
男性の頻尿の原因には、さまざまなものが考えられます。この記事では、頻尿でお困りの男性に向けて、その原因や対処法、自宅でのケア方法などについてご紹介。“年齢のせいだから仕方がない”と諦めている方は必見です。症状が軽い場合には、生活習慣の見直しをはじめとしたセルフケアで改善できる可能性もあります。排尿の悩みから解放され、健やかな毎日を送れるよう、ぜひ目を通してみてください。
1.男性が頻尿になる主な原因

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男性が頻尿になる原因はさまざまです。中には、頻尿=加齢によるものというイメージをお持ちの男性がいるかもしれませんが、原因によっては10代、20代、30代といった若い世代で発症することも。ここではまず、男性が頻尿になる主な原因を解説していきます。
■膀胱の容量低下
1つ目の原因は、膀胱の容量低下。膀胱の容量低下を引き起こす主な病気は、過活動膀胱や前立腺肥大症などです。
過活動膀胱は、膀胱が敏感になる病気。尿が少ししか溜まっていないのに尿意を催したり、自分の意思とは関係なく膀胱が収縮したりすることで、トイレに行く回数が多くなります。前立腺肥大症は、前立腺が尿道を圧迫し、尿が出にくくなったり頻尿になったりといった症状を引き起こす病気。いずれも加齢が主な原因ですが、脳卒中やパーキンソン病が隠れていることもあります。
■尿路感染や炎症
尿路感染や炎症が頻尿を引き起こすケースもあります。細菌感染で膀胱炎や前立腺炎が起こると、膀胱の知覚神経を刺激することがあるためです。これにより、頻繁に尿意を感じるように。感染性のものでなくても、間質性膀胱炎や前立腺癌や膀胱癌といった病気も頻尿を引き起こす要因と考えられています。トイレが近くなった、尿が出にくくなったなど、排尿に違和感を覚える際は、早めに専門の医療機関を受診することが大切です。
■排尿障害
排尿障害は、何らかの原因で尿を膀胱に溜める機能と排尿する機能が妨げられている状態。前立腺肥大症や前立腺炎などの病気で引き起こされることもありますが、デスクワークや車の運転が長時間に及ぶ場合には注意が必要です。前立腺が圧迫、刺激されやすく、頻尿を引き起こしたり尿が出にくくなったりする可能性があります。
■尿量の増加
尿量が増えるのも、頻尿の原因です。水分を過剰に摂取する、糖尿病や腎臓病などで排尿を促す薬を服用すると、尿量が増えます。また、大量のアルコールやコーヒーの摂取も尿量を増加させる原因に。利尿作用があるため、何度もトイレへ行くことになるのです。排尿量は、飲水量と密接に関係しています。水分の多量摂取で頻尿が起きている場合は、飲み方や飲むものに気をつけるといいでしょう。
■ストレス
ストレスや不安、緊張などの心理的な要因が、頻尿に影響することもあります。膀胱や尿道、尿量に異常所見がないにもかかわらず、気になって何度もトイレに行く状態です。この場合、寝ている間は排尿のことを気にする必要がなくなるため、夜間の頻尿はほとんど見られません。しかし、日常生活に支障をきたすほど日中に尿意を催すようであれば、治療が必要になることもあります。
■ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化も、排尿機能を左右する原因。加齢に伴い、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が減少すると、尿量の制御がうまくいかなくなり、頻尿のリスクが高まるのです。
そのほか、テストステロンは勃起不全や性機能低下などの身体症状だけでなく、イライラや疲労感、意欲低下といった精神症状を引き起こす可能性も。このような男性更年期障害と診断された場合には、男性ホルモンを補う治療などが検討されることがあります。
2.男性の頻尿を改善するには?病院で受けられる対処法をチェック

