シミ取り治療には、PIH(炎症後色素沈着)のリスクが潜んでいることをご存知ですか?「シミを消したい」という思いで受けたはずのシミ取り治療。しかし、レーザーをあてたその先に、“色素のリバウンド”が待っているのです。
このメカニズムを理解して、適切な対策をしなければ、元のシミ以上に厄介な存在になる可能性も。そこでこの記事では、PIHの正体を解説するとともに、シミ取り施術別の予防法や、PIHを発症したときの対処法をお届けします。
PIH(炎症後色素沈着)とは?シミとの違い

■PIHとシミは似て非なるもの
一般的に、加齢や紫外線ダメージによる「老人性色素斑」を「シミ」と呼ぶことが多いでしょう。ほかにも、ホルモンバランスが影響する「肝斑」や、遺伝的要因が考えられる「そばかす」など、シミの種類はさまざまです。
一方で、PIH(炎症後色素沈着)は、皮膚に炎症が起こり、赤みがひいた後に茶色い色素が出てくる現象を指します。レーザーでシミが剥がれたのに、しばらくすると再び濃くなるような症状も、PIHといって良いでしょう。
PIHは、発症しても時間の経過とともに自然に消えることが特徴ですが、中には数ヶ月~1年続いたり、消えないシミに移行したりする可能性もあります。
■PIHの発生メカニズム

PIHが発生するメカニズムは、肌に炎症が起きたときに、色素をつくる細胞「メラノサイト」が過剰に反応し、メラニン色素を大量に生産することが原因です。
本来、肌はターンオーバーによって、古い角質や余分なメラニンを自然に外へ排出しています。そのため、通常はメラニンが生成されても、時間とともに剥がれてなくなるのが特徴です。
しかし、何らかの理由でターンオーバーが乱れたり、炎症が強かったりすると、メラニンの排出が間に合わなくなります。その結果、メラニンが皮膚の中にとどまり、表皮上に「シミのような色素斑」として表れるのです。
レーザー、ピーリングといった治療による刺激だけでなく、強い炎症を伴うニキビなども、PIHへの警戒が必要です。
■PIHになりやすい人とは?
まずは、以下の項目をチェックしてみましょう。1つでも当てはまる方は、PIHリスクが高めかもしれません。
<PIHセルフチェックリスト>
□日焼けをするときは赤くならずに黒くなる
□敏感肌や乾燥肌で刺激に反応しやすい
□ニキビ痕が残りやすい
□ターンオーバーの乱れを感じる
□ホルモンバランスの変化(生理不順・更年期など)を感じる
□紫外線対策をおろそかにしがち
PIHになりやすい人の目安としてよくいわれるのが、「日焼けしたときに赤くならず、すぐ黒くなる」という傾向。これは、赤くなる人のほうがメラニン生成が穏やかで、色素沈着が起きにくいと考えられるためです。
また、敏感肌や乾燥肌の人は炎症反応が強く出やすいため、PIHにつながりやすいと考えられます。ターンオーバーが乱れる30代以降の方、ホルモンの影響で肌がゆらぎやすい女性も同様に、刺激や炎症を受けやすい状態といえるでしょう。
PIHは、肌が強いと自覚している方でも油断はできません。日ごろの紫外線対策や、スキンケアが不十分であれば、発症リスクは高まります。
【施術別】PIHを防ぐために知っておきたいリスクと対策

レーザーやIPL(光)治療、ピーリングなどの施術は、シミやくすみを改善する代表的な治療方法です。いずれも、施術前の備え次第で、PIHへのリスクが大きく変わります。中でも、注意すべきは出力の強さや施術後のアフターケア。
ここからは、施術別の主なPIHリスクや、対策についてご紹介します。
| 施術名 | 施術の特徴 | 主なPIHリスク要因 |
| Qスイッチレーザー | 高出力エネルギーでメラニンを破壊 | 熱ダメージによる炎症反応 |
| ピコスポット | ピコ秒単位の衝撃波でメラニンを破壊 | 繰り返しの施術による刺激の蓄積 |
| ピコトーニング | 弱い出力でメラニンを少しずつ分解 | 繰り返しの施術でバリア機能が低下 |
| IPL(光) | 広範囲に光を照射してメラニンを分解 | 出力の強さによっては熱ダメージによる炎症反応が起きる |
| 炭酸ガスレーザー あるいは ピコフラクショナルレーザー |
肌に微細な穴を開け皮膚の再生を促す | 熱ダメージによる炎症反応や、ダウンタイム中の刺激による回復力低下 |
| ケミカルピーリング | 薬剤で角質を除去し、肌のターンオーバーを促進 | 繰り返しの施術でバリア機能が低下 |
▼シミ取り治療の比較はこちら
■スポット系シミ取りレーザーのPIHリスク
Qスイッチレーザーは、高出力の熱でメラニンを破壊する施術です。シミを取る能力が高い反面、皮膚に与える刺激も大きく、PIHが起こるリスクが高くなります。ただし、施術後の適切なケアで、リスクを抑えることも可能です。
ピコレーザーは、メラニンを衝撃波で破壊する施術のため、皮膚への負担が少なく、PIHのリスクが低いといわれています。基本的に、繰り返し施術することでシミをなくす治療ですが、過剰な施術は炎症を引き起こすきっかけとなり、ピコレーザーであってもPIHにつながることがあります。
■マイルドな刺激=安心ではない。広範囲系施術が与える影響
