男性の更年期障害は何歳から始まる?気づきにくい症状と対策をチェック

男性の更年期障害は何歳から始まる?気づきにくい症状と対策をチェック

男性の更年期障害は何歳からだろう……と気になった方へ。女性の更年期障害と比べて取り上げられる機会が少ないため、男性更年期という言葉自体、初めて知る方もいるでしょう。今回は、女性とは異なる、男性ならではの更年期症状や予防方法についてご紹介します。更年期世代になってからも、できるだけ快適な生活が送りたい方も必見です。

1.更年期障害は男性にもあるって本当?

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株式会社メディリードが全国の20~69歳の男性5,252人を対象に行った「男性更年期障害についての実態調査」によると、男性にも更年期障害があることを知っている方は2~3人に1人、症状まで知っている方は5人に1人(※1)となりました。
男性の更年期障害について知るために、まずは男性の更年期障害はいつから始まるのか、女性の更年期障害との違いを見てみましょう。

■男性の更年期障害は何歳から?

男性が更年期の症状を自覚し始めるのは、40代後半からという方が多いようです。男性は「自分は更年期障害の可能性が何歳からあるのだろうか」、女性なら「夫も男性の更年期障害になる?何歳から注意しておいたほうが良い?」といった思いをお持ちの方は、40代後半を目安として考えておくと良いでしょう。
男性の更年期症状の原因は、加齢や男性ホルモン(テストステロン)の減少といわれています。別名「LOH(ロー)症候群(Late-Onset Hypogonadism/加齢男性性腺機能低下症候群)」とも呼ばれています。

■更年期障害における男女の違い

同じ更年期障害でも、男女で違いがあります。女性の更年期障害は閉経に伴うホルモンバランスの変化が大きく影響しており、更年期が過ぎて5年ほどで治まるのが一般的です。
一方男性の場合は、女性よりも長期間続きやすいという特徴があります。適切に治療を受けなければ、50代を過ぎても男性更年期の症状は続き、70代頃まで不調に悩まされるケースも。
女性は閉経という分かりやすいタイミングがありますが、男性の場合は男性ホルモンが20代から徐々に減っていき、更年期障害もそれに伴い徐々に進行していきます。
明確に何歳からというラインがなく、気づきにくい点も特徴でしょう。加齢によって体の機能が衰えて表れる症状なのか、更年期障害なのか区別がつきにくいのです。

2.男性の更年期障害の症状は?

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ここからは、男性の心身に表れる更年期障害の症状を、3つの視点で確認していきます。

■【男性の更年期症状】体に表れる変化

男性の更年期の症状は、まずは身体的な変化として表れます。その種類は多様で、ほてり・のぼせ・多汗・動悸・息切れなど女性の更年期と似た症状が多くあります。頭痛や腰痛など痛みを伴う症状、手足のこわばりやしびれといった日常動作に支障が出やすい症状が表れる場合も。
男性ホルモンのテストステロンは筋肉や骨を作る働きをするため、分泌量が少なくなると、それまで体型が気にならなかった男性でもお腹が出た肥満体型になることがあります。

■【男性の更年期症状】心に表れる変化

精神面にもさまざまな更年期の症状が表れてきます。気難しくなったり、落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなる方もいます。記憶力・集中力が低下して、生活や仕事におけるイライラにつながってしまうケースも少なくありません。
男性の場合、更年期の症状を仕事によるストレスや不調と思い込んでしまう方もいるので、注意が必要です。また、ホルモンバランスの悪化によって自律神経が乱れ、不安や寂しさを感じたり、くよくよしやすくなったりする場合も。「これまで明るくポジティブが取り柄だったのに」という方は、更年期障害の可能性を考えてみましょう。

■【男性の更年期症状】性機能に表れる変化

男性更年期の症状には、性的機能の低下も挙げられます。性欲や勃起力が減少したり、性的満足感が減ってしまったりというのは、よくある症状です。
これらの症状は男性ホルモンのテストステロンが少なくなることに起因するといわれていますが、心理的な要因も加わります。場合によってはパートナーとの関係に影響を与える可能性があるため、悩む場合は治療の開始を検討してみましょう。

■更年期と似た症状に注意!

