
マンジャロ注射は、2型糖尿病の治療に用いられる週に1回のペースで行う皮下注射のこと。
マンジャロは、血糖コントロールに働きかけるだけでなく、体重の減少をサポートする可能性もあります。
ただし、2型糖尿病の治療に用いるマンジャロ注射は、使用の際に注意点があります。
そこで今回は、マンジャロ注射について作用や仕組み、使用する際の注意点について解説します。効果が期待できる人の特徴などについても触れているので、興味のある方は、ぜひご一読ください。
INDEX
1.マンジャロとは?

出典:photoAC
マンジャロとは、一般名をチルゼパチドといい、2型糖尿病の治療の際に用いられる薬です。マンジャロはアメリカで2022年6月に販売され、日本では2023年4月に承認されました。
GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」と「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」という2種類のホルモンと同じ作用を持つ薬剤です。
これらのホルモンは、食事を摂った際に小腸から分泌され、血糖値に応じて膵臓からのインスリン分泌を促します。マンジャロ注射は、肥満症(肥満に関する疾患)のほか、体重管理を目的とする使用でも多くの方に注目されています。
以下では、マンジャロ注射についてさらに詳しく解説していきましょう。
■従来のGLP-1との違い
マンジャロは、従来のGLP-1受容体作動薬とは異なる点があります。とくに大きな違いは、GLP-1受容体だけでなく、GIP受容体にも作用する点です。
GLP-1とGIPは、どちらも血糖調節において重要な役割を果たしますが、マンジャロはこれらのホルモンが持つそれぞれの利点を併せ持っています。
そのため、従来のものよりも血糖降下作用と体重減少の両面において、高い効果を発揮するとされているのです。
■マンジャロ注射の作用と仕組み
ここでは、マンジャロ注射の作用と仕組みについて解説していきます。
【特徴1】食欲が抑えられる
マンジャロ注射には食欲抑制作用があります。
マンジャロは、食欲の調節に関わる脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけ、満腹の信号を増強します。すると人は満腹感を得やすくなり、結果として食欲が自然に抑制されると考えられているのです。
【特徴2】満腹感が持続しやすい
胃排出遅延作用を持つマンジャロ注射は、満腹感が持続しやすいという特徴があります。胃から腸への食物の移動が遅延することで、消化に時間を要し、満腹感が長く続くでしょう。
その結果、次の食事までの間隔が長くなり、間食や過食も抑制できるため、摂取するカロリーの減少につながります。
【特徴3】脂肪分解を促進する
マンジャロ注射は、脂肪の分解を促進する作用も併せ持ちます。マンジャロの主な効果は血糖コントロールと食欲抑制であり、直接的な脂肪分解作用はありません。
しかし、GIPの働きによって肝臓や脂肪細胞における脂質代謝が活性化されます。これにより、体内の脂肪が優先的にエネルギーとして利用され、体脂肪の減少が促進。基礎代謝の向上にもつながると考えられています。
2.マンジャロ注射で効果が期待できる人の特徴