シミ取り治療の中には、IPL(光治療)のような、PIHのリスクが低いといわれる施術もあります。しかし、IPLはレーザーより刺激が穏やかとされる一方で、高出力で照射された場合には、やけどに近い炎症を生じ、PIHのリスクを高めてしまうことも。
また、ピコトーニングや、フラクショナルレーザー、ケミカルピーリングといった施術にも注意が必要。過剰に行うと肌のバリア機能が低下し、かえってPIH(炎症後色素沈着)を引き起こすリスクが高まります。とくに、フラクショナルレーザーは肌に微細な損傷を与えて肌の再生を促すため、術後の回復力がPIHの予防に大きく関わります。
■ダウンタイムがある施術ほどPIHリスクが高いのか?
上述した治療の中でも、Qスイッチレーザーやフラクショナルレーザーのようなアグレッシブな治療は、PIHリスクを抑えるために避けたいと思われるかもしれません。
しかし、PIHは炎症が長引くほど発生しやすいため、ダウンタイムの有無に関わらず、施術後のアフターケアを徹底することが予防のコツです。
多くのクリニックでは、刺激が強い施術をした後はアイスパックによる冷却や、保湿剤・抗炎症薬を塗布するなど、炎症を抑えるケアを施してくれます。ですが、PIHを防ぐためには、ご自身でも紫外線対策や保湿ケアをこまめに行い、先手先手の対策を打つことが重要です。
PIHになってしまったら?悪化させずに治す方法

近年は、シミ取り治療が手軽に受けられるようになりましたが、PIHのリスクをしっかり説明し、炎症ケアまで含めて対応してくれるクリニックを選ぶことが重要です。万が一PIHが起きた場合に備えて、治療後の段階ごとの対処法も知っておきましょう。
■炎症期(施術後~1ヶ月)
施術後は、炎症を悪化させないことが大切です。PIHリスクが高い場合、トラネキサム酸・ビタミンC・ビタミンEなどの内服薬や、ステロイドなど抗炎症作用のある外用薬が処方されます。
PIHを完全に封じ込めるわけではありませんが、ここで健やかな肌状態を保ち、炎症に対抗することが悪化させないコツです。セルフケアでは、強い摩擦や熱いお風呂などを避け、紫外線対策を徹底しましょう。
■定着期(1〜6ヶ月)
PIHが浮き出てきたら、できるだけ早く薄くする対策が求められます。外用薬のハイドロキノンやトレチノインでターンオーバーを促し、メラニン色素の排出をサポートしましょう。あわせて、L-システイン・グルタチオン・トラネキサム酸といった美白効果のある内服薬で、内側からもケアすると効果的です。
炎症が収まっていれば、この時期にピーリングやレーザートーニングやIPL(フォトフェイシャル)を照射することで回復が早まるケースもあります。ただし、やり方次第で症状を悪化させる可能性もあるため、医師とよく相談しながら慎重な判断が必要です。
■慢性化したPIH(半年以上)
半年以上PIHが改善しない場合は、シミとして定着している可能性があります。この段階では、ハイドロキノンなどの外用薬や、レーザーでの治療が必要になることも。
ただし、PIHと思っていたら実は肝斑だったというケースも多く、治療法を間違えると悪化することもあります。自己判断での見極めは難しいため、シミ治療に詳しいクリニックでの診断をおすすめします。
また、PIHが治りにくい背景には、間違ったスキンケアによる乾燥や、生活習慣の乱れ、栄養不足などがあるかもしれません。紫外線対策や保湿の徹底、睡眠の質改善、食事の見直し、禁煙など、肌のターンオーバーを整える生活を意識しましょう。
まとめ
シミ取り治療の効果を最大限受け取るには、PIHのリスクを正しく理解することが大切です。PIHは一時的なものですが、長引くことでシミが定着することもあります。施術の種類によってリスク要因が異なるため、自分に合った施術選びと、術後の徹底したケアが何よりも大事です。
万が一発症しても、早め早めの対策で回復を早められる可能性があります。「PIHかな?」と思ったら、丁寧な肌のケアを心がけながら、正しい対処法を取り入れていきましょう。
この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事
| ・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。 ・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。 ・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。 |
【施術の内容】 Qスイッチルビーレーザー
【施術期間および回数の目安】通常1~2回程度 ※状態によって異なります。
【費用相場】1cm×1cmあたり 約¥10,000~¥30,000 ※治療箇所によって個人差があります。 各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】赤み、腫れ、痛み、痒み、熱感、熱傷、色素沈着、色素変化、水疱形成など
