斎藤クリニック 院長 斎藤 糧三先生へインタビュー。米国機能性医学会認定医である斎藤 糧三先生は、日本の機能性医学を牽引する存在です。南青山にある「斎藤クリニック」は、機能性医学に基づいた栄養療法と再生医療を融合させた治療が受けられるクリニック。ビタミンDや水素など、斎藤糧三先生が手がけたサプリを購入できる「mdストア」や日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」など、斎藤先生の枠にとらわれない活躍の秘訣に迫ります。
INDEX
ドクターズプロフィール
斎藤クリニック 院長
斎藤 糧三(さいとう りょうぞう)先生
更年期障害に悩む女性への自律神経調整療法のパイオニアとして知られる斎藤信彦(医学博士)の三男。生活習慣病や慢性病に対する治療法として、発症原因に着目して予防と根本治療を目指す『機能性医学』で日本を牽引する医師。花粉症とビタミンD欠乏の関係にいち早く着目し、健常者向けにケトジェニックダイエットを提唱した医師としても知られる。「日本機能性医学研究所」所長、「斎藤クリニック」の院長を務め、「慢性病を根本から治す『機能性医学』の考え方」(光文社新書)など多数の著書がある。
(経歴) 1998年 日本医科大学 卒業 2008年 日本機能性医学研究所 設立 2013年 一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会 設立 2017年 牧草牛専門精肉店Saito Farm オープン 2018年 ソフトウエア医療機器開発企業 株式会社ライフクエスト 設立 2021年 順天堂大学との共同研究講座 デジタルセラピューティクス講座 開設 2022年 斎藤クリニック 開設 (所属学会) 米国機能性医学(The Institute for Functional Medicine) 認定医 日本再生医療学会 会員 日本抗加齢学会 会員 |
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医師としての背景 ~父から受け継いだ次世代医療への情熱~
―――斎藤 糧三先生が次世代の医療に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。
次世代の医療に興味を持ったきっかけは、父の存在です。私の父は医学博士で、更年期障害を抱える女性にテストステロン*を投与してQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を向上させる治療を今から50年以上前に行っていました。
25年前、それを掘り下げたいと考えました。当時アンチエイジングのメッカはアメリカで、総合ホルモン補充療法がアンチエイジング医療の中心でした。勤務医でしたが休暇をとって、総合ホルモン補充療法の殿堂である米国セネジェニクスのフル研修プログラムを受けました。日本人では私が初めてだったそうです。当時は私の知識を活かせるフィールドが自費診療の美容医療しかなかったので、ボツリヌストキシン注射やヒアルロン酸注入、レーザー治療など、美容皮膚科治療を行いながら、希望者にホルモン補充療法を行っていました。
美容皮膚科治療をしながら感じていたことは、レーザー治療をすると、人によって経過が随分違うということ。ちょうどその頃に、溝口徹先生のオーソモレキュラー栄養療法*のセミナーを受講する機会がありました。そして実際に栄養を治療に取り入れてみたら、レーザー治療の効果が高まり、また経過も安定するようになりました。これをきっかけに美容内科的なアプローチを意識するようになりました。
個人的なエピソードになりますが、以前自宅で作ったカビた鴨の燻製を食べてお腹の調子が悪くなったことがありました。それをきっかけに、手足の皮疹(皮膚症状)、膝が痛くなる(関節症状)など、全身に症状が出る経験をしました。「腸に不調をきたすと全身的な疾病につながるのだ」と自分の身をもって実感。今でこそ腸活、腸脳相関などの言葉がありますが、当時、腸の再生プログラムは日本には存在しませんでした。海外の学会に参加していて、たまたま、出会った「発症原因に着目して根本治療を目指す機能性医学」が、腸の再生プログラムをもっていたので、それを勉強することにしたのです。
*テストステロン…女性の体内でも作られている男性ホルモンの一種。テストステロンの分泌が減少すると、筋力や活力の低下や不眠、心身の不調につながることがある。
