妊娠線は産後の肌悩みの一つです。妊娠線を「母の勲章」と呼ぶ声もありますが、妊娠前の美肌を取り戻したいと考える方もいるでしょう。そこで今回は、妊娠線ができるメカニズムと併せて、産後に可能なケア方法を紹介します。自宅でできるセルフケアと美容医療の観点からのアプローチについてまとめました。妊娠線に対して適切なケアを行い、肌への自信を取り戻しませんか?
1.妊娠線とは?基本情報をおさらい
まずは、妊娠線とはどのようなものか、改めて確認していきましょう。ここでは、妊娠線ができる原因やできやすい場所など、基本情報を紹介します。
■妊娠線ができる原因
妊娠線ができる主な原因は以下の2つによるところが大きいといわれています。
- 体型の急激な変化
- ホルモンバランスの変化に伴うコラーゲン不足
妊娠線は、妊娠中に急激に体重が増え、お腹が大きく膨らむことで、表皮の下にある真皮が裂けた結果現れます。妊娠線ができやすい体のパーツは、お腹だけではありません。例えば、妊娠に伴い大きくなりやすい胸の他、脂肪が厚くなりがちなヒップや太ももでも、見られる場合があります。
また、妊娠中は、ホルモンの変化により真皮の弾力性が減少する傾向があります。というのも、妊娠中に多く分泌される副腎皮質ホルモンには、肌のコラーゲン生成やターンオーバーを抑制する特徴があるからです。
■妊娠線は産後自然に消える?
妊娠線は、先述のとおり真皮が裂けることで生じます。一度断裂した真皮の再生は難しいため、妊娠線は産後自然には消えません。ただし、適切なケアにより、産後目立たなくする方法はあります。自宅で行う保湿ケアと美容医療によるアプローチにより、妊娠線が悪目立ちしない肌に近づけるでしょう。
なお、妊娠線と混同しやすいものに「正中線」があります。正中線は、おへそを中心に上下にのびる茶色や黒色などの一本線です。正中線はもともと誰しもに備わっているもので、妊娠中のホルモンバランスの影響によりメラニン色素の分泌が増えると、目立つようになります。そのため、正中線は妊娠線と異なり、出産後はもとのように自然と薄くなるでしょう。
2.妊娠線の産後ケア方法|自宅で行う保湿マッサージ
一度できてしまった妊娠線を完全に消すことはなかなか難しいですが、保湿マッサージにより産後からでも目立たなくできます。クリームやオイルといった保湿剤を使い、妊娠線の気になる部分をやさしくマッサージしましょう。保湿しながらリンパの流れや血流を良くすることで、肌のハリツヤアップも目指せます。妊娠線に特化した専用クリームやオイルなどを使えば、より効果が期待できるでしょう。
ここでは、具体的なマッサージ方法を、体のパーツ別に紹介します。
■お腹にできた妊娠線の産後マッサージ
まずは、お腹にできた妊娠線をケアするためのマッサージ方法を見ていきましょう。
- おへそに手を添え、お腹の中心から外側へ向かって円を描くよう、時計回りにやさしくなでる
- そけい部を外側から体の中心に向かって指先で細かくらせんを描くようにほぐす
- そけい部を体の中心から外側、続いて外側から中心へと左右にさする
お腹にできた妊娠線は、腹部全体と下腹部を重点的にマッサージします。
■胸にできた妊娠線の産後マッサージ
次に紹介する手順は、胸にできた妊娠線をケアするマッサージ方法です。
- 乳房の下に左右反対側の手を添え、胸を持ち上げるように下から上に向かって小さな円を描く
- 手で左右反対側の鎖骨を内側から外側に向かってさする
右胸をマッサージする際は左手、左胸の場合は右手を使いましょう。
■ヒップ・太ももにできた妊娠線の産後マッサージ
続いて、ヒップや太ももにできた妊娠線のマッサージ手順を紹介します。
- 両手でヒップを下から上へ持ち上げるようにして、外側から内側へ向かって円を描きながらなでる
- 太ももを両手で挟むように持ち、膝から足の付け根に向かって、細かく円を描きながらさする
