妊娠線がおしりにできるのを予防する方法をご紹介します。赤ちゃんの成長に伴い体型が大きく変わる妊娠中期・後期。この時期の妊婦さんは、皮下脂肪が増えることやホルモンバランスの変化などが原因で、おしりに妊娠線ができやすくなります。今回は、おしりにできる妊娠線の経過やリスクが高い人についても解説しています。マタニティーライフを快適に、そして健康的に過ごすためにも、予防ケアを取り入れてみませんか?
1.【基本】おしりにできる妊娠線に関する知識
おしりにできる妊娠線について、まずは経過や原因などの基礎的な知識をご紹介します。「いつから妊娠線ができるの?」「できやすい人はいる?」などの疑問を解決しておきましょう。
■おしりにもできる妊娠線・肉割れとは
妊娠線とは、肉割れにより現れる亀裂のような線のことです。妊娠線は、皮膚が急激に引き延ばされることで生じます。いつから妊娠線ができるのかは人それぞれですが、一般的には妊娠6~7ヶ月頃から現れ始め、妊娠後期になると多くの妊婦さんに見られます。
妊娠線ができるのは、お腹やおしりだけではありません。胸や太もも、腰などに妊娠線ができることもあります。
■妊娠線・肉割れがおしりにできた場合の経過
妊娠線は、真皮や皮下組織が断裂してしまうことで、線となって表面に現れます。出血することはありませんが、皮膚が裂ける際にかゆみを伴ったりピリピリとした刺激を感じたりする人も。
皮膚が伸びる方向に対し直角に波状の線が出現し、その数が増えると放射線状に広がるだけでなく、ほかの妊娠線とくっつくこともあります。皮膚が裂けた部分は毛細血管が透けて見えているため、赤色・赤紫色の線となって現れます。一度濃くなったあとは、産後時間の経過とともに薄くなり、徐々に白色の線に。妊娠線がおしりにできた場合、白くなれば目立たなくなるケースが多いですが、完全には消えません。
■妊娠線・肉割れがおしりにできる原因
妊娠し、「妊娠線ができないか心配……」と不安に感じているも多いでしょう。赤い肉割れができる原因は主に以下の2つです。
急激な体型の変化
1つ目の原因は、体型の変化です。妊娠中は赤ちゃんの成長に伴い、次第にお腹が大きくなります。皮下脂肪が厚くなることも妊娠中の特徴です。妊娠中期~後期にかけてはとくに体型が大きく変化することがあります。
表皮は伸びやすい性質のため体型の変化に対応できますが、真皮や皮下組織は伸びにくいため、急激な変化に耐えられずに皮膚組織が裂けてしまうのです。
ホルモンの変化
妊娠線ができる原因には、ホルモンバランスとの関係もあります。ホルモンバランスが変わることで皮膚が乾燥しやすくなり、柔軟性が低下した状態に。そこに急激な体型変化が重なれば、肉割れしやすくなります。
また、妊娠中はホルモンの影響でコラーゲンが減少します。コラーゲンは、肌にハリ・弾力を持たせて柔軟性を保つ働きがあるため、コラーゲンが減る妊娠中は、妊娠線がお腹やおしりなどにできるリスクが高くなっているのです。
■妊娠線・肉割れがおしりにできやすい人
妊娠線ができるリスクは、全員が同じというわけではありません。妊娠線がおしりにできやすい人の特徴を見ていきましょう。
・急激に体重増加した人
・乾燥肌の人
・高齢出産の人
・多胎妊娠
・小柄・やせ型の人
・経産婦
体重が急激に増加するときは皮下脂肪も増えているため、妊娠線ができやすい状態です。もともと乾燥肌の人や加齢により皮膚が乾燥状態にあると、乾燥により皮膚の柔軟性が低下している可能性も。真皮は柔軟性が低下すると断裂しやすくなるため、注意が必要です。
多胎妊娠の場合は、赤ちゃんが1人だけのときと比べてお腹が大きくなるため、妊娠線ができるリスクが高いでしょう。また、妊娠により皮膚がより引っ張られやすい状態となりやすい小柄・やせ型の人や、初産と比べて早い段階からお腹が大きくなる経産婦さんも、早めの妊娠線予防が大切です。
2.妊娠線・肉割れは予防が重要!おしりにできるのを防ぐには
妊娠線は徐々に薄くなりますが、完全に消えることはありません。そのため、お腹が大きくなり始める妊娠5~6ヶ月頃からの予防が重要です。妊娠線がおしりにできるのを防ぐ方法をご紹介します。
■【おしりの妊娠線予防1】体重管理
皮下脂肪の急激な増加は、妊娠線ができるリスクを高めます。そのため、体重増加を適正範囲内に抑えることが重要です。厚生労働省が推奨する妊娠全期間を通しての体重増加量は以下のとおりです。