*オーソモレキュラー栄養療法…ライナスポーリングにより提唱され、1960年代に精神疾患領域においてカナダで盛んになった栄養療法の学派。アメリカでは機能性医学として発展。日本では、金子雅俊氏により導入され、血液検査で栄養状態を見定め、食事とサプリメントで栄養代謝を最適化することで治療を行うアプローチとして確立。現在では日本のあらゆる診療科で応用されている。
―――斎藤 糧三先生が「日本機能性医学研究所」や「mdストア」の立ち上げを経て「斎藤クリニック」を開業した経緯を教えてください。
私はA4M(米国アンチエイジング医学会)の日本での活動をサポートしていたのですが、当時、日本では多額の受講料を払ってセミナーに参加するカルチャーがありませんでした。また、海外にはスポンサーが学会やセミナーを支えるシステムがありましたが、当時の日本にはスポンサーシステムがないために、セミナーを開いても赤字になってしまう。“日本にも医師を教育するためのエコシステム(循環するビジネスモデル)を作らないと、いくら志が高くてもダメなんだ”と痛感して2008年に立ち上げたのが、「日本機能性医学研究所」です。
そして、「日本機能性医学研究所」を作ったもう1つの目的は、機能性医学を実践するために必要となるサプリメントやメディカルフードを作ることでした。今では当たり前になりつつありますが、ビタミンDを摂取すると花粉症が劇的に改善したことは著書「サーファーに花粉症はいない」(小学館)にも書いていますが、高単位のビタミンDサプリメントを日本ではじめて製造*したのは、「日本機能性医学研究所」です(*同所調べ)。また、日本医大のご縁で、水素研究のスペシャリストである太田成男博士との水素サプリ共同開発なども実現しました。
「日本機能性医学研究所」を開設した当初はアメリカ製サプメント「メタジェニクス」の輸入代理店をしていましたが、日本未認可の原料が入っているため日本で販売できない製品もたくさんありました。そこで、一念発起して国産でサプリメントを作ることにしたのです。日本には、米国よりも優れた耐熱性のあるプロバイオティクスがあるので、腸内環境の改善に使われる治療食(メディカルフード)は、米国の既存製品よりもよいものができました。「腸内環境及び腸管バリア改善組成物」(特許番号6422061号)として特許も取得することができました。
また、アトピー性皮膚炎である私は、保湿に対して独自のこだわりを持っているので、そのこだわりを実現した基礎化粧品を販売するために「mdストア」を開設しました。
2022年に開業した南青山の「斎藤クリニック」は、「日本機能性医学研究所」で培ったサプリメントやメディカルフードを用いた栄養療法と再生医療を融合させた治療拠点です。「日本機能性医学研究所」で開発した製品は、アンチエイジングから、食物過敏症の補助治療、美容のトラブル解決、メンタル不調の改善まで、個々の方々が抱えるさまざまな問題を解決することに役立ちます。患者さんの抱える炎症が強い場合には、改善に時間がかかることもあります。そのような手ごわいケースでは、幹細胞が分泌するサイトカイン(培養上清液)の抗炎症力を借りることで、改善までの時間を大幅に短縮することができます。
*プロバイオティクス…腸内環境を改善するなどで、健康に良い影響を与える微生物。乳酸菌やビフィズス菌などがその一例。
―――先生は「斎藤クリニック」を運営する傍ら、牧草牛専門精肉店「Saito Farm」を展開されていることでも注目を集めています。医師でありながら精肉店をオープンされた理由をお聞かせください。
私が精肉店を始めたきっかけは、東日本大震災でした。福島第一原発事故当日に手持ちのガイガーカウンターで空間線量*を測ると、東京でも震災前の10倍ほどの数値が観測されました。当時、SNSで空間線量情報をシェアする取り組みは、フランスのテレビで紹介されました。放射線による遺伝子ダメージのうち20%は直接的なダメージですが、80%は活性酸素であるヒドロキシラジカル経由のダメージです。水素は高線量にさらされる宇宙飛行士の被曝対策としても有用なことがすでに知られていましたが、日本中に水素サプリを配るわけにはいきません。そこで、もし食事などのライフスタイルを改善することで、抗酸化力を増やすことができれば、放射線ダメージのうち80%は軽減できて、日本人を守れる!と考えました。
