加藤クリニック麻布ANNEX 院長 播摩 光宣先生へインタビュー。美容外科手術の中でも、とくに難易度が高いとされる骨切り。「加藤クリニック麻布ANNEX」の院長 播摩 光宣先生は、骨切りをはじめとするお顔の専門医として多くの患者様から厚い信頼を集めています。今回は、播摩先生がお顔の専門医となった経緯や診療で心がけていること、今後の展望をについてお話を伺いました。多くのリピーターに支持されている秘訣や、先生のお人柄にも迫ります。
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ドクターズプロフィール
加藤クリニック麻布ANNEX 院長
播摩 光宣(はりま みつのぶ)先生
骨切りをはじめ、目、鼻など顔をトータルで施術できるお顔の専門医。東京大学医学部卒業後、日本の骨切りの権威とも言える東京警察病院の形成外科・美容外科で研鑽を積む。顔の持つ情報量の多さに惹かれ顔を専門にすることを決め、「加藤クリニック麻布ANNEX」の門を叩く。現在は同院の院長として、患者様の理想を叶えるべく、日々診療にあたっている。
(経歴) 2012年 東京大学医学部医学科卒業 2012年 名戸ヶ谷病院 初期研修医 2014年 東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科 特任臨床医 2015年 東京大学医学部附属病院 形成外科・美容外科 助教 2018年 関東中央病院 形成外科 2019年 東京警察病院 形成外科・美容外科 2023年 加藤クリニック麻布ANNEX 院長 (所属学会) 日本形成外科学会 形成外科専門医 日本美容外科学会(JSAPS) 美容外科専門医 |
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医師としての背景 ~人の役に立つ仕事を志した幼少期~
―――医師を志したきっかけと、美容医療の世界に入るに至ったストーリーを教えてください。
僕が医師になりたいと思い始めたのは、小学校低学年の頃でした。医師を志したきっかけは2つあって、1つは親に「将来、人の役に立つ仕事に就きなさい」と言われて育ったことです。幼いながらに人の役に立つイコール医師だというふうに考えて、医師を志しました。もう1つのきっかけは、幼少期に僕はよくケガをしていて、そのたびにお医者さんのお世話になっていたことです。医師という存在を身近に感じていたことが、自分自身も医師を志すきっかけになったと思います。
―――ご自身の献身的なお考えと、ケガがきっかけで医師になりたいと思われたということですが、その想いだけで東大まで行くことは本当に難しいことだと思います。形成外科を選ばれた理由を教えてください。
東大にはたまたま入れてしまったのですが…。医学部に入る前は、脳外科医や心臓外科医がかっこいいと思っていました。でも、僕はずっとスポーツをやっていたこともあり、実際に医師になってから整形外科に進みたいと思っていたんです。しかし、研修医として整形外科の手術に入ってみると、毎回同じようなことの繰り返しで性分に合わないなと感じてしまいました。
その後、形成外科のオペを見る機会があり、見た目を変えるオペという点が面白いと感じたんです。同じオペでも、患者様によって内容が変化していく。かわいいに正解がないように、形成外科のオペには答えがないんです。「これだったら、一生やっても飽きないかな」と思い、形成外科を選びました。
―――先生にとって、何かを高めたい、継続していきたいという想いが形成外科に進む大きなポイントになったのですね。
そうですね。一生やっても飽きないという点に加えて、僕は形成外科で行われるマイクロサージャリー*のような、すごく細かい作業が好きだったというのも理由の1つです。細かい作業が得意なのは、日本人の強みでもあります。今後、医師として世界で戦うと考えたときに、形成外科なら有利だと思えたのもポイントとなりました。
*マイクロサージャリー…手術用のルーペや手術用の顕微鏡を用いて、手術を行う技術。
―――播摩先生がおっしゃるように、医療界のトップ技術が集まるのが形成外科ならではだと思います。形成外科で経験を積まれた後、美容外科に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。
「名戸ヶ谷病院」から「東京大学医学部附属病院」の形成外科に入局して3年ぐらいは、ひたすらマイクロサージャリーをやっていました。その中で、顔の再建手術をよくやっていたんです。ケガで損傷してしまった顔を治したり、神経麻痺で顔が動かなくなった人に体の筋肉を移植したりするうちに、顔の持つ情報量があまりにも多いことに神秘を感じて。『顔という臓器がすごく面白い』という想いから、顔を専門にしたいと思うようになったんです。顔を専門にするからには、やっぱり美容の分野もやらないといけないと思い、美容の勉強を始めました。
―――その時点で骨切り*も学ぼうと思われたのでしょうか?
