ハイドロキノンとトレチノインの併用は美白効果が高い?正しい使い方や注意点も解説

ハイドロキノンとトレチノインの併用は美白効果が高い?正しい使い方や注意点も解説

ハイドロキノンとトレチノインはシミやくすみ、肝斑などでお悩みの方に適した薬剤です。単体で処方されることもありますが、併用することで高い効果を発揮することが分かっています。こちらは、ハイドロキノンとトレチノインがもたらす治療効果や薬剤の正しい使い方、使用上の注意点などについて詳しく解説した記事です。ハイドロキノン・トレチノイン療法でシミやくすみを改善し、健やかな肌を目指したい方は、ぜひ目を通してみてください。

1.ハイドロキノン・トレチノインの治療効果

出典:photoAC

ハイドロキノンとトレチノインは、皮膚科や美容皮膚科を標ぼうするクリニックで主に用いられる塗り薬。シミやくすみ、肝斑などの治療に有用とされています。こちらでは、ハイドロキノンとトレチノインそれぞれの薬剤が持つ働きや、併用することで得られる相乗効果について確認していきましょう。

■ハイドロキノンとは

ハイドロキノンは肌の漂白剤と称されるほど、強い漂白作用がある薬剤。強い還元作用でメラニン色素の生成を阻害し、すでにできたシミやくすみを目立ちにくくする作用を持つため、美白に対する効果が認められています。

■トレチノインとは

一方、トレチノインはビタミンA誘導体の一種です。古い角質を剥がし、皮膚の再生を促す効果が期待できることから、海外ではシワやニキビの治療薬として広く使用されています。
シミは、表皮の深い層で生成されたメラニン色素が排出されずに肌表面に蓄積することで現れるものです。つまり、トレチノインによって肌のターンオーバーが促進されれば、メラニン色素の排出がスムーズに。シミが垢となって剥がれ落ちることで、皮膚の色素性疾患や質感が改善される仕組みです。

■ハイドロキノンとトレチノインの併用で得られる効果

ハイドロキノンにはメラニン色素の生成を抑制する効果が、トレチノインには蓄積したメラニン色素を排出する効果が期待できます。そのため、ハイドロキノンとトレチノインを併用することで、シミや肝斑治療に高い効果を発揮。また、トレチノインはターンオーバーを促すため、ハイドロキノンの浸透を高める効果も期待できます。単独で使用するよりも、効率良くシミにアプローチできるというわけです。

2.ハイドロキノンとトレチノインの使い方や治療経過をチェック!

出典:photoAC

ハイドロキノンとトレチノインの正しい使い方について確認していきましょう。

■ハイドロキノン・トレチノインの使い方と手順

ハイドロキノンとトレチノインの効果を得るには、正しい順番で使用する必要があります。

step1|洗顔&化粧水で保湿

最初のステップで行うのは洗顔です。洗顔で肌の皮脂や汚れを落としたら、化粧水で肌を整えます。

step2|トレチノイン塗布

続いて、シミやくすみ、ニキビ痕などの色素性疾患がある部分にトレチノインを薄く伸ばします。トレチノインは患部からはみ出さないように塗るのがポイントです。小児用綿棒などを使って、ピンポイントに塗布しましょう。

step3|ハイドロキノン塗布

2~3分待ってトレチノインが乾いたことを確認したら、患部よりもやや広めにハイドロキノンを塗ります。このとき、患部の外側から内側に向かって指を動かすと、トレチノインを周囲に広げずムラなくハイドロキノンを塗布できます。

step4|紫外線対策&スキンケア

ハイドロキノンを塗り終わったら、通常どおり日焼け止めや乳液などでスキンケアを行ってください。トレチノインとハイドロキノンを使用するタイミングは症状によっても異なりますが、一般的に1日2回の塗布が推奨されています。
ただし、朝のスキンケアでは薬剤を塗り終わったあとの紫外線対策が必須です。ハイドロキノンの使用中は肌が敏感な状態になり、紫外線による刺激を強く受けることがあるためです。肌荒れや炎症を引き起こさないよう、こまめに日焼け止めクリームを塗り直しましょう。