人の体は糖質制限すると、蓄えている脂肪を分解して得られる脂肪酸をエネルギーとして使いますが、脳は脂肪酸を使えないので、肝臓が脂肪酸をケトン体という物質に変換します。この状態を“ケトジェニックな状態”と呼び、体内のケトン体を増やす食事方法を“ケトジェニックダイエット”と呼びます。ちょうどその頃、このケトン体が体内の抗酸化力を著しく向上させることが論文発表されはじめたので、「これで行こう!」と思いました。放射線から身を守る機能は、一般の方には難しいので伏せて、「痩身法」として流行を仕掛けたのでした。また、ケトジェニックダイエットを実践する際には、タンパク質を多く摂取しないと、筋肉が減少したり、免疫が低下したりすることがあるので、お肉を食べながら糖質制限する「肉ダイエット」として紹介しました。中国では王様のように肉を食べてダイエットすることから「王様ダイエット」という名前で普及したそうです。ケトジェニックダイエットは、もともと小児てんかんの治療食として長い歴史がありましたが、私が「ケトジェニックダイエット」を「健常者向けの健康的な食事方法」として再定義しました。糖質を減らすだけでなく、タンパク質をしっかり摂取することまで言及しているのが大きく異なる点です。
ケトジェニックダイエットのポイントとなるのがタンパク質の摂取ですが、乳製品や卵は、食物過敏症(遅延型フードアレルギー)の人が多いことを臨床的に知っていたので、医師としてすすめられるタンパク質源は何か相応しいか?を考えました。そしてたどりついたのが、牛・豚・鳥の中で特異的な肉から牧草由来のオメガ3脂肪酸が摂取できるグラスフェッドビーフ(牧草牛)でした。。
しかし、当時牧草牛は、日本でほとんど生産されておらず、赤み肉ゆえに市場での評価もつきにくい。牧草牛の知名度をあげて、生産者がつくる牧草牛を買い支えるフラッグシップショップの必要性。また、日本人に馴染みが薄い赤み肉を美味しく調理する方法も伝える場所が必要。という事で2017年に「Saito Farm」を麻布十番にオープンさせました。私の活動は、和牛のルーツを探りながら日本での牧草牛飼育の可能性を探る、ドキュメンタリー映画「ケト・サピエンスは牧草牛の夢を見るか?」にもなりました。
ケトジェニックダイエットについては著書「糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット」(講談社)で詳しく説明しています。
*空間線量…空間における放射線の量。
*ケトン体…糖質を制限したときに、脂肪が分解されて作られる物質。脳のエネルギーになったり、体内の抗酸化力を向上させたりする性質がある。
斎藤 糧三先生の強み ~機能性医学を通じて「健康と美容の質」を向上させる~
―――斎藤先生は治療において『根本から治す』ことを大切にされています。このお考えを基軸に、美容医療についてどうお考えでしょうか。
一般的な美容医療は、当たり前ですが「見た目」に重きを置いて治療が行われ、動きや機能的な動きなどは二の次になりがちです。鼻を高くしたいのであればオペやフィラー(ヒアルロン酸)がよいと思いますが、美肌に関しては、皮膚が臓器の一つであることから、臓器・組織・細胞の若返りを行えば、「最も自然な美しさ」が得られると考えています。臓器・組織・細胞が快活であることが重要です。メンタルヘルスに関していえば、睡眠障害やうつ・不安があれば、それらの改善。妊活であれば、卵子の細胞の若返りや子宮内膜最適化。目的はそれぞれ異なりますが、ターゲットは細胞・組織・臓器なので、ほとんど同じアプローチになります。
近年はそれに加えて再生医療のコンビネーションができるようになったので、ずいぶんよい時代になったと感じています。本当のアンチエイジングができるようになりました。ただ残念ながら、現状、機能性医学の治療を受けられる施設・医師が少なく、海外からも患者さんがいらっしゃいます。
多くの方は、健康は「病気じゃない状態」と思われていますが、僕に言わせれば「みなさん、すでに病んでいます。」顕在化していないだけです。「未病」ともいわれます。そして、みなさんは、その「健在化していない病んだ状態」に慣れてしまい、「こんなもんか」と生活されています。そもそも多くの人が“自分のベストな状態”を知りませんよね。だから私は患者さんに、機能性医学と再生医療を駆使して、細胞・組織レベルでの代謝の最適化や解毒を施し、いったん、ご自身の遺伝子がプログラムされている「本来のあるべき良い状態」を体験してもらうべく治療を組み立てます。ご自身の良い状態を一度知れば、「ああ今までは調子が悪かったんだな」と、みなさん気づいてもらえます。
「知っているか?知らないか?」健康って単純で、「知の格差の際たるもの」だと考えています。
サプリメントに関しても、長く飲まないと変化しませんよね?とよく聞かれますが、しっかり見立てて処方したサプリメントなら、1、2日で体調変化が起こります。その状態を体験した上で、維持するためにコストを払うか、元に戻すか、それは患者さん次第です。
―――斎藤 糧三先生は、常に時代の流れを先取りしたお考えで数々の実績を残されてきました。現在の日本の医療に変化を感じられることはありますか?