はい。顔の専門医を名乗るからには骨切り*もできなければいけないと思って、骨の勉強を始めました。「東京大学医学部附属病院」にいるときに骨切りで有名な「東京警察病院」に行きたいという話を医局長にし、他院で骨切りを勉強しながら注入系やレーザーなど美容の技術を学び、念願の「東京警察病院」に進みました。
*骨切り(こつきり)…小顔や輪郭形成術などにおいて、骨を切ったり削ったりして、骨に直接アプローチすること。顔全体の印象改善が期待できる一方で、一度施術するとやり直しが難しい。美容外科施術の中でも難易度が高い分野で、医師の知識や技術のほか、センスも問われる。
「東京警察病院」は、日本で最初に作られた民間の形成外科病院で、現在でも日本で有数の骨切り件数を取り扱っています。「東京警察病院」ではずっと学びたかった骨切りを学べた上に、鼻の手術も学べたことが有意義でしたね。
同院を志望する医師は多いので、普通は入職できても1年か2年で他の医師に席を譲らなければなりません。でも僕は運が良かったのか、その環境に4年もいることができたんです。骨切りは非常に高度な技術なので、1年学んだぐらいでは体得は困難で。自分自身で執刀できるまでに最低でも3年ぐらいは勉強したいと思っていたので、「東京警察病院」に長くいられたのは本当に良い経験だったと思います。
―――「東京警察病院」で貴重なご経験をされた後、開業は考えられなかったのでしょうか。「加藤クリニック麻布ANNEX」に進むきっかけを教えてください。
当時、開業は全然考えていませんでした。「加藤クリニック麻布ANNEX」に進んだきっかけは、「東京警察病院」で出会った先生が「加藤クリニック麻布ANNEX」に勤務されていたことです。骨切りや美容を学べる場所を探していると話したところ、「じゃあうちのクリニックにおいでよ」と誘っていただいて「加藤クリニック麻布ANNEX」に進むことにしました。
それまで学んでいた骨切りはダイナミックな施術なので、誰の目にも変化が明らかです。一方、「加藤クリニック麻布ANNEX」入職後は、ヒアルロン酸0.1ccの注入というほんのわずかな変化でも患者様に感動を与えられるということを目の当たりにして。美容医療の繊細さや奥深さを実感しました。
僕が「加藤クリニック麻布ANNEX」に入職した当時は、院内に骨切りをしている先生が他にいなかったんです。なので、骨切りの環境をゼロから整え、ホームページも作成して。そこから骨切りを希望される患者様にも来ていただけるようになりました。
播摩先生の強み ~患者様の理想を実現させるための技術とセンス~
―――これまで数多くの骨切り施術をされてきた播摩先生ですが、骨切りの奥深さを感じたエピソードや、感動体験があればお聞かせいただきたいです。
骨切りを受けられた患者様の術前と術後の変化を見ると、やっぱり感動しましたね。「ここまで人の顔を変えられるんだ」と思いましたし、患者様もすごく喜んでおられたのが印象的でした。
―――骨切りをする上では、現状の顔から引き算をしていくのが大事なポイントになると思います。術前のすり合わせがとても大事だと思いますが、播摩先生が工夫されている点を教えてください。
美容クリニックでは、術前のカウンセリングを医師ではなくカウンセラーがする場合も多いですよね。でも僕は、患者様のなりたいイメージを正確に理解するために、最初から最後まで僕自身がカウンセリングをします。例えば患者様が「小顔になりたい」と言っても、患者様のイメージと僕のイメージが一致しているとは限りません。これだと、手術自体は成功したとしても患者様は喜べませんよね。なりたいイメージを一致させるためには、言葉だけのやりとりでは難しいんです。