更年期の症状にある気分の落ち込みは、じつはうつ病だったというパターンも。憂うつ・無気力などのうつ症状が表れると、更年期障害かうつ病か区別がつきにくいため、症状が重い場合は医師の診断を受けましょう。
メタボリックシンドロームをはじめ、生活習慣病が原因の症状という可能性もあります。男性ホルモンの減少や自律神経の乱れは、更年期だけでなく生活習慣病などにもつながるため、注意が必要です。

■早期発見が大切!男性更年期障害セルフチェック

男性の更年期障害が大体何歳から始まるといった目安はあるものの、症状の種類や程度は一人ひとり異なります。
症状をセルフチェックできる「AMSスコア(※2)」で更年期の症状・程度を確認してみましょう。各項目の合計点で更年期症状の程度が分かります。症状が認められる場合は早めに受診して相談することで、生活の質の維持や治療の選択肢を広げることにつながります。

【AMSスコア】

なし 軽度 中等度 重い 非常に重い
総合的に調子が思わしくない 1 2 3 4 5
関節や筋肉の痛み 1 2 3 4 5
ひどい発汗 1 2 3 4 5
睡眠の悩み(眠れない、眠りが浅い等) 1 2 3 4 5
よく眠くなる、しばしば疲れを感じる 1 2 3 4 5
いらいらする 1 2 3 4 5
神経質になった 1 2 3 4 5
不安感(パニック状態になる) 1 2 3 4 5
からだの疲労や行動力の減退 1 2 3 4 5
筋力の低下 1 2 3 4 5
憂うつな気分 1 2 3 4 5
「絶頂期は過ぎた」と感じる 1 2 3 4 5
力尽きた、どん底にいると感じる 1 2 3 4 5
ひげの伸びが遅くなった 1 2 3 4 5
性的能力の衰え 1 2 3 4 5
早朝勃起(朝立ち)の回数の減少 1 2 3 4 5
性欲の低下 1 2 3 4 5

<合計点数>
17~26点:更年期症状なし
27~36点:軽度
37~49点:中程度
50点以上:重度

3.もしかしたら男性更年期かも……治療方法は?

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ご自身が男性の更年期障害に該当すると思ったら、何歳からでも早めに治療を検討しましょう。ここでは症状の重さに分け、治療方法をご紹介します。

■症状が軽い場合は「生活改善」「薬物療法」

男性更年期障害の治療は、症状が軽い場合は「生活習慣の改善」が第一となります。現在の生活を振り返り、改められる部分から直していきましょう。病院・クリニックでの治療としては、症状を緩和させるために漢方薬を用いたり、ED治療薬や抗うつ剤など症状に応じた薬を使ったりする「薬物療法」があります。

■症状が重い場合は「ホルモン補充療法」

症状が重い場合は、注射やクリームによって男性ホルモンのテストステロンを補う「男性ホルモン補充療法」を採用するのが一般的です。注射の場合は2~4週間ごとに筋肉注射を行い、症状を確認しながら治療を進めます。男性ホルモン補充療法は、副作用などのリスクを伴います。
市販品のホルモン剤もありますが、検査や医師の診断がない状態での使用は大変危険です。まずは医師に相談しましょう。

4.男性の更年期障害は予防できる?

男性の更年期障害は、原因の1つとして加齢が考えられるため、完全に予防することは難しいでしょう。しかし、男性ホルモンの分泌を維持したり促したりすることはできます。

■栄養バランスのとれた食事

バランスの良い食事は、更年期障害に限らず大切です。とくに、玉ねぎや長ネギ、にんにく、イワシなどの食品は男性ホルモンの分泌を促してくれます。男性更年期に効く食べ物とされているので、積極的に食卓に取り入れてみましょう。
また、男性更年期障害の症状のうち、憂うつな症状の予防にはバナナを食べると良いとされています。バナナは小腹が空いたときやおやつなどで手軽に食べられるので、こちらも意識して摂ると良いでしょう。

■十分な睡眠・休養とストレス発散

眠っている間はリラックスして副交感神経が優位になり、男性ホルモンが分泌されやすくなります。十分な睡眠を取り、男性ホルモンのテストステロンの分泌を促しましょう。一方、ストレスは男性ホルモン減少を加速させてしまいます。趣味の時間を取るなど、定期的にストレスを発散してため込まないようにするのが大切です。

■適度な運動習慣

適度な運動によって筋肉を使うと男性ホルモンが増えるだけでなく、ストレス発散にもなります。肥満は男性ホルモンの減少を招いてしまうため、運動によって適正体重をキープすることも意識しましょう。週に1度は体を動かす時間を設けたり、毎日短時間でも運動を習慣にしてみたり、いろいろな方法にトライすると良いでしょう。

まとめ

男性の更年期障害は何歳からという明確な決まりはありませんが、40代後半を目安として予防策を取り入れることが大切です。規則正しい生活や運動習慣は、更年期障害にかかわらず健康的な生活を送るためにも意識することが大切です。女性の場合は、自分自身の更年期障害について知識はあっても、男性の更年期障害についてはあまり知らなかった方もいるはず。大体何歳からパートナーに変化が表れる可能性があるかを知っておくことも、円満な生活に重要です。この機会に、男性更年期について2人で話し合ってみてはいかがでしょうか。

【参考】
※1 株式会社メディリード「男性更年期障害の実態調査」

※2 日本泌尿器学会/日本 Men’s Health 医学会 「LOH 症候群診療ガイドライン」検討 ワーキング委員会「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」

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