
2024年、歯科医院の倒産・廃業が過去最多を記録した。虫歯患者の減少、経営者の高齢化、コスト高騰――これまでの「治療中心型モデル」ではもはや通用しない時代が来た。
一方で、予防型や異業種融合の「新しい歯科」が台頭しはじめている。
歯科業界に訪れる構造変化と、生き残りをかけた進化の現在地を追った。
INDEX
1. 治療中心モデルの限界 ― 倒産・廃業が過去最多
2024年、全国の歯科医院における倒産件数は過去最多の25件、休廃業・解散は138件に達した。
特に注目すべきは、廃業医院の経営者の平均年齢が約70歳であること。後継者不足に加え、経営の高齢化が拍車をかけている。
加えて、全国に6万7,000軒ある歯科医院の数はコンビニよりも多い。一方で、虫歯の発生率は低下傾向にあり、「患者が減っているのに医院は増え続けた」という構造的な歪みが限界を迎えた格好だ。
2. 異業種融合型へ ― アニマルセラピーやフィットネス導入も
こうした環境下で、一部の歯科医院はユニークなサービスによって生き残りを模索している。
例えば、子どもの不安を和らげるアニマルセラピーの導入や、トレーニングジムと併設することで“通いたくなる歯科”を目指す動きなどが見られる。
これは単なる話題づくりではなく、「歯の治療」から「身体全体の健康管理」へとスコープを広げた、歯科の再定義と言える。
3. 予防こそが“再建モデル” ― ストック型ビジネスの台頭
従来の治療中心型では、症状が改善すれば患者との関係は終わってしまう。
一方、定期的な予防メンテナンスを軸にすれば、患者と長期的な関係を築ける。これは歯科医療をストック型ビジネスへと転換させる仕組みだ。
実際、予防に特化した歯科医院ではリピート率が90%を超える例もあり、保険制度の適用範囲拡大もこの潮流を後押ししている。
4. 経営意識の欠如が倒産を招く
経営者の中には「もう辞めたい」「治療だけしていたい」と本音を漏らす声も多い。
だが、スタッフマネジメント・組織文化・集患導線など、経営的視点を持たない医院は業績悪化のリスクが高い。
高額治療に偏るあまり、患者ニーズや地域性と乖離する医院も少なくない。
いま求められているのは「歯科医師」ではなく「経営者としての自覚」なのかもしれない。
3本柱で見る業界の課題とは?
1. 治療から健康インフラへ
虫歯予防が進んだ結果、治療だけでは医院経営が成り立たない。これからの歯科は、健康寿命を支える「地域のヘルスケアステーション」としての役割を担うべきだ。
2. 経営なき医院の末路
患者不在・ビジョン不在の歯科医院が、淘汰の波に飲まれている。
経営者が夢を持ち、従業員のやりがいを創出できる医院だけが生き残る。
3. ストック型モデルで再建可能
予防・訪問・メンテナンスに軸足を置けば、継続的な収益モデルが構築できる。歯科衛生士の活用もカギだ。
参考文献
▼以下、参考内容/
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