お薬手帳ならぬ「肌管理ツール」?「美容医療の治療履歴」をまとめておくことの重要性とは?

お薬手帳ならぬ「肌管理ツール」?「美容医療の治療履歴」をまとめておくことの重要性とは?

美容医療の治療履歴を管理することが、より効果的な治療やスムーズな美容ケアにつながることをご存知ですか?この記事では、お薬手帳に代わる「肌管理ツール」の重要性について探ります。美容クリニックで受けた治療の履歴をしっかりとまとめることで、トラブルの予防や効果的な治療プランの立案が可能に。美容医療の治療履歴を管理する意義と、その具体的な方法について詳しく解説します。

肌管理ツールの基本とメリット

肌管理ツールとは?

出典:photoAC

肌管理ツールは、自分で肌状態を管理する手段の1つです。自分の肌状態を具体的に記録しておくことで、今必要なスキンケアや治療方法を効率良く知ることができます。ダイアリー形式で記録しておけば、後で見返して変化をリアルタイムで追跡することも可能。
とくに美容医療では、複数の治療を組み合わせたクリニックオリジナルの肌育メニューなどが提供されており、肌管理は任せっきりという方も多いのではないでしょうか。しかし、治療後の効果や副作用といった経過を見るためにも、自分で記録を残しておくことが大切です。肌診断など、現在の肌状態が分かるツールは多くありますが、美容医療に特化した個人用ツールはまだ発展途上と言えます。ノートや手帳といった紙媒体か、スマホのアルバム やアプリなどの電子媒体を使って、個人でこまめに記録を残していきましょう。

【PICK UPコラム】
肌管理ツールを活用するなら「お薬手帳」を参考に!

八重洲形成外科・美容皮膚科院長の原かや先生は、自身のインスタグラムにて、美容医療が広まる中、患者の治療履歴が1箇所にまとまっていないことが問題だと話します。かかりつけのクリニックがあり、かつ将来的にそのクリニックにしか通わないという人はカルテ管理だけでも十分かもしれません。しかし、多くの人は治療の目新しさや、口コミ、治療費の安さなどで、いろいろなクリニックを試しているのではないでしょうか。クリニックを変えるということは、その都度新しいドクターに自分の肌を任せるということ。もし抱えている肌トラブルが過去の治療歴に由来する可能性があっても、履歴が残っていなければ原因を探ることができません。かや先生は、とくに近年の注入系治療の流行を見て、クリニックオリジナルのカクテル注入製剤やカスタマイズ治療が増えてきているにも関わらず、何を注入されたか分からない人が数多くいることも指摘しています 。治療を受ける前に、その治療を行う目的や製剤に含まれている成分をしっかり聞いて、自分で管理することが求められます。現在の肌状態をドクターに正確に伝えるためにも、従来からある「お薬手帳」を参考に、肌管理ツールを活用していきましょう

参考元: 八重洲形成外科・美容皮膚科 原かや先生(@dr.kaya_kay

美容医療の効果を最大化するために

肌管理ツールは美容医療の効果を最大化するのにも重要な役割を果たします。まずは、美容医療の効果を高めるポイントをご覧ください。

<美容医療の効果を最大化するためのポイント>

  • ドクターの技術力の高さ
  • 肌状態にマッチした治療を選択する
  • 継続回数や治療の組み合わせを守る
  • 効果のピークを予測する
  • 適切なアフターケアを行う

美容医療の治療には、回数を重ねることで効果が出やすくなるものや、異なる施術を同時に組み合わせて効果が大きくなるもの、施術から1ヶ月後に効果のピークを迎えるものなどがあります。また、治療後はセルフケアにも力を入れることが大切です。

上記のポイントから見ても、ドクターの技術力の高さ以外は、自分でも把握できることが分かるでしょうか。肌管理ツールに治療履歴を残しておけば、今の自分が選ぶべき治療を取捨選択しやすく、またアフターケアについても足りないケアを知るための参考になります。効果のピークを予測したり、ダウンタイムがある治療を受けたりする際も、スケジュールを立てやすくなるでしょう。

つまり、記録をつけることで美容医療と向き合い、クリニックに任せきりではなく、効果がある治療なのか?と自分で考えることができます。もちろん自己判断で治療を決めるのはNGですが、現在の肌状態・治療履歴をもとにした相談をするだけでも「お金のムダ」を回避し、治療の恩恵を最大限享受することにつながるはずです。

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NERO特製★肌管理ツールの使い方と具体例

肌管理ツールをこれから活用していきたい方へ。NEROが独自に肌管理シートを作成しました。治療を受ける際はシートをコピペして、手帳やスマホに記録として残してみてください。肌管理シートの具体例と解説を併せてご紹介します。

治療履歴の記録方法

【肌管理テンプレート】
施術日:
クリニック名:
先生:
部位・悩み:
施術名:
使用機器・薬剤:メモ:
【使用例1】
施術日:○月○日
クリニック名:△△美容クリニック
先生:××先生
部位・悩み:頬のシミ
施術名:ピコスポット
使用機器・薬剤:ピコシュアメモ: 濃いシミから一つずつとっていく計画。
経過:施術中~施術後しばらくやや痛みあり。
2日目は痛みなし、濃くなってきた。
7日目ぽろぽろ剥がれてきた。保湿しても乾燥を感じる。

解説:レーザーなど、マシンを使う施術はマシンの種類やショット数まで分かるとベストです。レーザーの場合、種類によって波長の深さや照射範囲が異なるためです。メモにはなぜその治療を医師が選択したのかなどを記録し、経過には肌状態や痛みなど、気になった点を記録していきましょう。

