
マンジャロ皮下注とは、体重管理の新たな選択肢として注目されている治療方法です。
食欲抑制や代謝改善といった効果が期待されていますが、治療を開始するにあたっては、自己注射のリスクや起こりうる副作用についても事前に知っておく必要があります。
この記事では、マンジャロ皮下注の効果や副作用、リスク、注意点などについて分かりやすくまとめました。自分に適した治療を選択できるよう、マンジャロ皮下注に興味がある方はぜひ目を通してみてください。
1.マンジャロ皮下注射とは?特徴と効果について

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まずは、マンジャロ皮下注の特徴や期待できる効果について詳しく見ていきましょう。
■糖尿病患者向けの新しい治療薬
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)とは、2型糖尿病の治療薬として2023年に発売された新しいタイプの皮下注射薬です。
この薬剤は、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という2つの受容体に同時に働きかけ、血糖値を下げる作用を持ちます。
また、インスリンの分泌を促進するだけでなく、間接的に脂肪の分解もサポート。ダイエット効果として食欲抑制や体重減少などが報告されています。
特徴は、週に1回の投与で強力な効果を発揮すること。個人差はありますが、使い始めて1~2週間で変化が表れ、3~6ヶ月が経過する頃には多くの方が体重減少を実感するとされています。
■マンジャロ皮下注に期待できる効果
マンジャロを皮下投与すると、以下のような効果が期待できます。
食欲抑制
マンジャロ皮下注には食欲抑制作用があります。これは、マンジャロが視床下部にある満腹中枢に働きかけることで、自然な満腹感が生まれるため。少量の食事でも満足感を得やすく、摂取カロリーが減る可能性が高まります。
加えて、胃の動きも抑えることから、食べ物の消化速度が鈍化。満腹感が持続するため食べすぎも軽減され、無理なく食事量を減らせます。
代謝の改善
マンジャロには、代謝を改善する効果も期待されています。というのも、体内に蓄積された脂肪をエネルギーに変える作用が活発になるためです。
結果として体脂肪の減少が促進され、基礎代謝が向上。太りにくい体質へ変化すれば、肥満に関するさまざまな健康リスクの軽減が見込めます。
体重減少
マンジャロの投与によって食事量が減れば、自然と体重は減少します。極端な食事制限や過度な運動をすることなく痩せる効果が期待できるため、無理なく体重を管理できるのが特徴です。
ただし、マンジャロ皮下注は痩身を目的とする治療薬ではありません。あくまでも糖尿病患者の血糖コントロールをサポートする治療法であり、ダイエットを目的とした使用は保険適応外となることを覚えておきましょう。
2.マンジャロ皮下注に危険性はある?リスク・副作用・注意点をチェック

