その表彰、本当に信じていいの?美容医療クリニックにおける“表彰状や盾”“サーティフィケーション”の正体とは

その表彰、本当に信じていいの?美容医療クリニックにおける“表彰状や盾”“サーティフィケーション”の正体とは

SNSで美容クリニックの投稿を見ていると、きらびやかな盾や賞状、額縁に入った認定証がズラリと並んでいる風景を目にすることがあります。

華やかな見た目に「このクリニック、すごい実績があるんだ!」と信頼感を抱く方も少なくないはず。

しかし、こうした“表彰”の数々は、本当に信頼の証といえるのでしょうか。

本記事では、SNSでよく見かける美容医療関連の“盾”や“認定証”の正体と、それらが患者に与える影響について冷静な目で検証していきます。

よく見る「表彰状」や「認定証」の正体

その表彰、本当に信じていいの?美容医療クリニックにおける“表彰状や盾”“サーティフィケーション”の正体とは|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

■「指導医」や「アワード」……美容業界の表彰・認定パターン

SNSで美容クリニックが掲げている表彰状や認定証には、下記のようなパターンがあります。

  • ○○学会 正会員
  • ○○学会/○○科 専門医
  • (薬剤名の)注入指導医
  • (薬剤や医療機器メーカー名の)認定医
  • (施術名の)認定指導医
  • (薬剤や医療機器メーカー名の)アワード

これらはどれも、表彰に値する実績を残したことには間違いがなさそうですが、ここで注目したいのは“何を基準に表彰されているのか”という点です。

■何を基準に表彰されているのか?

患者の中には、表彰や認定の有無で美容クリニックや医師の技術力の高さを判断する人もいるでしょう。

しかし実際のところ、薬剤や医療機器メーカーが授与している表彰の中には「売上」を評価基準にしているものもあります。

売上が高いということはそれだけ症例数が多いともいえるため、医師や美容クリニックの技術の証と考えることもできなくはありません。

それでも、流通数をたたえる“ビジネス的な”表彰という一面も見落とせないでしょう。

この実態を知らずに「表彰されている=医師や美容クリニックの実力や安全性の保証」と安易に考えてしまうのは危険かもしれません。

■“箔をつける”ための手段でもある

薬剤や医療機器メーカーの中には、表彰式や盾の贈呈イベントを大々的に行っているケースもあります。

これらの様子はSNSや美容クリニックのホームページ、ネットニュースなどに掲載され、患者や同業者の目を引きます。

プロフィール欄にも「〇〇認定医」「〇〇アワード受賞」という肩書を追加できるため、医師や美容クリニックにとって箔をつけてくれる存在ともいえるでしょう。

薬剤や医療機器メーカーにとっても露出度が上がるきっかけとなるため、これらの表彰は両者にとって商業的にもwin-winな手段であるという一面も否定できないのです。

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表彰が患者の信頼性に与える影響とは?

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美容クリニックや医師、そして薬剤や機器メーカーにとってもメリットとなる表彰ですが、患者にとってどのような影響があるのでしょうか。

■「信頼できる医師/美容クリニックだ」と認識する

受賞や認定を受けるということは、「多くの施術をこなしてきた証拠」として患者に映ります。

表彰が医師個人に与えられている場合、その医師に対する信頼感が高まり、「この医師から施術を受けたい」と思う動機になるでしょう。

また、視覚的な「盾」や「額縁に入った認定証」は、専門性・格式・実績の象徴として、患者に安心感を与えるかもしれません。

■「他院より優れている」と認識させる

表彰や認定を持つ医師や美容クリニックと、それらを持っていない医師や美容クリニックとを患者が比較したときに“表彰されている方が優れている”と感じる可能性があります。

「どの分野でどう優れているのか?」まで見極めることは、患者個人レベルでは難しいかもしれません。

■「新しい治療を扱っていそう」と期待させる

認定証が“最新の美容機器導入”や“先進美容治療の対応力”を表すものに見え、新しさ=良さと認識されることもあり得ます。

■「保証がある」と誤解させる場合も

メーカーやブランドロゴが入っていると、それだけで“公的な認定”や“安全性の裏付け”と思われる可能性があります。

実際には商業的な意味での表彰の場合もあるので、表彰と保証は必ずしも結びつきません。

■「料金が高くても納得できる」と思わせる

表彰されるということは、技術が高いということ=高価格でも仕方ない、というロジックで価格への許容度が上がる可能性があります。

相場価格より大幅に高い場合でも、変に納得してしまう危険性があるともいえるでしょう。

■「自分の選択が正しかった」と満足度が上がる

自分が通っている・通っていた美容クリニックが表彰や認定を受けることで、患者自身の選択が“正解”だったと認識でき、満足度が上がります。

表彰や認定は患者の心理面にポジティブに働くことが考えられますが、それが必ずしも正しい選択につながっているわけではないといえそうです。

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公的な認定と、「簡単に出せる認定」の差に注目!

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表彰状や認定証は“見た目の信頼感”を演出している一方で、医療における「本質的な信頼性」を担保しているかどうかは疑いの余地が残るものもあります。

そこで注目すべきは、公的な認定制度かどうかという点です。

■美容医療における公的な認定制度

美容医療分野での公的な認定制度には次のようなものがあります。

専門医

専門医とは、その診療科において標準的かつ適切な診断や治療を提供できる医師であるという証。

専門医になるためには、医師国家試験合格後に2年間の臨床研修を経た後、自分が目指す診療科で3~5年の専門研修を専攻しなければなりません。

専門医となった後も原則として5年ごとに更新が必要なため、専門医であり続けているということは、一定の知識や技術の更新が継続的に行われている証と判断できるでしょう。

美容医療では、皮膚科専門医、形成外科専門医、美容外科専門医といった分野の専門医が活躍しています。

日本の医師の90%以上は専門医(もしくは元専門医)といわれていますが、近年では臨床研修後に一般的な保険診療科での勤務を経験せずに美容医療分野に進む、いわゆる“直美”(ちょくび)も増加傾向にあります。

○○学会 正会員

学会とは、特定の分野の医師が集まって研究成果を発表する会のこと。

定期的に学会を開催することで、最新の技術や知識をアップデートし、医師同士の情報交換や交流の場としても機能しています。

医療系の学会で正会員となるためには医師免許が必須のほか、学会が定める条件を満たす医師からの推薦状が必要な場合もあります。

美容医療の学会では、JSAPSとJSASという2つの「日本美容外科学会」や、「日本美容医療学会(JAPSA)」「日本美容皮膚科学会」などの学会が代表的です。

■資格講習で得られる「修了証」や「認定医」

上記の公的な認定制度と対照的なのが、SNSでよく見かける「〇〇認定医」や「〇〇修了証」といった肩書きや表彰です。

これらの中には、数時間〜数日の講習会に参加するだけで発行されるものもあります。

もちろん、講習会に参加するのは医師が学びに積極的な証であり、一定の知識や技術の確認にはなります。

一方で、「その医師が高度な施術技術を持っているか」「長年の実績を有しているか」といった信頼指標としては、やや弱い部分があるといえるでしょう。

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まとめ

SNSで見かける、美容医療の医師やクリニックが掲げている表彰や認定。

その中身は千差万別で、「何をもとに評価された表彰なのか?」を見極める視点が必要です。

SNSのきらびやかなイメージだけで判断せず、その医師や美容クリニックが本当に信頼に値するのか、客観的かつ冷静に見極めたいものです。

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