そこで僕は、患者様が求めているものと僕が提案するものを客観的なデータで一致させるようにしています。そのために使うのが、Photoshop(フォトショップ)の画像を使ったシミュレーションです。両者のイメージのすり合わせができたら、実際にどんな風に骨を切るかは僕にお任せいただきます。よく「骨を○mm切ってください」とオーダーされる患者様もいらっしゃいますが、僕は「そのとおりやってもいいけど、恐らく思っているように可愛くはならないですよ」とお伝えするんです。実際のデザインは、僕にお任せいただくようにしています。
―――骨切りは執刀医のセンスと技術力とが相まって結果が得られる世界だと思いますが、播摩先生の持論や工夫をお聞かせいただきたいです。
おっしゃるとおり骨切りは美容外科医の腕が試される施術ですが、結局は美容外科医のセンスにかかっていると思います。「顔のここからここまでが○mmだったら可愛い」という一般的な分析はあるけど、万人には当てはまらないので。美容外科医のセンスこそが最も重要なポイントだと思っています。
多くの仕事が将来的にAIに取って代わられると言われていますが、骨切りにおける美容外科医のセンスはAIには真似できないと思っています。その意味でも、美容外科は最後まで生き残れる分野だとも思いますね。
そして、患者様のメンタルケアは本当に大事だと感じています。術後のダウンタイム中は、メンタルが不安定になられる患者様も少なくありません。そういったときも、しっかり患者様に寄り添い安心していただけるように努力しています。術前だけでなく、術後もしっかりフォローすることが、患者様の満足度にもつながると思います。
―――播摩先生の真摯で誠実なお人柄が、骨切りをした患者様に「次は鼻の手術をお願いしたい」と思わせる信頼度につながり、リピートにもつながって来るのだと思います。リピーターの中では、どういったニーズが高いですか?
そうですね。患者様の多くは、技術やセンスはもちろんですが、信頼できるという点で僕を選んでくれているんだと感じることがあります。
僕の施術の中で人気なのは、やはり骨切りです。でも僕は自分自身を骨切り専門だと思っていなくて、お顔専門、あくまで顔をトータルで見たいと思っています。例えば、骨切りを僕がしたとしても、鼻や目を違う先生が手術してしまうと、できあがった顔は必ずしも可愛いとは言えないと思います。服のコーディネーターのような感覚で、トータルでお顔をコーディネートしたいというのが僕の目標です。その意味では、骨切りばかりではなく、目や鼻、フェイスリフトの執刀もしているので、満遍なくご依頼いただいているとも思っています。
日本の美容医療を牽引する医師としての情熱 ~垣根を超えた活動にかける想い~
―――クリエイションラボ(クリラボ)*では、播摩先生は次世代のホープとして注目を集めています。播摩先生がクリラボの立ち上げを引き受けた背景や、課題に感じていることをお聞かせいただきたいです。
クリラボ*の立ち上げの話をいただいた当初は、単純に堀田先生や牧野先生に「一緒にやろうよ」と誘っていただいたから参加した、という感じでした。でも実際に勉強会をやっていく中で、今後の日本の美容医療業界にとって必要な活動だと痛感し、率先してクリラボの活動をするようになりました。
僕は、日本の美容クリニックや医師がもっと視座を高く持ち、世界で戦える美容医療を作っていきたいっていう気持ちがあって。そのためには、日本国内でクリニックが技術を隠し合っている場合じゃないと思います。
*クリエイションラボ(クリラボ)…美容医療の発展を目指し、所属クリニックや経歴などの垣根を超えて発足された外部合同勉強会。「BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)」理事長の堀田和亮医師、「聖心美容クリニック銀座院」院長の牧野陽二郎医師らとともに、播摩先生も立ち上げに参加した。
―――播摩先生は形成外科から美容医療の世界に入られましたが、中には初期研修が終わって間もなく美容医療界に入られる先生もいます。そのような若手医師に対して、播摩先生はクリラボで何を伝えていかれたいですか?
