
肌質改善を求めて美肌治療を選択するとき、「レーザーでシミも毛穴もニキビ痕もまとめてきれいに!」と思っていませんか?
しかし、実際にレーザーや高周波RF(ラジオ波)などのデバイス治療を試してみて、「効果がなかった」「肌荒れが悪化した」という声は少なくありません。
実はこれ、美容医療初心者が陥りやすい落とし穴。
そこでこの記事では、デバイス治療でありがちな失敗の理由と、美肌治療の効果を最大化するポイントを解説します。
【ちょっと待った!】“とりあえずレーザー”が効果を出さない理由
「シミやくすみにはレーザー」「毛穴やニキビ痕にはニードルRF」など、美肌治療にはさまざまな医療用デバイスが用いられています。
しかし、それぞれの機器が持つ「特性」や「適応」、さらには医師の「治療戦略」まで、正しく理解している方はどれほどいるでしょうか。
本来、レーザーなどのデバイス治療は「誰にでも」「いつでも」使えるものではなく、患者個人の肌質や現在の肌状態に適応して初めて、効果を発揮する治療手段です。
例えば、炎症性ニキビが進行中の肌や、肝斑が目立つ肌、あるいは乾燥によってバリア機能が低下している肌では、まずは症状を鎮静化させたり、保湿やバリア機能の改善治療を優先的に行う必要があります。
大切なのは、「レーザーをあてれば今ある肌トラブルが治る」のではなく、「現在の肌の土台を適切に整え、その上でデバイス機器を活用して美肌を目指していく」という順序。
肌に負担の少ない道筋を立て、段階的に治療をステップアップしていくことが、遠回りのようで実は近道となる美肌治療のルートなのです。
【肌質改善に必要な4ステップ】土台からの整え方
健やかな肌は、うるおいが保たれており、キメが整っている状態。
デバイス治療の効果を最大限に生かすには、その前段階として守りの治療にも力を入れておくことがポイントです。
ここからは、肌の土台を整えるための4ステップをご紹介します。
■ステップ1.スキンケアの見直し
肌質改善において、最初に見直すべきはスキンケアです。
肌のバリア機能を担う角質層は、わずかラップ1枚分ほどの薄さといわれておりとても敏感。間違った洗顔や保湿の刺激で簡単に傷ついてしまい、土台が崩れることで乾燥や赤みが気になる肌質に変化しやすくなります。
この状態でレーザー治療などを行うと、炎症後色素沈着(PIH)や赤みが残るリスクが高くなったり、さらなるバリア機能の低下を誘発し、予想外の肌トラブルが起きやすくなるため注意が必要です。
こうした肌トラブルを防ぐためには、正しいスキンケアを理解することが重要。
もし、肌質改善を目指して攻めのスキンケア(レチノール、ビタミンC、ピーリング、針コスメなど)を積極的に使っているなら、肌質に合っているのか今一度自問を。万が一しみるなどの感覚があれば、シンプルな保湿スキンケアに立ち戻ってみることも大切です。
バリア機能を強化する成分としては、セラミド、ヒアルロン酸、ナイアシンアミドなどがおすすめ。
しかし、スキンケアには万人に共通する正解がありません。季節、年齢、ライフスタイルのほか、「普通肌・脂性肌・乾燥肌・混合肌」といった肌タイプも考慮しながら、自分に合ったスキンケアを探っていきましょう。
■ステップ2.内服治療(飲み薬)
美肌治療は、外的なアプローチだけでなく体内からのサポートも不可欠です。
とくに、肝斑や炎症が目立つ肌では、まずは内服薬や外用薬を組み合わせ治療が基本となります。
美容皮膚科で処方される内服薬は、医薬品であるため有効成分の含有量が多く、サプリメントなどの市販品よりも高い効果が期待できることが特徴です。
よく処方される美容内服薬は、メラニン生成を抑える作用がある「トラネキサム酸」や、ターンオーバーを促す「L-システイン」、抗酸化作用でダメージから守るビタミンC、ビタミンEなど。
これらの内服薬は、シミやくすみの予防・改善、ニキビ痕の軽減などに効果を発揮します。
さらに、肌トラブルの背景にはホルモンバランスの乱れや栄養不足など、体内環境の不調が隠れていることも。
