プラセンタ注射は保険適用ありorなし?そもそもどんな効果があるの?

プラセンタ注射は保険適用ありorなし?そもそもどんな効果があるの?

プラセンタ注射に保険適用があると聞いた方。治療を検討している場合、自分自身が対象なのか気になるでしょう。実際、プラセンタ注射は保険適用の範囲がありますが、すべての方が対象ではありません。この記事では、プラセンタ注射が保険適用となる条件はもちろん、そもそもプラセンタ注射はどのような治療なのか詳しく解説していきます。プラセンタ注射によって美容や健康面でアプローチを考えている方はご一読ください。

1.プラセンタ注射とはどんな治療?

出典:photoAC

プラセンタ注射の保険適用について知るためには、まずはプラセンタ注射の治療について詳しく知る必要があります。

■プラセンタってなに?

プラセンタとは胎盤のことで、胎盤から抽出されるエキスがプラセンタエキスです。これを使った製剤を直接注射する施術がプラセンタ注射。プラセンタ注射に使われるプラセンタはヒト由来のもので、自然治癒力を高めるとしてさまざまな症状に使われています。その活躍分野は美容面だけではありません。肩こりや月経痛など日常生活でみられる症状に使われるほか、肝炎や更年期障害の療法として国から承認を受けて使われているケースもあります。

■【美容面】プラセンタ注射の効果

プラセンタにはコラーゲンの生成を促進する働きがあるため、肌にハリを与えてシワやたるみを目立ちにくくし、若見えの効果が期待できるでしょう。メラニン色素の生成を抑制する働きも持っているため、シミ対策にも。プラセンタに含まれるアミノ酸やミネラルによって肌の保湿力も上がり、美肌を目指せるでしょう。ニキビ、そばかすにもアプローチできます。美容目的の場合はすべて保険適用外となるため、自費診療となる前提で施術を検討しましょう。

■【健康面】プラセンタ注射の効果

プラセンタ注射はプラセンタ療法とも呼ばれ、さまざまな治療に使われています。一部の治療では保険適用になります。

肝炎・肝機能障害

C型肝炎・B型肝炎・アルコール性肝炎と診断された場合、アルコールを辞めるという方法も肝機能を回復させるための方法の1つですが、実際にアルコールを絶てる方はごく一部。治療にプラセンタ注射を取り入れると、検査結果の改善につながる場合があります。プラセンタ注射をこれらの治療に使う場合、保険適用となります。

更年期障害

女性の40~50代は、女性ホルモンのバランスが崩れることで心身に不調が出やすくなる時期。この時期は更年期と呼ばれ、顔がほてる、動悸・息切れがあるなどさまざまな症状がみられます。個人差が大きいですが、日常生活に支障が及ぶほど重い症状のある場合は“更年期障害”とされ、治療としてプラセンタ注射が多く採用されています。更年期障害の治療で、年齢などの条件が合うと保険適用に。

乳汁分泌不全

産後1年以内で母乳の出が悪い方は、乳汁分泌不全と診断がつく場合があります。プラセンタ注射によって乳汁の分泌が促されるため、治療として選択する方も。保険適用で治療を受けられる場合があるため、治療前にクリニックで確認しましょう。

肩こり・腰痛・関節痛

プラセンタ注射は、日頃肩こりや腰痛に悩まされている方にも使われています。プラセンタの免疫調整作用や抗アレルギー作用も相まって関節リウマチ症状が緩和される方も。

月経痛や月経前の症状

プラセンタ注射は、毎月の月経痛がつらい方に使われる場合もあります。月経前にあらわれる頭痛や下腹部痛、むくみといった体の症状、不安やイライラといったメンタル症状の緩和にも働きかけるとされています。

二日酔い・疲労回復

冬場は血行不良で筋肉が固まり疲れにつながりやすいため、とくにプラセンタ治療が向いています。あまり知られていませんが、プラセンタ注射は忘年会などの二日酔い対策にも効果が見込めます。年末年始の疲労回復に打つのも良いでしょう。

2.プラセンタ注射の値段は?保険適用の有無でどう変わる?