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マンジャロ皮下注は、不適切な使用で健康被害をもたらすこともあります。
■自己注射のリスク
マンジャロ皮下注は、自己投与が可能な注射薬です。しかし、使い方を正しく理解していないと、注射ミスにつながることも。
自己注射の代表的なリスクとしては、打ち忘れ・投与部位を間違える・操作ミスなどです。適切な治療効果を得るには、正しく使用するのが基本。
正しい打ち方については後述しますが、このようなリスクを減らすには医師の説明をよく聞き、打つ前にはしっかりと説明書を確認することを心がけましょう。
また、もう1つ注意しておきたいのが、保管方法についてです。マンジャロは2~8度の場所で遮光して保存する必要があります。気温の高いところに放置すると、成分が変質して効果が減弱する恐れがあるためです。
気温が低すぎても薬液が凍ってしまうリスクがあるので、保管の際は一度冷蔵庫内の温度をチェックしておくことをおすすめします。
■よくある副作用と重篤な副作用
マンジャロの一般的な副作用としては、嘔気や嘔吐、下痢、便秘などの消化器系の症状、赤みや腫れといった注射部位の反応によるものが報告されています。軽度な症状であれば様子を見るように指示されるかもしれませんが、以下のような副作用が見られる場合は注意が必要です。
- 低血糖症:強い空腹感や冷や汗、手足の震え、めまい、意識の低下など
- 急性膵炎:上腹部の激しい痛み、吐き気、嘔吐、発熱など
- 胆石症・胆のう炎:右上腹部の痛み、発熱など
- アナフィラキシー・血管性浮腫:血圧低下、呼吸困難、皮膚の発疹、かゆみ、腫れなど
上記のような症状が表れた場合には、命に関わる危険性もあります。使用を中止して速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
■使用上の注意点
マンジャロ皮下注の副作用を抑えるには、以下のような注意点を守る必要があります。
徐々に用量を増やす
マンジャロ皮下注は副作用の発現を抑えることを目的として、段階的に用量を増やしてく使用法が基本とされています。
添付文書によれば、一般的に成人への投与はマンジャロ2.5mgから開始。この初期用量は少なくとも4週間継続し、その後の体調や治療効果に応じてマンジャロ5mgへ増量することが推奨されています。
それでも効果が不十分な場合は4週間以上経過するごとに2.5mgずつの増量が可能ですが、最大用量は1回につき15mgまで。
ただし、細かい調整は主治医の判断によっても異なります。治療を円滑に進められるよう、必ず医師の指示を守りましょう。
食事内容や生活習慣を見直す
食事内容や生活習慣を見直すことで、マンジャロ皮下注の副作用を抑えられる可能性があります。
食事は胃に負担をかけないよう脂っこいものや刺激の強いものは避け、少量ずつ頻回に食べるのがポイント。消化器系の副作用を軽減しながら、適切な効果を得られます。
さらに、睡眠不足やストレスはホルモンバランスに影響を及ぼし、血糖値の変動や体調悪化を引き起こす要因に。十分な睡眠・メンタルケアも治療の一環と捉え、規則正しい生活リズムを意識するのも重要です。
定期的に受診する
マンジャロ皮下注の治療中は、定期的に医師の診察を受けましょう。医師は、体調や血糖コントロールの状況など、個々の状態に応じて用量を調整したり治療計画を見直したりしています。
また、副作用が表れた場合でも、すぐに医師に相談することで適切な処置が可能に。医師と連携を取りながら治療を進めるという意識を持つことが大切です。
併用できない薬がある
マンジャロ皮下注の治療を受ける際は、ほかの薬との併用に注意が必要です。とくに、低用量ピルやワーファリン(抗凝固薬)、糖尿病治療薬は治療効果に影響を与える以外にも、副作用を高める恐れがあります。
すでに何らかの薬を服用している方は、併用可否について必ず事前に主治医の判断を仰ぐようにしましょう。
■使用中に気になる症状が出たら?
万一使用中に気になる症状が出たら、必ず医療機関を受診するようにしましょう。とくに、1週間以上不快な症状が続く、強い腹痛や嘔吐、発熱がある、注射部位の腫れや赤みが引かないなどの副作用には要注意。
もしも副作用を軽視して自己判断で使用を続けると、症状が悪化するリスクもあります。少しでも違和感を覚えたときには早めに医師に相談し、適切な対応を受けることが効果的な治療につながります。
3.マンジャロ皮下注を打つ場所は?使い方や保管方法のポイント

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マンジャロ皮下注の治療効果を得るには、正しく使用することが大切です。ここでは、マンジャロを打つ場所や打ち方、保管方法について確認しておきましょう。
【マンジャロの使用方法】
- 清潔にした手で注射部位(お腹や太ももなど)を消毒する
- ロックしてあることを確認してから、灰色のキャップを取り外す
- 透明な底面を皮膚に当て、ロックを解除したら紫色の注入ボタンを10秒程度長押しする
- 透明部分から灰色のゴムピストンが見えたら注入完了
- 皮膚から注射器を外すと、自動で針が格納される
【保管方法】
- 直射日光を避け、2~8度の場所に冷蔵保存する
- 室温で保存する場合は遮光して保管し、21日以内に使用すること
- 30度を超える場所での保管は避ける
- 乳幼児や小児の手が届かない場所に保管する
正しい使用方法や保管方法を守ることはマンジャロの治療効果を最大限引き出すとともに、副作用や失敗のリスクを減らすことにもつながります。不安がある場合は、医師や薬剤師に確認しながら進めましょう。
まとめ
マンジャロ皮下注は、2型糖尿病患者に向けた新たな治療法として注目を集めています。しかし、血糖コントロールや体重減少、代謝改善といった多面的な効果が期待される一方で、消化器系の副作用が見られることも。
副作用をできるだけ抑えるには、食事内容や生活習慣の見直しを心がけるとともに、医師の診察を受けることも大切です。信頼できる医師のもとで、自分に合う治療法を見つけてください。
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