妊娠線がかゆいときのケア方法や注意点をご説明します。多くの妊婦さんが経験する妊娠線のかゆみ。「できれば避けたい」と思う人は少なくないでしょう。今回は、妊娠中のかゆみの原因や、妊娠線ができやすい部位・人を詳しく解説。また、予防のポイントなどもご説明します。妊娠線のかゆみでお悩みの人は、ぜひ予防やケアにお役立てください。
1.かゆいのは妊娠線のせい?考えられる原因とは
妊婦さんが皮膚のかゆみを感じたときに注目したいのが、症状が現れた時期や部位、湿疹の有無です。かゆみが生じたタイミングが妊娠初期なのか妊娠後期なのかによって、トラブルの原因は異なります。また「妊娠線かも」と思っても、じんましんのようなブツブツができている場合は、別の炎症が原因である可能性が高いでしょう。まずは、考えられる原因をご紹介します。
■【可能性1】妊娠性掻痒・妊娠性痒疹
妊娠性掻痒(にんしんせいそうよう)とは、妊娠中に乾燥などで肌がかゆくなること。妊娠初期にあたる3~4ヶ月頃から現れるのが特徴で、かゆみはあるものの湿疹を伴わない状態を指します。一方で、背中・胸・お腹・太ももといった箇所にできるかゆみを伴う湿疹を、妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)といいます。妊娠性痒疹も、比較的早い時期から見られるのが特徴です。妊娠性掻痒、妊娠性痒疹は、どちらも出産すると治まります。
■【可能性2】多形妊娠疹(妊娠性掻痒性蕁麻疹様丘疹)
妊娠性掻痒性蕁麻疹様丘疹(にんしんせいそうようせいじんましんようきゅうしん)は、お腹を中心に強いかゆみを伴うじんましんのような丘疹や紅斑が出現します。発疹が出るのは主に妊娠後期で、出産を終えるとすぐに治まります。初めての妊娠に多いのが特徴です。
妊娠性掻痒・妊娠性痒疹・妊娠性掻痒性蕁麻疹様丘疹の治療としては、ステロイド剤のクリームや抗ヒスタミン薬などが用いられます。
■【可能性3】妊娠線(肉割れ)
妊娠線(肉割れ)ができる原因は、大きく分けて2つあります。1つ目は、ホルモンの影響により真皮の弾力が乏しくなっているためです。また、お腹や乳房などが短期間で大きくなることも原因の1つです。伸びにくくなっているにもかかわらず急激な体重・体型変化により皮膚が引っ張られるため、真皮や皮下組織が断裂してしまうのです。
妊娠線(肉割れ)は出血することはないですが、傷であることに変わりありません。かさぶたができたときと同様に、かゆみが出現します。妊娠の影響で、皮膚全体が薄くなっているだけでなく、水分を保つ真皮が断裂してしまっているため、刺激に敏感でかゆくなりやすいのです。
妊娠中に皮膚がかゆい場合は、妊娠線(肉割れ)以外の炎症が原因のこともあります。異常を察知したら皮膚科などで相談してみましょう。
2.妊娠線についてもっと深堀り!かゆいと感じ始める時期や部位は?
ここからは、妊娠線がかゆいと感じ始める時期や部位、産後の経過などをさらに詳しく見ていきましょう。妊娠線ができやすい人の特徴もご紹介しているので、自分が当てはまるのかどうかチェックしてみてください。
■妊娠線がかゆい!できやすい時期は?
妊娠線ができやすいのは、お腹が急激に大きくなり始める妊娠5ヶ月以降です。基本的にはお腹が大きくなるにつれて皮膚が伸びていきますが、真皮・皮下組織は伸びが悪いため断裂が起こりやすくなっています。
できたばかりの妊娠線は、赤紫色をしています。線状で目立つためショックを受ける人も少なくないでしょう。産後は白っぽい線になり目立ちにくくなりますが、完全には消えないケースがほとんどです。
■妊娠線がかゆい!できやすい部位は?
妊娠線が最もできやすいのが、赤ちゃんの成長に伴って大きくなるお腹です。また、出産に向けて脂肪がつきやすい太ももからお尻、乳腺の発達により変化する乳房なども、妊娠線ができやすいといえます。
ただし、妊娠線がどこにどの程度できるかは人により異なります。体重・体型が変化するスピードには個人差があるため、完全に予想するのは難しいでしょう。
■妊娠線がかゆい!できやすい人は?
