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筋肉増強を目指してトレーニングをしている中で「もっと効率的に筋肉を増やす方法はないのか?」と疑問を感じたことはないでしょうか。そこで今回は、効率良く筋肉増強するための美容医療的なアプローチや、効果が出やすい筋トレのポイントを解説します。忙しくてトレーニングの時間が取れない方も、ぜひこの記事を参考にして円滑に筋肉増強を進めてください。
1.筋肉増強のメカニズム
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出典:photoAC
まずは、筋肉が増えるメカニズムについて解説します。筋肥大と筋力向上の違いを理解し、それぞれの目的に合ったトレーニングをすることが大切です。
■筋肥大と筋力向上の違い
筋肥大とは、筋肉の量自体を増やすことです。対して、筋力向上とは、発揮できる力を増やすこと。ボディビルやフィジークなど見た目を重視する場合のほか、アメリカンフットボールやラグビーを含めた激しくぶつかり合うスポーツにおいて体を守るといったケースでは、筋肉を肥大させることが多いでしょう。
そもそも、筋力を向上させるには、基本的には筋肉の量を多くすることが必要です。ただし、過度に筋肉を増やすだけだと、関節の可動域を狭めることや体重が重くなるといったことにつながり、パフォーマンスを最大限発揮できなくなる可能性も。体重が軽い方が有利な競技をしている場合は、体を重くしないで筋力を向上させることが大切です。
■筋肉が増えるメカニズムとは
筋肉は物理的な負荷、いわゆるストレスへの適応反応で増えます。というのも筋肉は、「適度に使えば発達するものの使わなければ萎縮する」「酷使すると障害を起こす」という生物学の法則に基づいて機能しているためです。つまり、筋トレで一時的に体力が落ちても、休息や栄養の摂取によって筋肉が回復。結果、運動をする前よりも筋肉量が増加するのです。
適度に筋肉を使うための筋トレは、過負荷性、可逆性、特異性の三大原則に沿って行うことが大切です。過負荷性とは、筋肉に限界を感じるほどの負荷を与えること。可逆性は、筋トレによる負荷への適応反応が常に起こるよう、継続する必要があるということです。最後の特異性は、筋力増強したい部位に応じた適切なメニューを立案することが重要だという意味を持っています。
2.効率良く筋肉増強するには?
適度な負荷を与え続けることが筋肉増強につながることは分かったものの、できれば短期間で効率良く筋肉増強したいと思うものです。ここからは、美容医療、トレーニング、それぞれの効率的な方法についてご紹介します。
■美容医療的なアプローチ
まずお伝えしておきたいのが、筋肉増強のためのステロイド使用についてです。筋肉を肥大させる効果的な方法として、筋トレとステロイドの併用を推奨するような情報を見かけたことはないでしょうか。とくに普及しているのは、アナボリックステロイドという筋肉増強剤。心疾患や肝機能障害、ムーンフェイスなどを引き起こし、顔や体に不調をきたすといった副作用の報告があるため、使用に対する注意喚起がスポーツ庁の公式サイトに記載されています。そもそも、日本では筋肉増強剤で薬事承認されている医薬品は存在しません。偽造品や不良品を個人輸入してしまい、健康被害に遭うというリスクも考えられます。ステロイドに関しては、安易に使用しないことが大切です。
そこで美容医療面からおすすめするアプローチとしては、ホルモン補充療法(HRT)・ペプチド療法・オーソモレキュラー栄養療法があります。詳しくは後ほどご紹介しますが、さまざまな方法があるので、目的や筋肉増強したい場所によって適切な方法を医師に相談してみると良いでしょう。
■目的に合ったトレーニング
効率的に筋肉増強するには、目指す姿に合わせた効率の良いトレーニングが大切です。筋肥大を目指すなら、中強度の負荷をかけてある程度の回数をこなすのがおすすめ。筋力増強を目指すなら、強高度の負荷設定×少ない回数が効果的です。筋肉を大きくしたいのか、筋力を向上させたいのか、目的によって負荷のかけ方や反復回数が異なるため、トレーナーに相談してみましょう。
3.美容医療による筋肉増強のためのアプローチとは?