ヒップも太ももも、下から上に向かってやさしくマッサージすることがポイントです。
3.妊娠線の産後ケア方法|美容医療によるアプローチ
妊娠線に対して産後にセルフケアを行ったものの、変化に満足できない場合は、美容医療によるアプローチを検討することも一つの手です。自宅でのケアと比較して高額になりますが、より効果を得られる可能性があります。ここからは、妊娠線の産後における改善に効果的とされる美容医療を紹介しましょう。料金の目安も併せて解説します。
■フラクショナルレーザー
数あるレーザー治療の中でも、とくに妊娠線の改善に効果的とされている施術が、フラクショナルレーザーです。フラクショナルレーザーでは、目に見えない微細な穴を肌に開けることで、回復する過程でのコラーゲン生成を誘引します。その結果、皮膚の再生と入れ替わりが促され、妊娠線の改善につながるのです。
なお、フラクショナルレーザーの施術料金は、妊娠線の長さや範囲にもよりますが、3万円前後が目安となります。
■炭酸メソ
フランスで開発された炭酸メソは、医療用の炭酸ガスを、注射器を用いて皮膚に直接注入する治療法です。炭酸ガスを注入することにより、真皮の血流が改善され、皮膚の再生を促進。また、炭酸ガス注入時のダメージから皮膚が回復する際に、コラーゲンが生成されます。皮膚の再生とコラーゲンの産生により、妊娠線の目立ちにくい肌を目指せるのです。
炭酸メソの施術料金は、2~3万円ほどが相場となっています。
■サーマクール
「サーマクール(ThermaCool)」は、高周波のエネルギーを肌に照射することで、真皮の深部やさらに奥にある皮下脂肪層にまで大きな熱刺激を与える医療機器です。「サーマクール」では、熱刺激により、肌の引き締めや真皮でのコラーゲン生成が促されます。よって、妊娠線による悩みの軽減につながるでしょう。
「サーマクール」は、施術1回につき20万円以上かかることが一般的であり、比較的高額な治療といえます。
■ダーマペン
「ダーマペン(Dermapen)」は、極細の針で表皮から真皮にかけて微細な穴を開けることで、ダメージから回復しようとする治癒力を引き出し、皮膚の再生を促進する医療機器です。また「ダーマペン」では、施術で開けた穴に成長因子を流し込むことで、より効率的に妊娠線にアプローチできます。
「ダーマペン」の妊娠線治療における料金は、3万円ほどであることが一般的なものの、施術範囲が広い場合には7万円前後にまで上がる可能性も否定できません。
■スカーレス
スカーレスとは「Skin52」という機器を使って行う医療アートメイクです。色ムラが気になる部分に、正常な肌と同じ色の色素を注入することで、周囲の肌味となじませて妊娠線を目立ちにくくします。妊娠線のある肌を再生させるわけではなく、あくまで肌の色を整えることが目的の治療です。
なお、スカーレスの施術料金はクリニックによる差が大きく、約10~20万円となっています。
■マッサージピール
マッサージピールは、ピーリング剤「PRX-T33」を用いて、肌をマッサージしながらトリクロロ酢酸などの成分を肌に浸透させる治療方法です。真皮でのコラーゲン生成が促され、肌にハリが生じることで、妊娠線の改善に期待できます。
マッサージピールによる妊娠線の治療は、1.5~3万円ほどで、他の美容医療に比べ、手頃な値段であることが一般的です。
まとめ
妊娠線は、産後自然に消えることはありませんが、適切なケアを行うことで改善を目指せます。まずは、保湿クリームやオイルを用いたマッサージを日常的に取り入れてみましょう。それでも妊娠線の変化に満足できない場合は、美容医療に頼ることも一つの手です。妊娠線にアプローチできる治療方法もさまざまなため、自分に合う施術を医師に相談すると良いでしょう。妊娠線の産後ケアを諦めず、自信に満ちた肌を取り戻しませんか?
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