日本でも徐々に機能性医学的な考えが広まってきたと感じます。私はこの分野で20年近くやってきたので、ようやく時代が追いついてきたという感じですね。2012年に日本抗加齢学会総会に機能性医学のセッションをいただいたのですが、当時、腸の再生の話をしましたが、参加ドクターのみなさん「ポカン」でした。
ビタミンDなどの栄養欠乏の視点、腸内環境も当たり前。遺伝子多型をみながらパーソナライズされた治療もできるようになってきた。当たり前にできたらいいなと期待されることが、当たり前にできるようになるのは歓迎すべきことです。
―――斎藤先生が今後力を入れていきたいことを教えてください。
サプリ、ホルモン療法、腸活、再生医療、牧草牛…と、ライフスタイル医学である機能性医学を実践するためのツールはずいぶん揃ってきました。ただ、手が全くつけられなかった分野があります。それは「心」の分野です。脳でのセロトニンが欠乏している人は心の切り替えが上手にできず、考えがぐるぐる堂々巡りして落ち込んだり不安になったりします。栄養アプローチでセロトニンの欠乏状態は改善でき、心の切り替えがしやすい状態になるのですが、「考え方のクセ」のようなものが形成されてしまっていると、その「クセ」は栄養では「手放すこと」ができません。「クセを手放す」ためには、ご本人にその「クセ」に「気づいてもらう」ことが先ず重要なのです。メンタル領域では栄養と心理療法が、自転車の両輪の如く大切なのです。
2018年に治療アプリを開発する会社「ライフクエスト」を立ち上げました。私の機能性医学での仕上げのような仕事だと思っています。「心」の分野で、もっとも病気に影響するのは「ストレス」です。がんや心臓血管病、糖尿病、これら生活習慣病の増悪因子は、自律神経の不調であり、これの最大原因はストレスと睡眠不足です。ストレスでイライラ、交感神経が過興奮していれば、血圧や血糖は上がり、がん細胞を駆逐するリンパ球は抑制されます。ライフクエストのアプリ開発のターゲット疾患には、認知症、依存症、がんがあります。どれも根治できる薬がまだない疾病だからこそ、アプリで疾病リスクが軽減する生活をしてもらうことで、疾病の改善を図りたいのです。
中でも、依存症にはつける薬はありません。アプリで依存症を治療できてこそ、治療アプリの役割を果たすと考えました。特にドラッグやアルコールなどの精神作用物質ではなく、ギャンブル行動に依存してしまうギャンブル依存症などはストレス解消の方法をギャンブルに見いだしているだけで、もはや勝つのが楽しくてやっているのではありあません。パチンコ屋さんで遊戯している方々を観察すると、ニコニコしてやっている人は少ない。アプリでは、ストレスを軽減するような「考え方の改修」や「活動習慣の変更」などに取り組むことで、ストレスに対処できるようになり、問題行動を取らないようになります。薬はなく、アプリで治療をするのです。そういった背景から、ギャンブル依存症アプリの完成は、ストレス改善アプリの完成ということができます。
がんが生活習慣病?と疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、マインドフルネス、食事、運動、睡眠、飲酒、肥満、これらを改善するように生活習慣を変えて取り組むことで、がんの生存率が変わります。また、患者同士がコミュニケーションすることで、がんの生存率が改善することもわかっています。これらをアプリで実行することで、がんの予防から治療、再発予防が期待できます。幸いにも「がん予防・改善アドバイス装置」(特許第7011324号)として特許も取得できたので、開発を加速させていきたいと考えています。
美容医療業界の課題と今後への期待 ~SNS時代を生きる医師としての心得~
―――斎藤 糧三先生が感じている、美容医療業界の課題についてお聞かせください。
SNSマーケティング時代において、4つの弊害を感じています。
1つめは、フィルターのかかった写真に暴露されすぎて、現実離れした目標にしたい顔が強く刷り込まれていること。
2つめは、ハイフなど語呂が良いものが、目的と性能から名称が離れ1人歩きして勝手にバズり、誰もがやってしまうこと。不適切な施術の結果「ハイフ皺」を大量に生み出すことにもなりました。
3つめは、表示アルゴリズムの特殊さから治療実績のない未熟なクリニックがたまたま集客できてしまい、治療トラブルを量産すること。
4つめは、情報過多やステルスマーケティングが増加していること。本当の口コミ情報に到達できず、インフルエンサー情報を鵜呑みにするしかなくなってしまいます。広告に関しては、広告費は治療費に転嫁されるのが世の常なので、本当はクリニックの宣伝が原則NGのフランスみたいにしたらいいのにと、時々思います。
一番腹立たしいのは、医者の倫理観、品質が落ちたことでしょうか?私は、「研修制度が変わったことで、医局制度が崩壊したことが原因」だと考えています。昔は入局すると担当の指導医が決まり、徹底的に医者のイロハを叩き込まれました。医者としての倫理観に反したことをすると、めちゃくちゃ叱られました。また、一人前になっていない医者は、絶対に独り立ちさせませんでしたね。開業なんていったら、医局員総出で止めていました。
