
腸内環境と美容医療の関係性は、年々注目度が増しています。
近年の研究では、腸内フローラのバランスが肌質や代謝、免疫機能に深く関わっていることが明らかになり、美容クリニックでも「内側からの美」をサポートする腸活プログラムなどが発展。
そこで今回は、美容と腸活の関係性について深堀りするとともに、2025年トレンドの腸活美肌治療やダイエット治療をご紹介します。
1.腸内環境と美肌・痩身の関係とは?
■腸活が美容医療でも注目される理由
これまで、腸活=お通じの悩み対策として捉えられてきましたが、近年では腸活がもたらす影響は心と体全体に及ぶといわれています。
最近の研究では、腸内細菌の中に太りやすくさせる肥満菌や、痩せやすくする痩せ菌、エイジングケアにも働きかける短鎖脂肪酸やエクオールなど、腸内細菌が肌状態や健康状態を左右する一因となっているのではないか、ということが明らかになってきました。
腸内環境を改善すると、肌質改善やダイエット効果を向上させるだけでなく、免疫力強化、ストレス軽減も期待できるのだとか。
「腸活」によるアプローチが、美容と健康を維持するためのさまざまな治療に応用できるのではないかと、美容業界でも注目を浴びています。
■「腸活」が美肌とダイエットに影響する仕組み
腸は「第二の脳」とも呼ばれており、腸内には1000種類、1000兆以上もの腸内細菌が存在しています。
その様子をお花畑に例えて「腸内フローラ」と言い、腸内細菌は「悪玉菌」「善玉菌」、そして悪玉菌が増えると悪い作用に加担する「日和見菌」の3種類から成り立っています。
このうち、肌荒れやダイエットの大敵になるのが「悪玉菌」。
悪玉菌が増殖すると「毒素」が生成され、腸から血液を通して体内を循環し、細胞に悪影響を与えることで、乾燥やくすみ、ニキビなどさまざまな肌トラブルが現れると考えられています。
さらに、悪玉菌は食事から摂取した栄養素の吸収を阻害するため、栄養になれなかった物質は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積され、むくみや太る原因の1つに。
美容施術を受けても肌質の変化があまり感じられない方や、食事制限をがんばっているのに痩せないという方は、もしかしたら腸内環境が原因かもしれません。
■腸内フローラを整えよう
善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは「2:1:7」とされています。
腸内フローラのバランスが崩れる理由としては、偏った食事や運動不足、睡眠不足などの生活習慣が主な原因。
腸内細菌の種類は約3歳までに決まるため、善玉菌の恩恵を受けるには腸内フローラを改善していくことが大切です。
ここで、「悪玉菌を排除したい!」と思うかもしれませんが、悪玉菌が居なくなると、善玉菌は働きをさぼってしまうのだとか。
そこで腸活では、「善玉菌」を育成し、増やすことを重視したアプローチを行っていきます。腸内フローラのバランスを整えることで、結果的に肌荒れ改善や体脂肪の減少が期待できるのです。
■近年の腸活ブームと発酵食品・シンバイオティクスの人気
近年の研究では、ビフィズス菌など特定の善玉菌(プロバイオティクス)が生み出す「乳酸菌生産物質 」が、美容やダイエットにより効果的に働くことが報告されています。
短鎖脂肪酸やエクオールなどが代表とされる乳酸菌生産物質は、美肌作りに欠かせない抗炎症作用やバリア機能の強化、抗酸化作用を高めることに寄与しており、ダイエットには脂肪の蓄積の予防、食欲コントロールに働きかけるなどうれしい働きがたくさんあることが魅力です。
乳酸菌生産物質は、腸内で善玉菌が発酵する過程で生産されます。
善玉菌が多く含まれる食材と、善玉菌のエサ(プレバイオティクス)である食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂取することで腸内細菌を活性化。
このとき、生きたまま大腸に届く「植物性乳酸菌」が含まれる発酵食品と、善玉菌のエサになる「水溶性食物繊維」を同時に摂取することが重要なポイントです。
<植物性乳酸菌が多く含まれる食品(プロバイオティクス)>
ヨーグルト、甘酒、キムチ、納豆、漬物、味噌、塩こうじ
<善玉菌のエサになる発酵性食物繊維(プレバイオティクス)>
食物繊維:果物、海藻、大麦、根菜類
オリゴ糖:はちみつ、バナナ、玉ねぎ、にんにく
また、プレバイオティクス、プロバイオティクスを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。
腸活の新常識ともいえるシンバイオティクスを、手軽に取り入れられるのが「ぬか漬け」「ザワークラウト」「キムチ」などの乳酸発酵食品。
これらの食品は調理過程ですでに発酵しているため、乳酸菌生産物質を生きたまま摂取できる上、ビタミン類も余すことなくいただけることが魅力です。