■ハイドロキノン・トレチノイン療法の経過と治療期間の目安

シミの種類によっても異なりますが、ハイドロキノン・トレチノイン療法は一般的に2~3ヶ月が1クールの目安となります。
最初の1~1.5ヶ月は、ハイドロキノンとトレチノインの併用期間です。その後の1~1.5ヶ月はハイドロキノンを単独で使用します。1クールが終了したら、1ヶ月の休薬期間を設けたのちに治療を再開しましょう。このサイクルを繰り返すことで、肌の状態が整います。
なお、トレチノインによるA反応のピークは塗り始めの約1~2週間です。A反応とは、急激に肌のターンオーバーが促されることで起こる赤みや皮むけなどの副作用のこと。ピークを過ぎればその後は徐々に症状が落ち着いていき、通常1~2ヶ月が経過する頃には気にならなくなります。ただし、人によっては刺激が出やすいこともあるため、初めて薬剤を使用する際は医師に適宜相談しながら治療を進めていきましょう。

3.ハイドロキノン・トレチノインを使用するうえでの注意点

出典:photoAC

ハイドロキノンとトレチノインを使用する際は、守るべき注意点があります。

■ハイドロキノンの注意事項

ハイドロキノンを使用する際は、以下のようなことに注意しましょう。

  • 日中は必ず紫外線対策を行うこと。
  • 刺激が強く出る可能性があるため、ハイドロキノンは厚塗りしない。
  • 患部以外に塗布すると、白斑を引き起こす恐れがある。
  • アレルギーが疑われる症状や赤み、ひりつき、腫れ、かゆみなどが出現したら、速やかに使用を注意し、主治医に相談すること。
  • 薬剤の変性を防ぐために、開封後は冷蔵庫で保管すること。また、明らかに変色が確認できる薬剤は使用しない。
  • 使用期間、使用方法は主治医の指示に従うこと。

■トレチノインの注意事項

続いて、トレチノインの注意事項についてです。

  • 妊娠の可能性がある場合や妊娠中、授乳中は使用不可。
  • A反応による皮むけが起きた場合は、無理に剥がさない。皮が自然に剥がれ落ちるのを待つこと。
  • 治療中は肌が敏感になりやすいため、紫外線対策や保湿などのスキンケアが必須。
  • スキンケア用品は、肌への刺激に配慮されたものを選ぶ。
  • トレチノインは熱や紫外線で分解されやすい性質のため、開封後は冷暗所で保管すること。
  • かぶれや副作用を防ぐためにも、使用量は必ず守る。赤みや刺激が強い場合は、使用を中断し、主治医に相談すること。

■ハイドロキノン・トレチノイン療法でよくある質問

最後に、ハイドロキノン・トレチノイン療法でよくある質問をまとめました。

トレチノインは顔全体に塗っても大丈夫?

トレチノインは赤みや皮むけなどのA反応を引き起こすことがあるため、安易に顔全体に塗るのはNG。シミやくすみ、肝斑などが気になる部分に薄く伸ばすのが正しい使い方です。また、目や口のまわりは刺激が強く出やすいため、医師の指示に従って使用するようにしてください。

治療効果が見込めないシミは?

ハイドロキノン・トレチノイン療法は平坦で茶色のシミには有用ですが、肌の奥深いところで生じる色素沈着には、思うような治療効果が得られないことがあります。とくに、皮膚の深層にあるような黒く盛り上がったシミは、薬剤よりもレーザーによる治療が向いている可能性が高いでしょう。ハイドロキノン・トレチノイン療法でシミが改善しない場合は、医師に相談したうえでほかの治療法を検討してみてください。

ハイドロキノンによる赤みはいつまで続く?

ハイドロキノンは肌への刺激が強い薬剤です。そのため人によっては、塗布した部分に赤みやひりひりとした刺激を感じることがあります。症状の度合いや期間には個人差がありますが、赤みや痛みのピークは塗り始めから1~2週間程度で、そのあとは徐々に症状が和らぐのが一般的です。ただし、赤みや痛みが長期間続く場合は、皮膚に炎症が起きている可能性もあります。速やかに使用を中止し、クリニックを受診しましょう。

まとめ

ハイドロキノンとトレチノインは、強い作用でシミやくすみ、肝斑などの色素性疾患にアプローチします。併用することで高い効果を見込めますが、一方で赤みや痛みなどの副作用をもたらすことも。症状を防ぎつつ肌悩みを改善するには、医師の処方を守って正しく使用することが大切です。医師は、一人ひとりの肌の状態に合わせて薬剤の使用量や使用回数を調整します。シミを早く改善したいからと自己判断で使用するのではなく、医師の指示に従うことが、健やかで美しい肌を目指すための秘訣です。

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