体格区分 | 妊娠全期間の推奨体重増加量 |
低体重(やせ):BMI18.5未満 | 9~12kg |
ふつう:BIM18.5以上25.0未満 | 7~12kg |
肥満:BMI25.0以上 | 個別対応 |
肥満や低体重の指標であるBMIは、「体重(kg)」÷「身長(m)の2乗」で求めます。
上記の表で「低体重(やせ)」に該当する人は、妊娠中は9~12kgの範囲内での体重増加が目安です。「ふつう」の体格なら、推奨体重増加量は7~12kgとなります。
推奨体重増加量が7~12kgの場合、体格区分が「低体重(やせ)」・「ふつう」に該当する人は、1週間あたり300~500gの増加量に保つことが望ましいとされています。
それでは、体重管理のポイントを見ていきましょう。
食事
体重が増えすぎないようにしたい場合でも、過度なカロリー制限はNGです。健康を保つことを第一に、1日3食バランス良く食べましょう。食事のポイントは、脂肪分を控えめにして、良質なタンパク質を摂取すること。
どうしても食べすぎてしまう人は、具材を大きいサイズにカットするのがおすすめです。噛む回数が自然に増えるため、食べすぎを予防できるでしょう。
また、間食にも注意が必要です。甘いお菓子やジュースばかりを選んでしまうと、体重増加につながります。ノンカフェインの紅茶や無糖ヨーグルトなど、体に負担のかからないものを間食として取り入れましょう。
運動
安定期に入ったら、適度に運動することも大切です。激しい運動はお腹が張る可能性があるため、ウォーキングやマタニティーヨガ、マタニティースイミングなどが良いでしょう。楽しみながら体を動かすことができるだけでなく、出産に向けた体力づくりのためにも、運動を取り入れてみましょう。
急激な体重増加を防ぐことは、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスク低減にもつながります。妊娠線予防だけでなく、健康や赤ちゃんの成長のためにも食事や運動を工夫して取り入れ、適度な体重増加スピードを保ちましょう。
■【おしりの妊娠線予防2】クリームを使った保湿ケア・マッサージ
皮膚が乾燥すると、妊娠線が生じる可能性は高くなります。クリームやオイルなどでしっかり保湿して、皮膚の柔軟性を保ちましょう。マッサージクリームは保湿成分配合のものや、刺激に配慮されたものをチョイスするのがおすすめです。
保湿するときに一緒に行いたいのがマッサージです。皮膚の伸びが良くなるように、手を皮膚に添えてなでるようにやさしくマッサージします。あまり強くマッサージすると刺激になるため注意しましょう。妊娠中は肌が敏感になる人も多いため、マッサージクリームでピリピリするなどの症状が出ることも。その場合は使用をやめて医師に相談しましょう。
3.妊娠線・肉割れがおしりにできた場合の治療方法もチェック!
おしりの妊娠線が気になる場合は、美容医療の力で消す方法もあります。主な方法として知られているのは、以下に挙げるポテンツァ、フラクショナルレーザー、ダーマペン、アートメイクなどです。各治療法の特徴を簡単に紹介します。
【ポテンツァ】
・極細針で皮膚に小さな穴を開け、治癒する過程でエラスチンやコラーゲンの産生を促進
・高周波(RF)や専用薬剤の導入により、エラスチンやコラーゲンの産生を促す
【フラクショナルレーザー】
・レーザーを点状に照射し、皮膚に微細な穴を開けることで皮膚の再生を促す
・真皮層へのアプローチも可能
【ダーマペン】
・微細な針を高速で前後させて皮膚に傷をつけ、傷から成長因子を流し込み、肌再生を促す
・毛穴などの改善効果も期待できる
【アートメイク】
・色素を注入して妊娠線を目立たなくする
・自然な見た目にすることが可能
このように、おしりの肉割れには、さまざまな治し方があります。産後に妊娠線が気になる人は、検討してみましょう。
まとめ
妊娠線がおしりにできることを防ぐには、体重管理を徹底すること、クリームなどで保湿・マッサージすることが大切です。しかし、妊娠線のできやすさは年齢や肌質、体型などにより異なります。対策していても妊娠線ができてしまうケースはあるでしょう。皮膚の再生を促したり色素を注入したりすることで妊娠線を目立たなくする方法もあるので、産後気になる人は美容クリニックに受診してみても良いでしょう。
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