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プラセンタ注射は幅広い症状の治療に使われていることが分かりました。続いては、プラセンタ注射の値段と保険適用についてみていきましょう。

■プラセンタ注射の料金相場

自費診療のプラセンタ注射は、各病院・クリニックで値段が設定されており、一律料金ではありません。1本1,000~2,000円程度のところが多く、10本などセット価格があるケースもあります。プラセンタ注射は1回だけでなく、週2~3回の治療をある程度続けて行うほうが良いとする病院・クリニックが多いため、治療期間と費用負担を考えて選ぶ必要があるでしょう。
なお、更年期障害でプラセンタ注射が保険適用となると、3割負担に。値段は初診1,000円、再診500円程度が目安です。

■プラセンタ注射で保険適用の条件は?

プラセンタ注射が保険適用となる場合をまとめました。保険適用の条件は国によって定められているため、プラセンタ注射を保険適用にするには条件を確認し、診断が必要な場合は病院・クリニックで診断を受けてから治療を進めましょう。

限られた病気の治療目的である

更年期障害や乳汁分泌不全、肝炎など限られた病気の治療目的の場合のみ保険適用となります。また、年齢や症状・病名によって保険適用の有無が決まります。プラセンタ注射を更年期にあたる50代の女性が打つ場合でも、求める効果が美容目的の場合は保険適用外です。

更年期障害の場合

45~59歳までの女性で、更年期障害の方が保険適用となります。基本的には1回1アンプル(※)までが保険適用範囲。週2~3回程度の間隔で注射を受け、経過をみながら頻度を変えていく方針の病院やクリニックが多いようです。

※注射剤などを入れるガラス製容器。

3.プラセンタ注射は2種類ある?違いはなに?

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プラセンタ注射に使われる製剤は、胎盤絨毛分解物注射液(メルスモン)と胎盤加水分解物注射液(ラエンネック)の2種類。病院やクリニックによってどちらか一方または両方の取り扱いがあります。美容医療を含め自費診療の場合はどちらも選択することができます。製剤の特徴を知ってから選ぶと、より効果を得やすいでしょう。

■胎盤絨毛分解物注射液(メルスモン)

メルスモンは更年期障害や乳汁分泌不全の治療薬として使われてきた製剤です。更年期症状の治療にはこちらが向いているでしょう。また、更年期障害で保険適用対象となるのはメルスモンによる治療に限られています。自費診療としては、肌荒れなどの肌悩み、肩こりや腰痛といった体の疲労へのアプローチにも使われています。
注射時の痛みは弱いといわれているため、痛みに弱い方はメルスモンをすすめられる場合もあるでしょう。ただしアレルギー反応が出る方もいるため、その場合はラエンネックに切り替える場合があります。

■胎盤加水分解物注射液(ラエンネック)

ラエンネックはメルスモンのあとに登場した製剤で、肝炎など肝臓疾患の治療薬として使われてきました。飲酒量が多い方はこちらが向いているでしょう。
注射時の痛みはやや強いといわれています。また、ラエンネックの使用によってまれに頭痛があらわれる方も。その場合はメルスモンに切り替えて治療を進めます。

4.プラセンタ注射は美容液などとはどう違う?

プラセンタは美容液などに含まれていたり、錠剤として流通していたりします。これらは豚や牛の胎盤由来のものが一般的。口から摂り入れたプラセンタはすべてが吸収されるわけではないため、プラセンタの効果を効率良く得にくいという性質があります。これに対してプラセンタ注射は直接、血中から全身へ作用するため、効率良くプラセンタの効果を得やすいのです。

5.プラセンタ注射にリスクやデメリットはある?

さまざまな症状・病気に使われるプラセンタ注射ですが、リスクやデメリットはあるのでしょうか。

■注射部位の痛みや発熱・アレルギー

重篤な副作用が出たというケースはなく、副作用はほとんどないといわれていますが、痛みや発熱、アレルギー症状が出る可能性があります。

■献血ができなくなる

感染症予防の観点より、プラセンタ注射後は一時的に献血を控えるよう厚生労働省が定めています。献血が習慣となっている方や、これから献血を予定している方は注意しましょう。

■まとめ

プラセンタ注射の保険適用には国が定めた条件があります。限られた症状・病気の治療目的の場合のみ保険適用となるため、美容医療で検討する場合は自費診療、全額自己負担となることに注意しましょう。また、プラセンタ注射は日頃の疲労回復などにも役立ちます。年末年始などの疲れがたまりやすい時期には、自費診療で少しお金をかけて心身のメンテナンスに取り入れるのも良いでしょう。いずれの場合も、医師に相談、診察を受けたうえで自分に合った選択をするようにしましょう。

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