日本では現状、美容外科医という言葉の定義が難しいと感じています。美容に携わっていれば美容外科医と名乗れますが、そこにはいろんなジャンルがありますよね。ボトックスだけを打つ美容外科医もいれば、骨を切るような手術までやる美容外科医もいる。その中で、将来的にメスで手術をするような美容外科医になりたいのであれば、最初に形成外科に入って基本的な手技を学んでほしいと伝えたいですね。
―――ひと昔前なら「美容はこうあるべきだ」という固定観念があったかもしれませんが、現在では、美容医療にも多様性があってもいいという考えがありますね。播摩先生はクリラボでみんなを巻き込んで、日本の美容医療を変えていきたいというお考えなのでしょうか。
みんなを巻き込むといっても、相手は誰でも良いわけではありません。クリラボは、現在すでに活躍している医師や、将来的に日本を代表できる美容外科医になりそうな若手の先生たちが選抜された集団でありたいと思っています。先ほど、技術を隠し合っている場合ではないとは言いましたが、技術を教える先は選ばれた人であってほしい。そしてその人が日本を代表する医師になり、また下の世代に教育をするという持続可能性が生まれてほしいですね。
―――今後の発展や進化を考えると、日本の美容医療界はどういった世界観を目指していったらいいとお考えでしょうか。
30年ぐらい前までは、世界的に見ても日本の美容医療は非常に優れていました。それが、日本国内で技術を隠し合ったせいで遅れをとってしまい、ここ5年ぐらいでまた盛り返してきていると感じます。僕の役割は、あと10年ぐらいのうちに日本の美容医療を世界で勝てるレベルに引き上げることだと思いますね。
日本人は器用だし、オペもうまいし、細やかな気配りができる。そして日本はとても清潔な国としても世界で有名です。だからこそ、日本は世界の美容医療で勝てると思っています。
美容外科医としての哲学 ~人の幸せを叶えるための美容医療~
―――播摩先生が美容医療に携わる上で、モットーや哲学、今後のビジョンなどをお聞かせください。
僕には、患者様をきれいにしたいという思いの先に、その人を幸せにしたいという思いがあるんです。ただ患者様の顔をきれいにするだけじゃなくて、患者様の人生自体が幸せになってほしい。そんなモットーで患者様に接しています。
美容外科医としては、30代のうちに自分自身がプレイヤーとしてトップまで上り詰めたいと思っています。そして40代からは、次の世代や若手を育てることに注力したいですね。そのために、ゆくゆくは開業も視野に入れないといけない。次世代を育ててあげるようなクリニックを作らなきゃいけないし、日本を代表するクリニックにしなきゃいけないなと思っています。
若手医師や読者へ向けて伝えたいメッセージ ~次世代を見据えて~
―――この記事を読んでいる若手の医師に向けてメッセージをお願いします。
美容外科は、華々しいイメージが先行してしまっているところもあると思います。今は美容外科医になりたい人が増えすぎていますが、今後はやる気のある人じゃないと生き残れないフェーズに入っていくと思います。その意味でも先ほども述べたように、人の役に立って人を幸せにしたいという思いが根本にないと、美容外科医にはなれないと伝えたいです。
―――最後に、NEROの読者に向けてメッセージをお願いします。
僕はこれからも一人ひとりの患者様に真摯に向き合い、誠実な美容医療を提供していきたいと思っています。僕は担当した患者様のことを自分の家族と同じくらいに思っていて、一生付き合っていくつもりで診療にあたっています。美容医療を取れ入れることに不安や抵抗感をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、まずはしっかりお話して、安心して治療に進めるようサポートいたします。患者様の幸せな人生をお手伝いできるよう最善を尽くしますので、まずはカウンセリングにお越しいただければと思います。