
膣圧は目で見て分かるものではないため、自身でゆるい膣・締まる膣なのか判断することは難しいもの。
本記事では膣圧を数値化する「膣圧測定」について深掘りし、男女が抱える性器のサイズ問題、締まりが性感にどう影響するのかを解説します。
ゆるみを自力で改善する方法や、膣圧アップのための切らない美容医療3選もご紹介しますので、女性の健康課題の解決・ナイトライフ充実のための方法を知りたい方はチェックしてください。
1.膣圧とは?医学的に見る『締まる膣』の基準
膣圧とは、骨盤の底にある筋肉「骨盤底筋」の収縮によって膣内にかかる圧力のことを指します。
骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように伸びて、子宮や直腸などの骨盤内の臓器を支える筋肉。
骨盤底筋の力は加齢や運動不足のほか、出産によって引き伸ばされたり断裂したりすることで低下し、膣のゆるみにつながるのです。
▽尿漏れ・性交時の満足度低下…膣圧の変化で起こる症状とは
■膣圧はどうやって測定するの?
婦人科や美容クリニックに導入されている機器「膣圧測定器」を用いることで、医学的な膣圧の数値を知ることができます。
膣圧測定器とは、付属している圧力計を膣内に挿入し、力を入れたり抜いたりすることで膣内の圧力と持続時間を計測する機器。
測定後に表示された数値と基準値を照らし合わせて「この数字であれば、基準値内だから大丈夫」もしくは「基準値より下回っているから、何らかの対策が必要」という判断が行えます。
基準値より下回っていた場合は、医師の診察によって原因や膣のどの部分がゆるいのかを分析し、適切なケア方法・治療を提案してもらうことが可能です。
膣圧の平均値は?締まりが良い膣の数値
膣圧の数値は、「mmHg」という単位で膣圧測定器に表示されます。気になる膣圧の平均値は15~25mmHgといわれており、運動習慣がある人は数値が高い傾向です。数値ごとの膣の圧迫感は以下のとおり。
- 10 mmHG以下 かなりゆるんでいる
- 10~20mmHG 少し物足りない圧迫感
- 20~30mmHG 通常の圧迫感
- 30~40mmHG 少し締まりが強い圧迫感
- 30mmHG以上 かなり締まりが強い圧迫感
膣のゆるみは、性交時の満足感に影響するだけではありません。
膣のゆるみを放置すると骨盤内の臓器が下がっていき、更年期以降に「骨盤臓器脱」が起こる原因になります。
骨盤臓器脱は、骨盤内にある子宮や膀胱などの臓器が下がって外に出てきてしまう症状。健康に大きな影響を及ぼすため、日頃からの膣圧ケアが大切です。
▽市販の膣圧測定器の正確性は?くわしくはこちらをチェック
■膣トレーニングによる膣圧向上の可能性
セルフケアで膣圧を改善する方法として「膣トレ」があります。
膣トレは、骨盤の底にハンモックのように伸びて、子宮や直腸などの骨盤内の臓器を支えている筋肉「骨盤底筋」を鍛えるトレーニング。
一定期間継続することで膣圧が向上し、7割程度の女性に尿漏れなどの悩み解消の効果が見込めるという報告もあります。
骨盤底筋トレーニングの方法は最後の項でご紹介しますので、チェックしてくださいね。
2.男性が求める膣圧とサイズの相性問題
セックスの相性は、精神的な相性のほか肌や匂いの心地よさ、求める頻度や回数など、さまざまな要素に影響を受けており、人それぞれの感覚で判断されるもの。
その中でも“性器同士の物理的な相性”が合うかどうかは、挿入時の快感に大きく関わるため、気になる男女が多いようです。
ここからは、性器のサイズの相性は存在するのか、膣圧を高めた場合、男性の快感にどう影響するのかを解説します。
■男女の性器のサイズが性感に与える影響…フィット感を高めるコツとは
女性の膣の平均的な深さは通常時で7〜10cm・幅2.5〜5cm程度。性交時や出産時には伸び広がることが特徴です。
一方、男性のペニスの勃起時の平均的なサイズは、長さ13cm前後・直径3.5cm程度、そして挿入時には長さと直径が伸縮します。
このように男女とも性器に柔軟性があるため、サイズや形の適合性を気にしすぎる必要はないとされています。
いわば、挿入後はお互いが気持ち良くなれる仕組みになっているといえますが、「なんだかしっくりこない…」「フィット感が良くない」といった感覚に陥るケースはあるもの。
その場合、男性側が挿入後10秒程度は動かさないでいることで、膣内のうるおいが高まり、性器同士がなじみやすくなるといわれています。
“なじませる時間”を設けることで、男性側のサイズが小さめの場合は密着感がアップし、大きめの場合は性交痛予防の効果が期待できるため、お互いのサイズ感の相性に悩むカップルは一度試してみてくださいね。
■膣圧が高すぎるとどうなる?快感とのバランス
膣の締まりがゆるい場合、性交時の満足度が低下する原因となりますが、逆に膣圧が高すぎると満足度も高まるのでしょうか。
結論からお伝えすると、膣圧が高く締める力が強すぎる場合、男性側は快感よりも“痛み”を感じてしまいます。性行為の継続が難しくなり、女性側の不満足にもつながるでしょう。
そのため最も快感を得やすい膣圧は、ゆるすぎず高すぎない、通常の膣圧だといわれています。
3.医学的に見た膣圧ケアと改善できる美容医療

出典:photoAC
年齢を重ねたり出産を経験したりすると、筋力が落ちていくように膣周辺の筋力も衰えていきます。
また、加齢とともに膣内のヒダがなくなっていくことも膣圧低下の原因に…。
本項では、トレーニングによって膣圧アップを目指す方法・そして美容医療で膣のエイジングケアを図り、ゆるみ改善を目指す方法を解説します。
■手軽に膣圧アップが目指したい方におすすめの“膣トレ”
1項目目でも触れましたが、“膣の締まり”に関係する筋肉に「骨盤底筋」があります。
セックスの満足度低下のほか、尿漏れや頻尿に悩まされるのも骨盤底筋が衰え、尿道を締めづらくなっていくため。
しかし「骨盤底筋トレーニング」で、通常の筋肉と同じように鍛えることが可能です。
毎日コツコツと続けることで2~3ヶ月後に効果が現れ始めるといわれているので、セルフケアで膣圧アップを目指す方はぜひ習慣にしてみてください。
〈骨盤底筋トレーニングのやり方〉
STEP 1 息を吸いながら、尿を我慢するように膣や肛門を締めましょう STEP 2 そのまま2~3秒間キープした後、息を吐きながらゆるめます STEP 3 STEP 1~2の動きを1日5回・3セット行う |
▽さらにくわしい膣トレの方法はこちらをチェック!
