肌を手に入れるには医師に悩みを相談し、自身の目指す肌状態に合った美容内服を処方してもらうことが大切です。
7つの美容内服について、悩み別にくわしくチェックしていきましょう。

肌悩み①シミ・肝斑

老け見えの原因となるシミ・肝斑にアプローチできる美容内服を3つご紹介します。

シナール│シミやニキビ、くすみに悩む方に​

  • 主成分はビタミンC・ビタミンB5・ビタミンCによる「メラニンの生成を抑える働き」・ビタミンB5 による「肌のバリア機能を回復する働き」によって、シミ予防・紫外線ダメージの抑制効果が期待できる
  • ビタミンCによる「抗酸化作用」・ビタミンB5 による「肌のバリア機能を回復する働き」によってニキビ予防・ニキビの症状悪化予防も期待できる
  • ビタミンCによる「コラーゲンの生成・維持を助ける効果」・ビタミンB5 による「肌のバリア機能を回復する働き」によって肌にハリ・ツヤをもたらす効果も見込める
処方薬のタイプ 錠剤・顆粒
副作用の例 むかつき・吐き気・下痢など
費用相場 30日分 1,100~2,800円程度

トラネキサム酸│美白を目指す方、シミ・肝斑で悩む方に

出典:日医工株式会社 ※上記は一例です

  • 主成分はトラネキサム酸
  • メラニン色素の生成を抑制する作用、抗炎症作用により、シミ・肝斑の予防・ニキビ痕の改善などの美白効果が期待できる
  • 皮膚のバリア機能を増加させる作用により肌の赤みを低下させる効果も期待できる
処方薬のタイプ 錠剤
副作用の例 かゆみ・食欲不振・吐き気・下痢・胸やけなど
費用相場 30日分 1,200~4,600円程度

ハイチオール│シミやニキビ、肌荒れに悩む方に

出典:久光製薬

  • 主成分はL-システイン
  • メラニンの生成を抑える作用、メラニンを体内から排出する作用により、シミ・そばかすを予防・改善する効果が期待できる
  • 抗酸化作用、肌のターンオーバーを促進する作用により、ニキビ・肌荒れ改善など、肌を健やかにサポートする効果が期待できる
  • 気軽に購入できる市販薬も複数あるが、医療機関で処方されるハイチオールは有効成分の配合量が多く、より高い効果が期待できることが特徴。
処方薬のタイプ 錠剤・散剤
副作用の例 便秘・胃腸の不快感・下痢・発疹など
費用相場 30日分 1,500~2,200円程度

肌悩み②エイジングケア

若返った肌印象を目指したい方におすすめの美容内服を2つご紹介しましょう。

ユベラ│シミ・シワなどによる老け見えに悩む方に

  • 主成分はトコフェロールニコチン酸エステル(ビタミンE誘導体)
  • 血流を改善する作用、ターンオーバー促進作用により、シミ・肝斑の予防・改善効果が期待できる
  • 抗酸化作用により、シワ・たるみの予防効果が期待できる
  • 軟膏タイプは、しもやけ・かかとの乾燥に効果的
処方薬のタイプ 錠剤・顆粒・軟膏
副作用の例 胃の不快感・便秘・下痢・発疹・かゆみなど
費用相場 30日分1,000~3,000円程度

タチオン│美白・エイジングケアを行いたい方に

  • 主成分はグルタチオン
  • メラニン生成の抑制作用によるシミ・肝斑の予防・改善、美白効果が期待できる
  • 抗酸化作用、肝機能を改善して代謝を促進する作用により、アンチエイジング効果が期待できる
処方薬のタイプ 錠剤・散剤
副作用の例 発疹、食欲不振など
費用相場 30日分 1,500~3,000円程度

肌悩み③ニキビ・毛穴・乾燥

大人になってからできたニキビや毛穴の黒ずみ、乾燥肌の対策ができる美容内服は以下の2つです。

ピドキサール│ニキビ・肌荒れに悩む方に

  • 主成分はビタミンB 6
  • ターンオーバーを正常化し、過剰な皮脂分泌を抑える作用により、ニキビ・肌荒れの予防・改善効果が期待できる
  • ビタミンB6が関与する皮膚炎・湿疹の改善効果が期待できる
  • ビタミンB6が欠乏することによる貧血を予防する効果が期待できる
処方薬のタイプ 錠剤
副作用の例 発疹など
費用相場 30日分 1,500~2,200円程度

ビオチン│毛穴・ニキビ・皮膚炎に悩む方、髪もケアしたい方に

  • 主成分はビタミンB 7
  • 肌の代謝を高める作用、炎症を防ぐ作用により、毛穴のつまり改善、ニキビや肌荒れを改善する効果が期待できる
  • ヒスタミンの生成を抑える作用により、かゆみを引き起こす皮膚炎の改善効果が期待できる
  • 髪のタンパク質であるケラチンへの作用により、抜け毛・白髪を予防するヘアケア効果が期待できる
処方薬のタイプ 散剤・シロップ
副作用の例 下痢・食欲不振・吐き気など
費用相場 30日分 1,500~2,200円程度

ご紹介したいずれの美容内服も、よく似た成分の市販薬が販売されています。しかし前述のとおり、クリニックで処方してもらう医療用医薬品のほうが、成分含有量が多いことが特徴
1ヶ月分を1,000円台から購入できるケースもあるので、「しっかり肌悩みにアプローチしたい」という方は、まずはクリニックに相談してみてくださいね。

そして美容内服は薬である以上、肌への効果だけでなく、まれに副作用が起こるリスクもあります。副作用をできる限り防ぎ、肌への効果をしっかりと得るためにも、医師が指示する用法・用量を守ってください。
また、美容内服の効果の出方には 個人差があります。 「効果が感じられない」という場合、主に以下の要因が影響しているかもしれません。

胃腸からの吸収率が低下している

内服薬は、口から飲んで胃や小腸で溶けて、主に小腸から吸収されて血流にのったあと肝臓などで代謝され、成分が全身にめぐり目的の場所で効果を発揮します。しかし食事や併用している薬、消化器疾患の影響で、内服薬の吸収率が低下し、効果が感じられなくなるケースがあります

必要な量が摂取できていない

美容内服は、年齢や症状によって服用回数や量が変わりますが、1回1〜2錠を1日2〜3回服用するという飲み方が一般的。しかし、飲み忘れや自己判断で服用回数が減ると効き目成分が必要量摂取できず、十分な効果が得られません。飲み忘れに気づいたらなるべく早く服用すること、次の服用時間が迫っているときは2回分飲むのではなく、1回分は飛ばすようにしましょう。肌質の変化が感じられないからといって、すぐに自身の判断で服用を中断しないことも大切です。

目的以外のことに成分が消費されている

例えばビオチンを服用する場合、過度に喫煙をしているとニコチン代謝のためにビオチンが消費されてしまい、肌質改善のための効果を得られないことも。成分を患部へ効果的に届けるためにも、医師による指示を守って服用しましょう

美容内服は、数ヶ月継続することで徐々に肌質の変化が現れるといわれています。医師のアドバイスのもと 一定期間継続し、効果が感じられないようであれば他の治療法を相談してみると良いでしょう。

まとめ

身体の内側から肌悩みにアプローチできる美容内服。「サプリメントを飲み続けているけど、効き目がよく分からない…」という方も、医薬品である美容内服でケアすることで、高い効果が期待できます。クリニックに足を運ぶのはハードルが高いという場合は、医師によるオンライン診療のうえ、自宅で内服を受け取れるサービスを行う美容クリニックもあるので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
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