2.美容医療×腸活!2025年の最新トレンド
美容クリニックでは、腸内環境の状態を分析する検査や乳酸菌生産物質の生成を促す点滴など、よりダイレクトな腸活アプローチが発展しています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■美容内科で受けられる腸活医療
自分の腸内環境は、腸内フローラ検査で知ることができます。
取り扱いのあるクリニックで検査キットを入手し、便を採取して検査機関に送付すると、不足している善玉菌や肥満菌、痩せ菌の数などがデータ化されて自分に合った腸活が分かるというもの。
また、美容点滴は腸活にも効果的とされており、エネルギー代謝を促すビタミンB、抗酸化作用のあるビタミンC、グルタチオンなどを点滴することで、食事では摂りきれない栄養素を腸に行き届かせられ、腸機能そのものをアップさせることが期待できます。
■腸活を生かした痩身治療
医療ダイエットとして注目されているGLP-1は、小腸で分泌されるホルモンの1つであり、血糖値の上昇を抑え太りにくくする働きがあります。
GLP-1受容体作動薬を注射するダイエット法もありますが、魚介類に含まれる脂肪酸EPAと食物繊維を意識的に摂ることで、普段の食事で生成を促すことも可能です。
ただし、GLP-1の効果を最大限生かすには、腸内環境の改善が欠かせません。
美容クリニックの中には、医師による食事指導に加え、腸活サプリメントや内蔵機能を高める漢方の併用で自然の力を利用したダイエットサポートを行うところもあります。
さらに、脂肪冷却や脂肪溶解、HIFUなどの外側からの美容施術を取り入れることもでき、ボディメイクをしながら、リバウンドしにくい体質改善を目指せます。
▼GLP-1受容体作動薬を使った医療ダイエットについてもチェック
3.発酵美容を取り入れる!美容医療+日常ケアのポイント
発酵を生かした美容には、腸内だけでなく外側からケアできるものも。
ここからはセルフケアに取り入れられる「発酵美容」をご紹介します。美容医療での治療とセルフケアのWアプローチで、発酵美人を目指しましょう!
■発酵スキンケアvs美容医療の違い !
発酵エキスを配合した「発酵スキンケア」は、近年注目を浴び各メーカーからさまざまな製品が発売されています。
発酵スキンケアは「美肌菌」と呼ばれる皮膚を健やかに保つ常在菌が住みやすい環境を作り、保湿やバリア機能の強化に優れた力を発揮。
一方、美容医療での発酵美肌治療は、肌状態とリンクする「腸」に集中アプローチして、肌質の改善を目指すというもの。
腸内検査で人ひとりの腸質を見極め、ファスティングや高濃度サプリなどを取り入れたパーソナル指導を行い、腸と肌のトータルケアを行います。
細胞や血液といった体の内側からケアできるため、スキンケアに偏らない、自分本来の美しさを育めることが大きな特徴です。
▼ファスティングの効果とやり方についてはこちら
■腸活食にサプリ&美容点滴の組み合わせで効果倍増
腸活発酵食による効果をサポートしてくれるのが美容点滴や高濃度サプリメント。
食事や運動が腸活には大切と分かっていても、忙しい日々の中で継続していくのは難しいものです。
上述したように、美容医療では食事指導に加え、点滴やサプリで便通改善や消化吸収を促すものもあるため腸活の心強い味方になるはず。
中にはコラーゲンなど美容にうれしい成分を配合しているものもあり、腸活と同時に美肌ケアも期待できることが美容医療の分野でケアを行う強みです。
■美容クリニックでの「腸から整える美肌・痩身プログラム」活用術
クリニックレベルの本格的な腸活を始めるなら、効果を底上げする生活習慣を送ることも大事。
ファストフードや加工食品ばかり食べていると、栄養価が足りないだけでなく、腸へ負担をかけてしまいます。
「サラダを食べているからOK」ということでもなく、野菜の質、栄養、調理法まで見直して、腸にやさしい食生活を送りましょう。
また、腸周辺の腸腰筋や股関節を動かすことも腸の活性化を促します。ストレッチや大股ウォーキングを取り入れて、「外側からの腸活」も実践してみては。
さらに腸は、脳や自律神経とも深く関わっているため、睡眠の質を上げることや、ストレスフリーな生活を心がけることも効果的です。
まとめ
腸内環境がもたらす体への影響はまだまだ明らかになってきたばかり。
腸と美容の関係性を理解して、日々の美容にぜひ「腸活」を取り入れてみてください。
美容医療業界でも、今後ますます腸活を応用したパーソナルケアが注目されるはず。
日常の肌ケア、腸ケアを大切にしながら、クリニックでの腸活アプローチを組み合わせて、次世代のヘルシービューティを目指しましょう。
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