妊娠線ができる部位や程度を、あらかじめ知ることはできません。しかし、できやすい人はある程度分かっているため、リスクが高いかどうかは判断できるでしょう。妊娠線のリスクが高い人の特徴は以下のとおりです。
【妊娠線ができやすい人】
- やせ型&小柄な人
- 多胎妊娠の人
- 皮下脂肪が多い人
- 乾燥肌の人
- 高齢出産の人
- 経産婦
やせ型・小柄な人は、お腹の皮膚がより大きく引き伸ばされるため、妊娠線ができやすいといえます。同じ理由で、多胎妊娠の人もリスクが高いでしょう。また、2回目以降の妊娠も、皮膚や子宮が伸びやすくなっていることから、お腹が大きくなるスピードが速く妊娠線ができる傾向にあります。
他には、もともと肥満気味の人も注意が必要です。皮下脂肪には弾力性がないため、体型が変わることで断裂が起こりやすくなっています。さらに、皮膚の柔軟性が低くなりやすい乾燥肌の人、高齢出産の人も予防ケアを重視しましょう。
妊娠線予防としては、急激な体重増加を避けることが重要です。急に体重が増加すると皮下脂肪も増えて、皮膚の伸びが追いつかなくなります。妊娠後期になると食欲が増す人も多いため、栄養バランスの良い食事と適切な体重増加を意識しましょう。
3.妊娠線がかゆいときのNG行動
妊娠線がかゆいときに、自己流で対処するのはおすすめできません。場合によっては、かゆみが悪化してしまう可能性もあるからです。妊娠線がかゆいときに避けるべき行動をご紹介します。
■【妊娠線がかゆいときのNG行動1】かきむしる
妊娠線がかゆいと思っても、かきむしるのは避けましょう。かいてしまうと、皮膚が荒れてバリア機能が低下してしまいます。さらにかゆくなる悪循環に陥ってしまうため、できるだけ触らないようにしましょう。あまりにかゆいときは、冷やすのも1つの手です。水で濡らしたタオルなどを肌にあてがえば、かゆみが落ち着きやすくなります。ただし、妊娠中の冷えは禁物です。体が冷えてしまわないように、あくまでも一時的な対処として取り入れるのが良いでしょう。
■【妊娠線がかゆいときのNG行動2】刺激の強いボディーソープで洗う
妊娠線がかゆいからといって、洗浄力の強いボディーソープで洗うのはNGです。理由は、皮膚が乾燥してかゆみが悪化するため。また、熱いお湯で洗うことも皮膚の乾燥につながります。温度に配慮しつつ、マイルドな洗浄力のボディーソープで優しく洗うことが大切です。
4.妊娠線がかゆいときのケア・対処法
最後に、妊娠線がかゆいときにおすすめのケア・対処法をチェックしていきましょう。適切にケアができれば妊娠線の予防にもつながるため、参考にしてください。
■【妊娠線がかゆいときの対処法1】クリームなどで保湿する
妊娠線は、皮膚が乾燥するとできやすくなります。しっかり保湿して皮膚の柔軟性を保ちましょう。保湿は、乾燥によるかゆみにも有効です。保湿成分が入った妊娠線専用のクリームを用いて、早い時期からケアしていきましょう。
■【妊娠線がかゆいときの対処法2】優しくマッサージする
保湿の際に優しくマッサージすることも、妊娠線予防に効果的です。ただし、強い刺激を与えると、かいているのと同じ状態になってしまうことがあります。皮膚に負担をかけないように注意しながらマッサージしましょう。優しくなでるように行えば、予防にもケアにも役立ちます。
■【妊娠線がかゆいときの対処法3】肌への刺激が少ない下着・衣類を選ぶ
妊娠中は肌がデリケートなので、刺激になりやすい下着・衣類は避けるのがベターです。下着・衣類の素材が原因で、妊娠線のかゆみが悪化してしまうケースもあるでしょう。綿などの刺激が少ない素材でできた、ゆったりとしたものを身につけることが大切です。
まとめ
妊娠中のかゆみは、多くの妊婦さんが経験するといわれています。「妊娠線かも」「かゆい」と思ったときは、湿疹がないかなど皮膚の様子をよく観察しましょう。妊娠線ができてしまった場合は、美容医療の力で改善することもできます。しかし、まずはできないように予防やケアをすることが重要です。体重管理や保湿ケアをしっかりと行い、妊娠中の皮膚のトラブルを少しでも減らしましょう。
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