そうした場合には、美容漢方による体質改善を提案するクリニックもあります。
内服薬・漢方薬のいずれも即効性を期待するものではなく、継続的な服用を通じて根本から肌質を整えていくという心がけが大切です。
▼美容漢方についてはこちら
■ステップ3.外用治療(塗り薬)
ステップ1のスキンケアは、肌の清潔やうるおいを保ち、バリア機能を高めることを目的としていました。一方、外用薬は肌トラブルの治療や予防を目的とした医薬品であり、有効成分を塗布してアプローチをしていきます。
中でも王道なのが、トレチノインとハイドロキノンの組み合わせ。トレチノインはターンオーバーを促進し、今ある色素を排出。ハイドロキノンはメラニンの生成を抑え、新しい色素の生成を予防します。
シミや肝斑の治療によく用いられますが、ニキビ痕や皮脂トラブルといったお悩みにも対応し、効率的な肌質改善を目指せることも魅力です。
ただし、トレチノインはA反応と呼ばれる赤みや皮むけなどの副反応が出る可能性があり、ハイドロキノンも長期使用によって白斑を誘発する恐れがあります。
そのため、医師の管理下で治療を進めることが重要です。
また、敏感肌の方にはナイアシンアミドやアゼライン酸など、マイルドながらも美白効果のある成分が処方されるケースもあります。肌質や治療歴に応じて、適切な薬の選択が求められます。
■ステップ4.デバイス治療
肌状態が整った段階で、ようやくレーザー・IPL・フラクショナルレーザー・RF(高周波)などのデバイス治療の出番です。
これらの機器は、肌の土台である真皮層に働きかけて肌質改善を促します。
しかし、適切にケアされていない肌の場合、コラーゲンやエスラチンの生成能力に影響を与え、十分な効果を得るまでに時間がかかることも。
施術前の肌状態が安定していれば治療効果が出やすいだけでなく、赤みや腫れなどの炎症が抑えられ、ダウンタイムの短縮や副反応のリスク低減につながるという見解もあります。
上述したように、デバイス治療は肌の状態や照射の強さによって、炎症や色素沈着のリスクを伴う治療方法です。
施術後のアフターケアももちろん重要ですが、治療の効果をより引き出すためには、施術前からの地道な肌作りが鍵になります。
また、ステップ1~4と並行して、1年を通した紫外線対策も欠かせません。
治療中・治療後の肌を守るためにも、保湿と紫外線予防は徹底しましょう。
【肌診断から始める最適解】AI分析とドクターの診断・診察の重要性

出典:株式会社インテグラル
近年では、VISIAをはじめとする肌診断機の進化により、毛穴の開きや赤みの分布、シミの深さなどを「見える化」できるようになりました。
客観的な数値をもとに肌状態を初期段階で把握できるため、治療の道筋が見えやすくなったことも美肌への近道といえるでしょう。
しかし、肌診断機の結果はあくまでデータ。
肌質改善において、生活習慣や体質、ストレス、ホルモンバランスの影響など、数値に表れない情報を読み解き、適切な治療方法を導くには、医師の知識と経験が不可欠です。
ここまで肌質改善のステップをご紹介しましたが、スキンケア1つとっても自分の肌タイプや適切な製品選びを自己判断で進めるのは難しいもの。
本気で肌質改善に取り組むのなら、まずは一度美容クリニックを受診して、段階的な治療計画を立てることが理想とする美しい肌への第一歩です。
▼肌診断機についてはこちらもチェック
まとめ
「肌質を改善したい」と思ったとき、つい効果が高そうなデバイス治療を選びがち。しかし、肌状態を見極めずにいきなりデバイス治療を行うと、かえって悪化や効果の不足を招く可能性があります。
美肌を叶えるためには、高性能な医療機器に頼る前に「土台を整える」ことが近道。
この記事ではスキンケアの見直しから美容医療で行う治療を4ステップで解説しましたが、まずは肌診断機や医師の診察を受けて、自分の肌状態を正確に把握することから始めてみましょう。
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