【使用例2】
施術日:○月○日
クリニック名:□□美容クリニック
先生:××先生
部位・悩み:おでこと目元のシワ
施術名:□□美容クリニックオリジナル注射
使用機器・薬剤:リジュラン+ボトックス+メモ:乾燥によるシワと診断。
元気がなかったため、オリジナル注射を勧められる。
この薬はしこりになるリスクは低いとのこと。
経過:施術当日からツヤ感がでてきた。

解説:注入治療を行う際は、配合されている成分に要注意。とくにクリニックオリジナルの注入製剤は、「使用機器・薬剤」の欄に、具体的な成分を記載しておきましょう。配合成分がクリニックのホームページに記載していない場合、何が入っているのか治療を受ける前に聞くことが大切です。

【PICK UPコラム】
おすすめのアプリとその機能/iphone基本機能でもアルバムを編集はマスト美容医療の記録に特化したアプリなら「美レコ」がおすすめ。クリニック名や先生を記録できるほか、技術、接客、仕上がりを星5評価でつけられます。また、痛み・腫れ・傷跡を4段階のボタンで直感的に残せ、満足度や気分といった個人的な感想も残せるのが魅力。何より、画像編集機能が充実している点がうれしいポイント!前回撮影した写真と重ねながら現在の写真を撮れるため微妙な顔の角度まで調節できたり、画像を日にちで並べてビフォーアフターを作成できたりと、自分用の記録はもちろん、画像編集の手間なく経過をシェアすることも可能です。自由に書き込めるメモ機能もついているため、施術の具体的な内容も残せます。

<iphoneの画像フォルダにダイレクトに残す方法>特別なアプリを使わずより手軽に記録に残すなら、iphoneの画像フォルダを利用するという手も。写真の「編集」から右上のペンマークをタップし、「マークアップ」に進むと画面下部に文字入れツールが出現します。ツール右端の「+」を押せば、テキストを追加することも可能!テキストで治療内容を残したり、手書きマーカーで施術部位を囲んだり、自由度の高い編集ができます。アルバムに「美容治療フォルダ」を作成して写真を入れていけば、ほかの写真に埋もれることなく時系列で見返すことも可能。企業が運営するアプリは便利な半面、サービス終了となる可能性がないとも言い切れません。貴重なデータの紛失を防ぐためにも、iphoneユーザーの方はぜひこの機能も活用してみてください。

肌状態の変化を追跡する重要性

美容クリニックでの治療は基本的に自由診療となるため、使用される医療機器や薬剤には厚生省から承認を受けていないものが存在します。また、国外の各機関で認証された治療方法であっても、過去にトラブルが報告された事例がいくつもあります。治療方法はドクターの方針によってさまざまで、効果やリスクも患者ごとに個人差があるものです。
治療後の経過が良ければ問題ありませんが、万が一トラブルが起こった際は、医師も想定外のトラブルだったのか、そもそも適した治療が行われていなかったのか、原因を探っていかなければいけません。美容医療はトラブルを未然に防ぐことも大切ですが、トラブルが起こったときにどう対応するかも重要です。肌管理ツールは自分の肌を守るという意味でも、美容医療には欠かせない存在と言えるでしょう。

美容医療と肌管理ツールの未来

出典:photoAC

ITの世界では現状、「美レコ」以外に目立った治療履歴用の肌管理ツールは登場していません。今後ますます発展が予想される美容医療業界で、肌管理がどのように成長していくのか、今と未来を見ていきましょう。

最新技術を活用した肌管理

肌管理の1つに、肌診断ツールがあります。従来の肌診断はアンケート型が主流でしたが、昨今はAI技術が搭載されたツールやマイクロスコープが主流になっており、画像などから現在の肌状態を数値化して確認可能に。スマホカメラで撮影した写真から診断できるサービスも多く輩出されており、必要なスキンケアや治療方法をより手軽に、客観的に知ることができる時代になりました。
中でも医療用肌診断器のVISIAなら、より正確な解析結果を得られ、シミ・シワ予備軍など目に見えない部分まで分かるため予防治療にも有効です。肌状態を数値で追うことで、これまで見た目や自分の感覚でしか判断できなかった治療後の効果も分かりやすく、治療の計画や見直しも以前より行いやすくなっています。

肌管理ツールの進化と展望

2023年11月に米国形成外科学会が発表したレポートでは、AIが肌状態に適したレーザー治療を提案したり、注射や簡単な施術をロボットがこなしたりする未来が近いと言われています。現に、2024年7月には、AIがフィラー注入の精度を上げ、合併所のリスクを減らす可能性があることを美容皮膚科の専門医学誌が報告していました。しかし、個人差がある美しさの判別や、治療の安全性をAIが完全に把握するには、まだ不安要素が残るとも言われています。

今後、肌管理ツールが普及し、記録した治療の経過やトラブルがビッグデータに加われば、より精度の高い治療プランやシミュレーションが可能となるでしょう。さらに、今までにない新しい美容サービスも生まれるかもしれません。NEROでは個人の「肌管理」を推奨するとともに、美容医療の治療履歴が、業界の発展に良い影響をもたらすのではないかと期待しています。

参考元:The future of beauty: How the introduction of artificial intelligence is shaping the landscape of plastic surgery

まとめ

美容医療はきれいへの近道ですが、中には不明瞭な治療を行うクリニックもないとは言い切れません。肌管理ツールの活用は、自分の理想とする肌を目指すモチベーションとなり、また美容医療におけるトラブルから肌を守ることにもつながります。今から行う治療が本当に自分にとって必要なのか、また納得できる薬や機械が使われているのか、しっかりチェックして自衛していきましょう。

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