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頻尿を改善するには、まず症状が起きている原因を探る必要があります。病気の可能性を調べるという意味でも、頻尿で日常生活に問題を抱えている場合は、泌尿器科への受診を検討してください。その結果、病気ではなく加齢に伴うホルモンバランスの変化が頻尿の原因になっているようであれば、美容クリニックで治療する選択肢もあります。ここでは、泌尿器科や美容クリニックでどのような治療が受けられるのかをご紹介しましょう。
■薬物療法
病気が原因で頻尿が起きている場合は、まず薬物療法が検討されます。例えば過活動膀胱であれば、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬や、膀胱を広げ尿道を縮ませるβ3作動薬などが処方されるのが一般的です。単体で服用する場合もあれば、併用することもあります。
■外科治療
薬物療法を行っても症状の改善が見られない、または合併症など他の症状、疾患が考えられる場合に検討されるのが外科治療です。前立腺の大きさや合併症の有無によっても手術内容は異なりますが、例えば前立腺肥大症によって頻尿が起きている場合は、前立腺を削り取る・くり抜く・レーザーで蒸散させるなどの治療法があります。いずれも内視鏡下で手術が行われ、開腹するケースはほとんどありません。通常は、1~2週間程度の入院で退院できます。
また、新しい治療法として、2020年4月よりボツリヌス毒素膀胱壁内注入治療が保険適用に。A型ボツリヌス毒素は、筋弛緩作用を持つことで知られている製剤。膀胱壁内に注入することで筋弛緩作用が起こり、膀胱の過剰な収縮が抑制される仕組みです。治療の対象となるのは、難治性過活動膀胱。施術時間は10~20分程度で、効果は治療後2~3日で表れるとされています。
■保存療法
高齢などの理由で外科治療が難しい方には、保存療法が選択されることがあります。尿道ステントという金属製の筒を前立腺に留置し、物理的に尿路を確保する治療法です。前立腺肥大症による排尿障害の改善に効果が見込めます。下半身麻酔もしくは局所麻酔で手術でき、出血はほとんどありません。手術時間も15~30分程度と、短時間で終了します。
■ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、加齢により減少するテストステロンを塗り薬や注射で補う治療法。テストステロンの減少が原因で頻尿が起きている場合に有用です。頻尿の改善以外にも、生活意欲の向上、性機能の回復、精神的な安定などさまざまな改善が見られる可能性があります。
効果の表れ方には個人差がありますが、早ければ1回の施術で変化を実感する方も。美容クリニックでもホルモン補充療法は提供されていますが、男性更年期障害と診断されれば、公的保険が適用になることもあります。
3.頻尿を予防する方法はある?自宅でできる3つの対策

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自宅でのセルフケアで頻尿を予防、改善したいという方に、3つの対策をお伝えします。
■膀胱訓練を行う
膀胱訓練は、自宅でできる簡単なケアの1つ。膀胱訓練とは、尿意を感じたときにすぐにトイレに行くのではなく、少し我慢することで膀胱容量を増やすトレーニングです。最初は短時間我慢することからはじめ、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきましょう。最終的に、排尿間隔が2~3時間空くことを目指します。ただし、膀胱訓練で効果が見られるかどうかは頻尿の原因にもよるので、トレーニングは医師と相談しながら行ってください。
■水分の摂取量を調整する
水分の過剰摂取で頻尿が起きている場合は、水分の摂り方を見直します。個人差はあるものの、一般的に成人が必要とする1日の水分量は約2.5Lです。ただし、そのうち約1.3Lは、食事に含まれるものや体内で作られる水分があるため、実際に摂取する量としては約1.2Lが目安となります。脱水にならないことが大前提ですが、頻尿でお悩みの方は1度水分の摂取量を見直してみるといいでしょう。
■骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋を鍛えることは、頻尿や尿失禁の予防、改善につながります。骨盤底筋とは、骨盤の底にある筋肉の総称。肛門や尿道口を動かすときに使われます。骨盤底筋トレーニングには立って行う方法や横になって行う方法など、さまざまなやり方がありますが、いずれの場合でも腹筋に力を入れないように意識しながら肛門を引き締めるのがポイント。ただし、即効性がある方法ではないため、少なくとも2~3ヶ月は継続することをおすすめします。
まとめ
男性が頻尿になる原因とその対処法についてお伝えしました。排尿は、生きている以上毎日必ず行う行為です。“さっき用を足したばかりなのに……”“尿意が気になって仕方がない”といった悩みは、健やかな日々を損なう可能性があります。デリケートな話題で相談しにくいと思うかもしれませんが、原因が分からなければ適切な対処法を見つけることはできません。重大な病気の可能性を除外するためにも、頻尿でお悩みの方はぜひ専門機関へ相談してみてください。
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