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ここからは、筋肉増強のための美容医療的アプローチについて解説します。アナボリックステロイドなど、個人の判断で筋肉増強剤を使用するのは大変危険です。クリニックで筋肉増強の目的を伝え、効果が期待できる適切な治療を受けましょう。
■ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、ホルモンを補充して適正な値に近づけることで、病気や老化を予防できるという理論に基づいた治療法です。ホルモン補充療法で使用するホルモンには、化学合成ホルモンという体内のホルモンに似せて合成された人工ホルモンと、ナチュラルホルモンと呼ばれる体内で生成されるホルモンと化学構造が同じものがあります。ナチュラルホルモンのほうが、体への負担が少なく、副作用が少ないといわれています。補充するホルモンの中でも、筋力増強効果が期待できるとされているのは「テストステロン」や「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」。症例によって、外用薬(クリーム)や内服用のカプセルが処方されます。
■ペプチド療法
ペプチド療法は、体内で自然に産生されるペプチドを補給して筋肉増強を目指す治療法です。体内で作られている成分のため、副作用がほとんどありません。ペプチド療法では、皮下注射や内服などを用いてアプローチします。治療ではまず、血液や唾液で不足しているペプチドを特定。検査結果に基づいて適切な種類のペプチドを補充します。筋肉増強目的でよく処方されるのは「LGD-4033(リガンドロール)」という内服カプセルです。手軽に始められる治療法ですが、服用中に気になる症状が出現したら外来を受診しましょう。
■オーソモレキュラー栄養療法
オーソモレキュラー栄養療法は、血液と尿の検査で欠如している栄養素を把握して、食事をサポートする治療法です。担当医から、専門的な食事指導や栄養補助食品の提案が受けられます。中でもタンパク質と炭水化物は、筋肉増強に欠かせない栄養素です。加えて、ビタミンB群やビタミンDも筋肉増強をサポートする重要な栄養素。どの成分も欠かすことなく、バランスよく食事やサプリメントで摂取できるよう、一人ひとりに合わせたサポートを受けられるのが、オーソモレキュラー栄養療法です。
4.筋トレで効率良く筋肉増強するためのポイント
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ここからは、筋トレの効果アップが期待できるポイントを解説します。
■筋肉増強のための食事とプロテイン
筋肉増強のために、筋トレと同じくらい大切な食事とプロテイン摂取。しかし、何も考えずにただ摂取するだけでは不十分です。効果的な時間帯があるので、意識してみると良いでしょう。
まず、筋トレをする前には、体内で作られない必須アミノ酸や筋肉を成長させる糖質を摂取。食事は筋トレ前・筋トレ後の両方で摂るのがおすすめです。空腹時のトレーニングを避け、運動終了後は筋肉を修復させるためにしっかり栄養補給しましょう。
筋トレ後の筋肉は傷ついた状態です。筋肉を修復させるために必要なプロテイン摂取のタイミングは、運動を終えてから30~45分経過するまで。筋肉へのアミノ酸輸送量は、筋トレ後45分までは3倍にアップするといわれているので、それまでに摂取できるのが理想的です。
■筋トレの効果がアップしやすいおすすめの時間帯と頻度
仕事などの隙間時間に筋トレをする方も多いかもしれませんが、時間が自由に選べるなら筋トレは午後がおすすめ。なぜなら、筋肉・肺活量など体の機能は午後から少しずつ上がって、夕方ごろにピークを迎えるためです。また、筋肉は筋トレ後2~3日で修復されるので、ストイックに毎日励むよりも1週間に3~4日程度で行うほうが効率的に筋肉増強できます。
■トレーニングの負荷設定
筋肥大を目指すなら、中強度の負荷をかけるのがおすすめ。中強度とは、約6~12回で限界を迎えるくらいの負荷です。腕立て伏せや腹筋では負荷が軽すぎるため、1セットごとにウエイトを持ち上げられないくらいの負荷をかけるようにしましょう。ピンポイントで筋肥大させたい部分がある場合は、1つの関節だけを動かす単関節種目(アイソレーション種目)が適しています。
筋力増強を目指すなら、約3~5回で限界を迎える強高度の負荷設定が効果的。また、トレーニングは、複数の関節を動かして行う多関節種目(コンパウンド種目)が向いています。
まとめ
筋力増強を目指していても、筋肉がつきにくいタイプだったり、忙しくて満足に筋トレの時間が取れなかったりすることもあるでしょう。そのようなときは、筋力増強をサポートするために美容医療を活用するのも、ひとつの方法です。効率良く筋肉増強できる筋トレと、美容医療的アプローチで、短期間で理想の体を手に入れましょう。
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