【未承認機器に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医療機器を使用する場合があります。
・施術に用いる医療機器は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一性能を有する他の国内承認医療機器は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。
【施術の内容】炭酸ガス(CO2)レーザー
【施術期間および回数の目安】
・スポット照射:1~3回程度
・フラクショナル照射:1~3ヶ月に1回、3~5回程度
※施術期間や回数等はクリニックごとに異なります。
【費用相場】
・スポット照射:1個約¥4,000~¥20,000
・フラクショナル照射:1回約¥30,000~¥100,000
【リスク・副作用等】水疱、びらん、赤み、炎症後色素沈着、ほくろの再発、内出血など
【未承認機器・医薬品に関する注意事項について】
・本施術には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる施術が含まれます。
・施術に用いる医薬品および医療機器は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【施術の内容】ピコレーザー
【施術期間および回数の目安】
・ピコスポット:1回
・ピコトーニング:2~4週間に1回、3~10回程度
・ピコフラクショナル:3~4週間に1回、3~10回程度 ※状態によって異なります。
【費用相場】
・ピコスポット: 1回 約¥5,000~¥40,000
・ピコトーニング: 1回 約 ¥10,000~ ¥50,000
・ピコフラクショナル:1回 約 ¥20,000~ ¥50,000
※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】赤み、やけど、色素沈着、色素脱失、水泡形成など
【未承認機器に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医療機器を使用する場合があります。
・施術に用いる医療機器は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一性能を有する他の国内承認医療機器は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。
【施術の内容】レーザートーニング
【施術期間および回数の目安】1週間ごとに5~6回程度 ※状態によって異なります。
【費用相場】¥10,000~¥20,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】赤み、色素沈着、瘢痕形成、色素脱失など
【未承認機器に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医療機器を使用する場合があります。
・施術に用いる医療機器は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一性能を有する他の国内承認医療機器は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。
【施術の内容】IPL(光治療)
【施術期間および回数の目安】約3~4週間に1回、3~10回程度 ※状態によって異なります。
【費用相場】¥10,000〜¥30,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】赤み、痛み、色素沈着、浮腫、皮膚の損傷、シミやほくろが一時的に濃くなるなど
【未承認機器に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医療機器を使用する場合があります。
・施術に用いる医療機器は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一性能を有する他の国内承認医療機器は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。
【施術の内容】ケミカルピーリング
【施術期間および回数の目安】2~4週間ごとに複数回 ※状態によって異なります。
【費用相場】 ¥5,000~¥15,000 程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。
【リスク・副作用等】痛み、赤み、皮むけ、乾燥、肌荒れなど
【未承認医薬品に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医薬品を使用する場合があります。
・施術に用いる医薬品は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分を有する他の国内承認医薬品は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。