■即効性を求めるなら“婦人科美容”に頼ってみて
忙しくて膣トレを習慣化できない・運動が苦手…という方は、婦人科美容メニューを提供するクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
婦人科美容は膣に関するデリケートな悩みに対し専門知識を持つ医師によるアドバイスを受けられ、症状に合った治療を提案してもらえることから近年患者が増加中の分野。
ここでは、膣圧アップに効果的な“切らない”3つのメニューをご紹介します。
膣ハイフ│超音波エネルギーで膣内の弾力アップを
膣内にハンドピースを挿入し、膣粘膜下から筋層へ超音波エネルギーを照射する治療です。
60~70℃の熱刺激によって膣周辺の組織に軽いダメージを与え、新たなコラーゲン産生を促進。
施術後、約3週間~1年にわたりコラーゲンが増えていくことで、膣の弾力アップ・ゆるみ改善効果がもたらされます。
効果の持続期間は約1年とされ、1年に1~2回程度の施術を推奨するクリニックが多くみられます。
膣高周波│RF(ラジオ波)で膣のゆるみ改善
膣の内側にRF(ラジオ波)を照射する治療。照射した部位にある水分に反応して、内側から粘膜を温める機能があります。
熱刺激を受けることにより、膣周辺組織のコラーゲン産生が増強され、膣の弾力アップ・ゆるみ改善効果が見込めるという仕組み。
膣ハイフと同様に約3週間~1年の間、効果維持が期待でき1年に1回程度の間隔で継続することを推奨するクリニックが多くみられます。
膣フィラー注入│ヒアルロン酸によって膣のハリ向上
ボリュームアップ効果をもたらすヒアルロン酸を、膣壁に直接注入する治療。ゆるんだ膣内をふっくらと肉厚にしてゆるみを改善する効果が期待できます。
膣入口のほか、Gスポットへの注入も可能としているクリニックもあり、さらなる感度アップのために取り入れることも可能。
また、ヒアルロン酸には皮膚のうるおいを高める効果もあるため、膣の乾燥やヒリヒリ感に悩む方にも適しています。
効果の持続期間は約半年~2年といわれており、効果がなくなる前に再注入が必要です。
いずれの治療も手軽に膣の締まりを手に入れることができ、施術中・施術後とも痛みが少なくダウンタイムがとれない方も受けやすいことが特徴。
安心・安全に高い効果を得るためにも、実績豊富で性にまつわる悩みを気軽に打ち明けられる医師に相談してみると良いでしょう。
また、自宅での膣トレ・膣ケアを組み合わせることで、治療の効果を高める作用が期待できます。
膣内に挿入して使用する膣トレグッズや、デリケートゾーン専用の保湿クリームといったフェムテックグッズもチェックしてみてくださいね。
▽婦人科美容クリニック選びで重視したい3つのポイントとは?
■性感向上のための男女の意識改革と正しい知識

出典:photoAC
ここまで女性の膣圧アップに関する情報をお伝えしてきましたが、セックスは1人ではできないからこそ、男女ともに性感向上を目指して取り組むことが大切。
とくに加齢による体の変化が起こりがちなミドルエイジは、挿入にこだわらず前戯にたっぷりと時間をかけて快感を得ることを意識してみてはいかがでしょうか。
膣の痛みや乾燥がある場合は少しずつゆっくりと挿入すること、勃起状態を維持しにくくなっている場合は「中折れ」が起こっても焦らずに前戯に戻るなど、互いの反応をみながら楽しんでみてください。
体の変化や負担を伝え、相互理解を図ることが性感向上への近道です。
▽男女の性感帯の違いとは?気になる方はこちらをチェック
まとめ
女性の健康とナイトライフの満足感に大きな影響を与えている膣圧の変化。お湯漏れや性交時の感度低下などによってゆるみに気づきつつも、放置している方も多いのではないでしょうか?
現代では膣圧を数値化する膣圧測定や、メスを使わずに膣の締まり改善を図れる治療があり、体の変化を前向きに乗り越える女性が増えています。
デリケートゾーンの悩みを語ることがタブーではなくなった今だからこそ、自分の体に関心を持ち、気になることはクリニックに気軽に相談してみてくださいね。
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