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ここでは、マンジャロ注射で効果が期待できる人の特徴について解説します。
■血糖のコントロールが困難な人
マンジャロ注射は、一般的に2型糖尿病により血糖のコントロールが困難な人にとって高い効果が期待できる治療薬です。2型糖尿病の基本的な治療法は食事療法や運動療法ですが、効果が不十分な場合、次の段階としてマンジャロを採用することが有効と考えられています。
■食事制限や運動でダイエット効果が得にくい人
食事制限や運動を頑張っても一向に結果に結びつかず、心も体も疲弊してきたという方にもマンジャロ注射は向いています。美容クリニックではメディカルダイエットの一環として処方され、肥満症を発症している人に適用されることもあります。
3.マンジャロ注射で効果が期待できない人の特徴
次に、マンジャロ注射で効果が期待できない人の特徴について解説します。
■運動習慣がない人
マンジャロ注射は、運動習慣がない方でも血糖コントロールや体重減少の効果は期待できますが、運動習慣のある人と比較すると、効果の実感が緩やかになる可能性があります。
そもそも、糖尿病治療には運動療法が不可欠。運動は、インスリン感受性を高め、エネルギー消費を増加させる上で重要な役割を果たすため、より高い治療効果を得るには、可能な範囲での運動が必要でしょう。
■カロリーの高い食事をしている人
血糖コントロールの改善や体重減少に高い効果を発揮するマンジャロ注射であっても、日常的に揚げ物や炭酸飲料といった高カロリーな食事を摂取している場合、効果が得られにくい可能性があります。
マンジャロ注射の食欲抑制作用を最大限高めるためには、適した食事量とバランスのいい食事内容を心がけることが大切です。
■間違った用法・用量で使用している人
マンジャロ注射は、間違った用法・用量で使用する場合も効果が出にくい傾向にあります。とくに、用量は個人差があるため調整が必要です。病院で提示された注意事項を守り、十分な体重減少効果が得られるようにしましょう。
4.マンジャロ注射の副作用とリスク
マンジャロ注射の副作用は、吐き気や嘔吐、下痢・便秘、腹痛など消化器症状が一般的です。ただし、重篤な副作用として、まれに胆石症や胆嚢炎が起こることがあります。また、併用する薬によっては低血糖のリスクもあるため、医師の指示に従い使用することが望ましいでしょう。
5.マンジャロ注射の打ち方と処方方法

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ここでは、マンジャロ注射の打ち方と処方方法について解説します。
■マンジャロ注射の打ち方
マンジャロ注射の打ち方は、以下の3つのステップで行います。
- キャップを外す
- 底面を皮膚にあててロックを解除
- 注入ボタンをプッシュしてそのまま待つ
マンジャロは、製品によって使い方が若干異なる場合があるため、使用前に必ず添付文書や医師の指示を確認してください。マンジャロ注射の投与部位としては、腹部、大腿部、または上腕の外側が推奨されています。
マンジャロ注射を打つタイミングは、通常週に1回。同じ曜日に投与するといいでしょう。また、注射部位を毎回変更することで皮膚の損傷などを防ぐことができます。注射部位は、感染リスクを低減するためにも、消毒を徹底し清潔を保つことが非常に大切です。
■マンジャロ注射の処方方法
マンジャロ注射は、保険診療・自由診療いずれの場合であっても、処方を受けるためには医療機関への受診が必須です。自由診療の場合、オンライン診療を利用してマンジャロを処方してもらうことも可能です。
日に日にオンラインで診察・処方を行っている医療機関が増加していますが、診察の条件などが異なる場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。
6.マンジャロ注射を検討する際の注意点
マンジャロ注射は、他の糖尿病治療薬との併用で、震えや頭痛、めまい、冷や汗、意識の低下といった低血糖の症状を引き起こす危険があります。これらの症状が生じた場合は早めに対処することが重要です。
また、マンジャロ注射の妊娠中または授乳中の方への投与は、安全性に関する十分なデータがなく、危険性が拭えないため、原則として推奨されていません。
妊娠が判明した場合は、マンジャロ注射の使用を中止してください。妊娠希望の方もマンジャロの影響について、医師へ相談しましょう。
なお、マンジャロ注射の副作用でよくある胃腸障害は、治療を始めてから2〜4週間ほどでピークを迎え、少しずつ軽減していく傾向があります。ただし、副作用は個人差があるため、症状が軽くならない場合には速やかに病院へ問い合わせましょう。
まとめ
マンジャロ注射は、2型糖尿病の治療に用いられる薬で、血糖降下作用のほか、食欲抑制作用や胃排出遅延作用もあるため体重管理にも効果が期待されています。
しかし、マンジャロ注射は副作用やリスクを伴うため、自己判断での使用は避け、必ず医師の診断のもと処方してもらうことが大切。
医療機関によっては、自由診療の一環として体重管理を目的とした治療もあるため、医師の適切な指導のもと活用することが重要です。
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