近年は、そのような医師の品質管理というか医療のセーフネットがなくなってしまったので、街に地雷系の医師が野ざらしになり、SNSが上手で集客できちゃったりして、事故を起こす。とくに、美容やアンチエイジングの分野は、事故があると風評被害や規制強化につながるので、大変迷惑に感じています。
青木晃先生が音頭をとって発足した日本美容内科学会は、美容やアンチエイジングの分野を志したものの、大学に教室も医局もないし誰に弟子入りしたらいいかわからないという、迷える先生方の羅針盤になり、指導をして差し上げる、医局のような学会を目指したいと考えています。
―――美容医療業界が今後どのように発展すべきか、期待も込めて斎藤先生のお考えをお聞かせください。
AIやフィルターで合成されたパーフェクトな顔は、暴露し続ければいずれ飽きます。人間は飽きやすい動物なので、美容トレンドはそのうち人間らしさや、アンバランスを求めるようになるでしょう。もうなっているかも。
個人的には、自然の顔には自然な顔の美しさがあるので、やはりそれを活かしたいなと思います。もちろん作り込んだときの美しさもありますが。それに関しては、やはり施術ドクターのセンスですよね。多様な、才能を持つ人々が医者を志してもらえるように、現役の医師である我々がもっと頑張らないといけないですね。
読者や患者様へ向けて伝えたいメッセージ ~最良の主治医は患者さん本人です~
―――最後に斎藤 糧三先生から、読者や若手の医師に向けてメッセージをお願いします。
「最良の主治医は患者さん本人である」という好きな言葉があります。これは、「自分の健康は自分ごととして探究・情報収集すれば、そこらの医者よりも自分の健康に関するプロフェッショナルになれる」という意味で、これは真実です。内科分野で健康を左右するのは「知っているか?知らないか?」です。自分を知り、自分に相応しい情報を得ましょう。情報を得る先は、AIでも医師でも構いません。
医療もそれを実践する医師も、決して完璧ではありません。でも、少しずつ完璧に近づけようとする。明日はきっと良くなると思っている。人間はとても楽観的な動物で愛くるしいと感じます。人生は短いですから、良い出来事も悪い出来事も、それぞれ等価に味わいながら生きていきたいと思っています。
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【治療の内容】
ボツリヌストキシン注射
【治療期間および回数】
3~4ヶ月ごとに1回程度
【費用相場】
1本85,000円
※注入部位・注入量よって個人差があります。
【リスク・副作用等】
頭痛、注射部位の痛み、腫れ、筋肉の部分的な脱力、無感覚、内出血など
【注意事項】
・次の方は施術を受ける前に慎重な検討が必要となります。
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※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医薬品等であることについて】
・ボツリヌストキシン製剤注入の治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
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【治療の内容】
ヒアルロン酸製剤の注入
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1回
【費用相場】
1本85,000円
※使用する本数には個人差があります。
【リスク・副作用等】
赤み、内出血、腫れ、痛み、アレルギー反応、修正位置のずれなど
【注意事項】
<ヒアルロン酸>
-注入剤を使った治療を過去に受けている場合
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-未成年の場合
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クラスⅢ抗不整脈剤(アミオダロン等)/アミド型局所麻酔剤(メピバカイン、ブピバカイン等)/クラスⅠ抗不整脈薬(キニジン、リドカイン等)
<ヒアルロニダーゼ>
-妊娠中の場合
-施術部位にニキビなどの炎症がある場合
※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医療機器を用いた治療について】
・ヒアルロン酸注射およびヒアルロニダーゼ注入には、国内未承認の薬剤および薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・医薬品副作用被害救済制度について
-万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。